ミラーモンスターたちと征く、俺のヒーローアカデミア ~七人のヤンデレを添えて~ 作:グランドスタン
彼らはこの困難を乗り越えられるのか!?
校庭に集まった俺たちは、相澤先生監修のもと、中学まで行っていた体力測定に個性の使用を解禁した『個性把握テスト』を行うことになった。
デモンストレーションとして、実技試験主席の芥子頭――もとい、爆豪勝己君が爆破の個性を用いてハンドボール投げを行い、700メートル超えという脅威的な記録を叩き出したことで、クラスの皆が浮き足立つ。
「おもしろそう……か。ヒーローになるための三年間を、そんな腹積もりで過ごす気なら……八種目トータル成績最下位の者は、見込みなしと見なして除籍処分としよう」
今まで自由に使うことができなかった個性を解禁された開放感と、憧れの雄英高校ヒーロー科に入学できたことによる浮かれ気分。それらを、ねじれ先輩たちから聞いていた通りの冷徹な担任――相澤消太が見逃すはずもなかった。
「自然災害、大事故、身勝手な
理不尽だと不満を漏らすクラスメイトに対し、相澤先生は突きつけるような正論と重すぎる洗礼を返す。
校訓でもある『PLUS ULTRA』を引き合いに出され、クラスメイトたちの反応は明確に分かれた。飯田君や爆豪君のように決意と気迫に満ちる者。緑谷君のように強い不安と焦燥に駆られる者。平然を装いつつも体に力が入ってぎこちなくなっている者。
(こんな時、俺に出来ることがあるとすれば……やっぱこれだな!)
「皆、聞いてくれ」
両手をパンと固く打ち鳴らし、皆に聞こえるよう腹の底から声を出して注目を集める。
「相澤先生が言った通り、ピンチを覆してこそヒーローだ。だからさ、このピンチも覆してやろうぜ! トータル成績最下位の者も見込みありとしか言いようがない結果を示して、相澤先生の度肝を抜いてやろうぜ!」
俺の檄が届いたのか、不安で動きがぎこちなかった者たちの目に強い光が宿り、爆豪君に至ってはさらにギラギラとやる気を滾らせている。
「ほう……言うじゃないか。筒美緋色」
相澤先生の口元に浮かんだ不敵な笑みに、絶対に負けないと俺も不敵な笑みで返す。こうして俺たちの『個性把握テスト』が始まるのだった。
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個性把握テスト、第一種目『50メートル走』。
個性『エンジン』を有する飯田君の3秒04を最高記録として、皆が各々の個性を活かすか、あるいは純粋な身体能力で次々と好記録を打ち立てていく。
そして迎えた俺の番。隣のレーンで並走するのは、頭部がカラスのような異形になっている常闇踏陰君だ。
彼も障子君と同じ異形型の個性なのかな……と内心思考を巡らせつつ、俺はズボンのポケットからコンパクトミラーを取り出し、真上へと垂直に放り投げる。
(やっぱ気になるところだよな……ここにいる奴らには、変身の瞬間はまだ見せてないし)
「何だあれ?」「鏡……?」とクラスメイトたちが首を傾げているのを感じつつ、俺は左手に持ったカードデッキを落ちてくるコンパクトミラーへと向ける。デッキが鏡面に映し出された瞬間、Vバックルが鏡の中から現れ、俺の腰へガシャンと装着された。
「ベルト……!?」「何もないところから出たぞ!?」と驚嘆の声があがる中、俺は落下してきたミラーを右手で受け止める流れで勢いよく構えを取る――仮面ライダーナイトと同じ、流麗で鋭い変身ポーズ。
そして、腹の底から力強く叫んだ。
「変身!」
言い終えると同時に、Vバックルのスロットへデッキを勢いよく装填する。
――カシャンッ!
