チートワイ、原作を守る 作:とくめいこ
なんか文章、考えるの本当むずかしいですね。
二次創作を作ってるかたはすごいですね。
皆様からの感想評価、楽しく拝見させていただいてます。
キッチンの掃除をしていると
二人とも起きてきた。
彩葉ちゃんから説明を聞き
全部知らない体で通した。
姫様は俺と初対面になってた。
先輩はお願いを聞いてくれたらしい。
少し寂しいが
これで俺より彩葉ちゃんとの
繋がりが強くなって
原作通り進むだろう。
バグってバレると
説明もめんどいしな。
あと、殴られそうだし。
いろかぐが育ってきたら
適当なタイミングで
ばらせば被害少ないだろう、たぶん。
そんなこんなで
彩葉ちゃんは学校へ
姫様は俺といる。
今日は定休日なので
アニメでも見ようと
思ってたんだけど…
そこの、宇宙人さんや。
俺のパソコンで何してるの?
姫様が俺のパソコンいじってた。
検索履歴とかは見るなよ。
プライバシーだぞ。
確認すると
通販サイトが映ってた。
…スマホとスマコンが
購入済みになってるけど
これ返品可能な奴?
あ、おい。
これ即日配送になってるじゃん。
返品無理じゃん。
お金って…
持ってないよね。
知ってた。
涙目やめて。
近づくなって。
上目遣いもだめ。
………わかったよ。
許すから。
それやめて。
ほら、アニメ見るから
どいたどいた。
宇宙人ちゃんも見る?
いやだって、名前ないんでしょ?
それじゃあ宇宙人ちゃんよ。
可愛くない?宇宙人ちゃん。
…可愛くないか。
まぁ、そのうち名前貰えるよ。
彩葉ちゃんとかに。
騒ぐな騒ぐな。
暴れないで。
いいや、無視してアニメ見よう。
…はぁ、やっぱラブコメいいわぁ。
キュンキュンするわ。
俺も彼女ほしいわ。
って、びっくりした。
横にいるなら声かけてよ。
これ?これはラブコメで…
そうそう、シンデレラと似たような感じ。
お姫様と勇者のラブコメでね。
魔王を倒して、これで最終回。
そう、これで結婚しておしまい。
結婚は…好きな人同士がするやつ。
彩葉ちゃんと結婚?
…できるんじゃない?
好きなの?
一目惚れかぁ。
そういうのもいいと思う。
姫様と適当に会話しながら画面を見る。
EDでは、キャラクターたちが
次々と映し出されていく。
かっこいい鎧を着た勇者。
抱き合うお姫様。
そして、結婚式に参列する仲間たち。
そんな幸せな光景の中で、
ふと、一人だけのカットが映し出された。
その姿が映ったあと、
EDは再び次の場面へと移っていった。
こいつ?
こいつは仲間の魔法使い。
魔王との戦いで姫様を守って
死んじゃったんだよねぇ。
バッドエンド?
まぁ確かに、生きてたら
一番よかったけどさ
でも、こいつは仲間を守れて
それで姫様が幸せになってくれてるのが
嬉しかったと思うよ。
…そっか。
確かに、姫様なら全員助けて
一緒にハッピーエンドまで行けるかもなぁ。
え、どした?
なんで、黙って…。
…あ、違う。
間違えた。
彩葉ちゃんがかぐや姫って言うから
引っ張られた。
忘れろ、宇宙人ちゃん。
慌ててその場を
離れてカウンターに向かう。
…記憶の処理は不安定っぽいか?
気をつけよ。
ほら、昼飯作るよ。
…オムライスでいっか。
◇
そのあとは一緒に昼ごはんを食べて
…自分で食べなって。
あーん?
距離感やば。
宅配受け取って
届いた?
携帯ゲーム機も買ってるじゃん。
まぁ、いいけどさ。
一緒に犬DOGEを作ったり
やばい、犬DOGEの顔が
三つになった。
ごめん、やらかした。
また、アニメを見て
膝に乗らないで。
距離感大事にして。
落ち着く?
…さいですか。
時間をつぶした。
そんなこんなで
おやつ時になりました。
もう三時か。
おやつ?
作るのめんどいな。
食べに行く?
行くかぁ。
じゃあ、パンケーキにする?
はい、分かったから勝手に出ない。
今日暑いから、帽子被りな。
俺の貸すから。
…って、なんで匂い嗅いでるの?
変な匂いしないよね?
大丈夫だよね??
あとでもう一回洗濯するか…?
加齢臭ではないと信じたいな。
◇
あぁ、店内涼しいぃ。
何にする?
