ラキングが6位に上がっていました。
皆様の応援、評価、感想のおかげです。
つたない妄想を書きなぐった作品ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
皆様からのご指摘もあり、タグを追加しました。
ありがとうございます。
はい、こちら転生者兼月人です。
今はバグでもあります。
あの音楽発表会以来、姫様はめちゃくちゃ明るくなりました。
原作よりちょっと適当過ぎる気がするけど、まぁ誤差っしょ。
そんなあの音楽気に入ってくれたんかね。
嬉しいねぇ。
まぁ元気になったなら、良かった。
いろかぐに発展しないと、俺死ぬっぽいからね。
それに今の姫様のほうが楽しそうだし。
そんな俺は今日も今日とてお仕事です。
週明けってマジでだるい。
俺は姫様の右側のデスクで
パソコンモドキでお仕事をする。
先輩は今違う部署に出向してるから
今部屋にいるのは姫様と俺の二人だけだ。
えーと、ここをこうして…?
あれがこうで、それがソーラン節で…。
…むず。
ちょ、姫様。
これ教えて。
えーと、このエラー出たときは
これが原因なんですね?
うす、了解しました。
え、お礼?
くれないと仕事教えない?
それは困る(切実)
じゃあ何がいいんですか?
難しいモノとか無理ですよ?
簡単?ほんとっすか?
名前?
名前がどうかしました?
付けてほしい?
誰に?
俺が姫様に?
ごめん、無理っす。
いや、嫌いとかじゃなくてさ
あの、あれ。
姫様の運命の相手が名前をつけてくれるはずだから。
俺じゃ無理。
俺?俺は運命の相手じゃないよ。
運命の相手っていうのは
あれだよ。
この前話したシンデレラの王子様的な奴だよ。
あぁ、そうそう。
足のサイズで判断するやべぇやつ。
まぁ、たぶん姫様の相手は
足のサイズでは判断しないと思うよ。
俺は王子様じゃないなぁ。
俺はあれ、シンデレラの魔法使いだよ。
姫様が幸せになる手助けをする感じの。
だからお礼は名前以外で頼む。
それはマジで俺じゃない。
ずっと一緒?
それがお礼でいいの?
おけおけ、いいよ。
魔法使いとの約束ね。
知らないの?
魔法使いは約束を破らないんだよ。
本当に?って
本当…いや
そういえば一個破ってるわ。
嘘つきって、言われてもなぁ…。
あれも事故みたいなものというか事故そのものだったし。
それに多分きっとあの子は元気にやってるよ。
それに今回の約束は破ら………。
…そういや俺そのうち帰るな。
………ちなみに破った場合、どうやったら許してくれる?
いや、破る気はないんだけどさ
もしかしたら俺が急に別の場所に行くこともあるじゃん?
ほら、この前だって地球に月と似た空間ができたとかで
何人か派遣されたじゃん。
もしかしたら俺もそれに選ばれるかもしれないしさ。
だからもし離れた場合に
どうしたら許してくれるかだけ教えてよ。
嫌じゃなくてね。
あるかもしれないじゃん。
そういう時に姫様に許してもらえないのは悲しいからさ。
それにずっとじゃないよ。
用事が終わったら、絶対姫様のもとに帰るからさ。
だから、俺が姫様と一緒にいるための方法を教えてくだしあ。
ハグして、ごめんって謝れば許す、と。
これは一回だけでいいの?
許されるまで何度でも?
えー、なんか恥ずかしいし
何度もはめんどくさ…くないです!
はい、その時が来たら何度でもやらせていただきます!
満足するまで付き合いますとも!
まぁ、大丈夫やろ。
あ、そうそう。
ちなみにだけどさ、これって他の人にも有効かな?
え、なんで近づいてくるんですか?
なんで拳構えてるんですか?
なんで笑顔なんですかっ。
ちょ、こわい。こわいって姫様!
ぐへっ…。
姫様の拳は割と重かった。
◇
お、久々っすね。
今日はなんのようですか?
え、あと一週間で帰れるんですか?
あざーす、神様。
あっぶね。
聞いといてよかったぁ。
■
いつもの仕事部屋にバグと二人。
先輩は今は別の場所で働いている。
あの音楽を聴いた後から
自分の中で何かが吹っ切れた気がした。
もっと楽しく、
もっと自分の気持ちを出していい。
そんな気がした。
「えーと、ここをこうして…?
あれがこうで、それがソーラン節で…」
バグを横目に見るとまた訳の分からないことを
つぶやいていた。
そーらんぶし?とはわからないが
バグは地球の文化を多く知っているので
恐らく地球の言葉か何かだろう。
そしてこういう訳の分からないことを言うときは
大抵仕事で行き詰っているときだ。
今は先輩がいないから必然的に…
「ちょ、姫様。これ教えて」
私を頼ってくる。
「しょうがないなぁ!どれどれ?」
「ここっす」
バグに頼られると嬉しくなる。
なんだか対等って感じがする。
でも最近は一つ不満がある。
「あー、これはねぇ。ここが原因だからこれを経由すると…」
「おーできた。はへぇ、これが原因なんすね?了解しやした、姫様」
この姫様呼びだ。
先輩は先輩で、バグは私が名付けてあげた。
ならバグは私に名前を付けるべきではないだろうか?