デッキ中央に刻まれたライダーズクレストが黄金色に眩しく輝き、Vバックルから甲高い電子音が響き渡る。
直後、鏡面から出現した三つの灰色の残像が重なり合うように俺の身体を包み込み、鮮烈な赤と銀の装甲――『仮面ライダー龍騎』の姿へと変化させる。
「な、何だあれ!?」
「甲冑!?」
「かっこいい……!」
「あれも個性の一部なのか!?」
クラスメイトたちの歓声と驚きの声が背中に届く中、俺はクラウチングスタートの姿勢を取り、計測ロボットの合図に集中する。
『ヨーイ……ドン!』
機械音声が響いた瞬間、変身によって跳ね上がった脚力を全開にし、爆発的な加速で50メートルの直線を一気に駆け抜けた。
結果は驚異の2秒50。トップ記録を塗り替えられて「バカな……!?」と悔しがる飯田君を横目に俺は変身を解除し、次の種目へと備えるのだった。
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第二種目『握力測定』。
ここでは自身の脂質を用いてあらゆる無機物を生成できる個性『創造』を持つ八百万百さん――俺と同じく推薦入試を突破して入学した女子が、万力を創造して『測定不能』の脅威的な記録を叩き出す。
「すご……推薦組ってやっぱりレベル違うな」
クラスから感嘆の声があがる中、俺も負けていられないと『ADVENT』を発動し、マグナギガを召喚する。
重装甲の水牛が現れると同時に、俺はその巨大な左手『ギガハンド』に握力測定器を握らせた。
キュイイィン……ガシィッ!
「記録……50トン」
「「「トンッ!?!?」」」
相澤先生の淡々としたアナウンスに、クラスメイトたちが目を丸くして叫ぶ。八百万さんの測定不能には届かなかったものの、人間離れした数値を叩き出して周囲を大いに圧倒してみせた。
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第三種目『立ち幅跳び』。
ここではダークウイングを召喚。合体して背中に巨大な翼を展開した俺は、砂場を大きく飛び越えてそのまま文字通り大空へと舞い上がった。
「すっげえええ! 空飛んでるぞあいつ!」
「何でもアリかよ……」
風を切りながら優雅にどこまでも遠くへ飛んでいると、地上から相澤先生の疲れたような声が響く。
「……筒美、記録は∞にしておくから、適当なところで降りて戻ってこい」
「はーい!」
上空から返事をし、俺は空中旋回しながら優雅にグラウンドへと着地した。
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第四種目『反復横跳び』。
これは特に効率よく活かせそうなモンスターが見当たらなかったため、無理にモンスターを呼び出さず純粋な身体能力だけで全力でステップを刻むことにした。
結果は同年代の平均より少し高めの平凡な数値に終わったが、自分の素のスペックを把握する意味でも悪くない結果だった。
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第五種目『ハンドボール投げ』。
ここでは俺がシュートベントで巨大大砲『ギガランチャー』を召喚。砲身の先端にボールを装填して大空へ向けて発射し、本日二回目となる∞の記録を叩き出した。
それを皮切りに、お茶子ちゃんが個性『
その際、激昂した爆豪君が緑谷君に襲いかかろうとしたり、それを相澤先生が捕縛布と個性『抹消』で一瞬にして制圧し、全員が先生の正体を知るという一悶着があったのはここだけの話だ。
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第六種目『上体起こし』。
第七種目『長座体前屈』。
これらも反復横跳びと同じく、効率よく活かせるモンスターが見当たらなかったため、俺は無理をせず純粋な身体能力だけで挑むことにした。
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第八種目『持久走』。
推薦組の八百万さんが創造したスクーターを使っていたので、俺も再び変身してライドシューターで走りきった。
バイクなんてズルだろと、ブドウ頭君――もとい峰田君らから抗議が出たが、個性の産物なので有りだと相澤先生に一蹴されていた。
そして迎えた最終種目。
推薦組の八百万さんが個性で創造したスクーターに乗り込んで走っていたため、俺も負けじと再び龍騎に変身。ミラーワールドを移動するための専用マシン『ライドシューター』を召喚し、爆音と共にグラウンドを颯爽と走りきった。
「うおっ、バイクか!?」
「先生! あいつらバイク乗ってます! ズルじゃないッスか!?」
血涙を流しながら抗議するブドウ頭君――もとい峰田君たちに対し、相澤先生は欠伸を噛み殺しながらあっさりと吐き捨てる。
「個性の範囲内で生み出された産物だ。何の問題もない」
「「「そんなぁあ!?」」」
相澤先生の一蹴に崩れ落ちる男子陣を横目に、俺はライドシューターのアクセルを軽く吹かしてゴールラインを駆け抜けるのだった。
