【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
武道館ライブまであと1か月まで迫った。
これと言ってトラブルもなく順調にいっており俺も社長もミヤコさんもホッとしている。
ここ数か月で俺に起こった変化、というかヒカル関係のことがあげられるだろう。
ヒカルに何か起きたというよりはヒカルが俺にしたことが多い、という印象だ。
例をあげるなら以前より俺の部屋に来る頻度が増えたり、俺の睡眠を心配してか睡眠前に服用する血行を良くする漢方や、体にいいらしい少し独特な香りのするお香をくれたりした。
どういう物かは特に調べていないが、そういうのを調べるのは気を使ってくれたヒカルに対して失礼だからと思い調べていない。
その漢方やお香の効果があってか睡眠が深くなったような気がする。
目が覚めた時に悪夢を見ての冷や汗ではなく普通の寝汗をかいてビシャビシャになっているというのはここ2か月で初めての経験だった。
それまでは起きた時に妙に体が暖かいくらいだったが、そのさらに先という感じだ。
軽くヒカルにその旨を伝えたら当然だが起きたら何をするにしても真っ先にシャワー浴びたほうがいいという結論になった。
強めの睡眠薬で無理やり眠っており、効果が切れたら起きるという生活を送っているがもう少しすれば無しでもちゃんと眠れるようになるかもしれない。
また、アイは劇団ララライでの演技練習もライブの準備を並行して行っておりヒカルとは仲が良いらしい。
金田一さんが言うには喧嘩するほど仲がいい、みたいな関係性とのこと。
アイが行く日は(もう一人で行かせている)休憩時間になるとヒカルから報告が入る。
別に報告を頼んでいるわけではないが、きっちり1時間話をしている。
まぁ、報告だけでなく世間話や近況報告も含んでいる。
途中で切ろうとすると悲しそうにするから毎回1時間きっちり付き合っている。
その間、アイは放置なのか聞いてみたら電話をするためにスタジオがある建物の屋上にいるというのは伝えてあるらしい。
休憩時間中は関与しないという方針とのこと。
ただ、それもここ3か月ほどでなくなり数分程度の連絡だけになった。
それぐらいのころになるとアイもある程度演技についてわかるようになったらしく、『私天才だからそろっと行かなくていいかなぁ』とのたまい始めた。
一応ヒカルに確認したところ少しだけ渋い顔をしながら『役次第・・・かな』と明らかに困っていた。
俺としてもヒカルの言わんとしてることは理解できた。
良くも悪くも演技するにしては今のアイは主役級しかこなせない。
存在感は間違いなく主役なのだが、脇役にその存在感は不要となる。
コントロールできるようになれば役者としてもアイドルとしても存在感のメリハリのおかげで一皮むけるのだがまだ先は長そうだ。
「・・・ふぅ」
ため息を吐き暗くなり始めた空を見る。
まだ明るさが残る中で輝く星が『いくつか』見えた。
「きれいだな」
その星が妙に目に焼き付く。
まるでそれを見るために生きているかのように心が満たされていく。
「・・・!?」
気が付けば横に見知らぬ男性が立っていた。
全身黒い服でフードを深くかぶっておりフードの隙間から金髪が見える。
本能的な嫌悪感を感じ、俺はとっさに距離をとった。
「おいおい、いきなり失礼だな?」
聞いたことがない声だった。
「・・・?」
今、俺は自分自身の感覚に疑問を抱いた。
聞いたことがない、と感じたはずなのに俺の『記録』は知っていると判断している。
考えているとそいつがこちらを見た。
顔は見えているはずなのによくわからなかったが、その瞳は記憶に残る黒い光に似た瞳だった。
思考にノイズが走り、頭が回らない。
「な!?」
その直後、一瞬で至近距離に近づかれ奴の目を見てしまった瞬間、世界が暗くなり沈んでいくかのような感覚に襲われた。
しかし、暗くなった瞬間複数の星が瞬き世界が明るさを取り戻し先ほどの感覚は消えた。
それに気が付いたのか目の前の男は舌打ちをして顔をそらした。
「つまらねぇ。もう、お前には用はない」
理由はわからないがその男は心底失望しており、それだけ言って去っていった。
ただ漠然と、俺はその男とは二度と会うことはない。
そう確信に近い何かを感じた。
「なんだったんだ?」
考えるも答えはでない。
いや、俺はその人物のことをまともに思出せなかった。
不安になり、空を見上げる。
いつの間にか完全に夜になっておりきれいな星々が空を飾っていた。
それだけが俺を癒してくれた。
そんな気がした。
→To Stars
To Night Sky
ルート分岐条件
・瞳に星を宿している
やっと次からは原作時間に入れそうです。