【窓付きが幻想入り】東方現夢帳    作:さまねり

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第七話  人里

 

私がまじょで遊んでいると、魔理沙さんが下から嬉しそうに声をかけてくれた。魔理沙さんが言うには、幻想郷にあと二人ほど魔女の知り合いがいるらしい。しかし二人とも自分と魔法の方向性?が違うので残念に思っていたのだそうだ。魔女にも流派とかあるのだろうか?昔好きだった本にはそんな事書かれてなかったけど。魔理沙さんは、軽い疎外感を感じていたところ、そこに私のようなオールドスタイルな魔女が出てきて、うれしい!ということらしく、色々教えてくれるとのことだ。私自信魔女には強い憧れがあったので、この申し出はとても嬉しかった。

 

エフェクトの能力の変化について考えてみても正直よくわからなかったのだが、魔理沙さんの技なら一度見たなら真似出来るみたいだった。だがその性能は魔理沙さんにはほど遠く、レーザーを撃ってみても懐中電灯ほどの役割しか示さない。これじゃ弾幕ごっこは無理そうだな、と残念そうに魔理沙さんが言ったのだが、正直ほっとした方が大きい。やっぱりあれは私にはハードルが高い。

 

しかし、たとえしょぼくと、私的には魔法が使えたこと自体がとても嬉しくて、柄にもなくはしゃいでしまっており、今思うと少し恥ずかしかったりする。そんな楽しい時間だったのが、そういう時の時間の経ち方というのは往々にしてとても早い。私にしてもそれは正しく、あっという間に夕方になり今に至る。

 

魔理沙「今日は楽しかったぜ、サンキューな、窓付き! あと霊夢も、リベンジしてやるから首洗って待ってろよ!」

 

窓「こちらこそありがとうございました!次を楽しみに待ってます!」

 

霊夢「はいはーい、今度は手土産の一つでも持ってきなさいね」

 

霊夢さんが夕食に魔理沙さんも誘ったのだが、今日の分はもう用意しているとのことで。残念ながら今日は別れることになった。正直もう少しお話したかったのだが仕方ない。霊夢さん曰く、結構な頻度で来るらしく、次は一週間も経たずに会えるだろうとのことだったのだが。その次は私の予想よりずっと早く来るのだった。

 

―――――――――

――――――

―――

翌日、夢ではなく現実でエフェクトが手に入るのでは無いか?と予想した私は、日課の掃除を終えたあと、台所から包丁を借りてお堂にやってきた。

 

窓「ん~、あれ?やっぱり無理なのかなぁ?うりゃ」

 

魔理沙「よう!窓付き!遊びに来て…!?お、おい、早まるな、話せば分かる…!」

 

私が包丁を振り回していたら、いつの間にか入って来たらしい魔理沙さんに目撃された…魔理沙さんは大げさなリアクションを取りながら後ずさる。

 

窓「…なにか失礼な勘違いをしているようですが、違いますよ!!」

 

魔理沙「ん、知ってる。…で何やってんだ?」

 

どうやら分かっていた上でからかっていたようだ、少し刺してみようかな?いや夢の中じゃないしやめておこう。先生ならざっくりなのに…

 

窓「魔理沙さんからエフェクトがもらえたので、ほかのエフェクトも手に入らないかなーと思いまして」

 

魔理沙「ああ、暴走した時に使ったって言ってたやつだよな、包丁ってやつだろ?」

 

窓「はい、そうですよ。結構便利なので持っておこうかと」

 

魔理沙「へー?案外料理するのか?」

 

窓「はい、一応できますよ、でもどうしてそこで料理が?」

 

魔理沙「だって、包丁なんだろ?他にどんな使い方があるんだよ」

 

窓「え?ああ、そうですよね普通は…ふふっ」

 

魔理沙「お、おい、どうしてそこで笑うんだよ!?もしかして最初の反応は合ってたのか!?」

 

窓「いえ、なんでも…、そんなことより今日はどうなさったんですか?」

 

