それから日が経ち、新1年生むけの必修選択科目のオリエンテーションの日。戦車道倉庫の前にはピカピカに整備された戦車が…
もちろん自分たちで清掃したのもあるが自動車部も手伝ってくれたおかげでいつになく綺麗になっており、IV号を見上げながら洋梨は目を輝かせている。
「わぁー!いつになくピカピカじゃん!」
その近くでは自動車部の面々が徹夜気味で整備した甲斐があったと誇らしげな表情を浮かべており、穂香がありがとうーと笑みを浮かべながらお礼を述べていく。
「いやーありがとうねー、これなら新入生も喜んでくれると思うわ」
「いえいえー、わざわざ徹夜気味に整備した甲斐がありましたよー」
「部長いつになく気合い入ってましたからねー」
尚その近くでは必修選択科目のオリエンテーションで緊張しまくりながら説明したことが響いているのか、近くの壁では疲れ切った表情を浮かべたりほがノートを抱えながら寄りかかっていた。
「…んで、隊長さんはそこで何やってんのよ(汗)」
「だってぇ…、あんな人の前で説明なんてしたことが……」
まあ気持ちは分からなくもないが、これから戦車道を履修する予定の1年生が来ることを考えると、隊長はしっかりしてないといけないため、蛍が揺さぶりながら促していく。
「んもー、隊長何だからしっかりしなさいよー。これから1年生来るかもしれないのにー」
「そんなこと言われてもー…」
とまあそんなやり取りを交わしていると、瑞帆が戦車道やりたいという1年生がいたから連れてきたよーと告げながら、見慣れない少女たちを三人ほど引き連れてやってきた。
「隊長ー、副隊長ー。戦車道やりたいっていう1年生いたから連れてきましたー」
もちろん1年生の前でだらしない雰囲気は出来ないため、反射的にビシッ!とした姿勢を取りながらようこそ!とりほは駆け足で自己紹介しながら出迎える。
「あっよっようこそ広島女子戦車道チームへっ!隊長をやってます、涼宮りほです!」
その後穂香も自己紹介を告げると、瑞帆が連れてきた1年生の面々も緊張しながらも順番に、茶髪で活発そう1年生、宇佐美梨里(うさみ りり)。
金髪セミロングで大人しそうな鈴谷音見(すずや ねみ)、最後に音見と同じ金髪ではあるがショートヘアでクールそうな少女、霧野ユキ(きりの ゆき)の三人が名乗っていく。
「戦車道副隊長で生徒会長をやってる桜木穂香よ、よろしくねっ」
「よろしくお願いします…!あっ私普通科1年生の宇佐美梨里っていいます!んでこっちが親友の」
「同じく普通科の鈴谷音見です」
「霧野ユキです」
自己紹介が終わるとりほが履修科目に相違がないことを確認すると、ようこそ戦車道へと歓迎する形で出迎えた。
「えっと…戦車道で相違はないね?」
「はいっ!問題ありません!」
「りょーかい…(コホン)、なら、ようこそ戦車道へ…!」
その後コミュニケーションを取るためにどうして戦車道を選んだのかを尋ねようとしたりほだったが、先を読んだ蛍がそれを奪ってしまったため、言いかけた質問を引っ込めながら軽く凹んでしまう。
「ちなみにどうして戦車道を選ん…」
「三人はちなみに、なんで戦車道を選んだの?元々興味とかあったの?」
「…あ…取られた…」
ちなみに三人が戦車道を選んだ理由は、先ほどのオリエンテーションでの戦車道紹介PVに映っていた人たちがかっこ良かったのとりほの説明にも興味を惹かれたから。
それを聞いたりほは一生懸命考えた甲斐があった…と安堵の表情を浮かべており、真希が良かったねーと横でそんなことを口にしていた。
「あっえっと!戦車道紹介PVに映ってた人がかっこよかったのと、説明してた人も凄く良かったから…!なってみようかなって」
「良かった…、一生懸命考えた甲斐があったって物だよー…」
「よかったねーりほちゃん」
とまあそんなことを話しているとふと瑞帆がこの子達に乗車してもらう戦車はどうするんですか?と尋ねたことで、それをどうするかという話題へと変わっていく。
「そういえば隊長、この子達に乗ってもらう戦車ってどうするんですか?」
「あっそういえばそうだ…」
だが三人が乗れる戦車となるとかなり限られるというものであり、旧砲塔チハやシャーマンファイアフライは4人乗り。
