ガールズ&パンツァー 〜西住家の従姉妹〜   作:三坂

2 / 3


設定を追加しました




第1話 始動

 

 

 

 

 

『勝者!!黒森峰女学院!!』

 

 

 

 雲一つない青空に勝者である黒森峰女学院の名前が高く鳴り響いた、相変わらず表情に一切喜びとか見せてないけどきっと彼女達は内心は嬉しいんだと思う。

 

 …けどそんなこと私たちにとっては関係のない話……初戦すら突破出来ずに黒森峰に打ちのめされ5年連続で県立広島女子学園は初戦敗退という現実を突きつけられた。

 

 

「……っ…」

 

 

 実に私が隊長になってから2年連続での敗退…、いくら対戦チームに恵まれないだとしてもそれがいいわけに出来るほど余裕がなかった。

 チームのメンバーは気にしなくていいよ…、いいところまで言ったんだからと励ましてくれたけど…それでも自分を許せなかった。

 

 

「………」

 

 

 溢れそうな感情を抑えながら見上げた空は、私の気持ちとは対照的に青く眩しいぐらいに輝きを見せている。

 

 

「………ほんとっ、憎いぐらい綺麗な天気……」

 

 

 こうして私の高校生活で夏最後でもあった全国戦車道大会は、強豪校で盛り上がりを見せる中ひっそりと終わりを告げていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから月日が経ち、私たちの卒業が近づきてきた頃。次の隊長をどうするかという話が戦車道では上がっていた。

 私的には生徒会長で副隊長の経験のある穂香さんに任せたかったんだけど、彼女から意外な返ってきた。

 

 

「…え?りほさんに新隊長を?」

「ええっ、私個人的な提案何だけど」

 

 

 涼宮さんを新隊長に、彼女は私が戦車道の現役時に1年生で私のアシスタントとして頑張ってくれていた子で、次の副隊長案として考えいたんだけど…

 

 確かに生徒会長と隊長を兼任させるとなるとしんどいというのもある、けど流石にまだ経験の浅いりほさんには荷が重いはず…

 

 

「私も生徒会長を兼任してるから副隊長までが限界なのよね、だから涼宮さんが一番適任だと思うの」

「……確かにそうだけど…、流石にまだみんなを率いたことがない子には荷が重いんじゃ…せめて副隊長は経験させないと……」

 

 

 もちろんそれは伝えたけど、穂香さんもそれはわかっての上での提案らしく、それを聞いた私は思わず頭を抱えてしまう。

 

 

「もちろんそれは分かってるわよ♪それを踏まえた上での提案だから♪」

「…はぁ…、それはそれで困るのよね…」

 

 

 生徒会長として…副隊長として優秀だけど時たまこういった謎の自信が湧いてくるのよねこの人…

 でも大体こういうのには理由があるから、ひとまずそのことについて尋ねよう…

 

 

「…それで、なんでりほさんを隊長に?そこまで自信があるなら理由が…」

 

 

 すると聞かれた穂香さんはふふーんとドヤ顔を浮かべながら、その理由を説明し始める

 最初こそあんまり期待せずに聞いていた私だったけど…その理由を耳にするや否や…思わず固まってしまった。

 

 

「ふふーんそれはね…!」

「………」

「涼宮さん、実は〇〇〇の従姉妹だからよ」

「……え?」

 

 

 正直驚いた、確かに下の名前は似てるとは思ったけど苗字が違うからそんな理由がないと思ってた。

 

 ってきり最初こそは適当なことを言っているのだろう…そう思いかけたけど…

 穂香さんはこういう肝心な時には絶対適当なことは言わない

 

 

 けどそんな情報も初めて聞いた…というかもし噂になってるなら今頃うちの学校は大騒ぎになってる。

 一体どころからそんな情報を…そう思っている私を他所に穂香さんは話を続けていく。

 

 

ー……ー

「ふふっ驚いてるわねー、まっ私も最近知ったんだけど」

 

 

