「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい 作:SUN'S
宮田君と僕が好意を寄せていた花咲さんが間柴さんとお付き合いすることになったと聞き、母さんと梅沢君には「いつまでも告白しないから」とか「一歩も告白しときゃな」と言われてしまった。
そう言われると返す言葉も無い。
元々は新人王の決勝で勝ったときに告白しようとしていたけど。宮田君に勝っていないのに告白するのは不誠実だと色々と誤魔化してしまったのもある。
その時も僕は花咲さんに「なんなのさ、もうっ。私の悩んだ一年、まったく。幕之内君、私は待たないからね!好きな人が出来たら普通に付き合うよ!」と真っ直ぐに言われていたし。
友達だけど、微妙な距離感だった。
久美ちゃんに出会ったのは、そのときだ。間柴さんの妹とは知らず、酷いことを言ってしまったけれど。だんだんと気になる人に変わっていた。
山田君に「先輩、流石に二股はダメっす」と言われ、花咲さんも久美ちゃんも頭の中にいて、悶々とすることが増えたりもした。
けど、僕や宮田君よりも早く間柴さんが彼女に告白し、花咲さんも告白を了承した。
「一歩、また悩んでるのか」
「鷹村さん。すみません、やっぱり僕も出来ることをしておけばとか思っちゃって」
「お前のそういうウジウジしたところは本当に変わらねえな。良いか?渚は仮にも
鷹村さんの問いかけに僕は会長や猫田さん達にリンチを受けて、ボコボコになる自分の姿を想像して、サンドバッグを打つ手を止めてしまう。
い、いや、まだ告白したわけじゃない。
そもそも間柴さんがいるのに、いきなり僕が告白したら浮気させるようなものだ。花咲さんが、そんなことに乗ったりするわけがない。
「こうなりゃ久美ちゃんに告白するしかねえわけだ。幸い、渚は女子フェザー級の試合を見に行っているし、絶好のタイミングだろう」
「えぇ!!?嫌ですよ、そんなァ!?」
「一歩も遂に告白か!?」
「へぇ、久美ちゃんか?ハナちゃんかよ」
「先輩、が、がんばってください!」
木村さんと青木さん、山田君までもが告白するしかないという雰囲気を作っていたとき、僕達は背筋にヒヤリと来る視線に気づいた。
曽根さんと東谷さん、クレアさんが冷えきった眼差しを僕達に向けているのが見え、ヒソヒソと何かを話し合い、みんなが距離を取ってきた。
「椎名、俺様はコイツのためにな」
「守さんは許すわよ。ただし、幕之内君はモーション掛けまくるのはもうやめなさいよ。あの一年間、渚は学校での告白とか断ってたんだから」
その言葉に、申し訳なくなる。
僕は、告白する前に失恋したらしい。
さよなら、高校時代の恋。