「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい 作:SUN'S
ありがとうございます。
平成□年12月22日
計量をクリアして安堵する
私の事を見ながら「Did that Ashida lose to something like this?」と言ってきたクリア・ラインズに向かってので「Ashida is an athlete; there's no way he'd lose to someone like you.」とだけ返しておいた
「貴様、英語が出来たのか!?」と鷹村さんと鴨川会長にビックリされたけど。たまに学校に来るK先生が、いきなり英語を話すから仕方ない
鷹村さんに「ラインズ選手の付き添いのミカエル・ラインズJr.に何か伝えますか?」と聞く
「貴様のランキングは頂くと伝えておけ」と言われ、私はミカエル・ラインズJr.選手に「"You ought to be grateful—after all, I’m going to take your rank." That is what that person is saying.」と告げた
サムズアップを鷹村さんに贈る
通訳は私のスラングの汚さに変な顔していた
まあ、そうなるよね
それよりもご飯だ。チャージする!
PS
お米だけで涙が出る
平成□年12月23日
後楽園ホール
セミファイナルの欄に私の名前がある
花咲渚対クリア・ラインズ
C級ボクサー、それも本場の女子ボクシングの選手が逆指名してきたという記事を藤井さんが書いていた影響かな?と控え室でバンテージを巻き、グローブを嵌めてリングに向かう
青コーナーを登り、私はクレア選手を見る
やっぱり、私より背は高い
レフェリーの言葉を聞き、コーナーに戻る
1R
ゴングが鳴る
軽く拳を合わせて引き戻す。
軽快なステップを踏み、私の周りを時計回りに動き始めるクレア選手の動きを止まったまま追い、時計回りに動くほど加速していくフットワーク
刹那、ステップの動きが変わり、右回転を左回転に切り替えて左ジャブを打ってきたクレア選手の左腕を掻い潜るようにダッキングし、リバーブローを放つ
が、腹筋の薄皮を削るだけだった
摩擦熱で白い肌を赤く焼き、お腹に何度も手を当てて削れていないことに困惑するクレア選手に両腕を軽く開き、少し大股に踏ん張ってリングの中央に構える
悪いスラングを呟き、ワンツーを打ってきたクレア選手のパンチを下へと弾き、がら空きの顔面に右ジャブを打ち込み、のけ反ったところに踏み込み
彼女のくびれて腹筋の見えるムカつくボディーに左ボディーブローをめり込ませて、苦悶の表情で身体をくの字に曲げ、座り込むようにクレア選手はダウンした
ボディーブローの痛みに歪んだ顔でキャンバスを殴り、立ち上がると怒りを露にしたクレア選手がファイティングポーズを取り、構えた
ゴングが鳴り、コーナーに戻る
インターバル
「貴様の拳を受けて尚も意地で立ちおった。おそらく次は完全にアウトボックスで来るじゃろう」と言う鴨川会長に「なら、鷹村さんの相手もアウトボックスになるわけですね」と返す
「花咲さん、あくまで冷静にね。まだ、ホーネットと呼ばれる理由も分かっていない」と八木さんにも言われ、私はマウスピースを噛む
セコンドアウトのアナウンス
2R
ゴングが鳴る
クレア選手のフットワークを刻む足が前に伸び、私の顔面に左のストレートが突き刺さった。足のスタンスは広がり、ステップを踏むと同時にパンチが飛んでくる
前進とパンチの動きが同時だ
成る程、動き回る動きもそうだけど、スズメバチは相手が倒れるまで何度でも毒針を突き刺す。左ストレートを受けず
クレア選手の左ストレートを下に弾く
が、右ストレートの二発目が私の顔を打つ
ムカつくわね
したり顔で、意趣返しってわけね
スタンスを切り替て、サウスポーになる クレア選手は笑みを浮かべた。愚策と思っているのかとムカつき、右ジャブを顔面にめり込ませて、左こぶしを内側にねじり込み、スタンス越しに伸びる左ストレートを掻い潜り
左のコークスクリュー・ブローを彼女の鳩尾に叩きつけた瞬間、彼女の身体が転がるように吹き飛び、お腹を抑えて蹲る
キャンバスをなぐる姿を見下ろし、ニュートラルコーナーに戻って、クレア選手を見据える
9カウント、立った
渾身のボディー・ストレートだったんだけど。やっぱり減量で衰えているわね
ゴングが鳴り、構えを解く
インターバル
「踏み込みのストレート。おそらく空手の刻み突きに着想を得たパンチじゃろう。スタンスを広げ、踏み込める距離を広げ、面食らった相手を毒針が刺す」
鴨川会長の言葉に頷きながら「けど、破壊力はありませんでした。足に来ていたからですよね」と聞けば「そうじゃ。加えて、貴様のスクリュー・ブローによってあやつの足は死んだ」と続く
セコンドアウトのアナウンス
マウスピースを噛む
3R
6分も殴り合っているのか
ゆっくりとオーソドックスなファイティングポーズを取って、汗を滝のように流すクレア選手に近づき、接近を拒むクレア選手の左ジャブを外側に弾く
ガッチリと固めた右腕のガードごと左ボディーブローをめり込ませ、真横に吹き飛ぶクレアを追うようにスタンスを切り替え、右ボディーブローを打つ
だんだんと加速するスイッチの感覚に慣れ、バックステップを踏み、左拳を内側にねじり込み、全身を巻き込み、がら空きの右脇腹に左ボディーブローをめり込ませ、叩き伏せる
「(貴様の肋骨をへし折った!!!)」
「ぎぎゃっ」と短く悲鳴が聴こえた
テン・カウント
私の勝ちだ
PS
「You are not my match」とだけ答えておいた
一応、「リベホイミ」と「ホイミ」もした
平成□年12月23日
暫くクレア選手は入院するそうだ
私が会いに行くとボディーを隠しながら「older brother!!」とミカエル・ラインズJr.選手に泣きついているけど。楽しそうではある
「ワタサ、マケテナイ」と言われたし
ワタサ……たぶん、わたしかな
肋骨は左3本、右2本だった
「惜しい」と言ったら友達に「そんなんだからサメ殺し炸裂!とか書かれるのよ」と言われた
PS
おかゆ、美味しい
平成□年12月25日
今年のクリスマスは幕之内君と過ごした
おのれ、カレシがいるから仕方ないけど
PS
まあ、何事もなかったけど
……残念には、思っていないはず
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