魔理沙「すごい話題転換の仕方だな…まぁいいや、今日はなお前が博麗神社から出たことないって言ってたから人里にでも連れて行ってやろうかとな」

 

窓「人里…ですか?」

 

魔理沙「霊夢のやつ、自分が物に疎いもんだから、お前もそうだと思って余計なもん渡さないだろう?前ここに居候になったときはあまりの質素さに悟りを開きそうだったぜ」

 

居候って何があったのだろうか…

 

魔理沙「でも普通はもっと必要な物ってのは結構あるはずだろ?」

 

確かに霊夢さんの生活は度が付くくらい質素で嗜好品はお茶とお菓子くらいしかない。私としてはそれより、日用品に限らず何もかも霊夢さんの物をお借りしている方が心苦しかったりする。

 

魔理沙「しかも、どうせお前のことだから、遠慮して言えないだろうからな、幻想郷案内ついでに買い物に付き合ってやろうとな」

 

窓「うぐ…」

 

魔理沙さんの申し出は非常にありがたかったが、一つ大きな問題があった…

 

窓「すごくありがたいのですけど…私、その、お金を持ってなくて、それに魔理沙さんに悪いですし」

 

魔理沙「ああ、気にするな、紫からもらった生活費にそのへん含まれてるらしくてな、霊夢からふんじばってきたぜ。私のことは…そうだなお茶にでも付き合ってくれたらチャラにしてやるぜ!」

 

魔理沙さんはお茶目に笑う、本当にここにはいい人しかいない…のかな、そこに甘えるのは本当に怖いのだけど。でもここは遠慮しても失礼だろう。

 

窓「…ありがとうございます、少し準備してきますね。」

 

魔理沙「おう、鳥居のところで待ってるぜ」

 

お堂を後にし、霊夢さんに事情を説明しに行くと、魔理沙から聞いてるわ、と言って快く送り出してもらった。ついでにと言って夕飯の買い出しメモと、買い物カゴを渡すあたり抜け目無いと思う。それを持ちながら鳥居に向かうと、魔理沙さんは退屈げに空を見ていた。

 

窓「お待たせしました、魔理沙さん。準備完了です」

 

魔理沙「おう、それは重畳だ!で、早速行きたんだが、昨日通り飛べるか?」

 

窓「はい、おそらくは」

 

★まじょ★

 

私はエフェクトを使い空へ舞い上がる、昨日散々遊んだおかげか、それとも、もともと夢の中でたくさん使っていたからか、案外操作の方に不安はない。私は空中で一回転をきめ、魔理沙さんに向き直る。

 

魔理沙「その様子じゃ準備運動は必要ないようだな、それじゃー遅れずについてこいよ!」

 

魔理沙さんはそのセリフとともに箒に跨り飛ぶ、私は置いていかれないように後を追うが、スピードはあんまり自身がないので見失わないようにだけはしようと心がける。だがそれは杞憂に過ぎなかったようだ。魔理沙さんは私が追いつける範囲のスピードで飛んでくれている、どうやら昨日のうちに私のスピードを目測していて、それに合わせてくれているようだ。霊夢さんに続いて魔理沙さんも抜け目無いらしい。

 

魔理沙「どうだ?幻想郷の景色は?」

 

しばらく飛んでいると不意に話しかけられた。そう言われて初めて、魔理沙さんしか見てないことに気づく。考え事していると周りが見え無くなる癖はなんとかしなきゃいけないと思う。

 

窓「…とても緑が多いですね、あんまり見たことのない風景なので新鮮です」

 

魔理沙「あ?外の世界にはあんまりないのか?…それは息苦しそうだな」

 

窓「私にはあそこはあそこで心地よかったですよ、出たくなくなるくらいには」

 

魔理沙「へぇー、興味があるな、外の世界の事聞かせてくれよ…っとまぁまた今度なりそうだけどな」

 

下を向く魔理沙さんの目を追うと、そこには家が立ち並ぶ風景が広がっていた。時間にして15分くらいだろうか?案外近い。私が思っていたより里の規模は大きく、お昼過ぎなことあってか、とても活気がある。そんなこんなで、私の第一印象は『生きている町』だった、見かけだけでなく正真正銘の。