 もし…もし〇〇流の従姉妹とはいえどもしりほさんが穂香さんの言った通りなら…、この戦車道チームは長年囚われ続けた呪いから解放されるかもしれない…

 当然それと実力は関係ないため、もしかすれば期待外れな結果を招く可能性だってあり得る。

 

 …だがこの時の私は何故かそんなことを一切思わなかった

 

 どうやら穂香さんも同様にそう思っているらしく、私が思っていたことを口にしていくのであった。

 

 

「けど、もしそうなら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この学校の戦車道チームが長年囚われ続けたものがあの子によって解放されるかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから月日が流れ、桜が咲き誇り始めた4月。世間では別れや新しい出会い、生活が始まろうとしている中。広島港を母港とする学園艦、県立広島女子学園でも新学期がスタートしつつあった。

 

 かつて先輩だった生徒たちが卒業していき、新たな後輩たちにバトンタッチされた学校は、少し前の寂しさを感じさせないほど明るく照らされている。

 

 

「お疲れ様ー」

「お疲れー♪」

 

 

 新学期に入ってから最初の授業を終えて、学校の校門前が賑わいを見せている中、グラウンドの端を1人の少女が肩掛けカバンを片手に歩いていく。

 

 彼女の名前は涼宮りほ(涼宮 りほ)、広島女子学園の普通科2年生であり茶髪ショートが特徴的なボーイッシュな少女は何処か緊張したような雰囲気を見せていた。

 

 

「……」

 

 

 というのも彼女、実は今年4月から県立広島女子学園の戦車道チームの隊長を任されることになり今日がその最初の日なのだ。

 

 まさか現3年生を差し置いて自分が…という現実が信じられないようで、本当に自分で良いのか…と心のなかで何度も自問自答している始末。

 

 

 

ーまさか自分が現3年生を差し置いて新隊長なんて……、本当に私でいいのかな……?ー

 

 

 しかしそんな中かつて広島学園女子戦車道チームを率いていた元隊長の言葉を思い出すと、いつまでもくよくよしてられない…!と自分を奮い立たせていく。

 

 

『りほちゃん、貴方にこのチームを任せるわ。みんなを引っ張って、私が見せられなかった景色を見せて上げて♪』

 

「……いやっ!元隊長が託した以上やらなきゃ、私がくよくよしてちゃみんなを不安にさせちゃう…!」フンス

 

 

 そんなことを思っていると気づけば見慣れた戦車倉庫前にやってきており、ひと呼吸して整えるとよしっ!と顔を上げながら倉庫に併設された作戦会議室兼休憩室の扉に手をかける。

 

 まだ本来であるならばみんな来ていない時間帯のため、来るまでにこっそり準備してびっくりさせてやろう…そんなことを思いながら勢いよく開けたのだが……。

 

 

「よーしっ、まだみんな来てないと思うからこっそり準備してみんなをびっくりさせてy…」がらがら

 

 

 残念ながらそんな企みも開けた瞬間に砕け散ってしまい、新隊長の視線の先には見慣れたメンバー達の姿があった。

 既に新年度で新しく始動する戦車道に向けての準備を済ませていたらしく、あまりにも良過ぎる手際に思わずりほはズッコケでしまう。

 

 

「おっ新隊長さんお疲れー、遅かったねー」

「もう準備しちゃいましたよー、みんなでっ!」

「だはー!?」

 

 

 どうやら彼女の企みはみんなにお見通しだったらしい。

 ゆっくりと起き上がっていくりほに、現生徒会長である桜木穂香(さくらぎ ほのか)が銀髪の肩まで伸びる髪を靡かせながらやってきた。

 

 

「…いっいつの間に、去年まではこの時間は誰も居なかったはず……」

「いや、りほさんの考えることはお見通しなんですよっ。どうせ気合い入れて早く来るとは思ってましたし……」

「あっ…生徒会長…」汗

 

 

