チートワイ、原作を守る   作:kinokop

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無職です。
就活始めました。

少し長いです。

僕は曇りよりも晴れが好きです。


月が綺麗ですね

 

悲報

 

チートワイ、中年ストーカーに普通に負けて

またもや入院する。

 

 

 

いやぁ、死ぬかと思ったね。

不老不死だけど。

 

なんとか芦花ちゃんだけは

守れてよかったわ。

 

あいつ根性凄いって。

手首削いで脱出って。

覚悟決まりすぎだろ。

 

それだけあるなら

多分もっと別のことできたよ。

 

 

まぁ、無事に捕まったし

どうでもいいけどさ。

 

 

怪我もほとんど治ったし。

流石不老不死先輩。

今回は仕事したな。

 

ガラス片で背中と手足を

複数箇所刺されても

生きてるって

やっぱチートってすげー。

 

ちなみにさっき目覚めて

もろもろ説明受けてたんだけどさ。

全員、ゾンビを見る目だったね。

 

 

実際、体は死んでるのに何故か

生きてる反応だけあって

三日意識不明で

起きたら何の異常もないって

 

 

……………………。

 

 

化け物やな。

うん、お医者さんの

反応は正しいわ。

 

 

あ、そういや

スマホ確認しとくか。

マーリン君にもう一回謝らないと。

 

 

あれ、なんかめっちゃ電話きとるやん。

朝久さんとマーリン君?

朝久さんとは、なんかあったっけ?

まぁ、掛けなおせばわかるか。

 

 

えーと、電話スペースは向こうか。

 

 

 

松葉杖での移動だるいなぁ。

なんか足が思った通りに動かないんだよなぁ。

 

 

っと、ここかな。

 

 

コンビニと併設している

電話スペースにて折り返す。

 

 

もしもし朝久さん?

どうしたんですか?

 

あれ?なんか声近くないですか?

なんか、まるで隣にいるみたいな…。

 

 

あー、隣にいたんすね。

てか、朝日君もいるじゃん。

どしたの?風邪?

 

 

ん?松葉杖?

いやぁ、それがガラスで

めった刺しにあいまして。

 

そのせいか若干歩きにくいんすよね。

あぁ、でも多分そのうち治りますよ。

 

で、なんの電話だったんですか?

もしかして飲みの誘いでした?

 

 

お見舞い?

俺のっすか?

えー、マジっすか。

ありがとうございます。

 

 

嬉しいっすね。

とりあえず、俺の病室来ます?

 

 

 

 

なんか怖い顔してるけど

どうしたんだろ。

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

めっちゃ怒られたわ。

次、大怪我したら京都に強制送還されるって。

イケメン二人に詰められたら頷くしかねぇよ。

 

マーリン君にも電話で怒られたわ。

ヤチヨにもメッセージで怒られたし。

厄日だ。

 

 

 

そのあとは警察が来て

注意されるし

調書とられるしで

もう夜ですわ。

 

あと、通信元不明な通報が

1件あったみたい。

これも鬼の形相で詰められたわ。

 

知らないよ。

多分神様だよ。

あいつに違いないね。

 

 

 

 

……もう寝よ。

疲れた。

 

 

 

 

コン、コン

 

 

 

 

 

 

…誰だよ。

看護師さんか?

 

 

…寝たふりしよ。

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

おい開けたぞ。

プライバシーはどこいった。

 

仕方ないか。

 

 

 

 

あの、もう眠いんで明日で…あれ?

芦花ちゃんじゃん。

どうしたの?

 

 

 

 

起きてたよー。

寝たふりでやり過ごそうとしたけど。

 

 

え、あぁいや看護師さんだと思って。

あぁ、大丈夫大丈夫。

嫌いになってないよ。

 

どうしたの?

お見舞い来てくれたの?

ありがとねぇ。

 

 

芦花ちゃんの方こそ

大丈夫だった?

怪我とかなかった?

 

 

そっかそっか。

じゃあよかったよ。

 

俺の方も特に問題ないよ。

聞いたよ。

俺が運ばれるとき

手握ってくれたんでしょ?

 

助けられたよ。

ありがとう。

 

 

…………いや、どうした?

めっちゃ暗いぞ?

罪悪感かなぁ?

