まだ無職っす。
うす神様、お久っす。定期報告っすか?
へー、そんなのあるんすね。
そうっすね、転生から一か月が経って、いろんなことがありましたよ。
大道芸の路上での許可証の取り方を学んだり。
新しいマジックを練習したり。
家庭菜園をしたりしてました。
…はい。いや俺だって頑張ってるんすよ。
仕事忘れてないですって!
でもその、ね?俺の彩葉ちゃんの知識って
美少女
超人
イケメン
母親と気まずい?
お父さん死亡
くらいで。
そのほかのことあんまり知らなくて…。
あ、でも父親はご存命でしたよ。今度、遊園地行くって言ってました。
因みにその、完全に原作と同じじゃなきゃ失敗ですか?俺死にます?
ハッピーエンドなればいい?
えと、つまりは彩葉とかぐやが出会って、原作通りになるなら過程は大丈夫ってことですね?
いろかぐが見れるならなんでもいい?
あ、はい(気持ち悪いな、この神様)
いえ、なんでもないっす。
自分神たまの使徒っす。
マジ尊敬っす。
へへ、ちょろいやつだぜ。
いえ、なんでもないっす。それ以外ですか?
それ以外だと彩葉ちゃんとはたまに会って、お話聞くくらいですね。
お兄ちゃんの愚痴とか
両親の好きなところとか
音楽の話とかそれくらいですね。
痛い痛い!ちょ、なんで魂こねるんですか!
やめて平たくなっちゃう!
推しキャラと仲良くしてるのがむかついた?
オタクキモ。
あ、うそっす。
やめて、そんな方向に魂曲がらないって!
あ、アァァァ!
◇
まったくひどい目にあった。
ありゃ神は神でも邪神に違いないね。
間違いない。
まぁ、それはそれとしてさ
いろはちゃん最近めっちゃ来るね。
何かあった?
うん、結構来てるよ。
昨日もきたし、その前も来てたでしょ。
一体どうやって俺の場所特定してるの?
告知とかもしてないはずだけど…。
勘なんだ…。
…すごいね。いや、本当に。
で、どうしたの?またお兄ちゃんに意地悪された?
お願いがあるんだ?
うん、いいよ。よほど無茶なものでなければ
この魔法使いが叶えてしんぜよう。
え?お誕生日会に来てほしい?
いや、無理だよ。
いやいや、なんでじゃなくてさ。
お兄ちゃん今年、18歳なの。
でも、お誕生日会に来る人たちっていろはちゃんのお友達なわけでしょ?
ちょっと、その、年齢が離れてて、その子たちも怖がっちゃうんじゃないのかなって。
あ、家族しか参加しないんだ。
じゃあ余計ダメじゃない?
いやだって、家族団欒の邪魔になるし。
確かに叶えるとは言ったけどさ。
これは無茶だよ。
いや、そんな泣きそうになっても無理なものは無理です。
最近お父さん、お母さんが大変そうだからお兄さんの魔法で笑ってほしかった?
………そうかぁ。
まぁ、誕生日くらい笑顔で祝ってほしいもんね。
うーん、うーん。
いや、うーん。そうねぇ。
…じ、事前にお父さんお母さんの許可が取れたら行くよ。
うん、許可が取れたらだからね?
嘘じゃないって、魔法使いは約束を守るよ。
電話?いいよ、しておいで。
まぁ、無理やろうなぁ。
だって確かお母さん弁護士だし。
厳しそうだったしなぁ。
でも、そうか。
いろはちゃんも寂しい思いはしてるんだなぁ。
なんか、甘いものでも用意しとくかぁ。
あ、電話終わった?
え?行けるって何が?
大丈夫って何が?
お誕生日来てもいいって?
え?
明後日のお昼頃に集合?
え?
ん?
お?
おぉ~?
◇
……来ちゃったよ。
え、本当に入って大丈夫なやつか?
入ったら住居不法侵入とかで死刑にならない?
壮大なドッキリの可能性は?
……まぁ、ここまで来たらやるしかない、か。
転生者いっきまーす!
ピンポーン♪
初めまして、私最近いろはちゃんと仲良くさせていただいている大道芸人です。
この度はお招きいただき、ありがとうございます!
本日は娘さんの誕生日おめでとうございます!
ひぇ、お母さんめっちゃ睨んできてますやん。
なんか俺のこともうすでに嫌いそうじゃない?
なんでだ?
確かに俺は自称大道芸人で
一回警察のお世話になってて
適当な言動だけど
いや、怪しいな。
怪しいわ。
え、これ今日大丈夫か…?
◇
大丈夫でした。
挨拶のあと、いろはと仲良くしてくれてありがとうってお礼言われちゃった。
照れちゃうぜ。
お母さんも睨んでたんじゃなくて、目が疲れていただけのようだ。
そのあとは一緒にお料理したり、飾りつけしたりした。
どうやら最近はどちらも仕事が忙しかったようで、いろはちゃんとあまり話せてなかったそう
そんな時、いろはちゃんの様子が急に元気になったようで、疑問に思っていたとのことだった。
その時期から俺についてよく話してたようで、だから今回は許可してくれたみたい。
ちなみにに今は準備は終わらせて
説明しよう!