 ちなみにメガネがチャームポイントな彼女は広島女子学園戦車道チームでは今年から副隊長を務めており、車両は昨年から引き継ぐ形でT-34 STZの車長兼砲手を担当している。

 

 そして初っ端からズッコケた新隊長、りほは昨年から変わらずに四号戦車H型の車長を担当。ただ今年から隊長ということで、昨年とは違いフラッグ車を任されることが多くなるだろう。

 

 

 

 そんなことを話していると朱音のクラスメイトであり、彼女が車長を務める四号H型で砲手を務める鈴乃洋梨(すずの ような)がサイドテールを揺らしつつ隊長も来たことだし始めようと促す。

 

 もちろん2人もいつまでも立ち話をするわけにはいかやいということは分かっており、朱音と穂香はみんなを招集しながら新体制の戦車道チームをスタートさせていくのであった。

 

 

「隊長ー、副隊長。そろそろ始めませんか?立ち話もアレですし」

「っとそうね、それじゃみんな集合!始めるわよ」

「場所は戦車道倉庫で!あっお手洗いとか行きたかったら今のうちに行ってきて!」

 

 

 

 

 

 それから挨拶などを済ませると、久しぶりや新体制ということもあって各車それぞれで戦車用演習場射撃訓練や模擬戦を行うことに。

 ついさっきまで静かだった演習場にはそれを切り裂くような砲声が鳴り響き、各車が射撃練習やそれが終わるとチーム戦で模擬戦を始めていく。

 

 

ドゴォ!!

ゴォォん

 

 

 その様子を少し高い丘に停車していた四号戦車のキューポラから身を乗り出すように双眼鏡見ていたりほだったが、砲手用ハッチから顔を出した洋梨がふとある質問を投げかける。

 

 

「……」

「そういえばさ、りほちゃん」

「んぇ?どうしたの洋梨ちゃん」

 

 

 というのもかつて3年生だった先輩達が抜けて新体制としてスタートはしたものの、その先輩達が乗っていた車両は現在3両ほど空き状況になっており、その次のメンバーを考える必要があるのだ。

 

 

「新体制としてスタートしたのはいいけどさ、卒業した先輩達が乗ってた車両の新しい乗り手決めないと」

「あー、それもそうだね。確か3両ほど空きがあったったけ……」

 

 

 すると洋梨に続く形で操縦手用ハッチから顔を出していた四号の操縦手でりほの親友でもある春山蛍(はるやま ほたる)が空いている車両の名を上げていく。

 

 

「確かシャーマンファイヤフライ、97式中戦車(旧砲塔チハ)、ヘッツァーでしたっけ」

「うん、そんな感じだね」

 

 

 ちなみに現在稼働してメンバーが揃っているのが、現隊長車でもある四号戦車H型。そして生徒会長チームで率いられた副隊長率いるT-34 E、自動車部で構成されたM18駆逐戦車(ヘルキャット)、弓道部で構成され、スナイパーの異名を持った六号重戦車。

 

 そしてアニメ同好会で構成されたT26E4 スーパーパーシング重戦車の合計5両が高知女子戦車道チームの戦力となっている。

 

 

「だから今揃ってるのが5両か、私たち四号とT-34E。あとM18と六号重戦車、スパパ(スーパーパーシングの略)だね」

「こうしてみると相変わらずうちの戦力えげつないなぁ……」

 

 

 ちなみに内訳としては四号戦車は車長であり隊長でもある朱音をはじめとして、砲手の洋梨・装填手で別クラスの浅山遥(あさやま はるか)、操縦手の蛍、通信手の南宮真希(なみや まき)という2年生チームで構成。

 

 T-34E率いる生徒会チームは会長兼砲手兼車長を兼任する3年生の穂香をはじめとし、同じく副会長で3年生、装填手を任されている小津浅香(こず あさか)。 

 生徒会で広報を担当し、操縦手を任されている遠山和奈(とおやま かずな)。そして生徒会チームでは唯一2年生の衣笠 彩奈(きぬがさ あやな)の4名で構成されている。

 そして自動車部で構成されたM18駆逐戦車(ヘルキャット)は、車長兼通信手兼部長の星野楓(ほしの かえで)、砲手の生田苗(いくた なえ)、装填手の早田優実(はやた ゆみ)、操縦手の歌留多寧々(かるた ねね)の3年生チームの4名。