気にしないでもいいのに。

 

 

どうしたもんか。

いくら手品先輩でも

この空気は無理だな。

 

 

んー空気、空気……。

そうだ。

空気を換えればいいんだ!

 

 

 

 

 

 

芦花ちゃん、ちょっと

屋上行こうぜ!

 

 

 

 

 

■

 

 

店長に連れられて階段を上る。

 

「芦花ちゃんはどれくらい入院なの?」

 

カツン

 

「…多分、あと一週間くらいですね」

「そっか、大変だねぇ」

 

カツン

 

「…はい」

 

会話を続けながらも、

どうしても別の音が耳に入る。

 

店長が一歩進むたび、

カツン、と乾いた音が響いた。

 

足音とは違う、高い音。

 

松葉杖だ。

 

私を庇ったせいで。

私が助けを求めたせいで。

 

店長は、こうして歩くことさえ

不自由になってしまった。

 

私のせいだ。

頭の中でそれだけが反芻する。

 

 

「着いたよ」

「あ、私が開けます」

「ありがとう」

 

店長が笑顔でお礼を言ってくる。

ただ、扉を開けただけなのに。

 

あのときもそうだった。

 

私ができたのは、

運ばれていく店長の手を握ることだけ。

それなのに、店長は感謝してくれた。

命の恩人であるかのように。

 

……どうしてだろう。

 

嬉しいはずなのに。

優しくされるほど、苦しくなる。

 

そんな自分が、嫌いだった。

 

 

無意識に入った力を逃がすように

ドアノブを捻った。

 

 

「おぉ、きれいだねぇ」

「…そうですね」

「空気もなんか、美味しくない?」

「それは、どうでしょう…」

 

お兄さんはいつも通りだ。

でも、なんで屋上なんか来たんだろう。

 

「で、どうしたの?なんか話があって病室まで来てくれたんでしょ?」

「…はい」

 

来た。

言わないと。

謝らないと。

少しでも、前みたいになれるように。

 

落ち着いて謝罪の言葉を口にする。

 

「私のせいで、店長を巻き込んですいま「はいストップ」…え?」

 

止められた。

なんで、私からの謝罪はいらない?

もう、嫌われて…。

 

お兄さんが柵に寄りかかりながら

手招きをする。

 

「芦花ちゃん、こっち来て?」

「え、はい」

 

一歩近づく。

 

「もっともっと」

「え、え?あの、近いです…」

 

さらに近づく。

もう店長との距離はない。

 

「ごめんね、すぐ終わるから」

 

店長の腕が、私の身体を包み込んだ。

あの時と同じような状況だ。

身体が熱くなって

少し怖くなった。

 

「あの…店長さん?」

 

なんだろうと思い、店長の顔を見る。

 

「少し、揺れるから舌噛まないようにね」

 

その後、浮遊感が体を襲った。

視界が回る。

病院と星と店長が交互に見える。

 

「え…?」

 

屋上から落ちているのだと理解した。

 

「ええぇぇぇ!」

 

 

 

「ルーラ」

 

 

身体を光が包む。

 

 

 

気が付いたら

私たちは浜辺にいた。

 

「あの、これって…」

「そ、魔法」

 

頭が混乱する。

 

「…んぇ?」

「いや、前魔法使いって言ったらすごい顔されたからさ」

「見返したくて」

 

見返したいって

何子供みたいなこと

言ってるんだこの人。

 

「いや、いやいやいや」

「ちょ、と待ってください」

 

え、本当に魔法?

いやでも、実際に浜辺にいるな。

え、これ現実?

実は走馬灯とかない?

 

 

足を踏みしめる。

砂の感触がした。

とても幻覚や夢のようには思えなかった。

 

 

「え、本当に?」

「まじまじ」

「じゃあ、あの時もこれで?」

「そうね」

 

いろんなことが頭を巡る。

質問も、疑問も、聞いてみたいことも。

頭の中に溢れてきて、うまく整理できない。

 

「じゃ、じゃあもしかして手から水とか炎とか……」

「いや、それは無理。回復と移動だけ」

「なんて、アンバランスな」

「ひどいな」

「いや、だって、えぇぇ…」

 

店長が笑う。

 

「よかった」

「え?なにもよくないですよ。頭混乱中です、黙っててください」

「ひどくない?」

「いや、急にひもなしバンジーさせられた身にもなってください」

「それは、ごめん」

 

