「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい   作:SUN'S

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私の3回戦らしい

平成☆年5月16日

 

計量を終えて、市川美鶴選手を見る

 

「なにか?」と言われたので「体重が増えたのでいつもより重めに打てます」とサムズアップを送り、付き添いの千堂さんに絡まれる幕之内君に近づいて、「そろそろ帰ろうか」と言う

 

「かぁーっ、嫁の尻に敷かれとるやん!」と千堂さんの言葉にカチンと来たものの。流石に茂田晃という日本ランカーと試合を控えた千堂さんを殴るのもアレだ

 

うん、やめておこう

 

「いや、花咲さんは奥さんというわけじゃ」と幕之内君も言葉を続け、鴨川会長に首根っこを掴まれて一緒に帰ることになった

 

「なに?ヘタレなん?」と市川選手にもコソコソと聞かれた。だから、そういうのじゃないんだってば。悩ましいよ、本当にさ

 

PS

 

なぜか会長室で「小僧、さっきの話はどういうことじゃ。貴様と宮田はコレを賭け、新人王で戦ったんじゃろう」と私と幕之内君は尋問を受けた

 

「宮田君と試合していないのに、告白するのはどうかと」なんて言う幕之内君に「それはもう告白なんだってば、もうっ」と付け加える 

 

久美ちゃんは、どうするのさ

 

まったく

 

平成☆年5月17日

 

新しくなったトランクスを履いてリングに立つ

 

 

【挿絵表示】

 

 

釣り船幕之内とサメをKOするワッペンに沸き立つ後楽園ホールの観客席にお父さんとお母さんを見つけ、グッと左腕を上げて笑顔を向ける

 

赤コーナーを登り、市川選手が立つ

 

赤色のトランクスと赤い髪が跳ねる

 

強いね、うん

 

レフェリーの言葉を聞いて、ニュートラルコーナーに戻り、マウスピースを噛む

 

1R

 

ゴングが鳴る

 

後ろに振り向くと速攻を仕掛け、右ストレートを振り抜く市川選手が見え、ヘッドスリップで外側に躱しながら、コーナーポストにめり込んだパンチの重さに、やっぱりフライ級より威力あるなと思う

 

左ジャブをパーリングで受けた瞬間、私の右腕が弾け、続けざまに飛んできた右ストレートで私の身体は後ろにのけ反り、靴底がキャンバスを削る

 

成る程、階級を上げるのを承諾するわけだ

 

「(この人は強い人だ)」

 

ゆっくりと肩幅にスタンスを広げ、両腕のガードを胸よりも少し下に構える。ずっとガードのやり方を考えていたけど、私は防ぐより殴った方が速い

 

攻めてきた市川選手のワンツーをダッキングで避け、左ボディーブローを打つ

 

ガッチリと両腕を重ねてブロックする市川選手のブロックごとボディーを殴り抜き、傾き、倒れそうになる市川選手に右ボディーブローをめり込ませる

 

苦悶に顔が歪み、ダウンを奪う

 

ニュートラルコーナーに戻り、肩を慣らす

 

市川選手は立つ

 

7カウント

 

ファイティングポーズを取り、市川選手が私を睨んだまま特攻を仕掛けてきたところに私も身体を押し付け、左フックを顔面に受けながら、右のアッパーで市川選手のアゴを突き上げる

 

上半身の浮かぶ彼女は負けじと右ストレートを私に打ち返してきた。痛いと思うのは、芦田選手のパンチを受けて以来だと思い出せた

 

ゴングが鳴る

 

ニュートラルコーナーに向かう

 

インターバル

 

「どうじゃ。階級を上げたことで貴様の強打に耐え得る相手に会えた気分は?」と聞かれて、「面白いです。けど、芦田選手より弱いかもです」と返す

 

「アレは世界チャンピオンじゃ!今の貴様が辿り着くにはヤツに憧れたものを薙ぎ倒す以外にない!」とも言われ、思わず納得してしまった

 

セコンドアウトのアナウンス

 

2R

 

ゴングが鳴る

 

私に向かってきた市川選手のワンツーを避け、右ストレートの引き終わりに左ジャブを顔面にめり込ませ、のけ反る彼女に右ストレートを続けざまに食らわせる

 

右こぶしを内側にねじり込み、鳩尾に向かってコークスクリュー・ブローを叩き込み、彼女の身体がくの字に折れ曲がり、ミシミシィッ…!と感触が拳に残る

 

背中をロープにぶつけ、腕を絡めて立つ市川選手はお腹を押さえて膝を震わせていたとき、「何やっとるんやワレェ!!攻めな負けるやろ!?」と千堂さんの声が会場に響き渡った

 

市川選手が構える

 

サメの天敵は、シャチだって聞いた

 

ずっと考えていたけど。鴨川会長と猫田さんの時代を聞いたとき、ひとつだけ気に入った名前があった

 

左腕を下げ、ボディーブローの構えを取る。この技は私の必殺技になると思う。コークスクリュー・ボディーもストマック・ボディーブローとも違う

 

ワンツーを躱し、右フックをダッキングで避ける

 

シャチは獲物で遊ぶ

 

その動きに準えた渾身の左ボディーブロー

 

グランパス・キャノン

 

全身の体重を押し付けように突き上げ、市川選手の身体が浮き上がり、キャンバスに倒れる

 

ゴングが鳴り響く

 

「(うん。へし折ったんだぜ、へけっ)」

 

PS

 

お腹を押さえて蹲る市川選手を診るために八木さんにグローブのテーピングを切ってもらい、彼女に近づいてお腹を軽く触りながら「ベホマラー」を内臓と肋骨にかけ、「リベホイミ」もかける

 

暴れそうなので「私の息に合わせて、吸って、吐いて」と伝え、安定したところに「ラリホー」をかけて担架に乗せる

 

これで、大丈夫かな?

 

平成☆年5月20日

 

山口接骨院は盛況だ

 

私のアルバイト先として有名になったらしく、お叱りの頬っぺたつねりを受けた

 

そういうのは、やめようぜ

 

PS

 

アイドルはやらないってば

 

なに?頂点捕食者を目指せばいいの?

 

平成☆年5月24日

 

精密検査を受けたけど

 

特になにもなかった。まあ、体重が増えていたから「ベホマズン」を使ってみたけど。めちゃくちゃ身体は軽いし、お肌も潤っている

 

釣り船は今日もよく釣れている。ただ、釣りしないのに乗ってくるお客さんが増えて、少しだけ常連のお客さんが困っていた

 

ので、私も船を買ってきた

 

PS

 

ちなみにシャチの群れは雌がリーダーらしい

 

フェザー級でやるのは今回だけ

 

鴨川会長にフライ級に戻してもらえるようにお願いしておいた。あくまでも私は芦田選手に「来いよ」と言われて、その階級にいる

 

他に目移りするのは今回だけだぜ、へけっ

 

 

 




市川美鶴


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