宇宙人ちゃん。
呼びかけてみるが返事はない。
メニュー表から視線を上げると
そこには椅子しかなかった。
…姫様どこ行った?
店内を見回すと
彩葉ちゃんたちも来ており
そこに姫様がいた。
そして、勝手にパンケーキ食べてた。
おーい、勝手に人のもの食べない。
どこか行かないって約束したじゃん。
ごめんね、みんな。
ここは俺が払うから。
好きな物頼んで。
ほら、戻るぞ不良娘。
ん?なに?
…そっか。ここだっけか。
わかったよ、ちゃんと名前で呼ぶよ。
かぐやちゃん。
でも、勝手に人のもの食べたのは
謝りなさい。
◇
パンケーキ4枚、結構したな…。
まぁ、お詫びと考えておこう。
芦花ちゃんと真実ちゃんと別れて
三人で喫茶店に向かう。
あ、そういえばさ。
かぐやちゃんって今日どこに泊まるの?
個人的には彩葉ちゃんの
家がいいと思うんだけど。
…え、俺の家?
彩葉ちゃんも一緒に?
いや、だめでしょ。
彩葉ちゃんも嫌だろうし。
問題無い?
いや、こっちに問題があるからダメなのよ。
女子高生泊めるとか怖いって。
…いや、そりゃ朝日君とは何回か
お泊りしてるけどさ
それとこれとは違くない?
…違くないんだ。
うーん、いや、言われてみれば
そう、かも…?
…まぁ、いいか。
一応、紅葉さんに連絡しとこう。
あ、遅くにすいません紅葉さん。
今日、彩葉ちゃんがうちに泊まります。
はい?責任?
何言ってんですか?
…一応、許可取れたよ。
晩御飯のリクエストとかある?
晩御飯はカレーになった。
姫様結構食べたな。
姫様と彩葉ちゃんは
空いている部屋を貸しといた。
俺は自分の部屋でゆっくりすることにした。
いろはちゃんと姫様は
この後ヤチヨのライブに行くみたい。
これも、原作通りだよな?
なんか、宣言とかする感じだったよな?
…一応、確認のため俺も行くかぁ。
チケットももらってるし。
◇
ツクヨミのログインって
毎回溺れかけるの俺だけ?
ライブもすごい人いるし
適度に離れた場所から見よう。
センちゃんとも会えたら
よかったんだけど
最近ログインしてないらしいからなぁ。
一応、原作通りに進むか
ヤチヨのライブだけ見て
ログアウトしよう。
彩葉ちゃんとは…合流しなくていいか。
いろかぐの邪魔したら
あの邪神に殺されそうだし。
あ、ライブ始まった。
魚綺麗だなぁ。
あとヤチヨ歌うま。
俺も今度教えてもらおうかなぁ。
この歌ガチで好きかもなぁ。
あー、ヤチヨカップか。
これだわ。
朝日君だ。
ネットだとこんな感じなんだ。
今度いじろ。
で、姫様が優勝宣言すると。
うん、大体原作通りなんじゃないか?
これには邪神もにっこりだ。
帰って、明日の準備しよ。
あ、ヤチヨ久々っす。
ライブよかった。
歌うまいね。
また、今度遊ぼ。
これ握手券も付いてんだ。
でも、俺はいいよ。
他の人に行ってあげて。
それかあそこにいるイロって人に
長くしてあげて。
…するから涙目やめない?
あれか?アイドルのプライド的な奴か。
プロ意識凄いな。
はい、握手。
いつもお疲れ様。
今日も綺麗だった。
あと、好きだ。
あの歌。
今度、もう一回聞くわ。
なんて曲…どした?
え、あの手痛い。
そんな握らないで、つぶれる。
ちょ、これなんで痛いの?
VRだよね?
この後しばらく
無言で握られた。
ログアウトしたら
俺の部屋でかぐやちゃんが
配信してた。
…個人情報。
■
やばい、地球楽しすぎる。
彩葉たちとも会えたし
地球のご飯も美味しいし!
