【窓付きが幻想入り】東方現夢帳    作:さまねり

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第一話 桜の匂いのお姉さん

プローローグ

 

私はベッド上で目をさます

ゆっくりと、霧が引いていくように、無意識に埋没した意識が浮上する。

私はもう慣れた心地よい感覚に後ろ髪を引かれながら静かに起き上がる。いつもの部屋、いつものベッド、いつもの空気

 

「最後の目覚めってもっと特別かと思ったけどいつもと変わらないな」

 

誰もいない部屋にわざと大きな声でそう言った。言葉には言霊という特別な力が宿ると本で読んだことがある。

嘘を言葉にすることで少しはこのザワつきが晴れると思ったけどそうはならなかった。

それは色々な感情をごちゃまぜにしたような感覚で、熱くも、また冷たくもある感覚だった。

なぜか急にくすぐったくなり、逃れるように長い睡眠で硬くなった体を起こすように動かす。

 

「さぁ、もう全部終わったしそろそろこっちも終わりにしようかな」

 

自分の決心を確かめるようそう呟いてみた、でも、そんな事するまでもなく私の気持ちは揺るがないことはわかっている。

私の覚悟は、とてもおっきな岩のようなものではない、何もない空間のようなもの

地震のように揺り動かす大地もなければ、覚悟を削る雨もない、そう何もないからかわらない。

 

私はしっかりとした動きでベッドをおり、ベランダへと向かう。外の天気は綺麗に晴れており山の向こうから朝日が差し込む。

お気に入りの外ばきサンダルを無視し、手すりまでくると下を見下ろした。かなり早い時間だけあり、人一人いないマンションの玄関が遠くにみえる。

 

空気が止まったこの部屋でこのようにすがすがしい気持ちになったのはいつぶりだろうか。

くるくると周りを見渡すとそこには見慣れないものが置いてある。

気分が変われば見えるものも変わってくる。私の気持ちを汲んだようにおあつらえ向きの階段状の台が設置されている。

私は手すりの向こうへと続く階段をいっぽいっぽ登っていく…とは言っても三段しかないのだが。

 

「人生最後の言葉かぁ、やっぱりあれかな?」

 

ひと呼吸置き私はつぶやいた

 

「おやすみなさい」

 

私は大きく一歩を踏み出す

 

急速に流れる風景

 

朝日に照らされる中、吸い込まれるように意識を手放した。

 

 

 

第一話 桜の匂いのお姉さん

 

窓付き(以下窓)「あいたたた」

 

私は全身に痛みを感じながら起き上がる、ベットとから落ちた時の数十倍の痛みのような気がする。ゆっくり周りを見渡すと自分の部屋じゃないことに気づく。それどころか屋外の、それも石畳の上で寝ていたようだ。どうりで、とため息をつきながら服についた汚れを払いながら立ち上がる。ん?石畳?

 

窓「えっと、なにしてたんだっけ?」

 

霧がかかったように頭の奥がボーっとする、いつもと違う風景に困惑しながら散り散りなった思考力をかき集める。

 

えっとベッドじゃないってことは、こけて気絶でもしちゃったのかな?でも外?

 

窓「んー、何か重大なことを忘れているような…ん?」

 

確かいつもどおりベッドから起きて、そしてベランダに出たような気が…

 

窓「あっそうだ私死んだんだった!」

 

ぽんっと手を打つと、今までの記憶が蘇る、私はマンションの高層のベランダから飛び降り、そして死んだはずだった。だがこうして意識がある以上どうやら私は死後の世界というところに来たらしいことがわかる。個人的にはあんまり信じていなかっただけに妙な感動を覚える。

 

窓「それにしても体痛いな…心なしかミシミシ言ってる気がする」

 

幽霊でも石畳で寝れば体を痛める…、新発見だった

 

窓「んー?あれ?」

 

つぶやいてみたが当然返事は帰ってこない、何か視界の端になにか映ったような気がしたが寒々しい風景が何もないことを告げる。ここにいても仕方がないのでゆっくりと歩き出す、幸い先ほど、最悪のベッドだった石畳は一本道でありそれに沿って歩いていけばどこかにつくだろうことは予想できた。石畳の両側には大量の木が並んでいるが全て枯れ木のようだ、それを見ているとどこか閑散とした気持ちになる。

しばらく歩きながら風景をぼんやり眺めていると何かふよふよと白いものが木の隙間からみえた、さっき見えたのはこれだろうか?よく見るとそれは輪郭がおぼろげながらオタマジャクシのような形をしたもの、まるで昔絵本で見たような典型的な魂ようだった。

