【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
ヒカル君パートです
アイはお金関係で兄さんに負担かけたくない旨の愚痴こぼした後、吐き出してすっきりしたのかコーヒーを飲み干して帰っていった。
ちなみに支払いは僕がするから先に帰っていいと伝えて、僕は喫茶店に残っている。
そして、しばらくすると僕の今日の本当の待ち人がきた。
「すまない、少し仕事がおしてな」
「ううん、全然大丈夫だよ。兄さん」
変装をした兄さんが先ほどまでアイが座っていた椅子に座った。
今日は別に特に相談があるわけではなく、ただ兄さんの都合がついたからお話がしたくて来てもらっている。
兄さんの部屋は今使えないから集まる場所がどうしてもこういう場所になる。
「先ほどまでアイといたのか?」
「ん?もしかして聞いたの?」
タブレットでコーヒーを頼みながら兄さんは聞いてきた。
「聞いたというか、ヒカルにあう旨を伝えたら『私に会ってたのは暇つぶし!?』って怒ってたからな」
「ああ、なるほどね」
おそらくさっきの会話で兄さんに会いたくて早く帰ってくるよう催促したら、兄さんから予定を伝えられたのが予測が付く。
「ありがとう」
「え?」
急に感謝されて驚いてしまう。
兄さんに感謝されるのはうれしいけど理由がわからない。
「アイはガス抜きがへたくそだからな。俺には言えないことが多くて吐き出せないのだろうけどヒカルには吐き出せるようだからな」
「僕としてはたまったものじゃないけどね」
その分、僕も兄さんのことをしゃべってるからお相子だ。
こんな風に代わりに礼を言うなんて兄さんは優しいな。
そう思うとそれをやってもらってるアイに嫉妬しそうになる。
まぁアイもきっとそういうことをしゃべってくれる僕に対して嫉妬するのだろう。
僕とアイは似ている。
考え方も悩み方も、そして、大切にしたい人も。
だからこそ、僕はアイを『利用』した。
アイは思いついたら実行してしまう性格だと思った僕は合鍵を盗ませるようにアイには『近くに鍵屋があること』『作るのには1時間かからない』ことを会話でちらつかせた。
具体的には『このあいだ、家の鍵をなくしたけど、すぐそこの鍵屋であらかじめスペア作ってたから大丈夫だった。作るのにも1時間かからなくてすぐだから念のためにやっておいた方がいいかも』みたいな会話だ。
そして、アイが盗みやすいように毎回1時間ぴったし屋上で兄さんに電話をするようにした。
屋上からはアイがスタジオを抜け出して鍵屋に走っていく様子がはっきりと見えた。
複製したであろうことを確認してからは僕は可能な限りアイと会話をして行動を煽るようにした。
それに関しては僕が聞いて実行できる状況ならしてしまうようなことを言えばよいだけだから簡単だった。
兄さんと添い寝やら兄さんとの子だなんて、したいし作りたいに決まっている。
それだけでなく兄さんの方にも仕込みをさせてもらった。
アイの性格上、兄さんに直接頼むなんてことはしないのがわかっていたから状況的には睡眠薬で眠っていることを知っている深夜に忍び込んでだろうというのが容易に予測できた。
そうでなければこんなこそこそ鍵を作ったりしない。
ちゃんとアイには兄さんは睡眠薬で寝ると3時間は何をしても起きないと僕が詳しいとマウントとるようにしながら伝えてある。
兄さんには興奮作用のある漢方やお香で眠っていてもちゃんとできるように、そして匂いのごまかしができるようにお香の香りも独特なものを選んだ。
それらの状況を作ったことでアイは実行したらしく、兄さんから汗でびしょびしょだとの連絡をもらったときはうまくいったうれしさと嫉妬で脳が破壊されそうだった。
ただ、これらは別に僕がやるように言ったわけでなくアイが勝手にやったからアイは罪悪感を感じている。
僕としてはアイがそんなことを感じているのはどうでもいい。
僕が女性だったらそもそもこんな周りくどいことをしなくて済んだのに、兄さんとできたのをもっと喜ぶべきだ。
まぁ、若干気持ちはわかるが喜びに比べれば大したことじゃない。
僕がこんなまわりくだいことをしてまで兄さんの子供を作ってもらったかとういうと、兄さんに死んでほしくないから。
ある日、僕にはわかってしまったのだ。
生きることに疲れてしまっている兄さんは生きるための理由が『ほぼ』ないのだと。
今はなんとか生きているがその僅かな理由がなくなったらもう生きる気はない。
だからこそそれまでに命を燃やしつくすかのようにアイに、B小町に、苺プロに、僕にと行動している。
僕にはその心の支えが何かはわからなかった。
それなら、新しい支えを作ってあげればいい。
でも、それが縛り付ける枷になってはいけない。
そして、僕が目を付けたのがあの日ワークショップに来たアイだった。
兄さんがアイを大切にしているのはわかったので、アイに子供を産んでもらえば兄さんはその子を大切にするだろう。
少なくとも大きくなるまではそのために生きてくれるだろう。
そう思って僕はアイを『利用』した。
これがばれたらアイからは文句を言われるかもしれないが役得だったと思って受け入れてもらいたい。
「なんか二やついているがどうした?」
「いや、兄さんとゆっくりとした時間を過ごせるのがうれしくて」
企んでいるときのことを考えて表情に出てしまったらしい。
今はうまくいっている。
アイには兄さんの負担にならないように犯罪だということを前面に出して行動を制限させている。
それも自分ではなく、兄さんが捕まる可能性がある旨をつげて。
それぐらいの嫌がらせは許してほしい。
僕は大切にしてもらえても支えになれないのだから。
はい、アイさんとヒカル君の思惑が重なり双子ちゃんが産まれたわけですね。
アイさん的にはアイト君が父親をやっていても、それが本当か建前かが未来を分けるとみているようです。
ちなみにうちに登場するアイさんが嘘をつく時はアイト君とは目を合わせていません
ヒカル君もまた子供を理由に生きてほしいけど、枷にはなってほしくないと互いに本当に大切な部分は話しておらず、互いに後ろめたさと犯罪を建前にアイト君には隠しております。ヤンチャが過ぎるね
ちなみに先に父親を話した場合アイさんの未来の一つはまだましなやつで、基本的には感想欄に来たように自分がすべての罪をかぶるとして首を吊るデッドエンドでした。
危なかったねぇ