「はじめの一歩」に女の私が転生する需要はあるの?一応、需要はあるらしい 作:SUN'S
花咲渚。
初めてジムに来たときは、どこにでもいる平凡な少女だったが、八木ちゃんの話すトレーニングメニューを嫌がったり、ワシの扱きで直ぐにジムを辞めると思っていたが、気がつけばあやつはジムの活気を取り戻す一躍を担っていた。
「源ちゃん、白状するだ二。花咲ちゃんはお前の孫娘に違いないだ二よ!!」
「ワシらの目は誤魔化せんぞ、鴨川。あのあばら骨も内臓を粉砕する鉄拳は貴様が米兵相手に繰り出した一撃に瓜二つじゃろう」
「じゃからワシの孫娘じゃないと言っとるじゃろ!」
いきなりやって来た猫田銀八と浜団吉の追撃に言い返す。ワシはあの日よりボクシングに人生を捧げると誓い、今も尚、その誓いは続いておる。
「ウソだ二ぃっ!?グランパス・キャノンとかいう下からのボディーは源ちゃんもやっとただ二!!白状しないなら直接聞くだけだ二!!」
「待たんか猫田ぁ!!」
ワシの静止を振り切って鷹村のミットを受ける花咲に話しかけた猫田に頭を抱えるも鷹村の右ストレートがミットを逸れて、危うく猫田に当たりかけておった。
パーリングで逸らしおったか。
「猫田さん、お話って何ですか?」
「花咲ちゃん、率直に聞くだ二」
「はい」
「源ちゃんさ、孫娘だ二?」
「孫娘ではないですね。けど、いつも厳しくも優しく諭してくれる人だとは思います」
「貴様、あの
鷹村の言葉に小僧達もリングの上に立つヤツに視線を向け、団吉もワシを見る。
「コイツの才能は人を殴る際の抵抗感の無さだ。いや、抵抗感はあるんだろうがな。誰しも殺さないようにパワーをセーブしようとするが、この前の試合で見ただろう?コイツは確実に腹に食らい付く。俺様には劣るが、男ならいい線行くぜ」
「人の事を捕食者みたいに言いますね。ねえ?あれ?、ちょっと、椎名と亜依子も反論しないで納得しないでもらえる!?」
「いや、だって、ねえ?」
「あのパンチはすごかったわね」
ウンウンと頷く曽根と東谷にショックを受ける花咲は「おのれ」と不満そうに頬を膨らませ、鷹村にミット打ちを再開させ、手の位置を速める!
じゃが、鷹村が振り回し返しておるがな。
「「やっぱり、孫娘…」」
「違うと言っておるじゃろう!」
全く、ワシが祖父ならボクシングさせるにしてもアマチュアまでじゃ。じゃが、才能もあるが、それ以前にあやつは鷹村に近しい野性を隠しておる。
その片鱗も山の合宿で出始めた
フェザー級で試合を組んだおかげで、あやつも本調子での試合感を掴めた。フライ級世界チャンピオン、芦田早月があやつに固執する理由も分かる。
花咲は直向きに前しか見ん。
嫌と言いながらも逃げず、見定めた目標だけに進み、食らい付き、遊ぶ。シャチの群れは雌がリーダーを務め、雄はついていく。
鷹村もまた負けず嫌いに加え、東谷という寄り添うものができ、強さを桁外れに高めておる。世界ランカー7位、頂点はすでに見えた。
鷹村と花咲、二極が揃っておる。
男と女の世界チャンピオンもそう遠くはない。
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