完璧な理論武装だ。
「ねぇー、バグー?」
「なんですか?」
「私、お礼が欲しいなぁって」
「あー、あとでもいいですか?今ちょっと忙し「もう仕事教えてあげない」…何が欲しいんですか?」
「あんま難しいものは無理ですよ?俺にできるのはボサツ殴って、逃げるくらいですからね?」
「いや、そんな難しいものじゃ、それちょっと見たい」
ちょっと見てみたい……。
「冗談っす。出来ません、そんなこと」
「なぁんだ。って違う!私が欲しいのは名前だよ!」
「…名前?誰が誰に?」
「バグが私に」
「俺が姫様に?」
「そう」
バグは私の顔を二度見して、ため息をついた。
なんだその態度はむかつく。
「ごめん、無理っす」
「なんで!私のこと嫌いなの?」
私は思わず距離を詰める。
バグはあからさまに動揺しながら
距離を離そうと器用に足だけでもぞもぞ移動する。
「それは姫様の運命の相手がつけてくれるやつですから」
「俺じゃないっす」
なんで…?
「バグは運命の相手ってやつじゃないの?」
「俺じゃないっすね。あれっす、この前話したシンデレラの王子様みたいなやつ」
「足のサイズで判断する人?」
「そうそう、その人」
「私足のサイズで判断する人はいやなんだけど…」
「いや、たぶん姫様の相手は足のサイズでは判断しないと思いますよ」
「ほんと?」
「…たぶん」
またバグがどこか遠くを考える声をしていた。
バグがたまに出すこの声は、私たち以外のことを考えているみたいで少し、嫌だ。
「バグは、王子様じゃないの?」
「俺じゃないっすね」
「じゃあバグは何?」
「俺は…あれ。魔法使いっすね」
「魔法使い?かぼちゃの?」
「そう、姫様が幸せになるのを手伝うやつ」
へんなの。
バグはもう私を幸せにしてくれてるのに。
バグがしてくれてもいいのに…。
「だからお礼は名前以外でよろ」
「うーん」
ここまで言うなら、バグは考えを変えないだろなぁ。
しかし困った。
それ以外なんて、考えてなかった。
あ、
「じゃあ、ずっと一緒にいるっていうのは?」
「ずっと一緒?そんなのでいいすか?」
「うん、前のけ者にされたとき悲しかったから…」
「ごめんて。おけ、魔法使いとの約束ね」
「なにそれ」
「知らないの?魔法使いは約束を破らないんだよ」
「えー、本当?」
「いや、本当だっ…」
バグはうつむいて、黙った。
「そういえば一回、破ってるわ」
「やっぱり、嘘つきめ…」
「嘘つきって、あれはなぁ…」
またバグが遠くを考えるように見えた。
やっぱり面白くない。
「大丈夫、今回は破らな…」
そしてまた何か言いかけて、考え出した。
「まぁ、この話とは関係ないけど……ちなみに破った場合、どうやったら許してくれる?」
「破る気だっ!?」
なんてやつだ。
「いや、破る気は俺にはないんだけどさ」
「その、急な用事で俺が遠くに行くこともあるかもしれないじゃん?」
「ほら、この前も地球に月と似たような空間ができたとかで、何人か派遣されたじゃん」
「だから、そうなった時、どうしたら許してくれるのか知りたいのよ」
「いつになく饒舌だね…そんなのいやだもん」
「いやじゃなくね」
「いやだもん、バグはずっと一緒にいるの」
「あるかもしれないやん。それに姫様に許してもらえないのは俺も悲しいしさぁ」
…こっちの気も知らないで。
「ほんとにかなしい?」
「悲しい悲しい」
「なんかてきとーだからだめ」
「うす」
これだからバグは。
「あれだよ、ちゃんと用事が終われば、姫様のとこに帰るよ」
「ふーん…」
「だから俺が姫様と一緒にいるための方法を教えてくだしあ」
しょうがないなぁ。
「じゃあねぇ、ハグすること!そしてごめんって言って」
「ハグして、ごめん?それでいいの?」
「そ。でもてきとーはだめだよ?あと許すまで何度もしてもらうから」
「えー、なんか恥ずかしいし。何度もはめんどくさ「ん?」くないです!」
「だよね?」
「何度でも、やります!」
「よろしい」
よし。
「まぁ、大丈夫やろ」
「なにがー?」
「うんにゃ、なんでもない。てか、これって他の人でも同じことしてもいいかな?」
は?
「え、なんで近づいてくるんですか?」
「なんで拳構えてるんですか?」
「なんで笑顔なんですかっ。」
「ちょ、こわい。こわいって姫様!」
ふんっ!
「ぐへっ…」
バグのばーか
■
「お兄さん、起きてる?」
そう声をかけながら病室の扉を開けた。
……返事はない。
「せやんなぁ…」
いつも通り、ランドセルを床に置いて
ベッドの横にある椅子に座る。
それから、今週あったことを話していく。
「最近お父さんとお母さんがね…」
「でね、お兄ちゃんもその時に……」
「それでな、あれから勉強も頑張ってテストで…」
「あとね、みきちゃんと明日は映画見に行くねん!」
「合唱コンクールでは、ピアノ弾くことになってん……」
「それからなぁ……それから……」
「うちもうすこしで11歳になるよ?」
「そろそろ、起きてよー」
窓の外では、夕日がゆっくりと沈みかけていた。
「きれいだなぁ…」