 

窓「あれって本物の幽霊かな?」

 

つぶやいてみたが当然返事は帰ってこない、しかしもしそうならばここが死後の世界というのが確定的になるだろうここである疑問が浮かんでくる、あれが本物の幽霊ならば、はて、なぜ私は生前の見た目のままここにいるのだろうか?未練がなくなるとああなるのか?三途の川を渡るとああなるのか?閻魔様に会うとああなるのか?そもそも閻魔様はいるのか?などと思考がぐるぐる回っていたが、結局は、「よくわからないけど私もいずれはああなるのだろう」と言う結論にいたり、満足げに頷く。こういう性格は自分でも便利だと思う、反面何か悲しいような…

 

窓「ふわふわしててマシュマロみたい、美味しそうだな~」

 

???「あらあら、私と同じ感想をもつ子に初めて会ったわぁ」

 

つぶやいてみたが当然返事は…あれ?

 

???「こんばんわ、そしてはじめましてかしら?」

 

窓「こここ、こんばんわっ」

 

後ろからかけられた声にびくりと反応し、慌てて返事をする。死ぬほどびっくりした、寿命が縮まったかもしれない…あれこれって幽霊が使っていいのかな?

 

???「あらあら驚かせちゃったみたいね、ごめんなさい」

 

そう言うと目の前の女性はコロコロと笑う、ピンクのふわふわで緩やかな髪、と瞳、底抜けに白い肌、そして特徴的な帽子と涼しげな青を基調とした、ゆったりとした洋服はどこかなはかなげな印象を受ける。華やかに桜の香りをまとい、引き込まれるような笑みを浮かべる彼女にいつの間にか見惚れていた。

 

幽々子(以下)「私は西行寺幽々子、親しみを込めてゆゆちゃんってよんでほしいわ」

 

窓「あっ…、えーっと、私はま…、窓付きっていいます」

 

幽「ふふふ、よろしくね♪まどちゃん」

 

とても綺麗な人だ、なぜか底知れない魅力があり、名前をよばれると思わず頬が赤くなる

 

幽「何かありそうな日だったから、散歩してみたらこんな出会いがあるなんて、私の勘もすてたものじゃないわねぇ、ところでまどちゃんはこんなところで何をしているのかしら?」

 

一瞬視線の針に刺されたような感覚にびくっとする。しかし幽々子さんは優しく微笑んでいるみたいだ、気のせいだろうか?

 

窓「いえ、起きたらここにいて、よくわかってないんですけど…ここは死後の世界でいいんですよね?」

 

幽「ええ、合っているわよ、でもあなたはなぜここにいるのかわからないのよね?ならどうしてそう思うのかしら?」

 

窓「すこし言いづらいんですが…」

 

幽「ふふふ、死後の世界って発想が出るってことは自分の命の危機が迫っていて、気づいたらここにいたって所かしらね。言いにくいって事は自ら命を絶ったってとこかしら、それともさっき霊魂を見て思ったのかしらねぇ…」

 

幽々子さんはにやりと笑みを浮かべる

 

どきりとした

 

窓「うー…確かにあっています…、マンションのベランダから身を投げ出したんですが、気づいたらここにいて」

 

私は観念して軽く今の状況の説明をした

 

幽「マンション?ベランダ?…なるほど、外からきたのかしらね…にしても冥界にいきなり来るなんて、それになぜまだ…」

 

窓「外?何をいっているのですか?幽々子さん?」

 

幽「ゆゆちゃんと呼んでくれないの?」

 

そうゆうと幽々子さんは「よよよ」と泣き真似をする

 

窓「ごまかさないでください!幽々子さん!」

 

幽「あらあら、かわいい、妖夢といい勝負だわ~」

 

もうすでに力関係が見えてきた気がする…ああ勝てないだろうなぁ絶対…そしてどこかの妖夢さん、頑張ってください

 

幽「まぁちょっと長くなりそうだから私の家で話しましょう?」

 

窓「あっはい、わかりましたって…ってここに住んでいるんですかっ!?」

 

幽「ここ、冥界の管理を閻魔様から直々に承っているのよ」

 

窓「ええええええええええええええっ!?」

 

幽「ここまで驚かれるとすごく新鮮だわ」

 

窓「普通驚きますって!」

 

外、冥界の管理、閻魔…すごいワードが飛び交い思考がまとまらない…

 