ホイミ式マッサージとはホイミを掛けながらマッサージすることで
肩こりが消える
腰痛も消える
疲労もなんとなく軽くなって
めちゃくちゃ気持ちいい。そんなマッサージです。
医学的な根拠?
知らね。
魔法だからね。
ぐへへ、見ろよこの二人の顔。
美人とイケメンが俺の手で顔を赤らめて、惚けてやがるぜ。
エロいな!
特にお父さんの色気がやばい。
まぁ、仕事上座りっぱなしだしね。
しょうがないね、お仕事頑張っててえろいね。
おっと、そろそろ脳みそに支障が出てきたのでやめておこう。
まぁ、こんだけ回復すれば、しばらくは大丈夫っしょ。
え?もっと?
いや、もう時間ですし、そろそろ帰ってきちゃいますよ。
ほら、立って。お出迎え行きますよ。クラッカー持ちました?
いや、分かったからまた今度やりますから。
だから、二人とも起きてくださいって!
今寝たらだめですって!
ガチャ
あ、いろはちゃん。
えーと、その、ハッピーバースデイ…。
棒立ちするいろはちゃんと朝日君
うつ伏せで倒れるご両親
そして立ち尽くす俺
一発のクラッカーの音だけが部屋にむなしく響いた。
◇
いやぁ大変だった。
通報しようとする朝日君、なんとか朝久さんと紅葉さんを起こす俺、睡眠魔法…?と戦慄するいろはちゃん。
俺は朝久さんと紅葉さんを何とか起こし、通報しようとする朝日君を説得してもらった。
そのあとは朝日君に挨拶をして
お誕生日会を始めて
料理を食べて
俺のマジックを披露したり
一緒にゲームをした。
そんなこんなでもう帰る時間になっちゃいました。
朝久さん、すいませんこんな時間までお邪魔しちゃって。
ははは、またお邪魔します。
紅葉さんもお体に気を付けてくださいね。
また、疲れてたら教えてください。
マッサージいつでも来ますよ!もちろん朝久さんも!
朝日君もまた遊ぼ。
次こそゲームで勝って、頭撫でてやるよォ!
あと、俺のことお兄ちゃんって呼ばせるからなァ!
そして、いろはちゃんも改めて誕生日おめでとう。
俺の魔法はお気に召した?
…そっか。ならよかった。
え、プレゼント?
やべ、用意してなかったや。
なんかほしいものある?
また次のお誕生日もみんなと一緒に祝ってほしい?
いいよ。約束ね。
破らないよ、これは絶対だ。
だって魔法使いは約束を守る、からね。
そんじゃ、おやすみいろはちゃん。
■
楽しいお誕生日やった。
せやけどもう終わりの時間になってしもた。
最初はクラッカーの音より、お母さんがお昼寝してることのほうがびっくりしたなぁ。
だから、お兄さんが睡眠魔法で眠らせたのかと思ってしもた。
でも話を聞くと、どうやらお兄さんのマッサージで寝ちゃったらしい。
「わかりました、わかりました。またマッサージはしますから」
「ホンマに?嘘ついたら、許さんで?」
「ホンマっすホンマっす」
「僕もええかな?」
「もちろんいいっすよ。いつでも任せてください!」
お父さんも言ってるけど、お兄さんのマッサージって、そんなに上手なんかな?
今度習ってみてもええかも。
「へい、あーくん。また遊ぼうな」
お兄ちゃんは最初、通報しようとしてたくせに、いつの間にか仲良くなってお兄さんとゲームしてた。
……ずるい。
私が最初に一緒に遊びたかったのに。今もお兄さんと楽しそうに話してるし…。
「あーくんやめぇや。まぁ、たまにならええで。でも、次も俺が勝つけどな」
「舐めるなよあーくん!次はその頭撫でて、お兄ちゃんって呼ばせるからなァ!」
「誰が呼ぶか!あとあーくんやめろ」
でも、そのあと三人で遊べたんは、ちょっと楽しかった。
「おーい、いろはちゃん」
あ、お兄さん…。
「改めて、お誕生日おめでとう。魔法はお気に召したかな?お姫さま」
「うん、楽しかった…!ありがとう、お兄さん」
「そっか、ならよかった」
えと、なんか恥ずかしくなってきた。
なにか、なにか話さないと…。
あ、そうだ!
「そ、そういえばお兄さんプレゼントは?」
「やべ、用意してなかった。あー、なにか欲しいモノとかある?」
欲しいモノかぁ、急に言われると何も浮かばへん…。
えーと、えーと。
じゃあ…
「来年もみんなで祝ってほしい、なぁって…」
「うん、いいよ。約束ね」
「うん、約束」
「破っちゃだめだよ?訴えるからね?」
「え、こわ。大丈夫だよ」
「「魔法使いは約束を守る」からね」
お兄さんが少し笑った。
「…やるね」
「でしょ?」
私もつられて笑っちゃった。
「そんじゃおやすみいろはちゃん」