戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を天下人に育てたい〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「じゃあ木下殿は信長様の下で男なのに出世を続けていると?」
「ああ、俺の部隊には男も多いからな。鉄砲が扱えれば男も女も関係無い。もっとも鍛錬は男女関係なく受けてもらうがな」
「うへ、おらは畑耕している方が性に合ってるべな」
俺は信長様の領地を巡りながら、木下式農法を伝えるために各地の村々を巡っていた。
勿論俺だけだと時間が足りないので、秀吉や美虎、中村の面々にも協力してもらって、各地の村に赴いて、農具が足りてなければ鉄製の農具を貸し出し、寒さや病気に強くよく育つ種籾を渡したり、乾田にするために農地の整備にも手を加えていった。
前に丹羽長秀殿や森可成殿の領地で農民相手にどのように教えれば従ってくれるかは学んでいたので、今回は比較的スムーズに従ってくれた。
一緒に来ていた毛利と服部が睨みを利かせていたのもあるかもしれないが……。
「田植え作業……こんなに面倒くさいことやって効果があるのかねぇ」
「今まで種籾を地面に撒くだけだったのに……これで収穫量が増えんかったら文句でも言いつけてやらねぇと」
苗を作って、正条植えをやらせるのはどうしても文句が出てしまうが、それを踏まえても収穫量を劇的に上げるにはやる必要があるので、愚痴を言われてもやってもらう。
「そうは言うがな、このやり方だと米が今までの数倍は採れるようになるんだよ」
「せやせや……木下様に従ってれば間違いないぞ」
中村から援軍として来ていた者が同じ農民としての視点で他の領民に伝えていく。
上から命令されるのは嫌かもしれないが、同じ立場の人の善意というのは断りづらい。
更に本来自分達でやらないといけない農作業を手伝ってもらっている以上、彼ら彼女らに愚痴は言いづらい。
渋々といった形で田植え作業をしていき、それと同時にサツマイモや菜種などの作物の育て方も教えていくし、麦とかも収穫量の多い現代の品種を渡していく。
農業を普及させるのに3万貫近く投資することになったけど、織田家の年貢総量が増えれば信長様に歯向かう者は少なくなる。
それこそ上司が逆らっても下が付いてこない。
兵農分離を考えている信長様らしい考え方であった。
そんな感じで田植えの時期を終えていくのだった。
「私達山口に居た職人を評価していただき感謝します」
「山口から逃げるのに大変だったでしょう。那古野城城下にて皆様が休める家を用意しております。その後に信長様に挨拶へと」
「いえ、最初に信長様へ挨拶をしたいと思います。案内してもらえませんか」
「ではこちらに」
津島や熱田の商人達に山口で逃げてきた職人を保護するように伝えたところ、商人達も山口で活躍していた職人なら金になると全力で囲い込み、様々な職人250名近くが尾張に来ていただいた。
その中には灰吹法を既に会得している冶金職人だったり、生糸を作る養蚕職人とか織物職人、鍛冶師、凄い人だと越前の朝倉家を頼ろうとしていたガラス作りができる職人等など、日ノ本では生産できないとされていた職人達を集めることができた。
山口の町にはこの様々な分野に精通した職人が2000名以上働いていたと聞いて、そのうちの10分の1でも尾張に来ていただき感謝を俺は職人達に頭を下げた。
「職人である我々に武士の方が頭を下げるのは亡き大内義隆様以外では初ですね」
「いや、尾張まで来た甲斐があった……」
職人の代表の方々が信長様と面会をした時に自身が作れる商品のサンプルを見せると、信長様も目を輝かせて、
「おお! こんな素晴らしい品を作れる職人が来てくれるとは……予算はできる限り出すからじゃんじゃん商品を作ってくれ。要望はここにいる木下英聖に言うと良い。彼も自前で職人を育成していて、多分君達の糧になるから」
と職人達に俺のことを紹介した。
で、実際に俺が藤原兄弟との意見を言い合いながら作った水力で動く糸紡ぎ機……水力紡績機を見て脱帽。
「山口の町が日ノ本で一番進んでいると感じていたけど、尾張でもこの様な絡繰りを作る人物が居るとは」
他にも水力を用いたフイゴだったり、改良されたたたら場や戦車といった兵器を見た職人達は魂を揺さぶられたのか、
「是非ともここ尾張で亡き大内義隆様が成し遂げられなかった世界に通ずる商品を作ってみせる」
と張り切り始め、俺が予算無制限で工房を建てる為に必要な費用や材料を各所から集め、大工達に頼んで那古野城城下で職人街の建造を開始。
商人達にも職人街ができれば尾張から各所に売り出せる商品が大量に作れると吹き込んで金や人員を出してもらい、数ヶ月で職人街が完成。
職人達は各地の村に行って、生糸を作るための養蚕のやり方を伝えたり、俺が各所に広めていた木綿を使った織物を作り始めたり……。
そして藤原一門と協力して行なっていた国産の銭の開発にも弾みが付いた。
黄銅の製造方法に精通していた職人が居たのも大きかった。
彼女は寺院の仏像を黄銅を使って作る仕事をしていたらしいが、黄銅を用いて銭を作るという考えには至らなかったとのこと。
山口から来た職人達により尾張の文化レベルは一気に引き上がることに繋がるのであった。
「これが尾張で作られた銭か」
夏の半ばを過ぎた頃、職人達の協力で作ってもらった黄銅の銭が完成。
また今までの銭を10枚と亜鉛を適量加えると、今回の銭は20枚造ることができ、更に副産物として金銀が相当量手に入ることも判明した。
「商人達に見てもらって使えるかどうか判断してもらうことになりますけど、まずは信長様がこの銭を幾らで流通させたいかを決めませんと」
「ふむふむ」
裏表に天文通宝と文字が刻まれていて、真ん中に四角く穴が空けられていた。
大きさ自体は今まで流通していた宋銭と同じである。
明銭に比べると少し小さいかな?
「初期流通分の材料はこちらで何とかしますが、なるべく美濃と話をつけてください。亜鉛や銅は美濃で大量に採掘されるので」
「うん、わかった。ちなみにどれくらい金が掛かったの?」
「生産に漕ぎ着けるまで1万貫、流通させる銭の材料費が5万貫ほど……」
藤原兄弟に刀大量に作ってもらって、それをネット販売で売却して種銭を作ってから大量の銅線や亜鉛メッキの原料を購入。
銅線を溶かして亜鉛メッキを付着して加熱することで黄銅へと変化させていった。
それに倉庫の中に保管していた銭束を溶かして南蛮吹と灰吹法で純度の高い銅を作りまくって、それも黄銅銭へと生まれ変わらせた。
銭を溶かした感覚だと、だいたい1貫で棒銀2個と粒金1個できる感じだった。
「見栄えも良いし、良貨とは1対1で、私鋳銭や鐚銭とは5枚で1枚と交換にしよう。商人達が食い付いてくれると良いのだけど……」
「競売の時に仕掛けてみましょう」