【窓付きが幻想入り】東方現夢帳    作:さまねり

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第五話 修行開始

神社生活三日目、この日、予定では藍さんという方来る日、そして修行が始まる日である。幸い今日は天気がよく、日差し暖かいので何をするにも心地がいいと思う。まだここの生活には慣れてはいないが、しなきゃいけないことぐらいは覚えてきた。布団をたたんで、巫女服に袖を通す。うっかりしたことに白玉楼に自分の服をおいてきてしまった私は、妖夢さんに用意してもらっていた服しか持っていなかった。そこで霊夢さんに頼んだところ、これしかないわねと、昔来ていたという巫女服を出してくれた。広げてみたところ心配だった脇が空いてなかったので、小さくガッツポーズをしたのは内緒だ。まぁそんなこんなで朝の準備を終えた私は居間へと向かう。

 

霊夢「あら、おはよう窓付き、今日は起こしに行く前に起きてこられたのね」

 

窓「おはようございます、霊夢さん」

 

霊夢「朝ごはん、もうすぐできるから配膳手伝って」

 

居間に入ると、足音に気がついたのか台所の方から霊夢さんが顔を出す。彼女の背後から漂ってくるお味噌汁のいい匂いが、寝起きで活動を初めてなかったお腹に虫に刺激を与ええう。白玉楼で頂いたご飯に比べ、霊夢さんの料理は薄味だったが、私にはとても優しい感じがして好きだった。…本人は節約とか言ってたけど。ご飯を作るのは霊夢の役目で、後片付けは私の役目だ。時期的に水は手を裂くような冷たさだが、霊夢さんへの恩返しとおもえば辛くとも何ともなかった。ここ数日しか経っていないにもかかわらず、霊夢さんがいい人だということは随分と身にしみていた。いきなり押しかけて来た私にとても良くしてくれる。神社の掃除は広いため時間がかるが、元々物の少ないので掃除はしやすい。その掃除をすませると、霊夢さんと縁側でお茶とお菓子をたのしむのが日課になりつつある。ここで霊夢さんから幻想郷の話を聞くのがとても好きだった、幻想郷のことを全く知らない私に霊夢さんは丁寧に説明してくれる。私がお礼を言うと、無愛想に依頼だからね、という彼女はカッコイイという感じだが、照れて口元がすこし笑っているところは可愛いと思う。

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―――

 

この日、藍さんがやってきたのは午後を少しまわったあたりだった。私が日課の境内の掃除をしていると、物音がする。来たのかなと思い鳥居の方を見ると、人影がフラフラと飛んでいたのでそちらに声をかけようとする。が…

藍「おーい、約束通り来たのだが、霊夢はいるか?」

 

窓「きゃっ!?え?どこ、どこにいるんですか?」

 

全く意識してない方から声が飛んでくるので思わず驚いてしまった。周りを見渡すが、どこにもいない。鳥居の方にいた人影もついでに消えていた。

 

藍「こっちだこっち、顔をあげてみてくれ」

 

上の方に誰かいる、後ろに生えているのは狐のしっぽだろうか?霊夢から藍さんは妖狐だと聞いていたので、おそらく彼女が藍さんだろう。でもしっぽが九本あるってことは九尾なのだろうか?あんまり詳しくない私でも聞いたことがある。九尾だとすると、相当に格が高い妖怪だと思うのだが…

 

その後、霊夢さんを呼び、手紙と小包を受け取った。なんだか意味深な会話をしているようだが正直よく分から無く、脳内現実逃避をしていた私の目が、機能を果たしたときには藍さんがあの不思議空間に入るところだった。幻想郷の移動手段はあれなのなのだろうか?修行で使える用になるといいなー、可愛いし便利だし。…しまった挨拶をしそこねてしまった

 

窓「行っちゃいましたね」

 

霊夢「そうね、まぁもらうもんはもらったしね。この手紙読んだら修行をはじめるから、窓付きは掃除が終り次第、この前案内したお堂の方に行ってて」

 

窓「分かりました」

 

そんな会話を終え半刻がすぎると、いつもやっている分の掃除が終わった。今日は縁側じゃなくお堂に入る、私が中に入った時、霊夢さんは部屋の中央でお茶を飲んでいた。手紙はすでに読み終わって燃やしてしまったのだろうか、もう手元には無いようだ。私に関してそこまで慎重になる情報ってなんだろうか?ちょっと見てみたかったな。

 

霊夢「掃除お疲れ様、そこに座って」

 

窓「わかりました、…何か緊張します」

 

霊夢「最初からそんなにきついことはしないわよ」

 

