【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない   作:C-RhYme

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第三十三話 紅い宝石の夢

 

B小町のミニライブでついアクアと一緒に本能に従ってママを応援してしまってから一月ほどが経過した。

 

ママの仕事が増えたらしいということ以外は特に変わったことはない。

 

正直、お兄ちゃんから何かしらのアクションがあるかと思っていた。

 

あの日はマネージャーさんが社長さんとお兄ちゃんにとんでもなく怒られていてかわいそうだったけど、お兄ちゃんが私に何も反応していなかったのが少しショックだった。

 

もしかしたら気が付いてくれるかもしれないと心のどこかで思っていた。

 

もちろん、ヲタ芸をしていた時はそんなこと考えていなかったけどいつもライブ映像を見ながらさつきせんせとやっていたのを横で見ていたお兄ちゃんなら気が付くかもって。

 

 

「はぁ・・・」

 

「どうしたのルビー?」

 

「なんでもないよ」

 

 

ベビーベッドで思わずため息を吐くと横にいたアクアが話しかけてきた。

 

最近はよく眠れているのか欠伸もなくなっているし、お兄ちゃんに甘やかされて寝ているせいか肌つやもよくうらやましい。

 

今日はお兄ちゃんが私たちの面倒を見てくれてるけど、今は少し離れた場所でパソコンで作業をしている。

 

私の前世の兄、藍斗。

 

心のどこかで気が付いてほしいと思いつつも、まだ気づいてほしくないという二つの心がある。

 

その理由は、今私がさりなだと気づかれるとお兄ちゃんの中で私は血がつながっていないとはいえ完全にさりな=娘ということになる。

 

私としてはそのイメージを持たれるのは困るのだ。

 

少なくとも私が結婚できる年齢になるまではばれたくないという私の中の理性と打算が声を上げている。

 

私の目標はママがアイドルになった年齢でアイドルデビューして結婚可能な年齢になったら、お兄ちゃんに血がつながっていないことを知ってるってことと私がさりなということを告げて結婚してもらうこと。

 

そちらからは手を出してこないだろうけど、私が無理やり迫ればお兄ちゃんはきっと困ったように笑いながらも最終的にはうなずいてくれる。

 

その際に子供ができちゃっても大丈夫なのは身近に見本がいるからよし。

 

まぁ、恋のレースには卑怯もないしルール違反も無用だもんね。

 

あの時、ちゃんと約束してくれなくて強硬手段を取らせてしまうお兄ちゃんが悪い。

 

必ず後悔させてやる(幸せにしてやる)。

 

 

「ルビー、アクアマリン、そろそろママが出るテレビが始まるぞ」

 

 

時計を確認したお兄ちゃんが私たちのいるベビーベッドまで来て私たちを抱き上げた。

 

お兄ちゃんの温もりが伝わってくるだけ、先ほどまでの考えがすべて消し飛ぶほどの幸せを感じる。

 

さりなの時は転んだ時に抱きかかえてくれることはあったけど大きくなるにつれてこういう風に抱きしめたり抱っこしたりがなくなっていった。

 

期間限定の幸せは堪能しなければ損だ。

 

お兄ちゃんは私たちを抱えてテレビの前のソファに腰を下ろした。

 

ミニライブ以降テレビを見る時、お兄ちゃんは私たちを抱えたままで基本的に離してくれない。

 

チラッと聞こえた話だと体がまだできていないのにサイリウムを振り回したことでマネージャーをしかりつけたのと、こっそり与えようとしたママにお説教したとのこと。

 

そして、家でそういうことができないようにママの映像を見る時は私たちを捕まえているらしい。

 

心配性だなぁと思いつつも私たちの為と思うと胸の奥が温かくなる。

 

 

「ルビー、そんなジッとこっちを見てると見逃すぞ」

 

 

気が付けば私はテレビでなくお兄ちゃんをジッと見つめていたようでお兄ちゃんは少し困ったように微笑んでいた。

 

その時にお兄ちゃんの目の下にメイクで隠している隈があることに気が付いた。

 

また、無理をして誤魔化しているようだ。

 

本当にこの兄は昔から変わらずに平気なふりをする嘘をつく。

 

 

「きゃうー!」

 

 

ばれているマネージャー以外の前では年齢的にまだしゃべるわけにはいかないからそれらしい声を出してからお兄ちゃんの首にしがみつくように抱き着き頬をぴったりと合わせる。

 

お兄ちゃんは少し疲れていたり、瞳が少し曇っているようなときにこうしてあげるとまたいつものお兄ちゃんに戻ってくれるから時々こうして癒してあげている。

 

それでもダメな時がたまにあり(確かミニライブ直後くらいがちょっとひどかった気がする)、その時はさりなの時にやっていたように目をジッと見つめてあげている。

 

そうすると暗くなっていたお兄ちゃんの瞳は星いっぱいかと思ってしまうぐらいの輝きを取り戻し元気になってくれる。

 

 

「あう、きゃっ!」

 

 

視界に今の私と同じような髪が入る。

 

前は違ったけど今回は奇跡的にほとんどおそろいな髪色なのがうれしい。

 

お兄ちゃんは私の代わりに伸ばしてくれてたつもりだろうけど、本当は私が単純にお兄ちゃんの髪をいじるのが好きだった。

 

どんな髪型にしちゃっても受け入れてくれて、病院の人に『妹がしてくれたんです』と堂々と自慢げに言ってくれるのを見て笑みがこぼれた。

 

いつかお揃いの髪型でデート、なんてシチュエーションをどれだけ思っていたことか。

 

今度こそ、その夢をかなえられる。

 

 

「ずいぶん嬉しそうだなルビー」

 

「あぃー!」

 

 

健康な体になって、好きな人と最推しが常に傍にいる。

 

夢への道が閉ざされていない私は今間違いなく幸せだよ。

 

 

 





ルビーちゃん回を書きたくなっていれました。


今回がアクルビが人前でしゃべれない時代最後の予定

次回を原作アイの初ドラマ回にするか、それともその少し前の時系列にしてかなちゃんとの話を入れるか悩み中
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