 

窓「…あれが人里ですか、思っていたより大きいです」

 

魔理沙「ああ、だろ?とりあえず入口のところに降りるぞ」

 

窓「はい、分かりました」

 

近くの街道に降り、里の門番に挨拶をして中に入る。実際にその活気の中に入ると、上から見るより人が多く感じられた。…覚悟はしていたが足がすくみ、喉が渇く、やはり多くの人に囲まれるというのは辛い。ここに来てからアレが使えないので自分で頑張るしかないが、こういう演技は得な方だ。今までだって誰も…よし、大丈夫そうだ。

 

窓「へぇ~とっても素敵なとことですね」

 

魔理沙「人と物だけは無駄に多いからな、大体のものならここで揃えられるはずだ、さすがに外のものはここにはおいてないがな」

 

窓「そうですか…買い物は難航しそうですね」

 

魔理沙「どんなものが欲しいか言ってくれれば似たようなやつを適当に見繕ってやるさ、まぁ人里じゃないんだが、外の物が置いているとこもあるんだがな」

 

窓「そうなんですか?」

 

魔理沙「いつか行ってみるか?だが、よく分からない変わったものばかりだから、あんまり期待するなよ?」

 

窓「はい、楽しみにしてますね」

 

魔理沙「はは、さーて初めは雑貨屋でも回ってみるか、こっちだな」

 

その後買い物は案外早く終わった、しばらくここで生活し、必要なものが分かっていたのが大きかったのだろう。一通り回ったあと、魔理沙さんとの約束であるお茶屋さんでゆっくりする。魔理沙さんは私の買い物を見て、もっと買わないのか?なんて言っていたが、生活するのに必要なものといえばこのくらいあれば十分だと思うのだが…。でもせっかくなので本が欲しいと言った所、いい図書館を紹介してもらえるらしい。だがそこも人里からは離れた所らしくまた今度となった。図書館なのになぜ離れているのだろうか?幻想郷にはよく分から無い事も多い、おいおい学んでいくとしよう。まぁそんなこんなで帰り道だ。

 

魔理沙「予定より早く終わったな、せっかくだしアリスの所にでも…ってあれは…いい機会だし紹介しておくか」

 

突然魔理沙さんが走り出す、用があるのは目の前にいるのは女性だろうか?

 

魔理沙「よう、慧音!今時間あるか?紹介したいやつがいるんだが」

 

???「ああ、魔理沙じゃないか、今ちょうど用事が終わったところだが…どうしたんだ、珍しいな?外来人でも拾ってきたのか?」

 

魔理沙「近からず、遠からずってってところだな。」

 

???「ほう、興味があるな」

 

魔理沙さんがおずおずと出てきた私の手を引いて女性の元へと導く。

 

魔理沙「紹介したいのはこいつなんだが、少々事情があってな、博麗神社に住むことになってる。時々ここにも顔を出すと思うから気にかけてやってくれ」

 

窓「はっ、初めして」

 

上白沢慧音(以後慧音)「そんなに緊張しなくてもいい、上白沢慧音だ、よろしくな」

 

そういい目の前の女性…慧音さんは手を差し出してくる。青いメッシュが入った腰まで届く銀色の髪、少しゆったりとしたフリルの付いた服、胸元のリボン、ととても可愛らしい見た目だが、高い身長、端麗な顔立ちと豊かな体が、大人のお姉さんという雰囲気を漂わせている。そんな雰囲気にタジタジになりながら握手を返す。

 

窓「よろしくお願いします、私は窓付きっていいます・・・!?」

 

★ふとる★

 

びっくりした…まさか、二個目のエフェクトがこんなところで手に入るとは!?