 

 弓道部チームで構成された六号重戦車、2年生の砲手レナ・ペンローズ、3年生で車長兼装填手兼部長の雨宮野々(あまみや のの)、2年生通信手の北条絵馬(ほうじょう えま)、3年生の操縦手の暁山瑞帆(あきやまみずほ)の4名。

 最後にアニメ同好会チームで組織されたT26E4 スーパーパーシング重戦車は、車長兼アニメ同好会部長で2年生の阿仁美乃梨(あに、みのり)、砲手の2年生白石望結(しらいし みゆ)、装填手の3年生日野下杏(ひのした あん)、通信手で2年生の秋本麻也(あきもと まや)、操縦手の高森峰(たかもり みね)の5名。

 

 

 その他にシャーマンファイアフライ、97式中戦車(旧砲塔チハ)、ヘッツァーの3両がいるものの元々は卒業した元3年生が使っていた車両のため、今は乗り手がいないという状態になっているらしい。

 なので近いうちに1年生を対象とした履修科目を対象とした説明会で戦車道の呼び込みをする必要があるため、練習もそうだがその書類なども準備しておく必要が出てくる。

 

 

「とりあえず今度1年生を対象とした履修科目の説明会に向けてカンペとか準備しておかないとなぁ…、あっ映像紹介も撮らないと…」

 

 

 ちなみに履修科目は戦車道の他に華道茶道、剣道の他に弓道部とは別の弓道も存在しているものの、特にこれが人気というものはなく比較的広くバランスが取れた状態で1年生が分かれることが多い。

 もちろん戦車道も例外ではないものの、3両の搭乗員は合計12名ほど…なので最低でもその人数は集めておく必要があるだろう。

 

 過去の先輩達が作った履修科目の説明会データを参考にしつつ…オリジナルでインパクトのあるやつ作らないとなー…そんなことをりほが思っていると、ふとインカム(無線・通話装置)から穂香の声が飛び込む。

 

 

ー比較的毎年うちは各所にバランスよく分かれることが多いけど…、3両の合計12人分は最低でも集めとかないと……ー

『あー、あー。りほさんちょっといいかしら?』

「あっえっはい!どうされましたか?生徒会長」

 

 

 どうやら今考えている新1年生に向けた履修科目の説明会での映像紹介で提案したいことがあるらしく、今やっている訓練を出来れば早めにきり上げてみんなを含めて話をしたいようだ。

 もちろんいい案がないか考えていた朱音はその提案を聞くために、模擬戦や訓練に励んでいるチーム全体へ早めにきり上げて一旦倉庫に戻る旨をインカムで伝えていく。

 

 

『いやさ、りほさんが今履修科目の説明会で使う映像紹介のこと考えてたでしょ?そのことで提案があってさ、みんなにも聞いてほしいから今やってる訓練とか模擬戦って早めにきり上げられる?』

「提案ですか?…それなら別に構いませんけど…、隊長車より各車へ。一旦説明したいことがあるので戦車倉庫のほうに集まってください」

 

 

 その後各車の車長から返答が返ってきたのを確認すると、操縦手である蛍に移動するように伝えていき、指示を受けた彼女も操縦レバーを操作。

 IV号戦車の心臓部であるマイバッハ社製の「HL120TRM」液冷ガソリンエンジン、V型12気筒で最大出力300馬力も誇るエンジンを唸らせながら発進させていくのであった。

 

 

『了解』

『ほーい』

『分かりました!』

「蛍ちゃん、移動。さっき聞いてた通り戦車倉庫に戻るから」

「りょーかい!」

ガコッ

ブルン!!

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。