修行なんて、物語の中みたいでドキドキする。

 

霊夢「んー窓付きは能力を操ることで一番大事なのはなにかわかる?」

 

窓「うーん?あんまりイメージできないからよく分から無いですけど…やっぱり慣れることとかですか?」

 

霊夢「まぁ確かにそれも大事よ、最終的には無意識でも操作できるくらいになるのが望ましいわね。」

 

確かに常に意識してなきゃ暴走しちゃう能力なんて危なっかしいけど、どれだけ反復しなきゃいけないのだろうか

 

窓「なるほど、それでは今日はトレーニングメニューとか考えるのですか?」

 

あんまり大変なのは嫌だと思うけど、これでアレを止めることができるのならどんなことでもやりきる自信はある。

 

霊夢「いいえ、違うわ。慣れもよりも重要なことがあるのよ」

 

窓「なんでしょうか?思いつかないないですね…」

 

残念、ハズレだったみたいだ。

 

霊夢「大事なこと…それは識ることよ、今回の修行の第一段階であり最難関とも言える部分」

 

知る事?識る事?いや、それより…

 

窓「最難関?」

 

霊夢「普通はね…」

 

普通は?んー?さっぱりだ

 

霊夢「境界を操る程度の能力、空を飛ぶ程度の能力、様々な能力があるけどあなたはどんな能力であるか分かる?」

 

そう言われ今まであったことを思い出す。少し気分が悪くなるが仕方ない。

 

窓「うーんよく分から無いですけど…おんなじ夢を見ること、周りの人を狂わせること…うーん夢を狂わせる程度の能力とかですか?」

 

霊夢「残念、違うわね」

 

窓「うーん…ってあれ?霊夢さんは知ってるんですか?」

 

霊夢「ああ、言ってなかったわね。さっきの手紙に書かれていたのよ」

 

窓「あれ?そうしたら難関でもなんでもないんじゃ?」

 

霊夢「だから『普通は』なのよ、なんでかは知らないけど、あなたは紫のお気に入りらしくてね、こうやって教えてもらえるのはかなり特別なのよ、何事において傍観者の位置が好きだから」

 

窓「うーん…特別…」

 

霊夢「さっきあなたが分から無かった様に、力ってのは普通なら何度も失敗しながら少しずつ学ぶものよ」

 

窓「そんなに難しいんですか?」

 

霊夢「ええ、未知のもの学ぶってのはそれだけ難しいの。種族的に使える力や、ある程度研究がなされているもの、代々受け継ぐものなんかは意外と簡単なんだけどね。新たに会得したり、似た能力が少なかったりすると難しいのよ、あんたみたいに特別に変異して発動するのは特にね」

 

窓「なるほど、簡単にわかる診断器具みたいなのはないんですか?」

 

霊夢「んな便利なものはない、と言いたいけど。いくつか例外はある、普通は使えないけどね」

 

窓「…なるほど、その例外っていうのが紫さんの力ですか」

 

霊夢「そう、あれは大概だからね。できないことの方が少ないんじゃないかしら?…まぁいいわ、あなたも気になるでしょうしさっさと教えましょうか」

 

窓「はい…わかりました…」

 

あれ?ただ能力の名前を聞くだけなのにやけに心臓がうるさい…

 

霊夢「あんたの能力は………、夢と現を操る程度の能力よ」

 

窓「ゆめと…うつつ?」

 

なんだろう?とてもしっくりくる、自分の名前を呼ばれた時のような、昔からずっと知っていた感覚。どうして知らなかったんだろう?というよりなんで忘れていたんだろう?という感覚が近いかもしれない。鼓動の音がどんどん大きくなってる

 

霊夢「そうそう、でどんなものかっていうと…ってあんた大丈夫?」

 

霊夢さんがなにかしゃべっているけど、鼓動の音しか頭に入って来ない。そーいえば、なにをやっているんだったっけ?うーん、にしても熱い。なんだろう、何かが出てこようとしている感覚

 

霊夢「ちょっと!!顔…真っ青だっけど」

 

力だ。これは元々持っていたもの、今なら手足の様に使えそうだ、ただ、その手足は長い間使われなかったので、やせ細っていてリハビリが必要らしい。…そうだ、あれなら呼べる、死ぬときに捨てたあれ。夢の中のどこにもなかったからもう消えてしまったのだと思っていたが、こんなところにあったんだ。あれ?何か引っかかってるな?まあいいやもっと強く呼び出してっと。

 

バチッ!!!と鋭い音が部屋に響き渡る

 

霊夢「…え?紫の結界が破られた!?…これはまずいわね、まさかしょっぱなからこんなことになるとは、ちょっと荒っぽくなるけど謝罪は目が覚めてからするわ!!」

 

あれはなんだろ、こちらに飛んでくる、御札かな?まあいいや斬っちゃお

 

窓「ほう…ちょう…」

 

★ほうちょう★

 

懐かしい感触が手に伝わる、手になじむ感じが心地いい。目のを一閃すると、二枚に別れは紙くずがハラりと床に落ちる。続いて飛んでくる数十枚の御札も紙吹雪にしてやった。頭があつい。いや寒い?あれ?私のほうちょうどこいった?