ヘッツァーも4人乗りではあるものの、3人でも乗車出来るような改造を施されているため、必然的に乗る車両は限られてくる。
「でも旧砲塔チハやシャーマンファイアフライは4人乗りですよね、ってことは必然的にヘッツァーが…」
「まあヘッツァーは3人乗りでも可能な改造をしてあるからそれが無難かなぁ…」
とはいえ最終的に決めるのは彼女達なのでどれがいいかとりほが尋ねると、梨里達は3両をしっかり見渡しながらこれがいいあれがいいと相談し始めた。
「まあでも最終的に決めるのは1年生の皆さんだから…、ちなみにどれに乗りたいとかある?ちなみに、あの2両は4人乗り。あれは3人でも可能だよ」
「うーん…、あの2両は4人乗りか…どうする?」
まあ乗車人数で乗れるのが限られるとなれば必然的に絞られるというもの、3人の視線は徐々にヘッツァーの方へと向けられていく。
「私達にはあの子がいいかなー。かわいいし小さいからキビキビ動きそうだし」
「私も…ってか乗車人数的に絞られるんじゃない?」
「まあそれもそうだよねー」
こうして意見が纏った梨里は、代表する形でヘッツァーに乗りたい旨をりほへと伝えていき、それを聞いたりほは最終確認も兼ねた補足説明をする。
「じゃあ私達この戦車で行きます…!」
「ヘッツァーですね。一応説明すると、この子は車長は砲手、装填手は通信手を兼任する必要があります」
もちろんそれは戦車道が初めての自分たちにとっては荷が重いというもの、とはいえサポートはしてくれるため三人は迷うことなくヘッツァーに乗ることを決断していく。
「もちろんサポートはしますので、安心してください」
「サポートを…わかりました…!それで大丈夫です…!」
こうしてヘッツァーの搭乗員が決まった訳だが、間髪入れずにすみません…!という声を共に4人ほどの生徒がこちらにやってきた。
「よーし、ひとまずヘッツァーの搭乗員は決まったわね涼宮さん」
「はいっ、あとは残る2両ですが…」
「あっあの…すみません…!!」
基本的に県立広島女子学園は学年ごとにネクタイのライン色が決まっており、3年生は青色、2年生は黄色。1年生は赤色。
やってきた4人のネクタイラインは赤色、つまり1年生ということであり、戦車道をやりたい旨をメンバーの1人が代表する形でりほ達へと伝える。
「ほ?」
「あっあの…戦車道をやりたいんですけど…」
もちろんりほがや穂香が対応する形でようこそと告げながら、先ほどと同じように自己紹介していき、4人もそれに続く形で名前を名乗っていく。
「あっようこそ!広島女子戦車道チームの隊長やってます、涼宮りほです!」
「同じく広島女子戦車道チーム、副隊長兼生徒会長の桜木穂香よ。よろしくね」
「あっ小豆沢こはねです!」
「はーい!白石杏でーす!」
「花里みのりです!」
「天馬咲希でーす!」
尚彼女たちも先ほどの3人と同様にオリエンテーションでの戦車道紹介PV(公式版とりほたちが作ったもの)に惹かれてやってきたらしく、こはねは初めて目にする戦車を目の当たりにすると目を輝かせていた。
「ちなみにみんなはどうして戦車道やろうと思ったの?」
「そりゃもちろん!あのPVだよ!かっこよくて一発で惚れちゃったんだから♪」
「…わぁ…、本物の戦車…」
戦車好きなの?とその様子に気づいた蛍が尋ねると、昔から戦車道に憧れていた旨をこはねが打ち明けていく。
「戦車…好きなの?」
「えっあっはい…!というか昔から戦車道に憧れてて……」
ただ黒森峰やサンダースみたいな戦車道強豪校ではやるつもりがなく、どうしようと中学時代に考えていた矢先、オープンスクールで広島女子を訪れた際。
戦車道を体験したことで、ここなら自分のやりたい戦車道ができるかも…と直感で思ったことで即決したらしい。
「でも強豪校だとやるつもりはなくて…、どうしようと思ってたら…中学時代のオープンキャンパスでここの戦車道と出会って…直感的に思ったんです。ここなら自分のやりたい戦車道ができるかも…!って」
「そうだったんだ…」
