【推しの子】達を包む夜空は星を堕とさせない 作:C-RhYme
「急に呼び出して悪かったな」
「兄さんに呼ばれたら何をさしおいても僕は来るよ?」
「そう言うと思ったから謝ってる」
俺はとある用事が出来てヒカルを俺が暮らしてる部屋に呼んだ。
すでに隣に暮らしていたアイが引っ越しているので招いても問題ないと判断したからだ。
とりあえずテーブルについたヒカルに甘いカフェオレを出す。
普段はしかめっ面をしてコーヒーを飲んでいるから今日は甘い物にした。
ちなみに俺も同じ物を淹れている。
ヒカルの対面に座り一口飲む。
「兄さんってカフェオレも飲むんだ?」
「どちらかというと俺は甘党だ」
俺がそう答えるとヒカルは少し驚いた表情を浮かべてからカフェオレを嬉しそうに飲んだ。
「ちょっと心境の変化があってな?肩の荷が下りたというやつだ」
「そっか、いい変化みたいで僕もうれしいよ」
墓参りをしてからまだそれほど経っていないが俺はちゃんと眠れるようになった。
まだ3時間ほどで目が覚めてしまうが、睡眠薬なしでも再び眠りにつくことができる。
ある程度ちゃんと眠るようになったおかげかもともと好きだった物を体が求めるようになってきた。
甘い物もそれの一つだ。
「それで、話って?」
「そうだな、先に済ませるか」
ヒカルに促されたので本題に入ることにした。
俺はポケットから封筒を取り出しテーブルに置いた。
「これは?」
「神木雅からの手紙だ」
俺たちの母親、神木雅からの手紙が付き合いのある弁護士を通して届いた。
一応、問題が起きた場合に対応できるようにするために弁護士の連絡先は伝えておいたからそこを通して手紙を出したのだろう。
「中身はもう読んだの?」
「ああ。内容はヒカルと仲良く生きるように、というのと星野頼斗含め二度と会うことはないということ、あの女はこちらで処分する、とのことだ」
俺がそう言うとヒカルはどこか納得したような表情を浮かべた。
「いくつか確認しておきたいことがあるが、まずは軽いところであの女とは誰だ?もしかするとアイの部屋に来たやつか?」
「姫川愛梨、覚えてる?」
「ああ」
ヒカルの口から出た名前を聞いて俺はどこか納得していた。
彼女なら確かに俺への報復としてアイを襲いかねない。
「それぐらいは答えるけど、それ以外は答えたくないな」
「・・・なるほど、そういうことか」
ヒカルの決意のこもった目を見て俺は察した。
俺が聞く前に、それを前もって答えたくないとあらかじめ言う。
それがヒカルにできる精いっぱいの誠意なのだろう。
「わかった、なら聞かない」
「ありがとう、兄さん」
「いや、礼を言うのは俺の方だろう。ありがとうヒカル」
きっと、俺はヒカルに守られたのであろう。
最近になって俺が昔調べた両親の情報を欲しがり、神木雅と連絡していた形跡も見られた。
嫉妬深く執念深い、星野頼斗に執着していた神木雅。
星野頼斗のことで何かあり、そんな母親を『利用』したのだろう。
ヒカルがそこまでするということ、それはつまり、お父さんは俺を・・・
ある程度の予測がついても俺はそれに対してあまり何も思わなかった。
それと、社長が父親のことで俺を説得したのもヒカルに言われたのであろうということも想像に難くない。
「兄さんに礼を言われるとうれしいな。それだけで僕にとってはこの上ない報酬だよ」
俺がある程度真意に気づいているのをヒカルも察したようで礼を素直に受け取ってくれた。
ただ、ヒカル、キミは少しばかりキミの兄を侮っている。
「神木雅は、最後に『これは私の判断だから』とか言ってなかったか?」
「っ!」
俺がそう言うとヒカルは驚愕の表情を浮かべた。
正解のようだ。
「あの人はかなり頭の回る人だ。ヒカルが何か企ててもおそらく分かったうえでのったのだろうな」
「・・・そうかもね」
「あの人は愛情を星野頼斗にしか向けられないがそれでも親として最後は自分の子を気にかけたのだろう。気に病まないように、と」
おそらく、ヒカルが企てたのは神木雅の執着心を利用しての星野頼斗の排除。
神木雅はそれにのったうえで、自分の判断だとわざわざヒカルに言ったはずだ。
「兄さん、見てたの?」
「いや、見てないがなんとなくわかる」
俺が神木雅の立場ならきっとそう伝えるだろうから。
血がつながっているせいか、しっかり調べたせいかわからないが神木雅の考えかたがわかってしまう。
「良い親ではなかったが、それでも最後は親でありたかったのかもな」
「そっか、僕はてっきり首を突っ込むなという意味で言われたかと思ったよ」
どこか肩の力の抜けた笑顔をヒカルは浮かべた。
ヒカルもまた人を陥れたことの罪悪感を背負っていたのだろう。
俺たちの母親だけあってそれを見抜いていたからこそ、その一言をかけた。
その一言でヒカルが救われてほしい、と。
「血のつながった相手は俺達二人だけか」
神木雅の性格上監禁などという生ぬるいことはしない以上、もうこの世にはいないかもしれない。
そして、それを完全に隠すぐらい冷静で頭が切れる人物だから見つけることもできないだろう。
血のつながった両親を失い少し寂しいがそれもまた仕方ない。
それが母親の選んだ道だし、父親に関しては俺の根本が解決した以上、俺を捨てた人という認識しか残っていない以上ただ血のつながった他人だ。
「え・・・ああ、そうだね、僕だけか」
何故かヒカルの反応がおかしい気がしたが気にしないでおこう。
少なくとも俺は神木雅にも星野頼斗にも別な子や兄弟がいたという情報は見つけていない。
「兄さん、ちょっと銭湯に一緒に行かない?」
「は?」
急にヒカルは立ち上がり俺の方に来て両手をつかんだ。
「ほ、ほら!唯一残った兄弟なんだから裸の付き合いぐらいしとこうかなって!母さんも仲良くしろって言ってたしね!」
声がやたら大きくなっている。
というか鼻息が荒くて少し困惑している。
「・・・やめとく」
何故か、身の危険を感じたのでさすがに拒否した。
「お願いだから!」
その後、拒否し続けたがあまりにも必死に頼み込んでくるヒカルに俺は根負けして『そのうち』と逃げることにした。
ただうなずいた瞬間のヒカルのぎらついた目つきは何故か捕食者のような被捕食者のようなどちらともとれるような目だった。
これで後始末編終わりです。
若干罪悪感のあったヒカル君のケアです
まぁ、これで復活する当たりこの兄弟は根っこ部分が似てますね
第一部突破によりアイト君の以下のデバフが解除されました
・『責め立てる妹の幻影』
・『死を願う妹の幻影』
・『睡眠恐怖症』
・『愛を知らない博愛主義者』
・『自己消滅する演技』
・『確定した死の運命』→error
解除により本来のスペックに戻りました。
みたいな状態です。
さてと、つぎはアクルビかなぁ