「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい   作:SUN'S

46 / 52
宮田君と間柴さんらしい

平成◇年11月14日

 

宮田君に会いに行ってきた

 

川原ジムの場所は聞いていたし、練習帰りの宮田君がジムが出てくるのを待っていたら「何してるんだよ」と窓を開けて、宮田君が話しかけてきた

 

ビックリして転びそうになったぜ。

 

「明日の試合の応援にきたぜ」と言うと「父さんの差し金だろ。……ま、お前の顔を見たらリラックスできた」と言われ、「明日は勝つから、待ってろ」と言った

 

うん、応援しているよ、宮田君

 

PS

 

宮田君のお父さんはジムの影で何をしてたんだろ

 

あの人も謎が多い

 

平成◇年11月15日

 

後楽園ホール

 

宮田一郎対間柴了

 

フェザー級新人王準決勝

 

二人とも闘志がみなぎっている

 

緊張感と期待で静まり返る会場で「がんばれー!」と私が叫んだら、リングの上にいた宮田君と間柴さんの二人が私を見た気がした

 

とりあえず、手は振っておこう!

 

1R

 

ゴングが鳴る

 

軽快なフットワークでステップを刻み、先手に攻めた宮田君に対し、間柴さんはL字ガードではなく、真っ直ぐ長腕を振り抜く左ジャブを打つ

 

その左ジャブを軽やかに躱し、宮田君の右ボディーブローが間柴さんのボディーをカウンター気味に貫き、間柴さゆの押し退けるようなフックが宮田君をレンジの外側に押し返した

 

ゆっくりと、間柴さんが左手を下げた

 

デトロイトスタイル、緩やかに動く左腕がしなって宮田君の顔を弾き、多段ヒットするフリッカージャブに宮田君もビックリしている

 

伸びる、しなる

 

なにより、鋭くコンパクトに打っている

 

間柴さんの腕のしなりが見えにくく、そこにスイングぎみのフックも加わり、左側に回り込むことは出来ず、宮田君は攻めあぐねている

 

けど、宮田君はサウスポーに切り替え、フリッカージャブを肩で受け、前進する。肩を使って、腕を引き戻すのを邪魔しながら踏み込み、間柴さんのチョッピングライトに宮田君の左フックが重なる

 

カウンター、一閃

 

間柴さんがダウンをした

 

8カウント、ギリギリで間柴さんが立った

 

インターバル

 

2R

 

間柴さんはゴングと同時に駆け出し、コーナーにいる宮田君に右ストレートを打つ

 

が、宮田君はヘッドスリップし、カウンターを重ねる。それを躱して、今度は間柴さんの左フックと宮田君の右アッパーが混じる

 

宮田君の右ボディーブローが刺さり、腰を曲げ、たたらを踏む間柴さんの顔面に宮田君の左ストレートが決まり、間柴さんは後ろにのけ反り、リングの中央に押し戻された

 

激動する攻防に私は「がんばれ!」としか言えず、応援する以外に出来ることがない

 

ロープ際まで押し返され、倒れそうになった間柴さんが怖い顔で豪快なスイングパンチを繰り出し、宮田君はそれに合わせて、カウンターを打つ

 

そのとき、宮田君の足と間柴さんの足のかかとがお互いにぶつかるように引っ掛かり、バランスを崩した宮田君の顔に間柴さんの右こぶしがめり込み、がむしゃらなパンチに宮田君が呑み込まれた

 

レフェリーが間に入り、カウントが始まる

 

7カウント

 

宮田君が立ち上がる

 

間柴さんが勝負を決めるためにラッシュを仕掛ける。いつもなら避けているパンチに、カウンターを打つ。けど、音が違った

 

ゴングが鳴る

 

インターバル

 

宮田君、大丈夫なのかな

 

3R

 

間柴さんのラッシュで宮田君がロープにめり込む。ボディーを打たれる度、顔が歪み、痛みに倒れそうになる身体でカウンターを決める

 

ざわめきが聴こえる

 

宮田君、左足を怪我したの?

 

2ラウンド目の足がぶつかったときだ

 

あれは偶然の事故

 

宮田君の気迫に圧され、後退する間柴さんの左フックと宮田君の左ストレートがぶつかり、倒れたのは宮田君だった

 

PS

 

宮田君には会えなかった

 

平成◇年11月17日

 

宮田君の病室に行ってきた

 

宮田君のお父さんが「彼女は息子の関係者だ」と説明してくれたおかげで、個室のベッドに寝転んでいる宮田君に会えた

 

一瞬、歯噛みしていた

 

「帰れ」とは言われなかった。椅子を借りて、宮田君に「リベホイミ」を使おうとしたら「やめろ。今は良いんだ」と手を掴まれた

 

「……負けちゃったね」

 

「笑いたきゃ笑え。大見得切って、お前を獲りに行くって言ったくせにこの様だ」

 

「笑うわけないじゃん」と宮田君に言い返し、新しく使えるようになった「ベホイミ」をかける。酷く腫れていた顔が少しましになる

 

瀕死状態から、治ったぐらいだ

 

宮田君は「……また強くなってないか?」とドラクエ的な呪文の事を言うので「レベルアップしたからね。宮田君も幕之内君も直ぐに怪我するからさ」と続ける 

 

「なあ、間柴とも知り合いなのか」と聞かれ、「妹の久美ちゃんと友達」と伝えたら「チッ!」と理不尽に舌打ちされた

 

PS

 

宮田君のお父さんに「また、来ます」と伝えておいた

 

平成◇年11月20日

 

藤井さんが間柴さんの過去を調べたと話して、私は「席を外してますね」と伝えた

 

さすがに、友達の隠し事は聞かない

 

PS

 

久美ちゃんに呼ばれた

 

また間柴さんが無茶しているらしい

 

「ラリホー」と「ホイミ」した

 

……幕之内君とも戦うのにね

 

ちょっと、だめだなあ、私……。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。