今日は彩葉と何しようかなぁ。
「いっろはー、おっはよー!…て、誰?」
「おはよ、前に話したでしょ?この人はこのお店の店長さん」
「あ、そうなの?はじめまして!」
「…はじめまして、よろしく!」
「てことで、今日は店長とお店で留守番ね」
「えー、彩葉どこ行くの?」
「学校」
「やだやだ!それって、そんなに大事なわけ?」
「命より大事。それじゃあお兄さん、今日はお願いします」
「あいよ、任された」
そう言って彩葉は出て行ってしまった。
「…ほんとに行っちゃった。ぶー」
「まぁ学校も大事だし」
「ふーん…。それじゃあ店長、何する?」
「んー、そうだねぇ。もう少し、掃除したいからこれ食べながら待ってて」
店長から朝食を渡される。
「えー、ひとりつまんないー」
あ、もういない。
ちぇっ、どうするかなぁ。
…うま。
もうご飯なくなっちゃった。
うーん、…あ、パソコン発見。
…へぇ、これに入れると今日中に届くんだ。
すごー。
えーと、これとこれと…これ
よし、おっけい!
「おーい終わったよ。俺アニメ見るから、それ返してー」
「えー」
「えーって、俺のなんだけど…って、何買ってるの?」
「あ」
ヤバ、バレた。
「スマホ、スマコン…これって返品可能なやつ?」
「さ、さぁ~」
「おいこれ、無理なやつじゃん。お金あるの?」
「ないよ?」
「だよね、知ってた」
あ、やばい。怒ってる。
どうしよ、どうしよ。
えーと、こういう時は…
「…ごめんね、許して?」
まずは涙目
「いや、泣いたって…」
そんで近づく
「近づいたって…」
あとは少し見つめれば
「…分かったからそれやめて」
涙目+上目遣い
あいては許す!
やっぱりこれだね。
前にやったときもこれで…。
…ん?誰にやったんだっけ?
先輩にだっけ?
んーと、確か部屋に泊まりに行こうとして
それで…
「ほら、アニメ見るからどいたどいた」
思考が中断される。
あれ?なに考えてたんだっけ?
「宇宙人ちゃんも見る?」
「んー、どうしよっかなぁ。って、宇宙人ちゃんって何?」
「いや、名前ないんでしょ?じゃあ宇宙人ちゃんだよ。可愛くない?」
「可愛くない!」
可愛いわけないでしょ!
どういうネーミングなんだ。
「だめかぁ」
「だめー、もっと可愛いのにして」
「…まぁ彩葉ちゃんがそのうち名前くれるよ。多分」
やっぱりくれないかぁ
まぁ、彩葉がくれるって言うんなら…
ん、やっぱり?
なんで、やっぱりって…あれ?
あ、もう一人で見てる!
しょうがなく、店長の横に座って
アニメを一緒に見る。
続きかららしく、話はよく分からないが
映像が綺麗なのとキャラクターが可愛いからか
普通に面白い。
「ねぇ、これどういうアニメなの?」
「うおっ、びっくりした。…これはファンタジー系のラブコメで」
「シンデレラみたいなやつ?」
「そうそう、シンデレラみたいなやつ」
そうなのか。
じゃあ足のサイズで判断するんだろうか?
「このお姫様と勇者のラブコメで魔王を倒して、これで最終回」
「ハッピーエンド?」
「だと思うよ。実際、今結婚式で楽しそうでしょ?」
「結婚?」
「あー、結婚は好きな人同士でするやつ」
へぇ、そうなんだ。
「じゃあ、私彩葉と結婚できる?」
「彩葉ちゃんと?…できるんじゃない?好きなの?」
「うん好き。はじめてみたときから綺麗で、自分があって、好き」
「一目惚れかぁ、そういうのもいいと思う」
店長が嬉しそうに笑った。
自分のことのようにうれしそうに笑った。
不思議だった。
流れていく映像を見る。
ドレス着たお姫様可愛い
勇者もイケメンだなぁ
んー、みんな幸せそうでいいね!
あれ、このローブの人だけ結婚式いなかったな。
「ねぇ、この人は?」
「この人は仲間の魔法使い」
「なんで結婚式いないの?」
「魔王との戦いで死んじゃったんだよねぇ」
「えぇ、バッドエンドじゃん」
全然ハッピーじゃないじゃん!