 

霊夢「っ…!?これは食費だけじゃ足りなかったかもね…霊符「夢想封印」!!」

 

私が最後に見たのは色とりどりの光だった

 

―――――――――――

――――――――

――――

 

窓「あ…れ?」

 

霊夢「よかった、目が覚めたのね」

 

窓「ここは……いっ!!」

 

頭がすごく痛む、どうやら気絶していたようだ。周りを見ると私が使わせてもらっている部屋だという事が分かる。

 

霊夢「いいから寝てなさい、しょっぱなから封印ぶっちして力を使おうとするからよ…というかそれが出来てる時点で相当異常よ」

 

力?ああ、エフェクトのことかな?あれ?なんで、使ったんだっけ?ダメだ、考えがまとまらない…世界がぐるぐるする。

 

霊夢「これ、お水よ、飲める?」

 

窓「ごめんなさい、すこし待ってもらってもいいですか…」

 

それから私がまともに話をできるようになるまで半刻ほど時間を要した。それでも頭が重いことには変わらなかったが

 

霊夢「落ち着いた?」

 

窓「だいぶ…ごめんなさい、霊夢さん」

 

霊夢「まったく、いきなり暴走して何事かと思ったわよ」

 

窓「能力の名前を聞いたあとから頭がぼうっとして、気づいたらエフェクト使っていたんです」

 

霊夢「えふぇくと?あんたが持っていた包丁のこと?」

 

窓「うんそう、でも、正確に言えば『ほうちょう』はエフェクトの一つです」

 

霊夢「うーん、…つまりどういうこと?」

 

窓「エフェクトっていうのは私が夢の中で使える能力のことです、全部で24種類あるんですけど」

 

霊夢「変わった夢だとは聞いていたけど、夢の中で能力ねえ」

 

窓「といっても実用的なものというより、私にとって印象的なものを寄せ集めたものを使えるってだけなんですけどね」

 

エフェクトというのは私に大きな『影響』を与えたものだ。欲しいもの、なりたいもの、楽しかったもの、嫌いなもの、苦手なもの。色々あるが特定の物を瞬間的に呼び出す、あるいは身にまとうことができる。夢の中にそれぞれのエフェクトを象徴しているものが散らばっており、触れることで手に入れることができる。夢の中を探検することで、私はそれらをかき集めることを目標にしていたこともあった、結局見つけることができたのは24種類、今後また増えるかもしれないが…

 

霊夢「ふーん、確かに包丁出せるってのもね…他にどんなのがあんのよ」

 

窓「えっとですねぇ…せっかくだから出してみましょうか」

 

霊夢「ちょっと!またあんな風になったらどうするのよ!」

 

窓「ううん、大丈夫です…なんとなくだけど安定している気がしますから」

 

ただの感覚なので確かなことは言えないけど、高ぶる感じも、邪魔ななにかがある気もしない。ただ目の間にある引き出しを開ける感覚で使えるようなきがする。

 

霊夢「ああ、結界消えたからそらね…てかあんたにそんな行動力があるとはね、新たな一面を見た気がするわ」

 

窓「夢の世界が近づいた気がするんです…少し安心する感じが…」

 

それに重い頭と対照的に気分はすごくスッキリしていた

 

霊夢「…まぁいいわ、何かあっても私が何とかするわよ」

 

窓「ありがとうございます!…ってあ、あれ?」

 

霊夢「やっぱり、無理があっt」

 

窓「無い!!無くなってる!!」

 

霊夢「え?ど、どうしたの?」

 

窓「さっき使った包丁も含めてエフェクトが無くなってるんです!!」

 

霊夢「はぁ?なによそれ?無くなるもんなの?」

 

窓「…わかんないです、夢の中にあるのかなー?」

 

霊夢「もう遅いし、とりあえず今日はここまで…夜ご飯にしましょ」

 

窓「うん…わかりました」

 

その晩、夢の中をいくら探してもエフェクトは見つからなかった。私が能力を使えるようになるのはまだ先になるのだろうか?残念と思う反面少し安心している私がいた。

 

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