戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を天下人に育てたい〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「けほ、けほ……しくじったなぁ……」
「母上……しっかりしてください」
1551年になった正月早々、織田信秀は病床に伏していた。
尾張の虎と呼ばれた名将も病には勝てず、末森城の寝室で寝込んでいたが、遂に体調が思わしくなくなっていた。
「母上、まだ生きているか」
「姉上! なんてことを!」
「信行、よせ……その声は信長だな」
那古野城から急行してきた信長の衣服は乱れており、それを信行は指摘するが、着替えている間に死ぬかもしれないと思うと、その時間も惜しいと反論する。
「信長……」
「はい、母上」
「お前が産んだ子供は美濃のマムシの血を引いていないだろう」
「……やはりわかりますか」
信長は信秀に奇妙や茶筅とかの産まれた子供達は帰蝶と交わってできた子供だって報告していた。
相変わらず夫婦の仲は冷え切っていたが……。
「姉上、それじゃあ姉上の子供は誰の種で?」
「信長が好んでいる男がいたろう……木下とかいうのが」
「当たりでございます。母上」
「あ、姉上! 木下の男というと神童と言われている木下英聖ですか? 確かに能力はありますが……あれは農民の子ですよ! 何を考えているんですか!」
「よい信行」
母親に制されて信行は黙る。
「信長」
「は!」
「家中を纏め、尾張を本当の意味で統一できるのはあなたしか居ない。私ができなかったことを成し遂げてくれるか? 織田弾正忠家を本当の意味で尾張の支配者に……」
信長は信秀の手を握ると、
「お任せください。尾張だけとは言わず、私は天下を目指し、日ノ本全てを平らげるつもりです」
「あ、姉上!? 何を馬鹿なことを!」
「クックック……やはり家督を譲るは信長以外には居ないわな。信長……その道は修羅の道だわ。道半ばで死ぬかもしれないけれど……進める?」
「勿論……その準備は既に進んでおります」
「なら大丈夫ね。ごめんなさいね……残せるものが少なく、敵を多く残してしまって……」
「母上、気の持ちようですよ……いや、わかりました。この信長、天まで信長の名が轟くように頑張ります」
「良かったわ……虎から龍が産まれて……」
それが最後の言葉となり、信秀は事切れた。
「母上ぇ!」
「信行、母上は眠られた。葬儀の準備に移るぞ」
「姉上! 母上が亡くなられたのに悲しくはないのですか!」
「悲しいが……悲しんでばかりは居られないのだよ。末森城は信行に任せる。私は葬儀の準備を整える」
この母親に対しての死に際の発言が妹である信行と禍根を残すことになるのだった。
「そうですか……信秀様が亡くなられましたか」
「英聖は落ち着いているねぇ」
「いや、俺は信秀様に会ったこと数回しかありませんし、忠誠を誓っているの信長様なので」
「それもそうか」
那古野城に緊急招集を受けた俺は、信長様と山本勘助殿の2人が詰めている部屋に案内され、信秀様が亡くなられたことを伝えられた。
信秀様の死亡時期は諸説あるが、比較的早い時期だったか。
「葬儀の手配ですか」
「ああ、信広姉にも伝えて、私と彼女、それに信光叔母さんで葬儀を回す」
「抹香投げつけないでくださいよ」
「あ、やっぱり英聖にはバレていたか……家臣の見定めでやろうと思ったが……」
「やっても良いですが、多くの重臣の離反を招きますよ」
「重臣の力を削ぐのであればやってもよいかと」
山本殿は織田家の重臣の力が強かったりするのが問題として、やるなら徹底的に行い、信長様を頂点とするトップダウン式……戦国大名化する必要があると説く。