幽「私の知人の普通には自称普通な魔法使いぐらいしかいないもの」

 

窓「魔法使い…ちょっと頭痛くなってきました」

 

幽「向こうに着いたらいろいろと話しましょうね、私もいろいろと聞きたいことができたわ」

 

窓「分かりました」

 

幽々子さんはふよふよと石畳の先へと進んでいく、そのあとを遅れないようについていく。

軽やかに移動している幽々子さんは見た目以上に早く運動が苦手な私としてはついて行くのにやっとだ。彼女はその様子に気づいたらしく速度を緩めてくれた。道中幽々子さんは軽い自己紹介をしてくれた、幽々子さんももう死んでいるらしい、ただ幽霊ではなく亡霊と言う存在らしく何が違うのですか?と聞いたところ幽霊は他ただの気の塊らしく特に形は持たないものらしく、そもそも死者ですらないこともあるということだ。

挙句の果てには幽霊として生まれてくる場合もあるらしい。死者の成れの果てと思っていた私は衝撃を受けた。一方亡霊は生前強い思いを持った思い持った人がそのままの姿を残したもので生きている人と見た目の区別はほとんどないらしい。

こちらのほうが私の幽霊のイメージ像と近かった。ということは私も亡霊なのだろうか?思い残すことはないと思っていたのだけど…

 

考えこんでいる私を見た幽々子さんは、私は特に強い思いは何もないと思うのだけどねと付け加えて微笑んでいる。冥界の管理者がそういうのなら案外適当なのかもと思い、深く考えるのをやめた。

 

しばらく進んでいくと大きな建物がみえた、あれが幽々子さんの家だろうか?

 

幽「あれが私の住んでいる白玉楼よ、さぁ、あと少し頑張ってね」

 

幽々子さんは楽しそうに声を弾ませる、あんな豪邸にすめるとは、やはり冥界の管理者はお金もいっぱいもらえるのだろう。

豪華な門を通り過ぎると立派な日本庭園がみえた、とても立派なその庭に自然と頬が緩む、…なぜかにやにやしながらこっちを見ている幽々子さんは無視しよう。

外見と相応のとても長い廊下を歩き、客間へと通される

 

幽「ちょっと待ててくれるかしら、お茶をいれてくるわ」

 

自分でいれに行くと言う幽々子さんを止めて自分がお茶をいれに行こうかと思ったが、なにぶん初めて訪れる場所なのでおとなしくご好意を受け取っておく

 

窓「ありがとうございます」

 

探索は得意な方で迷うことはあんまりないがここは広すぎるので迷ったら怖いなーと考える、あれ?冥界の管理者なのに自分一人でこの広い家に住んでいるのだろうか?ここまで来るまでに、少なくとも「人」はまだ一度も見ていない。メイドさん(…いや和風だから家政婦さんかな?)がいてもおかしくはないと思うのだが、主自らお茶を汲みに行くと事はやっぱり一人なのだろうか部屋にひとり取り残された私は考えて事をしてみる。

 

まずは現状を把握してみる、ベランダから飛び降りて死んだと思ったら石畳で寝てて、起きて歩いていたら綺麗な人から声をかけられて、話していたらその人が冥界の管理者で、おうちにお呼ばれしたと。

 

…うんよくわからない

 

これからどうなるのかな?普通に考えたら閻魔様の裁判受けて天国か地獄にいくのかな?天国にいって会いたい人はたくさんいるけどきっと私は地獄だろうなーと思う。……ほかのことを考えよう。客間から見える白玉楼の庭は格別で心を奪われる、きっと何人も庭師を雇っているのだろうなとなどと考えながらぼんやりと眺める冥界を吹く風は涼しく心地よかったので少し眠くなるが幽々子さんに悪いので我慢する。

 

幽「ただいま、お茶請けを探していて少し時間かかっちゃったわ」

 

半分寝かけた頭を引き戻し、振り向くとそこには二つの湯呑とサッカーボールを半分に切ったくらいの大きさの白い塊をお盆に載せた幽々子さんがたっていた

 

窓「そのおっきいものは何ですか?」

 

幽「あら?お饅頭を見るのは初めて?」

 

窓「…いえ、好物の一つですけど」

 

冥界のお饅頭は巨大である、新発見パート2だった

 

幽「まぁ、好きなのならよかったわぁ、もうすぐ夕餉の時間だから一人一つまでね」

 

窓「いろいろ言いたいことはありますが夜ご飯までいただいていいのですか?」

 

幽「行くあてのない女の子を外に追い出すほど鬼じゃないわ~」

 

窓「…ありがとうございます」

 

正直右も左もわからない私にとって幽々子さんのお誘いはとても助かるものだったが、ここまで好意に甘えて良いのだろうか?

