【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
公表はもう少しあとだがB小町の武道館ライブが1年後に執り行われることが決まったある日のこと俺とアイはある場所へと来ていた。
「苺プロから来ましたB小町のアイです!よろしくおねがいしま~す」
「劇団ララライの神木ヒカルです。よ、よろしくおねがいします」
アイが自分もドラマに出てみたいとのたまったところ、社長から『どうしてもやりたいってんなら演技指導くらい受けてこい』と返されていた。
そのまま無視するつもりだったが、当然の如く俺に話が振られたので仕方なく軽く調べたらちょうど伝手のある劇団ララライがワークショップを開いているとのことだったのでそこに行くことになった。
最初は俺が指導すればいいとアイがのたまっていたがそんな暇はないのと俺のやり方が参考になるかが微妙だったのでプロにまかせようということでここにきている。
何故俺も一緒にここにいるのかというと一緒に行こうとアイがごねた(毎度のことだが)のと話を通した際にヒカルが担当することは聞いたのだが心細いから初日は一緒にいてくれとヘルプが来たので一緒に来たのだ。
「少し、代表と話をしてくるから二人で進めててくれ」
「ちょ、ちょ、にいさぁん」
その場を離れようとしたらヒカルが泣きついてきた。
女性恐怖症だから急に二人きりにされるのが怖いのだろう。
できれば先に話をしたかったのだが仕方ない。
というか、その短い時間も無理なほどとは思わなかった。
ここ数年結構な頻度で顔を合わせてはいたが確かに周囲に女性はいなかったから改善しなかったのだろう。
「ちょっと待って。兄さんってどういうこと?」
アイが目を妙にギラギラさせて聞いてきた。
その様子にヒカルはヒッと小さな悲鳴を上げている。
「ヒカルは俺の血のつながった弟なんだ。だから仲良くしてくれるとうれしい」
「へ、へぇ、そ、そう、なななんだ」
普段の様子が見る影もないほどアイは動揺していた。
確かにこれまで説明したことがなかった。
ヒカルはその様子を見て急に先ほどまでの怖がっている様子はなくなり堂々と胸をはり俺の影から出てきた。
「はい。僕はアイト兄さんの血のつながった弟です。よろしくアイさん」
そう言ってヒカルは握手を求めて手を差し出した。
その瞳はなぜかギラギラする光が見えた気がする。
「く・・・アイトの妹のアイです」
悔し気にアイは握手に応じた。
「ふ~ん。アイト兄さん、やっぱり大丈夫だから行ってもいいよ」
先ほどまでとアイとヒカルの表情が逆だった。
あんまり大丈夫とは思えないがさっさと用事を済ませたいのでお言葉に甘えることにしてその場を離れた。
その際にアイの表情がまるで親に捨てられたかの如く絶望していたように見えたが気のせいだろう。
「金田一さんお久しぶりです」
「ああ、久しぶりだね天童寺君」
「今は星野です」
「そうだったか。すまないな」
劇団ララライの代表金田一敏郎、俺がこの劇団で面識がある数少ない人物だ。
彼との出会いはヒカルに出会う少し前になる。
俺の代理人の提案で芸能界周りに伝手を作るといろいろな情報が入りやすくなるとのことでいくつかの芸能事務所や劇団にスポンサーとして金を落としていた。
そして、そのタイミングでヒカルのことがわかり劇団ララライに口出しをしやすくるためにスポンサーとなった。
そこで金田一さんと出会い今に至る。
「いやぁ急に連絡きたから今度は誰がやらかしたのかと」
お互いの脳裏にある人物が思い浮かぶ。
劇団ララライに所属していた二人の俳優。
片方はまだここに残っているようだがもう一人は業界そのものをさった。
「別に誰がやらかそうと俺は構いませんよ。身内に手を出さなければ」
「こわぁ・・・そうだせっかくだから星野君も一緒に稽古に参加しないか?ちょうど今主役がまだ来てなくてね。君なら稽古場代役できるだろ?」
「急に言われても無理だと」
「いや、キミはできるね。君の演技は見たことあるし、たまに神木に付き合ってやってるのは聞いてるよ。そりゃあもう自慢げにね?」
そう言って金田一さんは台本を俺に渡してきた。
確かに俺はたまにヒカルと会う際は彼の出る舞台の読み合わせをしたりしている。
どうやらそれを金田一さんに話していたらしい。
「少し読むので待っててください」
仕方なく、頭のスイッチを入れて台本の文字を流し込んで行き世界を構築していく。
ちょいと分割します