「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい 作:SUN'S
WBA世界ミドル級王者リチャード・バイソン、WBA世界ジュニアミドル級王者ジェイソン・サーヴァル、コイツらと死闘の末に二冠を奪取し、俺は半年前のよつに王者に返り咲いた。
───すると、分かっちゃいたが。
すり寄ってくる女達。
俺を見限った奴らが、平然と話し掛けてきた。
くだらねえ。
上等な酒を手に入れた。
良い煙草だ、また一緒に吸おう。
そんな甘言に昔の俺なら喜んで飲んでいただろう、喜んで吸っていただろう。だが、俺はタカムラとリベンジ・マッチを組むまで───いいや、このリングの上で生き残り続けるために、そんなものはもう必要ねえのさ。
サンドバッグを打つ。
ミゲルに教わった左ジャブを打つ。
タカムラの左ジャブは確実に身体の急所を打ってきた。あのジャブに近づけるため、何百、何千、俺は愚直に鏡の前に立ってフォームを修整し、サンドバッグを打つ。打って、打って、打ちまくる。
腕の筋肉がパンパンになろうが、氷水を敷き詰めたバケツに両腕を差し込み、アイシングを繰り返す。熱の籠った筋肉は弛緩し、痛みを和らげる。
「ブライアン!スパーしよう!」
「頭に座るんじゃねえ!?」
ドンと俺の背中に張り付き、頭に絡み付いてきた小猿の頭を掴み、リングに放り投げる。が、ロープを踏み、反動を利用してキャンバスに着地しやがる。
ふん、ふざけた小猿だぜ。
「ウォーリー、ブライアン、ランチタイムよ」
「はーい!」
「チッ、もうそんな時間か」
サツキの声に時計を見ると三時間もジャブの練習を続けていたらしく、俺は舌打ちをする。
両腕をバケツから引き抜いてタオルで水気を拭き取り、ランチボックスを抱えたサツキに飛び付こうとする小猿の頭を掴み、ジムの端に用意されたフードコートのベンチまで引きずる。
「おや、食事していたのかね?」
「今からよ、ミゲルおじさん。一緒にどう?」
「いただこう」
茹でた後、蒸して水分とカロリーを抑えたチキンサラダにフォークを突き刺し、食う。
「ウォーリー、ちゃんと座って」
「うん!」
サツキに言われれば素直に従う小猿。
ミゲルが偶々見ていたリゾート番組に偶然映り込んだコイツをスカウトしてきたときは、心底呆れた。だが、コイツの
ファイトスタイルは両手を下げた
まだ、デビューしていないが、あと1年かそこらで試合を組める年齢だ。
「ブライアン!ブライアン・ホークはいるか!」
ジムのドアが勢い良く開き、如何にも品行方正で正しく生きていますみたいな面が出てきた。
「チッ、また来やがったのか。デビッド」
「当たり前だ!何故、僕の挑戦を断った!」
「何度も言わせるな。俺はお前と試合を組むつもりはねえ、二冠を制した俺の敵はタカムラだ!」
「また、その名前かッ。君と彼の試合は見た、お互いを高め合う程に拮抗した激闘だったさ。しかし、帰国後に君を批判するものもいた、嘘を言うものもいた。だが、君のアレはボクシングを盛り上げるためにヒール役を演じていただけだろう!?」
「また、それか!?ありゃあ本心だッ!!」
日本のボクシング雑誌を取り出しやがったデビッド・イーグルはオーサカやアタミで楽しそうに観光する俺のスクープが載っている。
「これでもかい!?」
「それはいつもの俺じゃねええぇぇ!!?」
そんな叫びが今日もジムに響き渡る。
こんのファッ■■■■■■■■■!!!!!