とはいえ1人では戦車は動かせないため、メンバーをどうしようか考えていた矢先、たまたま出会った杏達も戦車道をやりたいと話していたため、勧誘してこうしてグループが出来上がったそうだ。
「でも1人じゃ戦車動かせないからどうしようか思ってたら…、たまたまであった白石さん達も戦車道やりたいって言ってたから…思い切って勧誘して」
その後はどの戦車に乗るかという話になり、既に決まったヘッツァー以外、旧砲塔チハやシャーマンファイアフライの2両ということになる。
両者共に4人乗りのためどちらを選んでも問題はなく、好きな方を選んでとりほが告げると4人は隅々まで観察しながらどっちがいいかと話し合う。
「どっちも4人乗りだから、好きな方選んでもいいよ」
「どっちにするー?私的にはこっち(旧砲塔チハ)がかわいくていいと思うけど…」
「えー、私はこっち(シャーマンファイアフライ)がいいなー。なんか強そうじゃない?」
ちなみにシャーマンファイアフライは火力や装甲もそれなりにあるものの運用上の関係で誰もが扱えるものではなく、逆に旧砲塔チハは扱いやすさこそはあるが火力装甲共に見劣りは否めない。
もちろんそれを知っているこはねはうーん…と少し顎に手を置きながら考えてから、意を決した表情を浮かべる。
ーシャーマンファイアフライは火力装甲共に優秀…でも運用上の問題が……対して旧砲塔チハは火力装甲はないけど…扱いやすさはピカイチ…ー
「うーん……、よしっ!」
メンバーのことを考えるとシャーマンファイアフライよりも装甲火力共に劣るものの取り回しの良い旧砲塔チハが一番。
そう思ったこはねは、杏たちに旧砲塔チハに乗らないかと提案、するメンバーも同じ意見だったのか満場一致で即決するのであった。
「ねぇみんな…!私はこっち(旧砲塔チハ)がいいと思うんだけど…どうかな?」
「あっいいんじゃないー?私も丁度そう思ってたんだー」
「私もー」
「みんながそうするなら私もそうする!」
その後唯一余っていたシャーマンファイアフライも新たに戦車道に加わった1年生の新メンバー、高松漣(たかまつれん)・立石守(たていしまもる)・長崎星野(ながさき のしの)・小日向椎名(こひなた しいな)が加わり、空いていた3両すべてが無事埋まった。
各車の内訳はまだ決まっていないものの、ひとまず新メンバーが加わったということで歓迎会を開くことに。
「というわけで、新たに11人の新メンバーが加わってくれたわ。役割とかは今後決めていくけど、ひとまずは交流を深めるという意味で歓迎会をしましょう♪」
もちろん歓迎会の挨拶は隊長ということで穂香に任せられた(ほぼ丸投げ)りほは一瞬アワアワしたものの、深呼吸をして落ち着かせると挨拶を始める。
「…というわけで挨拶、涼宮さんあとはお願いねー」
「あっえっ!?いっいきなり…、はぁ…。えっと、まずは新1年生の皆さん、ご入学おめでとうございます」
見慣れたメンバーとはいえど新メンバーを加えた上での新体制、当然1年生はまだ右も左も分からない状態。
なので先輩方は後輩のサポートや指導をするようにりほは促しつつ、1年生の皆さんは分からないことが遠慮せずに聞いてくださいと後押ししていく。
「ほとんど見慣れたメンバーではありますが、新メンバー加わった状態での新体制です。先輩方は指導やサポートなどを入念に」
「ほーい」
「わかりました!」
「新1年生の方々は少しでも環境に慣れてもらって、もし分からないことがあれば私はもちろん。皆さんに遠慮せずに聞いてください」
「はっはい!」
「はーいっ!」
「はい…」
とまあそんな少し固い会話を挟んだものの、ひとまずは新メンバー加入とチームの今後の活躍を祈って乾杯!とりほが告げると、歓迎会をやってる作戦会議室全体に響き渡るほどの元気な声が響き渡った。
「…では、新メンバー加入と今後のチームの活躍を願って…!乾杯!!」
「「乾杯ー!」」
その後はりほたちが用意したお菓子や飲み物を1年生は飲んだり食べたりしながら、先輩と初めて交わす会話に緊張つつも楽しげな雰囲気を浮かべていくのであった。
一部キャラがモデルキャラの名前のまんまになっているのはシンプルなネタ不足です()
なんでもするから許して((