革命者イブリス   作:とある後

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不思議なことに、この世界の暦は前世とほぼ同じだ。ただ単にゲームの舞台だから、分かりやすくしたという作者の都合以外にはないのかもしれんが。私に言わせれば女神よりも任天堂が神様です。

これが原作を知らない転生者だったら作為的なものを感じたんだろうな。

後は、我が領地におかしな奴らが居た。

発端は私が懇意にしている大商人の娘が連れ去られ、しかし身代金の要求は無しとかいう不自然極まりない誘拐事件だった。こいつらを捕まえてみたところ、まあ犯人はただの賊だったわけだが、そいつらも誰かから依頼されてやったとのこと。ちょっと意味が分からない。

で、しつこく調査をしていたら誘拐、拉致、監禁、人体実験などあくどいことを国をまたいでやらかしている連中の存在も見えてきた。

娘は私の側仕えにげっへっへっ。って何でそうなる?イングリット!助けて!?えっ?近くに置いとけ?何で?

取り敢えずこういうのは大体、宗教団体が悪さしてんだという偏見の元、さらなる調査を行なったが、少なくとも教団は今のところは白。アル村の神父よ。すまない…。あなたには世話になったし、いい人だというのは知っていたけど、前世持ちからしたら宗教団体というだけで胡散臭く見えるんよ…。

それにしても犯人の所属する団体が掴めない。恐らく相当でかい組織で、しかし教団でも、少なくとも王国でもない。消去法で同盟か、帝国か。推察した程度でもでかそうな組織なのに表に出てこない。前世でもよくある話だったが、巨悪が政治家などの権力者とつながって悪さを隠蔽するということ。恐らく相当深くに潜っている。

まあ当家もちょっとくらいは悪いことに手を出したこともあるが。

ただ、貴族を標的にしちゃいかんよ。さすがに。

これに関してだが、アウレリアとのデート中に、賊を討伐した時にガルグ・マクの士官学校の生徒を救助した。名前はモニカ=フォン=オックス。

いやいや、さすがにおかしいって。将来は帝国の皇帝の側仕え?おかしいおかしい。

アウレリアの強さに惚れたから帝国に来ないかって?うちは真面目な王国貴族です!後はモニカ殿(まあ他国の貴族なので呼び捨てはまずい)を誘拐していたクロニエとかいう気味悪い奴も捕らえた。

 

お前の望みは何だ!?こんなことをしている理由を言え!?

 

と正義感ぶって聞いてみたが何もないらしい。ただ上に言われただけ…マジかよ…。

何か上に文句でもあるん?話聞くよ?

 

……はぇ~裏の社会も色々あるもんやねんな。上から目線で接して来て敬意を感じられない?…わかるわ~。うちも男爵で下の方だからさ。上の貴族のうるさい事うるさい事。まあうちが金払えば黙るんだけどな!がはは!

いざとなったら捨て駒にされる?まあ人間そんなもんやで。つか、そんなに組織に文句があるならうちで働かん?

そう言ったら目をパチクリさせるという表現が正しい顔をした。おもろ。おもしれー女は勧誘します。それがうちの主義である。

何?お前の方が面白いから仲間になるって?

よう言うた!それでこそ男や!

そう言ったらまた激しく笑って腕を絡めてくる。

それはやめなさい。アウレリアがものすごい顔で睨んでいるから。アウレリア!ダメ!この子はもう味方だから。

えっ兄上が害されるかもしれない?えっ?お前そんなことするん?

ほら。しないってよ。やったらあんたにぶっ殺されるの確定じゃんだって。そうだそうだ。もっと言ってやれ。

と言うか一応死ぬのは怖いんだな。いや、貴族を相手にあんなことやってたくらいだし、自分の命すら軽んじているイメージがあった。でもそんなバカだったらもっと早くに尻尾を掴まれてるよなぁ…。

えっ?今までやってきた悪いこと全部話す?

 

…は?

 

ということでクロニエが仲間になりました(絶望)

何だよアガルタって!何だよ人体実験って!セイロス教団の秘密?えぇ…そんなん知りたくなかったんやけど…。はぁ…そんなの知りたくなかった。

いや、おかしいとは思ったよ?文明の進みが明らかに遅い。それなのに人間の知能は前世とそんなに変わらない。

 

はぁ…。憂鬱だ…。

クロニエ!笑うんじゃねー!

で、こいつどうしよう。捨てたくなってきた。

は?あんなに激しくしたのに?

…アウレリアが激しくお前をぶっ叩いたな。

愛人ということにしておけって?いや、さすがに…

ほらっ!来た!鬼嫁が!い、イングリット…これはその、アウレリア助けて!

自業自得?えっ?

 

 

 

 

そんな酷い目にあった。クロニエは許さん。もう間に合わんかもしれないけど、取り敢えずその件は置いておくとして、そいつらが根城にしていそうな怪しい地域もある程度推測済み。本当にあるかどうかは分からんけど。取り敢えず、ガルグ・マクに何かあるのは確定。他にも伝承に残る土地をアウレリアとのデート名目で空から重力を操る魔法を弄って調査している。私とアウレリア、イングリットが空のデートに出るのは我が領地では名物になっている。コンスタンツェも来たがるが、彼女はダメだ。私の使っている魔法を見れば、逆算してこの世界の歴史のタブーに触れかねない。何もないならよし。何かあるとしたら、知っているのは私だけでいい。クロニエの話もできない。

話を戻して、怪しい施設の話だ。こういうのは地下に隠すのが相場だからな。重力異常が検知されれば何かある可能性が高い。

それと重力を操るのは闇魔法らしいね。クロニエに教えてもらったよ。理論さえ分かれば簡単やな。

魔法が発動するときの陣もちょっと違うねんな。え?俺のオリジナル魔法も見せろ。

うるせえな。見せてやるから騒ぐなよ…っと。ほい。ドヤァ!

