戦国爆乳秀吉〜主人公は秀吉を天下人に育てたい〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
1552年……俺と秀吉は16歳となった。
信長様の清洲城への拠点引っ越しはもうしばらく先になりそうだし、秀吉が頑張って土木作業をしている中……斎藤道三との面会の準備が進められていた。
那古野城全体がドタバタする中、俺の方も、職業訓練学校を何とか形にして、教育係の人材を集め、まずは100人規模からスタートさせた。
基本今仕事は秀吉の土木工事で人手が取られているので、底からあぶれた力の弱い男達が職業訓練学校に入校したが、衣食住が与えられて訓練期間は飢えることがないと分かると安堵すると同時に、3ヶ月の訓練期間が終われば働かなければいけないので、皆生きる為に必死に勉強をする。
意欲的なのも問題は少なく、俺もこの訓練学校で成績優秀だった少年達を家臣として雇い入れたり、藤原兄弟に職人見習いとして紹介したりするのだった。
そんな感じで織田家の流民対策が稼働していくのだった。
〜稲葉山城〜
「失礼します道三様」
「来たわね光秀」
美濃のマムシと呼ばれる女性の斎藤道三と史実では織田信長を殺した張本人である明智光秀という20歳くらいの女性が部屋で密会をしていた。
「美濃の国人衆はこれで道三様に忠誠を誓う起請文を提出しました。これで道三様は美濃を手中に収められたかと」
「光秀」
「は!」
「そう簡単に手に入るものではないわよ。国というのは」
「失礼しました」
斎藤道三……親子二代でなし得た国盗りを去年完遂し、美濃の支配者となっていた。
斎藤道三の母親は元々寺の尼をしていたが、戦国の下剋上が吹き荒れたことを契機に京の寺から出奔して全国各地を油売りをしながら巡って知見を広めた。
その時に後北条家を立ち上げた女傑伊勢新九郎こと北条早雲とも出会い、指導を受けている。
そして美濃に来た道三の母親は斎藤家重臣である長井氏に見定められて、長井家に仕えるようになる。
そして美濃が戦乱で混乱していくのに合わせて頭角を現し、婚姻と暗躍を使い分けて長井家を乗っ取り、地盤を斎藤道三が引き継いだ。
若い斎藤道三はそこから更に暗躍と暗殺、そして戦で活躍を続け、守護代であった斎藤家を乗っ取り、守護の一族を暗殺及び国外追放をし、自身の娘に足利将軍家に縁のある一色の姓を名乗らせて、正統性を担保。
ここに斎藤道三による国盗りが成せたのである。
紫色の長い髪を靡かせ、蛇のように鋭い瞳で明智光秀のことを道三は見つめる。
この頃の光秀は多くいる道三の家臣……明智一族の若手の1人であったが、道三は彼女の非凡さを見抜いてちょくちょく話し相手をさせていた。
「光秀、私の息子は織田信長と上手くやっていると思いますか?」
「既に信長殿はお子さんを4人も産んでいて家族仲は良好なのではないのでしょうか」
「これを見なさい」
斎藤道三は光秀に手紙が渡された。
光秀はその手紙を見てみると、息子である帰蝶が織田信長との夫婦生活が全く上手くいっておらず不仲で実質別居していることが書かれていた。
「これを見ると帰蝶様と信長殿の夫婦生活は破綻していませんか」
「ええ、ただ粗末に扱われているわけではないらしいのだけど……これだと信長の産まれた子供達には私の血は流れてないと見た方がいいわね」
「どうします……破綻しているのであればそれを理由に同盟を破棄することもできますが」
「帰蝶を見捨てることになるけどね……ただ信長側は引き続き同盟関係の継続を望んでいるのよ。実際信長との貿易は美濃にとって大きな利益になっている」
母親が油売りで行商をやっていたため、道三自身も銭の大切さについてはよく分かっていた。
それに織田信長が中央が混乱しているのをよいことに私鋳銭を市場にばらまいて流通させているが、道三自身から見ても銭の質は高く、価値がある物として扱えた。