「バッドエンド?」
「だって、一人で死んじゃったんでしょ?」
「確かに、死んじゃったけどさ」
「こいつはそれで姫様が幸せになってくれたし、嬉しかったと思うよ」
反論しようとしたけど一瞬遅れた。
それはきっと、店長が
本当にそれでいいって顔をしてたからだと思う。
だから、少しムカっときた。
「私だったら、全員助けてハッピーエンドにするけどね!」
「…そっか」
「そうだよ!」
店長がこちらを見てくる。
「確かに、姫様なら全員助けて、一緒にハッピーエンドまで行けるかもなぁ」
店長が薄く笑った。
その笑顔をどこかで見た気がした。
姫様。
それは物語のお姫様じゃなくて、
私のことを呼んでいる気がした。
なんだろう。
嬉しくて、懐かしくて、寂しい。
よくわからない。
でも、もう一回呼んでほしかった。
「ひめさま…?」
「…あ、違う。間違えた。彩葉ちゃんがかぐや姫って言うから引っ張られた。忘れろ、宇宙人ちゃん。」
店長が慌てて、カウンター向かう。
「お昼ご飯何がいい?」
「ねー、もう一回姫様って言って」
「なんでもいいね?」
「もういっかい」
「じゃあオムライスで」
「ひ・め・さ・ま」
「少し待ってて」
むぅ…。
宇宙人ちゃんは少し嫌だ。
そこからはお昼ごはんを食べて。
「ねぇ、食べさせて?」
「…自分で食べなさい」
「じゃあ姫様って呼んで?」
「…はい、あーん」
「あーん。美味しい!」
「…距離感」
買ったものを受け取って
「やったぁ!これで遊べるの?」
「そうだよ、大事に使ってね」
「うん!ありがと!」
「どういたしま…って、携帯ゲームも買ってるじゃん」
「てへっ」
「まぁ、いいけどさ…」
一緒にゲーム機で犬DOGEを作ってみたり
「えーと…これで、それで…」
「できたー?」
「やばい、顔が三つの犬ができた」
「え、なんで?」
「ちょ、これどうやるの?」
また、アニメを見て時間をつぶした。
「膝乗るなって」
「えー」
「距離感だいじに」
「じゃあ姫様って呼んでくれる?」
「…さて、次の話をみるか」
「ちっ。でも、膝の上ってなんか落ち着くね」
「…さいですか」
ほへぇ、このアニメもおもろー。
あ、てか三時じゃん。
「ねぇ、おやつはー?」
「おやつ?」
「もう三時だよー」
「…どっか食べに行くか」
「え、いいの!いく!」
「いくかぁ」
やった!外に出れる!
お店もいいけど、外も見たいからね!
「パンケーキでいい?」
「アニメで食べてたやつ!?それがいい!」
「分かったから、飛び出さない」
「へへ、はーい」
「あと、暑いから帽子被りな」
そう言って、クローゼットの中のたくさんの
白い帽子から一つ渡される。
「え、多くない。白好きなの?」
「いや、別に好きではないな。汚れるし、洗濯だるいし」
「じゃあなんで?」
「大事な人と約束したから、ずっと被ってるって」
「へぇ、家族とか?」
「…そうね、そんなもん」
ふーん。
あ、いい匂い。
「かがないで」
「やだ」
「え、臭い?」
「んーん、臭くないよ?」
「じゃあ、かがないで」
「無理」
「えぇ…」
好きな匂いだった。
◇
店長とお店に入って
椅子に座ってると
彩葉を見つけた。
パンケーキを食べてたので
少しもらった。決して盗んだわけではない。
彩葉の友達もくれたし、いい人だぁ。
「つ~つつ、築地だよね。私のいとこ!」
「わぁ、美味しいお寿司屋さんおしえて~」
「お名前は?」
「あっ、え~っと…かっかぐや」
「かわよー」
「かぐや、かぐや!かぐやかぁ、えへへへ」
「おーい、勝手に人のもの食べない。どこか行かないって約束したじゃん」
後ろから店長に捕まれる。
「あ、店長」
「ごめんね、芦花ちゃん、彩葉ちゃん。俺が出すから、もう一個頼みな」
「え、いいんですか?」
「いいの?お兄さん」
「いいよ、いいよ食べなー」
「ほら、戻るぞ不良娘」
あ、店長め。
また変な名前つけて。
もう私には彩葉がくれた
名前があるんだからね?
「不良娘じゃなくてかぐや」
「ん?」
「かぐやだよ」
ふっふーん、これでもう変な名前で呼べないでしょ?
「…そっか、ここか」
「ほら、呼んでみてよ。か・ぐ・やって…」
また意地悪してくると思ったのに
「かぐや」
嬉しそうに呼んだ。
「よかったね」
目が合う。
胸が暖かくなる。
なんか、ずるい。
そんな顔もできるんだ。
いつもそれならいいのに。
「でも、人のもの食べたのは謝りなさい」
「…はーい。パンケーキもあーんして?」
「…謝れたらね」
ガタッ
「ごめんね、二人とも…なんか顔怖いよ?」
あれ、さっきまで優しそうだったのに…。
「…なんでもないから」
「…うん、なんでもないよ」
「そ、そう?ならいいけど…」
え、なにかした?
