【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
双子がしゃべるのでアイト君、不在です。
アイがアイドルとして復帰して数カ月、B小町は快進撃を遂げているわけではなかった。
もちろん売れていないわなくコンスタントにいろいろなとこで見るが、私が思う以上に爆発的に露出が増えたわけではない。
それに関してはB小町のレベルそのものが高いからで喜びこそすれ落ち込む要素でないのだが、ソファの上でアイが給与明細を見ながら落ち込んでいるのを見ると少し悲しくなる。
ちなみに藍斗君は他のB小町のメンバーのミニライブの方にマネージャーとして出向いているため不在だ。
「今月の給料24万・・・ねぇうちの事務所給料しぶいよぉ」
年齢と金額を考えればもらえているほうだが、アイの頑張りを知る身としてはもっともらえるべきだとは思う。
アイはテーブルでパソコン作業をしているミヤコさんに愚痴るが返ってきたのはため息だった。
「何をいまさら言ってるの?それでも他の事務所よりはマシなのよ」
「これでマシかぁ」
納得いかないのか足をぶらぶらさせている。
不満そうなのかわいい。
声にはだしていないがルビーも同じ意見らしく目をキラキラさせて笑っている。
「他の事務所だったら衣装代は天引きだし、交通費は自腹というか自分で移動が基本で車なんて出さないしできない場合も足代は出してるし、メイク代だってしっかり手当がでてる。その給与がちゃんと給与としてすべて使えて仕事に回さなくていいんだから充分でしょ?」
話を聞く限りかなりの好待遇だ。
おそらく他のメンバーも同様の待遇ということを考えると芸能事務所の標準はわからないけど通常の会社員とか、そのレベルではもらえている。
それこそメンバーの年齢を考えたら破格ともいえる手取りだろう。
「というか、そこまでサポートしてもらって文句言ってたらアイトさんが悲しむわよ?」
「なんでそこでアイト?」
唐突に出てきた名前にアイだけでなく私もルビーも首を傾げた。
「お金周りはアイトさんがいろいろとやってくれてるの。あなたたちの純粋な活動だけだとそこまでは補助できないのよ」
「え、もしかしてなんかやばいことやってるの?」
「そんなわけないでしょ?アイトさんの伝手でスポンサーを紹介してもらってるのよ。
「あ~、あったっけ?」
覚えていないらしくアイは視線をそらした。
天星ライフは数年前にできた会社で医療・食品・美容関連の商品を作っている若いのかなり大きな会社だ。
というかB小町をCMに起用とはわかっているひとがいるらしい。
「せめて本人たちの前ではちゃんとしてよね?そのおかげでウチの事務所はあなたたちに潤沢なサポートができてるんだから」
「はぁ~い・・・ん?それじゃアイトってめちゃくちゃもらってるんじゃ?」
「あら?聞かされてないの?」
ミヤコさんはさも意外だ、と言わんばかりの表情を浮かべた。
もしかして本当にとんでもない金額をもらっているのだろうか?
「彼の給料はあなたより圧倒的に少ないわよ」
「「「・・・は?」」」
まだしゃべれることを隠している私とルビーでさえ思わず声が漏れた。
「アイさん、彼が苺プロで働くようになった経緯はわかるわよね?というか、あなたのわがままが理由よね?」
「あ~、うん」
心当たりがありすぎるようでアイの目が泳いでいる。
普段の言動から察するに相当無茶を言ったのだろう。
「それで彼の方から少なくて構わないって申し出が出たのよ。社長も見合う額払おうとしたけど、そしたらなんて言ったと思う?」
「え?アイの為なら金なんていらないよ!とかか?いや~愛されてるね」
「はっ!」
「鼻で笑われた!?」
イメージしたが、アイに対してそんなことを言う藍斗君が想像できずなんか、なんか鼻で笑っていた。
というか、ミヤコさんにも鼻で笑われている。
逆にさりなちゃんをイメージしたら逆に『いくらでもこちらが出す』とか言い出しそうだ。
「ここの給料では俺の資産の端数が変わる程度だから意味がない。それなら少しでも運営資金に使え、よ」
予想外の答えが返ってきつつもなんとなく納得した。
数年前でもとんでもない額を稼いでいて、それから時間が経ってるのだから当然かもしれない。
逆にアイとルビーは驚きのあまりポカーンとしている。
「本来ならもう働かなくていいほど稼いでいるのよ。それなのにここにいて手伝ってくれてるのだから少しは感謝しなさいね」
「うん、いつも、思ってるよ」
ミヤコさんの言葉にアイは少し目をつむり思いを込めたようにつぶやいた。
まるで何かを思い出すかのように。
「それで、なんで急にお金のこと言い始めたの?これまでそんなこと言ってなかったでしょ」
「いや~、世の中結局お金だって気づいたの」
「あらずいぶん時間がかかったわね」
アイの言葉にミヤコさんは少し皮肉めいて返した。
私としてもアイドルにそんなこと言ってほしくないが、結局金なのは否定できない。
それでも、金で解決できないことがあったのを私は目の当たりにしてしまったけど・・・
「学校だって、習い事だって、何かをさせようと思えばお金がいる。食べ物や服だってそう。もっと稼がないとこの子たちを幸せにできない」
それは一人の少女、ではなく母親としての言葉だった。
「アイトさんに言えばいいじゃない。あの人なら双子のためならお金なんて」
「ダメ!」
ミヤコさんの言葉にアイは立ち上がり強く否定した。
その表情からただただ後ろめたさだけが伝わってきた。
しかし、すぐにはっとして笑顔になっていた。
「この子たちを産んだのは私のわがままだから、何も言わないでこれ以上よりかかれないよ~。あ、レッスンの時間だからいってきまー」
いつものケラケラ笑うような感じでアイは荷物を持って出ていった。
さっきの『ダメ!』という時の感情がおそらくアイの本当の気持ちなのだろうか?
私にはまだわからなかった。
ルビーちゃんの肝臓献上計画はカットとなりました
ほぼ原作通りだけど、今後に必要な要素はいれたのでよし!(現場ネコ)
どっちかというと次回のための前振りです
次回はアイとヒカルの会話回です
15時ころ投稿予定