ダイソンスフィアプログラムが現実に来たら   作:ワタハン

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ダイソンスフィアからエネルギーを受信して対消滅燃料棒を作って
それを人口恒星発電機に突っ込めばGJクラスのエネルギーが発生する
火力発電の為に燃料運ぶなら対消滅燃料棒のがエネルギー密度が高いから少ない頻度で
安定した発電が出来る


離島に対消滅燃料棒を配達して火力発電を廃止するよ

「人工恒星発電機の分散設置計画」

 

そう書き足したノートを前に、俺は社長や技術陣を交えた会議で、真っ先にこう切り出した。

 

「最初にどこへ持っていくかを、慎重に選びたい」

 

技術的には、どこに置いても稼働する。だが、それをどこの国に最初に持ち込むかは、単なる技術の話では済まない。下手な国から手を付ければ、それだけで国際問題化しかねない。会議では、いくつかの候補が挙がった。

 

まず却下したのは、いきなり大国に持ち込む案だ。アメリカや中国、ロシアといった国々は、量子チップの一件以来、既にDSP社の技術動向に神経を尖らせている。そんな相手にいきなり「どこにでも置ける未知の発電機」を提案すれば、安全保障上の警戒がいっそう強まるだけで、話がこじれるのは目に見えていた。

 

社長が最初に提案したのは、意外にもシンプルな案だった。

 

「まずは国内、それも本土から離れた島嶼部から始めませんか。離島は慢性的な電力コストの高さと、災害時の送電網寸断が長年の課題です。国内であれば、これまで積み上げてきた実績もありますし、外交的な摩擦も最小限で済みます」

 

理にかなった提案だった。俺たちはこれまでも「目立たず、着実に」を合言葉にしてきた。ならば、まずは国内で実績を作り、それから外へ広げるのが筋だろう。

 

最初の設置先には、離島振興が長年の課題になっている南西諸島の一つが選ばれた。既存の内燃力発電に頼りきりで、燃料輸送コストが電気料金に重くのしかかっていた島だ。人工恒星発電機一基を、既存の発電所の隣に設置し、半年間の実証運転という名目で稼働を始めた。

 

結果は、拍子抜けするほど順調だった。

 

島の電気料金は、稼働開始から数ヶ月で目に見えて下がった。台風で送電網が寸断された際にも、島の中枢施設だけは人工恒星の電力で持ちこたえた。地元の新聞には「離島のエネルギー問題に一石」という見出しが躍り、島民からは感謝の声が相次いだ。

 

「これまでの重油の値上がりに毎年振り回されてきたから、本当に助かる」

 

そんな島民のインタビューが、全国ニュースでも短く取り上げられた。

 

国内での実績が出来た事で、次のステップは自然と見えてきた。JAXAとの繋がりを通じて、JICA――国際協力機構経由で、開発途上国、特に電力インフラが未整備な太平洋の島嶼国への技術供与を、正式な国際協力事業として打診する事にした。「クリーンエネルギー分野での国際貢献」という体裁を整えれば、表向きの説明は十分に筋が通る。

 

最初に手を挙げてくれたのは、慢性的な電力不足と、頻発する自然災害に悩まされていた太平洋の小さな島国だった。先方の政府関係者は、当初こそ半信半疑だったが、実際にデモ機の稼働データを見せると、態度は一変した。

 

「これが本当に、あなた方の国の一企業が独自に開発したものだと?」

 

そう聞き返された時、俺は例によって「長年の研究開発の積み重ねです」とだけ答えた。詳しく突っ込まれる事はなかった。向こうにとっては、出所よりも、確実に電気が使えるようになる事の方が、はるかに重要だったのだろう。

 

もっとも、反応は好意的なものばかりではなかった。

 

太平洋の島嶼国は、ここ数年、ロシアが積極的にインフラ支援を打ち出してきた地域でもある。日本発の企業が、そこに独自の発電技術を持ち込んだというニュースは、当然向こうの外交筋も注視する事になった。ロシア国営メディアの一部からは、「実態の不透明な技術を、検証も不十分なまま持ち込んでいる」という批判的な論調の記事が出た。

 

アメリカの反応は、もっと複雑だった。同盟国である日本の企業が、太平洋地域での存在感を強めている事自体は、悪い話ではない。だがその一方で、これまでの量子チップや防衛装備の一件を踏まえると、「得体の知れない技術が、また新たな地域に広がっていく事」への懸念も根強かった。

 

「日本政府は、DSP社の技術輸出に対して、どの程度の管理体制を敷いているのか」

 

そんな趣旨の問い合わせが、外務省経由でこちらにも回ってくるようになった。相変わらず、明確な答えを与えないまま、俺たちは慎重に一件ずつ実績を積み重ねていくしかなかった。

 

それでも、確かな事が一つあった。

 

最初に設置した島の島民から届いた、たった一通の感謝の手紙。「これで、子どもたちが夜も安心して勉強できます」という、その一文だけは、どんな国際的な思惑よりも重かった。

 

ノートの端に、俺はもう一言だけ書き足した。

 

「対消滅発電、人口恒星計画は順調なり」




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