なに笑ってるんだ。

この人。

 

「でも、俺はそっちの顔のほうが好きだよ」

「はい?」

 

…何を言ってるんだ。

本当にこの人は。

 

「死にそうな顔しながら、謝られるよりも今の顔のほうがいいよ」

「なに、言ってるんですか…」

 

 

「いいんだよ、気にしなくて」

 

松葉杖をつきながらこちらを見てくる。

 

「悪いのはあのストーカーだし」

「助けたのは俺の勝手だし」

「俺はいま生きてて、元気だよ」

 

いつもと違う、優しい顔で私を見てくる。

 

「楽しく生きていこうぜ、どうせまだ先は長いんだし」

「助けられたら、ありがとうで十分だよ」

 

 

泣きたくないのに。

店長が困るだけなのに。

いろんなものが溢れて止まらない。

 

「で、でも私がメッセージを送ったから…」

「俺はうれしかった」

 

「怪我、いっぱい、させちゃいましたし…」

「女の子守れたのは男の誇りよ」

「それに多分回復魔法で治る」

 

「あ、足も上手く歩けなく…」

「大丈夫、何とかなる」

 

「でも、でもぉ……」

「しょうがないな」

 

店長が近づいてくる。

 

「少し触るよ」

 

店長に顔を触られる。

口の端に手を添えられる。

 

「んっ…。な、なんですか?」

「そんなに言うならさ…お礼、頂戴?」

 

顔が近い。

涙が急に止まる。

 

「んぇ!?」

 

この、状態で、お、れい…?

それって…。

いやいや、まさか店長に限ってそんなこと…。

でも、お母さんが男は狼って言ってたな…。

 

 

夜の浜辺

星空

二人っきり

 

 

このシチュエーション狙ってた…?

 

 

店長さんをもう一度見る。

少し意地悪な顔をしてる気がする。

 

…まぁ、助けてくれたし?

いつもお世話になってるし?

そんなに嫌でもないから?

店長さんがそこまで言うなら?

やぶさかでも、ないけど?

 

「はやく」

 

……いや、待って。

これ、私からするの?

いや、でもお礼、だもんね……。

店長が求めているのは、そういうことだよね……?

 

「じゃ、じゃあ目閉じててください」

「え、なんで…?」

 

「み、見つめながらですか!?」

「いや、なんで驚いてるの?」

 

え、普通は見つめながらなの?

知らなかった…。

 

「あの、私初めてで…」

「え?マジで?」

 

なに驚いてるんだこの人。

初めてですよ、文句ありますか。

 

「マジです。だから、見つめながらはちょっと……」

「じゃあ、自分からするのも?」

「はい…」

「そんなことないと思うけど…」

 

本当になにいってるんだ。

まだ彼氏もいないのに。

 

「いや、初めてですよ!何言ってるんですか!」

「えぇ、声おっき。怒んないでよ」

「いや、怒りますよ!正当な怒りですよ!」

「そ、そうなの?じゃあ俺からしようか?」

 

店長が不思議そうな顔で提案してくる。

 

「し、してくれると嬉しいです」

「いいけど、次はそっちからだからね?」

「一回じゃないんですか!?」

「そりゃそうでしょ」

 

そりゃそうなんだ…。

え、そうなんだ。

 

「ち、ちなみに本気ってことですか?」

「んー、そうだね」

「そ、そうですか」

 

当たりまえみたいな顔で店長が答える。

 

 

い、いつから私のことそんな風に…?

確かに、いつも優しかった気がする。

サービスしてくれたし、値引きしてくれてたし。

 

今店長が25歳だから、11歳差……?

 

ちょっと、危ないような…?

いやでも、店長は嫌なことはしないはず…。

見た目は怪しいけど、誠実だし…。

大事にしてくれそう…。

 

よ、よし!

覚悟はできた。

ばっちこい!

 

「お、お願いします」

「緊張しすぎじゃない…?まぁ、いいや」

 

店長の顔が近づいてくる。

く、くる…。

 

私もついに大人に

 

 

「あの日、助けを求めてくれてありがとう」

「手を握ってくれてありがとう。おかげで今、生きてる」

「本当にありがとう」

 

ほぇ?

