戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を爆乳に育てたい〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
合戦からようやく帰ってきたので翌日はゆっくり休んでいると、来客が訪ねてきた。
「失礼、茂部家で合っているか?」
「ええ、茂部家ですが」
「よかった……こほん、いや、主がお主らに会いたいと」
青髪で眼帯を付けた少女がそう言う。
主という人物が現れると、赤髪で髪を綺麗に整え、いかにも姫武士という感じを漂わせる美人さんがそこに居た。
「信長様……ですよね」
「いや、私は信勝と言うけど」
「いやいや、わかりますから」
「……ちぇ! 直ぐにバレてしまったか。この変装はなかなかバレないのだがな」
被っていた唐傘を外すと、昨日顔合わせをした信長様その人がそこに居た。
とりあえず萌衣姉さんや秀吉達を呼び寄せながら、お茶や菓子を用意して出迎える。
「うむ! これも美味な菓子であるな」
俺が茶菓子として出したのは皆で食べようと思っていたベビーカステラであり、信長様はそれを食べて喜んでいた。
森さんが言うように甘い物が好きなのだろう。
「さてと……まずは昨日矢を射掛けてしまって悪かったな」
「あ、いえ! 気にしてないので大丈夫です」
いきなり謝られるとは思わなかった。
「僕も色々あるんだ……うつけを演じないといけない理由が……」
「なるほど」
「まぁこの状態は信長ではなく信勝って呼んでくれると助かるかな」
「信勝様ですか」
「うーん、固いけどまぁいいや」
お茶を啜りながら、いい茶器と茶葉を使っていると褒められた。
「さてと……よく足軽身分の君達が砂糖やこれほど良い茶葉を揃えられるね……普通じゃないね」
「あ、いえ……熱田で手に入れた物でして……」
「あ、そういうの良いから。別に入手先を聞いているわけじゃなくて、それを結果手に入れられている手腕を僕は評価しているから。調べたけど芋羊羹を開発したり養蜂の環境を整えたのは君だって村人達は言っていたけど……凄い能力を持っているね英聖」
「名前を覚えていただき感謝します」
「固い固い。もっと友達みたいな感じで良いのに」
「はぁ……」
そんなことしたら後ろで控えている眼帯少女の池田さんが怖いのだけど。
「池田も威圧しない」
「しかし、信長様! 何で男なんかに……」
「男も女も関係無い。僕は使える者は使う。今は信用できるかどうかを見極めている段階だけどね」
信長様はベビーカステラを食べながら昨日俺に矢を射掛け理由を語ってくれた。
というのも男が活躍することに妬む人が一定数いるので、先手を打って自分が突拍子の無いことをすれば注目を逸らすことができ、結果俺のことを守ってくれたのだとか。
「いや僕も悪いと思っていたから今日こうして謝りに来たわけだし……あと昨日もらってしまった鎧も返すよ。大切な物なんでしょ」
「もしよろしければ……同型の物をお譲りしましょうか?」
「本当かい! いや、僕自身も弓矢で傷つかない服というのは魅力的でね」
「矢から体を守るのであれば幌じゃないですけど、異国ではマントという外套が良いと聞きますが……入ります?」
「どんなものだい?」
興味を持ったらしく、俺は一度部屋を退室して、用意する。
直ぐにネット通販で信長様に合いそうな黒色のマントと体の大きさ的に俺より若干大きめの防刃ベストを購入して持っていく。
「こちらになります」
「おお……肌触りのよい布地だね」
「水をよくはじく様に作られているので」
「なるほどね。その鎧だけ先に着てみてもいいかい?」
「はい」
俺は防刃ベストを渡すと、その場で着用する。
「うん、簡単に着ることができるのが実に良い。それに軽くて動きやすい。これで矢を守れるのだから素晴らしいな」
「喜んでもらえて良かったです」
「何か褒美を取らせたいが……何か欲しい物はあるか?」
そう言われるとその場にいる全員が悩んでしまう。
信長様はニコニコしているが、土地が欲しいとか言ったら多分失望するだろうし……。
「褒美ではなく……信長様、一緒に金稼ぎをしませんか?」
「ほう……金稼ぎとな?」
興味を持った。
