「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい 作:SUN'S
平成□年9月15日
幕之内一歩対ヴォルグ・ザンギエフ
A級トーナメント決勝戦。出来ることを積み重ね、出来ないことは練習量と奥の手で覆す。そのつもりで、幕之内君はリングに向かっていく
勝てば伊達さんと戦える
宮田君や千堂選手、間柴さんとは違うタイプのキャリアを積み重ねて王座に座るチャンピオンだ。幕之内君の求める答えを、きっと持っている
1R
ゴングが鳴る
ヴォルグ選手の初手、鋭い左ジャブ、続けざまにショートフックを加え、幕之内君の出鼻を完全にくじき、彼のピーカブーを崩し、ヴォルグ選手の右ストレートが幕之内君に突き刺さる
強すぎる
けど、ダウンはしていない
ピーカブーでガードを固め、前進する幕之内君にヴォルグ選手はワンツーを打つ。が、怯まず、進む彼に気圧され、僅かに後退し始める
幕之内君はガードを固めたまま前進することでロープ際まで押し込み、堪らず、インファイトに切り替えたヴォルグ選手と打ち合いが起こる
「ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!」と解説者の言葉と、後楽園ホールの熱気で身体が熱くなる。私のときはビックリしていたのにね
ゴングが鳴り、レフェリーが割って入る
インターバル
幕之内君は、この試合が始まってから、まだストレート系とフック系しか使っていない。ガゼルパンチを確実に当てるための布石だ
セコンドアウトのアナウンス
2R
ゴングが鳴る
さっきと同じく打撃戦になる
ヴォルグ選手が超高速の上下のコンビネーションブロー、白い牙と呼ばれるフィニッシュブロー「ホワイト・ファング」が幕之内君の頭を噛み砕く
前へ進んでいた分、ガードが遅れた
ガクリと腰の沈む幕之内君にヴォルグ選手が手のガードを僅かに下げたその時、カモシカの一撃「ガゼルパンチ」がヴォルグ選手のアゴを突き上げる
後手必殺
アマチュア世界王者のフィニッシュブローに対して、受けながら打つという、とんでもない作戦を実行した幕之内君と、それを実行させた鴨川会長には驚く
油断したところに強打を受けたヴォルグ選手は足を震わせ、二歩、半歩、後ろに身体がのけ反り
「行けぇ!小僧ォ!」と叫ぶ会長に応え、幕之内君はピーカブースタイルで左右にふらつきながら走る
ヴォルグ選手の速射砲の左ジャブを受け、幕之内君の頭が跳ね上がる。が、構わずに突っ込み、無酸素運動の超至近距離での打撃戦が始まり、このラウンドに全部を注ぐつもりで二人はラッシュを打ち合う
ゴングが鳴り
レフェリーが二人を引き剥がす
インターバル
幕之内君は頭に氷のうを乗せ、顔の腫れを冷やしながら、鴨川会長の指示をしっかりと聞いている。ヴォルグ選手も呼吸を整えながら、セコンドの指示を聞き、うなずき、幕之内君を見ている
セコンドアウトのアナウンス
3R
1ラウンド、2ラウンドと同じく攻める幕之内君のラッシュをブロックし、幕之内君の右ストレートに左フックを重ねてカウンターを決めるヴォルグ選手
ヴォルグ選手がアッパーカットを繰り出す、辛うじてピーカブーでブロックした幕之内君の頭がリングのキャンバスに激突する、チョッピングライトが決まる
ホワイト・ファング、再び炸裂
「やっぱり、あれは上下のコンビネーションだ。ヴォルグのパンチを片手でブロックするのは無理だ。アームブロックでようやく押さえたところに、上の牙が来やがる」と、木村さんがゆっくりと実践して話す
7カウント、幕之内君は立つ
オオカミの牙に対して、カモシカの角
鷹村さんの言ってたのは、これか
ゴングが鳴る
インターバル
話は聞こえないけど、まだ諦めていない
セコンドアウトのアナウンス
4R
今度はヴォルグ選手が攻め入り、ワンツー、右フックとコンビネーションを繋げ、ブロックを固める幕之内君の両腕を3連続のアッパーで吹き飛ばした
なんとか左フックを掻い潜った幕之内君
ダッキングして、攻め込む
しかし、それにチョッピングライトを合わせようと構えるヴォルグ選手のパンチで頬を切りながら、足のスタンスを強引に開き、幕之内君の左フック、ガゼルパンチがヴォルグ選手のボディーにめり込み、ダウンを奪う
ニュートラルコーナーに移動し、左こぶしを握りしめる幕之内君。レフェリーに抱きつきながら、立ち上がったヴォルグ選手はファイティングポーズを取る
ボックスの掛け声
幕之内君が左ジャブを打って、右ストレートを打とうとするもヴォルグ選手はクリンチを行い、幕之内君は引き剥がしに掛かる
「先輩!ボディー!ボディーを打って!」と山田君が叫び、青木さんと木村さんも、私も友達もあの距離でも破壊力の半減しないボディーブローを叫ぶ
その声が届いたのか
左の肝臓打ちが決まり、散弾のごとくリバーブローがヴォルグ選手を襲い、我慢できずに下がったヴォルグ選手に突進し、突き放すために打たれた右ストレートをダッキングで避け、ガゼルパンチが決まった
4ラウンドKO
PS
顔がパンパンになっていた
平□年9月16日
ホワイト・ファングという強烈な上下のコンビネーションを受けた幕之内君は大学附属の病院に一週間ほど入院することになった
お世話は私と久美ちゃんである
トミ子先輩と青木さんはお互いに見惚れてた
「ゲテモノ好きか」と呟く鷹村さんの真横からボディーブローを食らわせ、怒って此方に鳩尾を向けたところにボディーブローを打つ
流石に二発目は防がれた
PS
その、うん、トイレのお世話もあるよね
鷹村さん達が遊んでたけど
平成□年9月17日
合コンのセッティングになった。
レーコ先輩とめぐみ先輩もいるので、お付き合いしていないのは私と久美ちゃんだけだ。しかし、私、久美ちゃん、トミ子先輩、レーコ先輩、めぐみ先輩、五人になってしまった
向こうには山田君もいるけど
まだ高校在学の未成年なので夜に連れ回せず、悩んでいたところに鷹村さんが真田先輩を連れてきた
PS
「また木下ジムに来るかい?」と聞かれ、鷹村さんが「貴様、まさかまたなのか!」と言われた
だから、違いますってば!
平成□年9月18日
幕之内君が目を覚ました
「おはよう」と言ったら「試合は!?」と聞かれたので「幕之内君の勝ちだよ」と伝えておいた
PS
鷹村さん達のイタズラは止められなかった
ごめんね
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