 

 

 

ん?

 

 

えっと…

 

「いまの、は…なんですか?」

「え、いやお礼だけど……」

「お、れい?」

「ありがとうって…」

 

 

 

 

……。

知ってましたけど?

 

 

 

 

「なにか勘違い「してません」を…」

「してません、勘違いなんて」

「え、いや「してません」…そっか」

 

 

この人本当は全部わかってたんじゃ…。

いや、そんな顔してないな。

これ、勘違いした人たくさんいるだろ。

女の敵か?この人。

 

緊張してたのがバカみたいだ。

あぁ、わかりましたよ。

もう気にしない。

 

「ほら、芦花ちゃんも」

「わかりましたよ!言いますよ!」

「笑顔でね?」

「わかってます!」

「声でっか」

 

あなたのせいです。

あなたの。

 

「助けてくれて、ありがとうございました!」

「守ってくれて、ありがとうございました!」

「おかげで、これからも笑えそうです」

「本当にありがとうございます、店長」

 

「どういたしまして」

 

なんで、そんなに笑顔なんですか…。

 

「君が笑えるようで、俺もうれしい」

 

そんな顔されたらもう何も

言えないですよ。

 

「ずるいです」

「ずるくないよ」

 

「女の子の顔触ったし」

「それはごめん」

 

「女の敵」

「なんで?」

 

店長を見る。

砂浜や綺麗な星空のせいか

今なら魔法使いって言われても

信じれるくらい神秘的に見えた。

 

 

「ほらバカなこと言ってないで、もう帰るよ」

 

しょうがないな。

貴方のせいなのに。

 

「まだ、言いたいことはあるんですからね?」

「またの機会でお願い」

 

貴方のせいなのに。

今日何度口にしたかわからない言葉を

胸にとどめながら、店長に抱き着く。

 

「あの、抱き着かなくてもいいんだけど…」

 

……………。

 

「うるさいです」

「いや」

「うるさいです」

「…はい。女の子むず」

 

何がむずいんだ。

店長のせいだ。

全部店長が悪い。

 

店長が呪文を唱える。

 

 

すると体が光り

今度は病院の屋上にいた。

 

 

「ほら、掴まってください、店長」

「ありがと」

 

松葉杖の代わりに、今度は私が店長を支える。

最初からこうすればよかったんだ。

もう満足するまで、何かしてやろう。

 

 

店長を病室まで送っていった

 

 

「そういえば魔法のことは、秘密のほうがいいですか?」

「その方がいいかな、芦花ちゃんしか知らないし」

 

ふーん、そうなんだ。

私だけか……。

 

「じゃあ、秘密にしときます」

「助かるよ」

「いいんです、私だけですもんね?」

「え、うん」

 

 

二人だけの秘密。

うん、それだけ。

 

 

「じゃあ、また来ますね?」

「まぁ、ほどほどに来てね」

「いやです」

「えぇ……」

 

決めたのだ。

自分にできる恩返しをしてやろう。

この意地悪な魔法使いに。

 

 

「それじゃあ店長、おやすみなさい」

「うん、芦花ちゃんもおやすみ」

 

その後は自分の病室に帰って寝た。

 

 

 

布団に潜ったとき

店長の病室から見えた月が綺麗だったのを

ふと思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

■

 

扉を開けて、ベッドのほうに振りむいて

心配ばかりかける問題児を見る。

 

父さんが問題児に話しかける。

 

「それじゃ、もう無茶なことはしないでね」

「うっす、善処します」

「善処?」

「しません」

 

呆れてつい口を挟んでしまう。

 

「馬鹿」

「馬鹿はやめてね、あーくん」

「あーくんやめろ」

「やめませーん」

「はぁ…」

 

この人、ほんまにもう…。

 

 

「二人ともお見舞いありがと、嬉しかった」

 

「…なら、よかった」

「…ほんと、気をつけろよ」

 

 

二人で病室を出る。

顔を見合わせて、ため息をついて

出口に向かって歩く。

 

 

「ありがとな、朝日。一緒に来てくれて」

「いや、まぁええよ。俺も心配やったし」

 

 

まさか、二年もせずにまた入院するとは。

父さんも気が気でないやろな。

しかも意識不明の重体とか。

あの人、危機管理能力終わりすぎてない?

