こちらは無職転生二次創作小説となっております。
独自設定、他作品ネタ、キャラ崩壊などが含まれますので、ご了承頂いた上でお読み頂けると幸いです。
アスラ王国─フィットア領
その中心たる要塞都市ロアの冒険者ギルドに、1人の男が訪れていた。
2本のツノが生えた不格好な仮面、そしてそれに似合わぬ豪勢な白いコートを着た男、その姿と男の発する威圧感のようなものがその場にいた冒険者たちを萎縮させていた。
「…無いか…この時期のはずなのだが…」
男は貼られている依頼の中に目的のものがなかったようで、カウンターへと向かう。
「む…?あれは…」
男の視線の先には1人の少女がいた。大きい帽子を深く被り、背丈以上の杖を持つ青髪の少女…男はその子に声をかける。
「…ロキシー・ミグルディアだな?」
「ひっ…!?は、はい、なんでしょうか…」
「その依頼、グレイラット家のものではないか?」
男が指を指した紙には、ルーデウス・グレイラットの魔術の家庭教師募集と書かれていた。
少女─ロキシー・ミグルディアは恐る恐るといった感じで男に紙を渡そうとする。
「あ、あの…よろしければ代わりましょうか…?あ、貴方の方が適任のようですし…」
「…いや、俺はある理由で魔術が使えなくてな…用があるのはグレイラット家の方だ、良ければ共に行かせて欲しいのだが…」
恐怖に引き攣った顔をしているロキシーに対し、男は努めて優しい声色で話す。
それを見たロキシーと周りの冒険者たちは、少し気を抜くことができた。
「で、ですが素性の知らない方をいきなり連れていくのは…」
「む、それもそうだな…少し待て」
そう言うと男は懐から冒険者カードを出す。
「えっと…エ、S級冒険者のオルフェウス!?」
冒険者ギルド内が大きくどよめく。それもそのはず、オルフェウスとは冒険者の間では有名な存在で、素性はほとんど分からないものの、魔物の大群や強大なS級の魔物さえ1人で倒してしまうという伝説の冒険者である。
その規模や戦いぶりには尾ひれがつくものの、各地に今も生き証人がいるため伝説でありながら事実として君臨している。
「ほ、本物です…」
受付嬢が震える手で冒険者カードを確認し、目の前に生きる伝説がいることに愕然とする。ある者は酒をこぼし、ある者は涙し、ロキシーは尻もちを着いた。
「ここまでの騒ぎにするつもりはなかったのだが…まあいい、ロキシー・ミグルディア、準備が終わり次第声を掛けてくれ」
「は、はい…」
一介の魔術師でしかないロキシーに断ることなどできるはずもなく、ガクガクと足を震えさせたまま受付嬢に向き直る。それを見た男は冒険者ギルドを後に、馬車の乗り合い所へと向かった。
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「お、遅れて申し訳ありません、オルフェウス…様?」
「様は要らん、オルフェウスで良い」
「で、ではオルフェウスさん、行きましょうか…」
2人は馬車に乗り込み、ブエナ村へと向かった。
ガタガタと揺れる音のみが響く馬車の中、ロキシーは重い雰囲気に耐えられずにいた…
(き、気まずい…なにか話すことは…)
目の前にいる伝説は一切動くことも無く、無言を貫いていた。向かう先が同じである以上、しばらくは共にいることになるだろう。この空気感では押しつぶされてしまいそうで、流石に苦しい。
「あ、あの!…オルフェウスさんはなぜグレイラット家に…?」
「む、そうだな…」
男は少し上を向いて答える。
「俺は…呪いにかかっている」
「呪い…ですか?」
「ああ、詳しい内容は言えないが、仮面を被っていなければまともに人と相対することもできない…その呪いを治すためには優秀な魔術師の力がいる」
「はぁ…」
ロキシーの脳内には疑問符が浮かぶ。呪いであれば、ミリス神聖国に赴くなりした方がよいのではないか?と。
それに向かう先にいるのは、魔術を習いたいという子供であり、呪いを治せるような魔術師は居るはずもない。
「俺は…まだ成熟していない魔術師に俺の知る技術を教え、これからの魔術の幅を広げるつもりだ…俺は技術を知っているが、魔術を下手に使うことができないのでな…」
「しかし…それならオルフェウスさんが家庭教師になるべきだったのでは…?私よりもずっと優秀なのでは…?」
「…さっきも言ったが、俺は下手に魔術を使えん、実演はお前の方が得意だろう…それに、俺は報酬が目当てという訳では無いからな」
確かに、S級冒険者で伝説の存在ともなれば下手な貴族よりも金はあるだろう。しかし、そんな存在でもどうすることもできない呪いなど、魔術師を育てた程度で解決できるのだろうか…考えれば考えるほど、ロキシーの頭の中に疑問符が浮かぶ。
日が暮れ、朝になっても疑問は尽きなかったが、とりあえず行ってみれば何かわかるかもしれないと自分を納得させた。
馬車に揺られるうちに、ブエナ村へと到着した。美しい黄金の麦畑に、ロキシーは思わず魅入ってしまう。
「うわぁ…きれいな景色…!凄いですね、オルフェウスさん!」
「…ようやくだ、ようやくここから…」
ロキシーは思わず身震いした、オルフェウスが仮面の下で不気味に笑うのがわかったからだ。本当にこの人を連れてきてよかったのかと思ってしまうが、伝説の冒険者である以上下手なことはしないだろうと自分に言い聞かせて歩き出す。
その間も、オルフェウスは不気味なオーラを出し続けていた…。
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「待っていろ、ルーデウス・グレイラット…『今回』で最後にする、お前と共にな…」
男は笑みを浮かべる。仮面の下で。
龍聖闘気を纏い、かつての『仲間』を想いながら。
伝説の冒険者オルフェウス─『龍神』オルステッドはグレイラット家に辿り着く。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
不定期での更新となりますので、気長にお待ちいただけると幸いです。