 

幽「さて、いろいろ聞く前にお茶にしましょうね」

 

窓「あの…庭を見ながらたべてもいいですか?」

 

幽「あらあら、気に入ってくれたの?妖夢もきっと喜ぶわ」

 

窓「妖夢さんですか?さっき話しに出てきた方ですか?」

 

幽「ふふふ、お茶を飲みながら話しましょう?」

 

そのあと客間外の縁側に座布団を敷き、二人でお茶を楽しんだ。巨大なお饅頭が私の胃袋に半分入ったところで、もう収まる場所はなくなったらしくギブアップしたら。残したらもったいないわという幽々子さんの胃袋の方に入っていった…、あの細い体にあの凶悪な塊が入って行く隙間があるのだろうか…

幽々子さんの話を聞くに妖夢さんというのはこの家の使用人らしく、庭師をおもに努めているらしい。それいがにも幽々子さんの身の回りの世話やこの白玉楼の用心棒も勤めているそうだ。

変わった名前であるので、性別を特定することは難しいがそれらの情報を統合するとやり手のおじさまと言ったところだろうか?

…うん、とても幽々子さんにあっていると思う。一人でなんでもやられるのですか?と聞いた所、あまり複雑じゃない雑務は幽々子さんが幽霊を操作して行っているのだそうだ。

私は想像上の妖夢さんの思いを馳せていると急に眠気が襲ってくる、お腹いっぱい食べたら眠くなるという単純な我が身を呪いつつ、船を漕ぎそうになるのを必死にこらえる

 

幽「あらあら眠そうね、大丈夫?首のすわってない子供みたいになっているけど」

 

窓「ふぇ?…えっと大丈夫です…妖夢さんのヒゲのはなしでしたっけ?」

 

幽「これは重症ね、本題にはいろうかと思ったけど今話しても何も頭に入らないみたいだし、ちょっと早いけど寝ちゃう?」

 

窓「す、すいません…ふぁぁあ」

 

「きっと疲れちゃったのね、お客様用の寝室はこっちよ」

フラフラになりながら幽々子さんに手をひいてもらい布団までつれていってもらう

なんでだろ、立ってられないほどねむ…い こんなこといままで…い…ちど…も

 

幽「ふふふ、おやすみなさい」

幽々子さんの声をかろうじて聞いたあと私の意識は途切れた

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

 

 

 

今日はとても面白いものを見つけちゃった、まさか趣味の散歩がこんな形で役にたつとは思わなかったわ~

私は客室の人部屋に彼女を寝かせ、客間にもどると、すっかり冷めてしまったお茶をすする。外来人を見るのは初めてではないけれど、冥界に迷い込んできたのは初めてかしら、もちろん生きてという条件に限ってね。

 

最初は普通の女の子かと思ったけど、そう考えるとかなり特例的な存在なのかもしれないわね~、それにしても、つくづく面白い子ね、今はぐっすり眠っているみたいだけど起きて本当のことを伝えたらどんな顔をするかしら。

あの巫女や魔法使いは言うまでもなく、最近は妖夢までひねてきちゃったから、あの子の反応は初々しくてついいじめたくなっちゃうけど…

とりあえず外来人の紫に任せるのが一番でしょうけど…もったいないわよね…でも

 

???「あらあら、今日はとてもご機嫌ね、幽々子」

 

面白いこと大好きの幻想郷の中でも最たる彼女が気づかないわけないのよね~

 

幽「ちょっと面白いもの見つけちゃったのよ~紫」

 

紫「はぁ…ご飯の前以外であなたのそんな顔が見られるなんてねぇ」

 

幽「失礼ね」

 

紫「それでその面白いものっていうのはどこにあるのかしら」

 

幽「むこうで寝ているわ、でもとっちゃいやよ?」

 

紫「寝ているってことは生き物なのかしら」

 

幽「とても可愛らしい外来人の女の子よ、窓付きっていう子よ」

 

紫「外来人?可愛い女の子…寝ているっていったわよね」

 

そう言うと紫はとてもいやらしそうに笑った

 

紫「ねぇ幽々子、そこに連れて行ってくれない?」

 

幽「嫌よ、起こして嫌われたくないもの」

 