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全ての種目が終わり、個性把握テストの結果発表が行われる。
相澤先生が手元の端末を操作すると、空中にホログラムで順位が投影された。映し出された結果は、俺と八百万さんが同率一位で、最下位には緑谷君の名前が記されていた。
(緑谷君がダメージを指だけに抑えたのを見て、相澤先生は不敵に笑ってた……あれが吉と出れば)
「ちなみに除籍は嘘な」
最下位という非情な結果に肩を落とし、俯く緑谷君をよそに、相澤先生はあっけらかんと言い放つ。
予想外すぎる言葉にクラスの全員が「「「は……?」」」間抜けな声を漏らして呆然とした。
不精髭の生えた顔をニヤリと悪そうな笑みで歪めながら、相澤先生は「あれは、君たちの個性を最大限引き出すための“合理的虚偽”だ」とまで平然と言ってのけたのだ。
「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ」
(((気づかなかった……)))
「ちょっとヒヤッとしたな」
「俺はいつでも受けて立つぜ」
相澤先生の言葉を真に受けていた者たちに呆れ半分の八百万さんや、八百万さんの言葉を真に受ける者。安堵している者と、除籍が嘘と聞いた途端にクラス全体の気が緩んでいく。
(違うぜ皆……相澤先生は本気で除籍する気満々だったんだ。それを土壇場で撤回したのは、緑谷君が自分の力で証明してみせたからだよ。ただ誰かを助けるたびに、自分も要救助者になる無茶苦茶な木偶の棒ではないって)
ねじれ先輩たちから話を聞いていたおかげで、今回のテストが『本当に除籍がかかった試験』であったことと、それを覆した緑谷の底力を見抜くことができた俺は、雄英高校という場所の本気度に一層気が引き締まる思いだった。
ふと、そんな俺をチラリと一瞥した相澤先生が、口の端だけで僅かに笑みを浮かべるのを見る。
(あ、これ完全に目をつけられたな)
俺は乾いた笑みを浮かべるしかなかった。
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教室に戻り、今後のカリキュラムが記された書類に一通り目を通している最中だった。
スマホからHINEの通知音が鳴り、画面を開くとねじれ先輩からメッセージが届いていた。
(ねじれ先輩たちとの特訓……兜の緒が緩んでいる皆の気を引き締めさせるのに、ちょうどいいかもしれない)
「なあ筒美ぃ。お前の個性、一体どうなってんだよ?」
朝に絡んできた金髪君――もとい、上鳴電気君が軽い足取りで話しかけてくる。
チャラそうな外見に違わず、もうすっかり気が緩みきっているのが手に取るように分かる。
「その件なんだけどさ……個性の説明も兼ねて、みんな俺の先輩に会ってみないかい? 三年生だから、けっこう今後の参考になると思うぞ」
俺の提案に、「おもしろそうだな!」とクラスメイトの面々も面白がって乗ってくれた。
ねじれ先輩から送られてきたスマートフォンの地図を頼りに、俺たちは広大な敷地内にある体育館へと足を向ける。
「ひーいーろーっ!! 遅いよ、待ちくたびれちゃったよ!」
正面の重厚なドアを開けた途端、待ち構えていたかのようにねじれ先輩が俺めがけて飛びついてきた。
彼女の着脱不可式胸部搭載型マシュマロが俺の顔面にダイレクトに押し付けられ、視界と酸素が完全に封じられてしまう。
「ちょっ……先輩、離れてくださいっ!! 前が見えないし、息もできないです!」
「え~……やだ! もっとギュッてするの!」
「「おいゴラぁ筒美ぃいい!! お前、入学初日からなに美人に抱きつかれとんじゃあぁああっ!!」」
何とか先輩を引き剥がそうと必死に懇願するが、ねじれ先輩は全く聞く耳を持たず。さらにその後方では、案の定嫉妬心を極限まで爆発させた峰田君と上鳴君が血涙を流しながら絶叫していた。
「……ねえ、ヒロ君。あんな無駄に大きいのがそんなに好きなのかな? だったらあの女の駄肉をドロドロに溶かして、私より小さくしちゃえば……私だけを見てくれるのかなぁ?」
「命拾いしたわねあの女……緋色ちゃんの先輩じゃなかったら、今すぐ私の舌で首を綺麗に刎ね飛ばしていたところよ」
「浮かして宇宙の果てに放置が良いかな……それとも、メタルゲラスとのヘビープレッシャーでペチャンコに叩き潰すほうが良いかな? 緋色君だって、将来の奥さんの前でベタベタくっついてくる女なんて嫌だもんね……ねえ?」
「…………………………………………」
「うおっ!? どうしたんだよ障子、おい……顔が、顔がめちゃくちゃ怖ぇぞ……!?」
背後からブツブツと呪詛っぽいのが聞こえるが、誰でもいいから見ていないで早く助けてくれ。
そんなこんなで、ねじれ先輩が心ゆくまで満足するまでの約三十分間――俺はずーっと抱きつかれ続けたのだった。
次回で緋色の個性について改めて説明する予定です
タグに追加したボーイズラブについてはヤンデレの中に障子君がいるので保険として入れてます