【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
さりなの死から2か月ほどが経過した。
俺は宮崎から離れ苺プロダクションのすぐちかくのマンションへと引っ越していた。
その際に俺を引き取ってくれた天童寺家には絶縁を伝え実の父親の苗字である星野姓を名乗るようにした。
どうしてもさりなへの仕打ちを受け入れることができなかったからだ。
言いたいことや思うところは山ほどありそれ相応のことをしてやろうと考えたが、俺を育ててくれたことへの最大限の温情としてそれらを飲み込み、二度とかかわらないという選択肢を選んだ。
引っ越した俺の仕事は(アイの)予定通りマネージャー業務で、それはつまりB小町のマネージャーだと俺は思っていたのだが契約書を確認したところ業務はそれだけではなかった。
「苺プロダクションよりまいりました。『クロ』役の星野アイトです本日はよろしくお願いいたします」
何故か俺は苺プロダクションに新設された俳優部門『にも』所属させられてネットドラマの撮影に臨んでいた。
B小町の仕事は毎日あるわけではない。
その間はメンバーはレッスンがあるのだが、まだ事務所としての規模が小さい苺プロにおいて仕事を見つけてくるのは社長(一応基本的にはこう呼ぶことにした)やミヤコさんが主にこなしてしまうということで俺の時間が空いてしまう。
それを見越していた社長がこのような配置にした。
まぁ、別に何かをやりたいというわけでも何かをやりたくないというわけでもないので受け入れた。
軽い演技指導を受けてからオーディションを受けたらとんとん拍子でこのドラマ『未来へのカラー』で役をもらえてしまった。
本来は端役のオーディションのはずなのだが何故かメイン級へと抜擢されてしまった。
そして、この場にはある人物が来ていた。
「げ、劇団ララライから、きました!『シロ』役のカミキヒカルです!よ、よろしくお願いします!」
少しおどおどしながら少し小柄な彼は頭を下げた。
その場にいる人たちに挨拶を終え少し間が空いたところで彼は笑顔で俺のほうにかけてきた。
「アイト兄さんって役者だったんだね!共演できるなんてうれしいな!」
彼は目を輝かせて俺の手を握りぶんぶんと振った。
しっぽが生えてたらちぎれんばかりに振っていたことだろう。
彼がこの場にいるとは思わなかった。
神木輝、彼が俺のことを兄さんと呼びここまで懐かれているのには理由がある。
まず、俺を兄さんと呼ぶのは単純に彼が俺の血のつながった弟だからだ。
父親星野
尤もヒカルが生まれたのは離婚してすぐなので俺とヒカルは互いに面識がなかった。
面識ができたのはちょうどアイにスカウトの件で呼ばれたころだ。
親のことを調べている中で劇団に属しているヒカルのことを知り、その中で姫川愛梨という女から妙に執着されていることを知った。
さらに調べると姫川愛梨は若い男、いや幼い男の子に手を出すやばい人間だとわかり即排除に動いた。
彼女の夫上原清十郎に情報をリークしたところ離婚になり、その話が出回り姫川愛梨はこの業界をさった。
二人の間にはまだ赤ちゃんと言える年齢の子供大輝がいたのだけ少し申し訳なかった。
その子は上原側に引き取られたのが不幸中の幸いだろう。
ヒカルを守るために必要だと思い二人のDNAをこっそり調べたところ上原清十郎と大輝には親子関係が認められたためその点は杞憂に終わった。
姫川愛梨から守ってくれた兄が降って湧いて出たことでヒカルの中では俺はスーパーヒーローみたいになっているらしくとても懐いてくれた。
ちなみにその時のが原因で軽い女性恐怖症になってしまったらしい。
「事務所の方針で何故か役者をやることになってこのオーディションに参加したら選ばれただけだ。ヒカルは舞台じゃないのになぜここに?」
「舞台演技だけじゃなくてカメラ演技も学んだほうがいいって先輩に言われたから参加してみたんだ。ちょうど舞台講演がなくて少し間が空いたしね」
ぶんぶん振っていた手を放してヒカルは俺の背中に手を回して抱き着いてきた。
甘えられる身内ができてうれしいらしくたまに顔を合わせるたびにこの調子である。
あまりに嬉しそうにするのでつい肩を抱きしめ頭を撫でてしまう。
しばらくそうしているとある人物がこちらに来た。
「ずいぶん仲良しだな、お前ら」
「五反田監督、本日はよろしくお願いいたします。ヒカル、監督だ」
「あ、よ、よろしくお願いします」
俺が頭を下げて挨拶をしてヒカルにも促すと慌てて離れて頭を下げる。
今回のドラマの監督五反田泰志、オーディションでなぜか俺がメイン級へと抜擢されたのもこの人の一声があったとのこと。
まぁテレビではなくネットドラマということで少しチャレンジングな配置にしたというのもチラッと聞いた。
「今時はこういうのもオープンなんだな・・・」
「監督何かいいましたか?」
「い、いやクロとシロは仲が良い兄弟っていう設定だから、まぁ、さっきの感じでやってくれりゃあ十分だ」
五反田監督は片手を軽く振ってその場を離れた。
微妙に妙な勘違いをされた気がしないでもないが別に困るわけでもないので放置することにした。
ヒカルが少し嬉しそうに俺の手を握っているのにもきっと意味はないはず。
「さて読み合わせが始まるから行くぞ」
これが俺の役者としてのデビューであり、これがきっかけで役者業務が増えてしまったのは別のお話。
おにいさん「は?弟をいじめるとかまぢゆるせんわ!」
諸悪の根源「ぬあああぁぁぁ」
おとうと君「キュン!」
だいたいこんな感じ
ヒカルの親に関してはの名前はちょっとわからなかったので見落としていないことを祈ってこちらで命名
少し前までヒカリちゃんにしてしまおうかなぁと思ったのはここだけのはなし