「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい   作:SUN'S

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私のデビュー戦らしい

平成□年8月12日

 

計量を終えて、ご飯を食べた

 

減量は三回目だけど、辛すぎる

 

でも、鷹村さんはもっと大変なトレーニングを繰り返して、やっとの思いで試合に挑んでいるんだ、私だけが辛い訳じゃない

 

それに梅沢君とおばさんがくれた「釣り船幕之内」の広告のついたボクサートランクスを履いて、シューズも履いているのに負けるわけにはいかない

 

青コーナーを上り、リングに立つ

 

私の名前と相手の選手の名前を呼ぶ

 

石田由利選手、同じ日にフライ級のプロテストを受けた。向こうも女子プロボクサーになろうと努力してきた人だって鴨川会長に聞いている

 

幕之内君達が見える、勝つぜ

 

1R

 

ゴングが鳴る

 

レフェリーの言葉に従って手を差し出した瞬間、鋭い右ストレートを打ってきた石田選手のパンチをヘッドスリップで避け、お返しの右ストレートを打つ

 

ガッチリと両腕を揃えたガードを殴りつぶし、こじ開けた先に見える顔面にグンと右足を後ろに引き、二発目の右ストレートをめり込ませ、石田選手を吹っ飛ばす

 

開始3秒で彼女はダウンした

 

ニュートラルコーナーに向かうように指示を受け、マウスピースの具合を確かめる

 

ロープを掴み、立ち上がる石田選手

 

まだ、やれるらしい

 

「石田ァ!下から胸を抉れえい!」と聞きなれた鷹村さんの声にどっちの味方だよと不満に思う

 

ふらつきながらも私にパンチを打ってきた石田選手の右フックをスウェイで避け、右のボディーブローをめり込ませ、彼女は苦悶の表情てたたらを踏む

 

2ダウン制だからクリンチしてきた彼女を引き剥がさず、足のスタンスを変えて、右足を前に向ける

 

左のボディーブローをめり込ませ、リングに膝をついた彼女にちょっと手加減した「リベホイミ」を掛けておき、ダメージが残らないように願う

 

1ラウンドKOだぜ、へけっ

 

女子ボクシングの初公式戦ということでインタビューを受けることになった、八木さんに変わってもらえることはなかった

 

「勝利の要因はズバリ!」と聞く人に言われ、悩む。勝利の要因と言われても困る

 

「お腹を殴ること?」と呟く

 

「え?」

 

PS

 

「肋骨砕き」が私のニックネームになった

 

石田選手、あばら骨にヒビだそうだ

 

もっと、この左こぶしを研いでおこう

 

目的は、芦田選手の肋骨だ

 

平成□年8月13日

 

ファイトマネーは5万円だった

 

まあ、幕之内君に聞いていたし。期待していたわけではないけど、ちょっとだけ残念かな?

 

お父さんとお母さんと焼き肉に行った

 

お父さんは「僕の娘は最強だ!」とか私の勝利に大興奮していたけど、お母さん的には「腹を殴るなら鳩尾にしときなさい」とアドバイスを貰った

 

PS

 

2kg増えてた、なぜだ

 

我慢して、五人前しか頼んでないのにっ

 

平成□年8月15日

 

山田君のお父さんと私のお父さんは同じ会社に勤めていたらしく、危うく山田君のお父さんは転勤、体の良い人員削減にされそうだったらしい

 

だから、引っ越さなくて済んで「ありがとうございます」と嗚咽混じりに言われたけど。お父さん、家族のために頑張ってくれてるのに、そんなこともしてたんだ

 

帰ったら、「ベホマズン」してあげよう

 

PS

 

ジム帰りにネクタイを買って帰った

 

喜んでた、毎日は臭くなるから洗おうね

 

平成□年8月17日

 

幕之内君とヴォルグ・ザンギエフの試合まで、まだ時間はあるけど。プールでスクワットは私には無理だね、抵抗力が強すぎるし、あと泳ぐのも遅い

 

ビート板を持って、バタバタと泳ぐ

 

鷹村さん達が幕之内君に絡んでいた

 

関わるのは、やめておこう

 

PS

 

友達の試合も決まった

 

がんばれ、私のボディーで慣れている!

 

 

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