 

慧音「その、そんなに見られると照れるのだが…」

 

魔理沙「まぁ慧音は美人だからな」

 

窓「わわっ!?すいません!」

 

じっと顔を見つめてしまっていたらしい、いきなり変な子認定されてしまっただろうか…エフェクトのことは一旦後回しにしよう

 

慧音「ああ、気にしなくて結構だ、それよりも窓付き、今歳はいくつだ?」

 

窓「え?えっと今年で13になりますけど」

 

魔理沙「ああ、また勧誘か。外来人の子供見つけるたびにやるよな、お前」

 

魔理沙さんは辟易という様子で大げさな仕草をとる。

 

慧音「半分義務みたいなものだからな。ということで私は寺子屋…外の世界で言う学校の先生をやっているのだがな、気が向いたら通ってみないか?」

 

窓「え?学校ですか?あの…」

 

慧音「いや、今すぐ答えを出さなくてもいいんだ、だがそういう権利を持っているということは知って置いて欲しい」

 

窓「すいません、ありがとうございます、でも今はちょっと無理みたいです」

 

学校かぁ、行けるなら行きたい…知ることは好きだ、だが一人で大勢に囲まれるのはまだ怖い。それに能力のコントロールの事もある。しばらくは無理だろう。うん、しかたない、仕方ないから今は無理なのだ。

 

魔理沙「済まないな慧音、それじゃまた」

 

慧音「ああ、お前も来ても構わないから魔理沙」

 

魔理沙「お断りだぜ」

 

魔理沙さんはニカッと笑い私の手を引いていく

 

窓「あの、さようなら慧音さん!」

 

慧音「ああ、それではな、窓付き」

 

またここに来たいな、そして会えるといいな慧音さんに

 

―――――――――――

――――――

―――

 

里からの帰り道、私は道を覚えるのを意識しながら飛ぶ。もしかしたら一人で来る機会もあるかもしれない。空路なので気をつけるべきは方向くらいだが、それでも迷うかもしれないので、風景を覚えなきゃいけない。あの木なんか特徴的で…ってあれ?なんか黒い球体が浮いてる?

 

窓「魔理沙さん魔理沙さん、あれ何ですか?」

 

魔理沙「ん、あれ?どれだ?」

 

窓「あの黒くてふわふわしてる丸いヤツです」

 

魔理沙「ああ、ルーミアか、あれはな、ルーミアっていう闇を操る妖怪だぜ」

 

窓「妖怪ですか?」

 

闇を操るってかっこいいな、きっとすごい妖怪なのだろうな。なるほど、あれはきっと自分の姿を見せないために闇をまとっているのだろう。闇の妖怪だけに影すら掴ませないといったところだろうか…

 

魔理沙「ああ、フラフラしてるし昼寝でもしてるんだろ、木にぶつからなけりゃいいんだが」

 

窓「えっ!?」

 

一瞬で私の中のイメージ像が一瞬で崩壊した、お茶目な妖怪なのだろうか?うん、暗いのは好きだから友達になれたらいいな…

 

魔理沙「なんでそんな驚いてるんだ?確かに頭はいいほうじゃなないが、一応人食いだから気をつけろよー」

 

私のお友達計画も一瞬で崩壊した。

 

窓「わかりました…やっぱり危ない妖怪さんもいるんですね」

 

私が一人の買い出しを許されない最大の理由である。

 

魔理沙「妖怪ってのは人を襲う存在なんだから、危なくない妖怪ってのもおかしな話だがな」

 

そう言って魔理沙さんは大きく笑う。幻想郷に来て穏やかな日々が続いているので気が抜けていたが、それを改めなければいけないかもしれない。

 

窓「なるほど…あっ霊夢さんが出迎えに出てくれてます」

 

魔理沙「やっぱり、あいつも心配だったんだな」

 

魔理沙さんは小声でつぶやく、少し照れくさいので気づかないフリをする。

 

霊夢「おかえりなさい!大丈夫だった?」

 

窓「はい!問題ありませんでした、とても楽しかったです」

 

霊夢「とりあえず、荷物おいてきちゃいなさい。夕飯の材料は台所に置いといてね」

 

窓「あっ…」

 

霊夢「?」

 

窓「忘れちゃいました…」

 

私の人里再訪問の機会は思ったよりずっと早く訪れることとなった…

 

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