ん?何か普通の魔法と違う?私の魔法の陣も?まあ私オリジナルで商標取ってるからね。

それはそれとしてアガルタで働くための身分が欲しい?

で、どうすれば良いん?

ほう!他人に成りすます方法があると!おもろいやんけ!それは何か制限がある訳じゃないんだよな?ならこの子に成りすましとけ。

誰かって?何を隠そう。最近私の傍仕えになることになったイリーナちゃんです。うちのお抱え大商人の娘ですね。で、この子、前にお前の仲間に拉致されかけてたから助けたんよ。あれ成功したってことにしたらいいんじゃね?

多分うちに入り込もうとしてたんでしょ?いや、分かるってさすがに。うちの防諜技術舐めないでくれます?スペツナズですら裸足で逃げだすレベルですよ?

まあ、うちってさ。王国でもトップの金持ちだし。まあそれで入り込もうとしてたんでしょ?

にしてもよく笑うなーお前。面白い?お前ほど面白くないわい!

面白いついでに教えると、コルネリアはアガルタ人で仲間?

……は?

は?

あいつうち絞めてきておいてそんなことしてんの?

ぜってえ許さねえ!この世で感じ取れるありとあらゆる苦しみを味わわせてから〇してやる…

いや、怒るって。あいつこの間難癖付けてきたんよ。マジで許さん。自分の方が真っ黒じゃねえか。

まあいいや。とりあえずうちに潜入出来たってことにしときな。

ああ。イリーナちゃん。こいつは怪しいけど悪い奴だから姿を貸してね。

男爵様が言うならって?

…お、おう。ちょっとは人を疑うことをしようか。後、私はまだ男爵じゃないからね。父上殿に言ってくれ。あの親父。顔が良いのをいいことに未だに側室増やしてやがるからな。

いや、イケメンで金があって義侠心があって性格も良くて……まあそりゃモテるか。参ったな否定できる要素が無い。

イブリス様も素敵ですって?ありがとうな。でも金髪だから好きなんじゃないからな。

うちの領民の女の子、金髪だからって領主の館に集まるのマジで辞めて欲しいんだけど。君の父親が大商人だからっていうのも関係ない。君は君で思う所を成せばいい。やりたいこと好きなこと。いくらでもあるだろう?絵を描くのが好き?良いじゃないか。絵は心が豊かになる。

そうだ。文化振興をしよう。芸術だ!芸術の時間だ!音楽もやろう。心が豊かになる。

領民の腹は満たせた。次は娯楽だ!何故気が付かなかった!

笑うなクロニエ。大半がお前のせいだ。だから現実逃避くらいさせろ!

 

ーーーーー

 

今年は図ったかのように有望なものが多い。

まずは我が主エーデルガルト様に王国のディミトリ王子、同盟の盟主クロードと、各国の次世代を担う者が集まっている。

 

「特筆すべきはこの男…か」

 

年は20歳で私と同い年。吹けば飛ぶような男爵領を穀倉地帯に変え、その影響力は王国の公爵家にすら及ぶと専らの噂だ。

 

「ガラテア家から婚約者を貰い、フラルダリウス家やゴーティエ家の嫡子とも良好な関係である」

 

何度も見た情報を再び脳裏に思い浮かべる。嫌になるくらい見続けて、もはや一文字一文字すらも暗記できるほどには見返した文書を読み耽る。

 

「たった10年でこれだけの内政を成し遂げ、武でも結果を残す。……厄介ですな」

 

プライデリ男爵家は王国の西部に位置する小さな領地だ。しかし、帝国から王国へ攻め上がるとなると侵攻のための道の一つとなりうる。

 

「だけどとっかかりもあるわ」

「はい」

 

これから我々主従が向かうガルグ・マク修道院の士官学校。既に入学を果たしているモニカ=フォン=オックス。彼女が何者かに拉致されたところをプライデリ次期男爵に助けられたという。

 

「まずはお礼からするべきよ」

「彼の者の好みは特に得られませんでしたな。……女性の好みを除いて」

「金髪の女性が好きという情報ね」

 

これだけは理解できなかった。

合理性を重んじて行われる統治とは相反する、俗物極まりない嗜好。

あまり深く調べすぎて敵に回しても良くないということから、控えめな諜報に留めていたことで、後手に回ってしまった感はある。

 

「フラルダリウスをはじめとした家との関係を見ても、彼が士官学校に来ないという選択肢はないとは思っていたわ」

「ディミトリ王子も会いたいと思うでしょう。プライデリとしても箔が付く。入学しないという選択肢がそもそもありませんな」

「むしろこれは僥倖よ。プライデリの人となりを正面から調べられるという意味でね」

 

我が主はため息をついた。

 

「…そうよ。全ては士官学校で決まるわ」

 

私はこのとき、まさか今まで思考していた人間も、我が主と同じことを考えているとは夢にも思っていないのだった。




誤字がある。設定をよく分かっていない。だから粗が出る。
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