■
ライブ会場を上から見下ろすと
私のファンが待ってくれている。
その中にあの頃の自分と彩葉を見た。
今日始まるんだ。
分かっていたことでも
どうしても緊張してしまう。
もしどこかでボタンが掛け違えたら
この物語は終わってしまう。
未来はいつも不確定だ。
知っている通りに進むとは限らない。
それでも、やるしかない。
ふと、ライブ会場の端に真っ白な兎が見えた。
それだけなのに、緊張が少し和らぐ。
何の根拠もない、大丈夫という言葉が
心に浮かんでくる。
みんなのカウントダウンの声と期待と
いろんな気持ちが声で伝わってくる。
10、9、8、7
彼も見てくれてるんだ。
かっこ悪いとこは見せられないし。
6、5、4、3
それにこっちには魔法使いがいるんだ。
上手くいくに決まってる。
2、1、0
さぁ、始めよう。
「おまたせっ」
「神々のみんな今日も最高だった~?」
ふぅ、なんとかライブも終わった。
「最高のライブを約束するからみんなドシドシ参加してね!」
「一緒にハッピーになってめでたししちゃお~!」
ヤチヨカップの告知もできたしお仕事完了。
おっと、彩葉の顔が見られないことになってるな。
でも、そんな彩葉も可愛い。
「ヤチヨォォ!」
会場に私の名前が響く。
「かぐやがヤチヨカップ優勝する!」
「そんで、絶対コラボカップする!」
過去の私に名前を呼ばれるのも
なんか不思議。
「いとかわゆし」
頑張ってね、かぐや。
「ほいでは!ライブはいったんここでクローズ」
「みんなとちょこっとお話させてね」
「さらば~い!」
さて、久々にライブに来た薄情者に
会いに行きますか。
そして文句も言わねば。
って、ちょいちょい。
なに帰ろうとしてんだい。
「どこに行くのかな、お兄さん」
「あ、ヤチヨ久々っす」
「ほんとね~、全然来てくれないからさ」
「いやー、忙しくてね」
「本当に?」
「ほんとほんと、アニメ見たりとか」
「全然忙しくないじゃん!」
…ひどいやつだ。
「じゃあ、こっちで一緒に見ようよ」
「あ、見れるんだ。知らなかった」
「決まりね、また連絡するね」
やったぜ。
センも誘って、みんなで見よー。
「それじゃライブお疲れ様。やっぱ歌うまいね」
「あはは、ありがと」
「それじゃあ、また今度」
「はい、ちょっと待った」
「え、なに?」
せっかく、握手券付きのチケット渡したのに。
「そのチケットの左端になんて書いてある?」
彼がチケットを見る。
「あ、これ握手券付きなんだ」
「その通り。このいとうつくしき電子の歌姫との握手券付きなのです」
最近会えてなかったから、少しは私の相手もしてもらわないとねー♪
「あー、でも俺はいいよ」
「は??」
は?
「あそこにいるイロって人に長くしてあげて」
いや、それはもちろんするけど。
あ、やばい。なんか涙出てきた。
「…私と握手はいや?」
「ごめんて」
「行動で」
こんな面倒くさいことしたくないのに。
「はい、握手」
彼が手を握ってくる。
一気に気持ちが楽になる。
「えへ、最初からすればいいのに」
「はいはい、いつもお疲れさま」
む、てきとーだ。
「今日のライブ、どうだった?」
「今日もよかった」
「今日も?久々に来たくせに?」
うそつきめ。
「いや、いつも動画で見てたよ」
「ほぇ、ほんとにー?」
「だって友達が頑張ってんだもん。見るよ」
ちょい、うれしい。
…握手拒否は許してやるか。
「でも、やっぱ生は違うな」
「でしょ?」
「うん、きれいだった」
「ほひょっ…」
いかん、変な声が出ちゃった。
「これに懲りたら次のライブも「あと、好きだ」でひょっ…」
彼と目が合う。
………………。
…え、世界線変わった?
急に私の都合のいい世界線に移動した?
…夢か?私、AIだけど。
未来はいつも不確定、か。
今回はこういう世界も、ありだよね。
いや、もしかしたら前の時も秘密で付き合ってたのかもしれない。
大丈夫、これで輪廻は壊れないし。
多分、そんな影響はないはず。
それに結局、最後はみんなで彼を
共有すればいいんだし問題ないはず。
よし、めでたししちゃお。
「わ、私も「あの歌、今度もう一回聞くわ」…」
…こいつ。
クソボケが。
思わず手に力がこもる。
「え、あの手痛いっす」
「そんな握らないで、つぶれる!」
「ちょ、これなんで痛いの?」
「VRだよね?」
力をこめ続けた。