それに織田家は美濃で採掘される鉱石や木材、紙などを大量に買ってくれるお得意様なので、現状の同盟関係を続けたた方が利が大きいことを斎藤道三自身が理解していた。
「それに策謀で三河を切り取った手腕も持ち合わせている……義理の娘がどれほどの器か見てみたくなった」
「では織田側から要望が続いている当主同士の会談を受けると」
「ああ、返答を引き延ばしてきたが、もう良いだろう。光秀、場所は正徳寺とする。会談の準備を進め、その対応次第で今後の織田家との付き合い方を考える」
「は!」
「信長様、上機嫌ですね」
「ああ、ようやく義母である斎藤道三殿と面会できるからね。同盟関係を続けるか続けないか……なるべく続けたいけど、帰蝶との関係を清算できると考えたら嬉しくてね」
信長様は帰蝶様を斎藤道三に返す気満々らしく、それによって同盟関係がどうなろうと気にしないようだったが、下剋上で成り上がり、美濃を手に入れた斎藤道三を尊敬していた。
高校球児がプロ野球で活躍しているレジェンド選手に会いに行く感覚に近いのだろう。
信長様は選抜した800名の精鋭の家臣に火縄銃500丁と通常の槍より長い槍を300名に持たせて行軍訓練を連日やらせていた。
「さて、斎藤道三殿はマムシと言われるくらい暗躍が得意な人物だろうから、驚かすのにはどうしようかな~!」
「そう言いながらもう何か決めているんじゃないですか?」
「ふふ、どうだろうねぇ……英聖も紹介するから英聖も何か策でも用意すれば?」
「そうですねぇ……信長様は美濃を手に入れたいですか?」
「ん? ……それは斎藤道三を排除してでもってことかい?」
「いえ、自分の予想ですと、斎藤道三殿は暗躍や暗殺を多用したため、家臣や国人衆に人気がありません。勿論戦上手で織田家が軍事行動をして攻め込めば一丸となって抵抗するでしょうが……内部から崩れる可能性があります」
「家臣が排除に動くと?」
「どちらかと言うと長女が担がれてになるでしょうが」
「ふーん……」
俺は信長様に将来斎藤道三が排除される可能性と、もし排除された場合は美濃確保に動くかどうかを聞くと、
「斎藤道三殿の娘が織田家に友好的であれば同盟関係を継続してもいいけど、敵対の道を選ぶのであれば……美濃の鉱物資源は今織田家が育てている工芸品や銭作りに必須。自前で確保した方がいいでしょう」
勿論三河方面で対峙している今川の方を今は優先する必要があるので、同盟関係が長く続くた方が信長様的にはありがたいと思っているらしいけど。
「何か策があるの?」
「斎藤家と敵対でも同盟関係が続くのでも効果がある策を打とうかと。ジャガイモを美濃に広める許可をいただいても?」
「ジャガイモ……ああ、英聖が偶に食べさせてくれる毒芋のあれかい?」
「はい、片栗粉の材料になる芋です。あれの栽培を広めようかと」
「確かに食べられるけど毒芋だろ? 広められるかね?」
「沢山育てることができて、片栗粉という長期保存できる売り物になる。片栗粉と芋でいももち、片栗粉と小麦粉を混ぜて芋うどん……食べ方も無数にありますので、茎や葉、芽が食べられないことを伝えれば気をつけるでしょう。米の5倍から10倍収穫できるというのは魅力的かと」
「食料を与えることが策になるのかな?」
「いえ、このジャガイモ……連作をすると何年後かに全然収穫できなくなってしまうのですよ。ジャガイモを食料として頼る様になったところでジャガイモが不作になれば……それが米の不作な時期とも重なればどうなるでしょうかねぇ」
「そんな上手くは行かないと思うけど、尾張や三河で作った食料が美濃に高く売れるかもしれないってことかな?」
俺はニヤリと笑う。
「本当、英聖は盤外戦術が得意だね。金の次は食料で攻撃するか。まぁやるだけ損は無いし、やってみなよ」
「は!」