俺は説明を始める。
俺が各地を巡って珍しいものを安く仕入れてくる(ネット通販)ので、それを信長様に献上し、信長様はそれを商人に見せびらかして高値で売りつける。
売れたお金は褒美として幾らかこっちに返していただければ。
「僕を使う気かい?」
「貴様……」
池田さんが鋭い目になり、刀に手をかけるが、信長様が制する。
「信長様は部下を集めて親衛隊を作っていると聞いていますが、人を養うのには金が必要です。その金を工面できれば商人からは評価されると思いますよ。武士からは金に汚いって言われて評価を落とすかもしれませんが……」
「いや、母上から銭の大切さは叩き込まれている。それに自前で動かせる銭は是非とも欲しい」
俺としては信長様を経由することで、ネット通販で買ったこの世界では高額な物を怪しまれずに売ることができる。
信長様の裁量にもよるけど、多少キックバックを受け取れるのであれば上々。
今話してみた感じ、ちゃんと報いてはくれそうだし、利益が少なくても、将来の投資と考えれば悪くない。
「よし、やろう。城の者には僕に献上品を持ってくる中村から来た者は通す様に伝えておく。その品を商人に売れば良いのだな」
「あとは売り方ですが、最低金額だけ決めて、あとは商人に競わせる競売というやり方をすると値段を高めることができますよ」
「ほうほう」
競売……セリ売りのやり方を教えると、商人を城に呼んで値を決めさせればいいのだなと理解してくれた。
「良いことを聞いた。それでいこう!」
柔軟な考え方、良いことを聞いたら速攻行動に移す実行力……これが信長様の強みだろうな……。
池田さんは説明したけどいまいちよくわかってなさそうだ。
「有意義な話ができた。1ヶ月待つからそれまでに商品を集めてこい」
「は!」
というわけで信長様と契約を結ぶことができるのだった。
「信長様、あの男は危険ではないですか? 信長様に足軽が意見するなど」
「池田、あの場に居たのは信長ではなく信勝だ。ただの娘の信勝に意見するのは普通ではないかな?」
「しかし……」
「それに砂糖を手に入れてくるような手腕がある人物だ。きっと私に損はさせない。軍資金が手に入れられるのであれば、部下の数を増やすこともできる。それに商人との繋がりが深くなれば、熱田や津島商人は僕が当主になっても裏切らなくなる。熱田と津島さえあれば僕の当主継承後が楽になる」
「あの男の言う様にすると」
「ああ、あの男は使える。それに僕に売り込みをかけたということは、うつけ者の僕の可能性にかけてきたし、昨日弓矢を射掛けた人に笑顔で接する胆力もある……大物になるよ、彼は」
「そうでしょうか?」
「池田は固いな。もっと発想を柔軟にしないと部隊指揮権を与えられないぞ」
「がんばります!」
信長と池田の主従は英聖の持ち込む商品を楽しみにしながら、城に帰るのだった。
「よかったの? 信長様と契約して……普通に商人相手に売ったほうがよかったんじゃないの?」
萌衣姉さんがそう聞いてきたが、信長様が売るのと俺が売るのでは信用に差があるし、商人達も信長様の前では下手な値で買い叩こうとはしないだろうと俺は確信を持っている。
それに売れる品についても幾つか考えはあるし……。
これで数百円の茶碗やガラスコップとかが高値で売れる。
なんなら茶釜としてヤカンを売っても良い。
確かに商人と直接取引してもいいが、買い叩かれるのが目に見えているし、だったら信長様の資金源にしてもらうことで、将来の投資をした方がいいからな。
萌衣姉さんだけでなく皆に説明し、これで安定して銭が入ってくることになるよと伝えた。
銭があればできることも色々あるからな。
となれば信長様に渡す商品作りを。
俺は透明な一升瓶と蜂蜜、ドライイースト、ドライレーズンを用意して、蜂蜜1に対して3の分量の水を加えて、ドライイーストとレーズンを更に加えてよく混ぜる。
大鍋でそれを作ったら、それを一升瓶の中に入れて日の当たらない納屋の中で寝かせる。
1週間もすればドライイーストがレーズンと蜂蜜を養分に発酵して酒が完成するので、中身を一旦濾して、別のガラス製の一升瓶に移し替えれば完成である。
最後にボトルキャップで蓋をすれば蜂蜜酒……ミードの完成である。