「織田が乱れている間に今川が攻めてこないかが気がかりだけど……英聖何とかできる?」
「何名か今川から調略を受けている人物が既に居るので、それを信長様が早期に鎮圧すれば今川も手出しを控えるかと。今川が軍事行動を起こせば米相場が動きますので、介入する隙ができますので、三河と遠江を混乱させることは可能かと。三河に侵攻するのであれば、民に米をばらまく勢いで配る必要がありますが……準備さえできれば、三河の民はこちらに靡くかと」
「えげつない策ですなぁ……いやはや、米と銭で国盗りをするという策はなかなか」
山本殿も関心しているが、今川が動かなければ不発に終わる。
「大丈夫、今川は動くよ。僕が(今川)義元なら動かざる得ない。織田家が混乱しているように見せて、隙をわざと見せながら、実態は粛清を進めていく。英聖、葬儀が終わり次第裏切り者の粛清に動くから軍事行動の準備を」
「は!」
「勘助の軍略期待しているよ」
「お任せあれ」
信秀様の葬儀には俺や山本殿、池田や森殿、丹羽殿とかも参列したが、信長様は葬儀になかなか来ない。
あ、これ絶対傾いたなって俺が思っていたら抹香で亡き人とのお別れをする際に信長様がいつもの胸を露出した傾奇者スタイルで現れると、抹香を手掴みし、遺影に投げつけ、さっさと退室するという事件が発生。
平手殿は胃痛でぶっ倒れるし、俺や池田、森殿、丹羽殿は信長様を追いかけて退出。
山本殿も知っていた為にニヤニヤしていたが、周りの反応を伺い、誰が裏切りそうか探りを入れていた。
そんな葬儀が終わると、三河と尾張の国境沿いの城を任せられていた山口親子が謀反を起こした。
前々から今川から調略を受けていたらしく、山口親子に直ぐに援軍が入り兵数は1700まで膨らんだ。
それを聞いた重臣達は早速軍議を開くように信長様に進言するが、信長様は軍議を開く前に親衛隊をその日のうちに招集し、電光石火の勢いで山口親子が居る鳴海城を目指し1000名の親衛隊を率いて進軍を開始。
山口親子は数の有利を生かして、一気に殲滅せんと城から打って出てきて野戦となり、赤塚の地にて戦が勃発するのであった。
「戦車は今回いらんな……原田直政」
「は!」
「鍛え上げた鉄砲隊の威力を見せつけよ。中央を受け持て」
「だぜ!」
ニヤリど原田は笑う。
200名の鉄砲隊を率いる俺と丹羽長秀殿が鶴翼の陣の構えで、上から見るとUの字状に陣を広げた。
そして中央の奥には信長様の本隊と森殿の槍隊が構える。
通常この陣は兵数が多い方が敵を包み込む様に動く陣形であり、山口親子は信長様はやはりうつけだと思ったらしく、中央突破を目指して突撃を開始した。
「よーく引きつけろ……」
中央の原田隊が射撃を開始したと同時にこちらも射撃を開始する。
ドドドドド
鉄砲の発射音が連続して繋がり、マシンガンの様な音が戦場に響き渡る。
「次の組に移動!」
木下隊は集団行動により、前列が鉄砲を放てば、直ぐに後列と交換して鉄砲を放つことができる連撃という戦術が使えるようになっていた。
丹羽隊や原田隊も勿論扱うことができる。
絶え間なく射撃が続き、山口親子の敵部隊は戦死者が相次ぎ、組織的な抵抗が不可能となる。
「隊列前へ! 行軍射撃開始!」
そして戦列歩兵の様に横二列の横隊になり、歩きながら距離を詰めて歩行しながらの射撃に切り替える。
こうなると敵部隊は逃げるしかなく、後ろに逃げようと後続の部隊を巻き込んで混乱が生じ、控えていた池田隊と森隊の槍隊、滝川隊の各部隊が追撃を開始。
鳴海城に逃げ込めた兵は30人もおらず、山口親子は戦場の何処かで討死。
信長様は鳴海城に開城をする様に使者を送り、山口一族の織田領内からの退去を条件に開城。
圧倒的な大勝で信長様は初戦を勝利で飾ることができたのだった。