【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
アイと話をして少し散歩しようと思いホテルを出て歩いていると、気が付けば俺は森の中におり、目の前には後ろに洞穴がある古い祠があった。
「そんなつもりはなかったのだが、これは誘われたか?」
俺は無意識にわずかに聞こえた烏の鳴き声に導かれるようにここに来ていた。
俗にいう神やら妖怪やらを信仰しているわけではないが、自分の生まれ等を考えるとそのたぐいのものがいてもおかしくない。
「そうじゃ。夜の子よ」
「っ!」
突如後ろから声が聞こえて、慌てて振り返りつつ距離をとった。
振り向いた先には白い長髪に着物を着た俺と同年代ほどの女性が立っていた。
雰囲気だけで、ただの人ではないことがわかった。
「そう警戒するでない。そなたに危害を加える気はない」
そう言われて『はいそうですか』と警戒を解けるほどこいつは常識の存在ではないのが直感的にわかった。
しかし、自分でも警戒したところで無意味だとは感じている。
だが、それでも警戒を解くわけにはいかない。
「ふふ、その眼で熱く見つめるでない。わらわも抑えられなくなるではないか」
一瞬で距離を詰められ彼女は顔を覗き込んできた。
その右の瞳はこれまで見たことのない黒い飲み込むかのような光をはなっている瞳だった。
瞳に飲み込まれる、という感覚が一瞬したのちに見えていないのに眩い星の光が見えた気がしてその感覚は霧散した。
「ほぉ、やはりこれでも己を保っておる。よほど強く目を焼かれておるようじゃな」
彼女はニヤリと笑って距離をとってくれた。
「それで、俺に何の用だ?」
わざわざこんな方法で俺をここに連れ出したのだから何かしら思惑があるのだろう。
人知が及ぶ相手でない以上、こちらの抵抗は無意味だとは思うがそれでも自分の精神を落ちつかせるためにも警戒は解かない。
「やれやれ、危害を加えないといったであろう」
「・・・要件は?」
「せっかちじゃな。なら単刀直入に言おう。忠告じゃ今すぐ星に手を伸ばすのはやめよ。さすれば死は免れよう」
星に手を伸ばすのをやめる。
その意味自体はすぐにわかった。
だが、その上で俺の答えは決まっている。
俺の返答が態度でわかったのか彼女はため息を吐き、その瞬間先ほどまで感じた神威とでもいうような雰囲気は消えただの人のような雰囲気になった。
「わらわの忠告も嘘だとは思っておらぬだろう?」
「あぁ、俺は死ぬのだろうな」
先ほどの忠告に対して俺は死ぬのを当然のように事実だとして受け入れた。
未来で俺は死ぬのだろう。
それも、ただ死ぬのではなく『彼女』を中心に何かしらの因果が巡って。
「覚悟の上か。妬けるのぉ」
「覚悟、か。少し違うな」
死ぬのを受け入れるのとは違う。
この感覚を示すのならばこれだろう。
「星に殉ずるならば本望だ」
さっきのが要件ならばもう俺は戻れるだろう。
そう思い俺は彼女に背を向け、ホテルへと歩きだした。
「ならば一つだけ神託を授けよう」
再び彼女から人ならざる気配を感じた。
思わず足を止める。
「星に殉ずるのならば星に満たされよ。空に殉ずるならば夜を渇望せよ」
振り返ると、そこには誰もおらず遠くで烏が鳴いていた。
「狐に化かされたならばかわいいレベルだったな」
瞳に残るあの飲み込むような黒い光があれは幻ではなかったことを教えてくれる。
「心に留めておくか」
俺はそう決めてホテルへと戻った。
そのころにはつい先ほどのやりとりを思い出せなくなっていた。
心にとどめた言葉と黒い光を除いて
ルート分岐条件
・特定の時期までに人知を超えた存在と接触をする。
・上記イベントで黒い光にのまれない。
・夜に寝る時間をとるようになっている。
・BADENDの条件を踏んでおらずハッピーエンドを封鎖されていない。
・特定人物の好感度が十分に高く依存度が規定値以下
・上記項目を特定時期までに満たす
なんてね