ネット通販で購入するのもよいが、これなら一升瓶とキャップ、材料のドライイーストとレーズンを買うだけで済むのでだいぶ安いし、蜂蜜酒は直ぐに出来上がる酒なので作るのも簡単なのである。
それに一升瓶に入れて売れば絶対商人は飛びついてくると思うので、売れると確信していた。
手製の品としては蜜蝋を使ったろうそくや石鹸とかを作れれば絶対売れるが、時間が掛かるので今回は見送った。
代わりにネット通販で購入した普通の石鹸(固形石鹸3個パックのやつ)を5ダース。
砂糖20キロを麻の袋に移し替え、ガラス製の茶碗を割れないように1つ1つ木箱に籾殻とおが屑を緩衝材代わりにして一緒に詰めていった。
それが50個ほど。
これ全部合わせても10万円もいかないし、藤原兄弟が作ってくれる刀1本でペイできる。
これがどれぐらいの値になるか楽しみである。
信長様の自宅凸から2週間後。
馬にネット通販で購入したリヤカーを改造して、馬に引かせられる様にし、その荷台に信長様に献上する品を載せて、萌衣姉さん、秀吉、美虎の3名を連れて、運んでいく。
那古野城に到着したら門番に中村から来た信長様に献上する品を持ってきたと伝えると通してくれた。
今日の信長様はうつけスタイル。
白髪交じりのお婆さんがそんな信長様を叱っていた。
「ええい、平手の婆煩い」
「下の者が見ているのです! しっかりしてぐださい信長様!」
そんな信長様の前で商品説明を俺は行い始める。
蜂蜜酒、石鹸、砂糖、ガラス製のコップ類……それを見た平手さんは顔を真っ青にしながら、信長様にこれを購入したのですかと呟くが、信長様は平手さんにそこの者に各地から安く取り寄せたのだと耳打ちする。
「こんな贅沢な品を集めて!」
ガラスコップを手に持った平手さんはよく見ると手が震えている。
これが幾らの価値になるか想像して震えが止まらないのだろう。
「確かに受け取った。次に来る時に銭は払う。下がってよいぞ」
「「「「は!」」」」
俺達は受け渡しは終わったのでそのまま帰るのだった。
直ぐに熱田や津島では信長様が貴重な品を取り寄せたから、それを売るため商人は集まれという噂が広まり、競売する日時が発表されるのであった。
那古野城では100人近くの商人が集まり、英聖が集めてくれた商品に群がる。
黄金色の液体が入ったガラス製の壺(一升瓶)に白く美しい石鹸、明国から輸入でしか手に入らない砂糖、美しい模様の茶器の数々。
家臣達に見張らせているが、見本を見て商人は色めき立っている。
「では競売を始める!」
声の大きい家臣が商品の名前を読み上げて、最低価格を言い、それに商人達が値段をつけていく。
英聖が蜂蜜酒と言っていた酒は壺も合わせてだから値段が凄いことになっている。
1壺で50貫60貫と値が付く。
更に釣り上がって1壺100貫を超えて落札が相次ぐ。
僕に分かるように商品には説明の手紙が付いていて、英聖達を帰した後にこっそり読んだら、蜂蜜酒は蜂蜜の量は実は4分の1しか入ってなくて、酒にするために多くの水を入れているから原価はそんなに高くないと言われた。
茶器に関しても異国では数打ち(量産品)でそんなに高くなく、石鹸や砂糖も作れるところでは値が安いと言われた。
しかしあんなにも白く綺麗な石鹸や砂糖は見たことがないんだが……。
商人達はこの品を更に上方(畿内)で売れば大儲けできると喜び、値段がどんどんつり上がっていき、落札した人物は入札札を受け取り、お金を持ってきた段階で商品を渡すことになっていた。
これは約束と徹底させ、午前中に買った商人達はその日のうちに銭を持ってきて、商品を渡していき、大切そうにしていた。
翌日には山のような銭束が集まり、平手の婆はあまりの金額に腰を抜かしていたが、信頼できる家臣に帳簿をつけさせると、5680貫もの金額になっていた。
熱田や津島の商人は溜め込んでいるなぁと思わざる得ない。
「800貫はまた商品を運んでくる英聖に渡すとして……これだけの銭が毎月入ってくるようになれば、家臣の褒美にも困らないな。あとは上方で噂になっている鉄砲をそろえることができるか。1丁10貫とかするが、これならば数をそろえることができるだろう」
僕は信頼して僕の信の字を与えている佐久間信盛に鉄砲を買いに行かせるのだった。