 

 

「なぁ、彼たまにアホな時ない?」

「兄貴は基本アホやで」

「だよなぁ」

 

父さんが頭を抱える。

珍しい。

 

「少しは自分のこと、大事にしてくれると助かるんやけど…」

 

「無理でしょ、兄貴人のこと大好きだし」

「人のことはよく見てるくせに」

「自分がどう思われてるかは、考えてないし」

「そのくせ大切にしてくるから、こっちからしたら冗談じゃないわ」

「いつでも自分より他人やもん、兄貴は」

 

「と、ごめん。言い過ぎた」

 

思ってたことが少し溢れた。

 

「いや、僕もそう思うよ。本当に」

 

父さんと顔を見合わせて

もう一度ため息をつく。

 

 

「彩葉には秘密にしなきゃなぁ」

「それがええと思うわ。知ったら、こっち来るやろな」

「来ると思う。そしたら母さんと…」

「喧嘩するやろな」

「だよなぁ…」

 

 

父さんがまたため息をついた。

 

 

「彩葉は兄貴にべたべたやからな」

「そうだよなぁ。彼、人たらしやもんなぁ」

「せやな、今回助けられた子も好きになってるんちゃう?」

「それは…ありそう。ますます、彩葉には言えないなあ」

 

実家にいる妹のことを思い浮かべる。

 

……。

うん、知ったらうるさそうだ。

黙っとこう。

 

「朝日もたらされてるもんなぁ、ほんまにすごいわ」

 

は?

 

「たらされてないけど?」

「いや、たらされてるやろ」

「何が?」

「いやだって、いないとこでは兄貴呼びしとるし…」

 

……………。

 

「…してへんよ」

「してたやん」

「してへん」

 

 

早歩きで出口に向かう。

 

 

「いるとこで呼んだら喜ぶと思うよ?」

「呼ばへん」

 

 

 

 

 

馬鹿兄貴が。

 

 

 

 

 

 

■

 

バグがいなくなった仕事部屋。

しかし今は活気を取り戻しつつあった。

 

「先輩、それお願い!」

 

仕事を片付けながら

先輩に指示を出す。

 

「ハイ!」

 

先輩も複数の案件を進めながら

さらにもう一つを抱え込む。

 

和気あいあいではなく

完全に社畜部屋として活気を取り戻していた。

 

 

私達の仕事の効率は頂点に達していた。

溜まりに溜まった仕事を捌き

新たに来る仕事も同時並行で進め

社畜時代と同等、いや倍近い速度での処理をこなしていた。

 

それも偏に地球に行くためである。

というかバグに会いたいからである。

 

バグの存在を地球に認知はできたけど

結局、どんな人なのかは特定できなかった。

 

そんなわけで一刻も早く

会いに行くために仕事を

頑張っているのだが…

 

「先輩、今日も頑張ったねぇ……」

「ハイ……」

 

 

「これ、あとどれくらいで地球行けるかな…」

「…」

 

 

先輩が無言で計算結果を指さす。

そこには人の一生を優に超えた時間が映し出されていた。

 

 

足りない。

というか仕事の量が多すぎる。

 

 

「…逃げる?」

「…ハイ」

 

逃げることにした。

これはしょうがない。

バカみたいな量の仕事を振ってくるのが悪い。

 

「じゃあ、今すぐは警戒されてるから仕事しながら少しずつ準備しようか」

「…ハイ」

 

あれ?

なんか、先輩元気ない…?

 

 

「先輩大丈夫?ちょっと、体調悪い?」

「…ダイジョウブデス」

 

 

「そう?ならいいけど…」

 

先輩どうしたんだろ。

何か悩みでもあるのかな…?

 

 

「…ハヤクアイタイデスネ」

「…だね!」

 

まぁ、無理に聞くことでもないか。

先輩ならいつか話してくれるだろうし。

 

 

よーし、待ってろよ!

バグ!

 

 

 

 

「ヒメサマ、ゴメン…」

 




やっちょ→は?芦花が誘拐?はい、即通報。刺した?はい、晒す。
     というか、その怪我聞いてない。はぁ~、オシオキだね☆


マーリン→この子はまた自分を犠牲にして…。
     ちゃんと見守っておかないと…


彩葉→ん?今何か、お兄さんに何かあったような。


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