それに窓ちゃんが紫の毒牙にかかるのはみたくないし

幻想郷の管理者だから調査って顔じゃないし、こういう時はだいたいよろしくないことを考えているのよね~

 

紫「確かスキマに新しくできた洋菓子店の…」

 

幽「さぁ紫、グズグズしないでいくわよ?」

 

紫「あなたってほんとに…」

 

ごめんね、窓ちゃん、恨むならケーキの美味しさを恨んでね、ひと切れ夕食のデザートに出すから…私は紫を連れ添って歩いていく、まだ夜というにはちょっと早い時間だが廊下は静かで冷たく寂寥を感じさせる。

 

紫「まって…」

 

紫進む私を手で制した、その表情は何か訝しげだ。何かあったのかしら

 

幽「どうしたの?紫」

 

紫「ここから先、境界がおかしいわ、現実と夢が曖昧になっているわ」

 

部屋を出て少しのところで紫は警告した、現実と夢の境界?紫以外に境界操作なんてできる人なんているのかしら

まさか窓ちゃんかしら?ただの人間の女の子にしか見えなかったけど、もしかしたらこれは思った以上に…

 

幽「え?それはどういうことかしら?」

 

紫「そのままの意味よ、この先に女の子はいるのよね?もしかしてここから右斜め前14間(約25.5m)ほどの場所かしら?」

 

幽「ええ、そのくらいのはずよ、もしかして窓ちゃんが?」

 

紫「ええ、どうやらその子の仕業みたいね、その子の夢の一部が現実に溶け込んでいるわ、何者かしらね…」

 

幽「夢が現実に?面白そうね」

 

紫「そうね、幽々子は人の夢に入ったとこないからそう思うよね…とりあえず封じて来るから待っていてくれるかしら」 

 

幽「あの子に何をする気かしら?それに行くなら私もついて行くわよ?」

 

紫「大丈夫、少し境界をいじってくるだけ、女の子には危害を加えるつもりはないわ、能力が不安定で未熟な感じだからそんなに難しくはないだろうし。でもあなたが来るのはダメよ、他人の夢ってのはあなたが思っているよりずっと危険なのよ、悪夢ならもちろん、いい夢だってその支離滅裂さにやられることだってあるの」

 

幽「大丈夫よ、そんなに弱くないわよ、それに悪夢を見ていたら誰かにそばにいてほしいものでしょ?そんな時紫だけだったらあの子嫌よ、きっと」

 

紫「はぁ…どういういう意味よ、それ…、…幽々子がそんな顔をするときは何言っても聞かないわよね、私から離れなければいいわ」

 

紫「それにしても随分ご執心ね、あなたがそんなこと言うなんて今日あったばっかりなんでしょ?」

 

幽「ふふふ、私もよくわからないのよ~たぶんおもしろそうだからよ」

 

紫「まぁいいわ、気をつけてね」

 

昔の妖夢に似ているせいかしら、それとも…どこか他人とは思えない感じがするせいかしらね 

 

紫「さぁここかから一歩踏み出すと別世界よ」

 

幽「そうなの?ただの廊下にしか見えないけど」

 

紫「すぐ分かるわ」

 

紫はそう言うと私の手を引いて一歩進む、すると今まで見えていた廊下は消し飛び、私たちがつけた足場は真っ黒な床だった。

そこにいつものふすまだけがぽつんと浮かんでいる。

 

幽「え?」

 

紫「さあ行くわよ、私の近くにいればそこまで影響を受けないから、早く」

 

幽「え、えぇ それにしても真っ暗ね」

 

紫「本当はもっとごちゃごちゃしていることが多いのだけどね、邪魔なものは私が排除しているのよ、ああ、あそこで寝ているのが彼女ね」

 

幽「そうね、窓ちゃんだわ」

 

紫「少し待っていて」

 

紫が窓ちゃんの額に手を当て短く詠唱すると世界に色が戻ってくる、窓ちゃんに吸い込まれるように周りを覆っていた「黒」が動き、いつの間にか部屋に戻っていた

 

幽「あれ?もうおしまいなの?つまんないわ~」

 

紫「ふふ、私はこのまま彼女に夢におじゃましてくるからまた後でね」

 

幽「え!もう紫ずるいわよ!」

 

紫「夕飯までには戻ってくるから私の分もよろしくね」

 

幽「…帰ったら話きかせてね」

 

せっかく私が見つけたのに、紫には今度埋め合わせをしてもらわないとね、とりあえず妖夢が帰って来るまでケーキでつないでおこうかしら

 

 

 

 

 

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