コナタとカナタ 作:みく
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コナタとカナタは現在、アルマヴェラの入国審査を受けていた。
審査自体は簡単なものだった。名前と滞在理由、滞在期間を述べればいい。
審査官の女はカナタの述べた情報を書き留め、黙々と作業を行っていく。
カナタやコナタの身なりを見ても表情の変化がないのは、そういうことなのだろう。
「では最後に、宝石の提示をお願いできますか?」
「コナタ」
「あ、っ……は、はい!」
カナタに指示されたコナタが、昨日手に入れた宝石をリュックの中から取り出した。
紫色の小さなそれは、手袋越しに審査官の方へと受け渡される。
カナタの方も服のポケットから取り出した黄色の宝石を、審査官の方へ差し出した。
二つの宝石は審査官に検査され、問題ないと判断されると速やかに返却された。
「確かに。では、入国を許可します」
「はい。ありがとうございます」
そうしてコナタとカナタは、アルマヴェラへの入国を果たした。
アルマヴェラの街並みは、これまで訪れた国の中で最も彩り豊かなものだった。
立ち並ぶ建物や店は石造りで、その上品さを更に引き立てるように宝石の装飾が施されている。
また、道も石畳で舗装されており、ゴミや人間が落ちていたりすることもない。
それに至る所に露店や広告が出されており、活気づいている様子も見られる。
「綺麗なところだね……」
「本当だね。……ハリボテだと思ってたけど、それも違うみたい」
「ハリボテ?」
「コナタ、まずはこっちに行こう」
カナタはコナタの質問に答えるよりも先に、コナタの手を引いて歩き始めた。
やがてコナタとカナタは通りから少し離れた裏路地へと辿り着く。
アルマヴェラは路地裏も綺麗だった。少なくとも腐臭もしなければ、人が死んでもいない。ただ建物の裏手、という景色が広がっており、道もある程度は整備されている。
荒んだ、というには清潔感がありすぎるその道を歩いていたカナタが、やがて足を止めた。
「カナタ……ちゃん?」
「大丈夫だよ。少しああいう場所が慣れなかっただけ」
それはコナタも同じだったので、カナタの言葉にそこまで気にかかることはなかった。
とはいえカナタは少し考え込むような仕草をして、コナタに話を始める。
「コナタ」
「うん」
「この国ではちゃんと働いてお金を集めよう」
「ええっ!?」
思わずコナタが声を上げて、カナタの額に優しく手を置いた。
「……か、カナタちゃん……熱でもあるの?」
「ないよ。心配してくれてありがとう、コナタ」
カナタは優しくそれを振り払ってから続けた。
「この国だと、今まで通りみたいにはいかないかもね。見るからに治安維持組織が優秀で、軽犯罪や違法組織の雰囲気が全くしない。ああいう連中がいるから、私たちも楽できたんだけど……」
「そっか。いつも通りにしちゃうと、逆に目立ってバレやすくなっちゃうんだね」
「そういうこと。コナタは賢いね」
カナタは優しく微笑むと、コナタの頭を撫でた。
「だから、この国ではちゃんと働いてお金を稼ごう。噂が正しければ、アルマヴェラは貧困層も多い国だから、私たちみたいな根無し草でも雇ってくれるような場所はあると思う」
「うん、わかった」
コナタにとって、カナタは絶対だった。ここで意見をするつもりもなかった。
今までとは少し違ったやり方にはなるが、カナタがそう言うのなら大丈夫なのだろう。
「宿を確保するためにも、できれば住み込みで働けるようなところがいいね」
「あ……そ、それなら、ホテルはどうかな? 空いてるお部屋に住まわせてもらうの!」
「それもいいけど……私たちじゃ難しいかも。この国は観光地としても名が知れているところだから、必然的に従業員に要求することも高くなる。私たちには難しいかな」
「そ、そっか……。ご、ごめんね、カナタちゃん。適当なこと言って」
「大丈夫。コナタが自分で考えて提案してくれたのは、嬉しいことだから」
コナタは、カナタの言葉に頬を緩ませた。カナタが褒めてくれるのは嬉しかった。
とはいえ問題は何も解決していない。カナタは少し考えを巡らせてからまた、口を開いた。
「まずはこの国の市場に行ってみよう。いろいろ見て回れば、何か見つかるかも」
「うん、わかったよ」
そうしてカナタは再び、コナタの手を取って歩き出した。
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