革命者イブリス 作:とある後
生まれた時から私の側には母と兄が居た。
私が何かをするたびに、撫でてくれて褒めてくれる。
それが心地よかった。
自分の異常星に気がついたのは、いつのことだったか。
昔から力が強いと言われてきた。でもそれは農村では役立つものなので、誰も何も言ってこなかった。
むしろ母や兄のように『大人以上に働いて偉いね』と言うのがいつもの事だった。
父が貴族で、紋章があるとかで、その貴族の家に連れて行かれたところで私たちの人生は変わった。
農村でみんなに治癒の魔法を使っていた兄は、特にお年寄りや子供が生まれた大人たちに気に入られていた。何でも、兄の使う魔法のおかげですこぶる体の調子が良いとか、お産が楽だったとか、生まれた子どもが死なないとかいう話を聞いた。
私は子どもだったので、それが異常なことだとは分からなかった。アル村以外の農村では生まれた子どもの半分以上が死ぬこともあるらしい。私は私よりも幼い子どもが死んだところを未だに見たことがないが、それは全て兄のおかげなのだと村に居た神父が私に力説していた。
そして増えた人を養うために、農地にまで魔法をかける
『地面に回復魔法って意外と効くよね』
兄の言葉に神父がものすごい顔をしていたのを思い出す。
それから村人から信頼されている神父と兄は、農地を改良するための魔法を開発していた。
そんな兄が、私の体を抱き上げながら魔法を使っているのを見るのが私の楽しみだった。
ああでもないこうでもないと私の理解できない言葉で話しながら、様々な魔法を使うのを目にするのは純粋に興味深かった。
また、アル村の農地は肥沃で私たちは食べ物に困ったことがない。だからそれが普通だと思って今まで生きてきたが、他の村では食べるものがなくて人が死ぬらしい。
男爵の家に来て、初めてそれを知った。
『イブリスは凄いな。私には思いつかないよ』
『そうですか?ダメな土と良い土を比較して何が足りないのかを調べるだけですよ?でも、足りないものが農作物の生育にどのような影響を及ぼしているのかは、いまだに完璧には分かっていません。アナリシスの魔法で分かったのは、毒と思われる物質ですら、農作物は微量ながらも含んでいて、そしてそこに住む生物も毒物を必要としているという事実です』
『そ、そうか』
『男爵様。領の財政を思うのであれば農地の肥沃化は必須です。農業を疎かにしてはなりません。そして農地の肥沃化のためには魔法使いは必須です。彼らの育成のために金を出すことは、長期的に見て我が領地にとって大きな利益をもたらすことでしょう』
『…ははは。……文官と相談してみるよ』
男爵様が来ると兄は難しい話をする。
『男爵様はこういう話が苦手なんだ。アウレリア。一緒に出かけようか?』
『はい!』
これはわざとだ。男爵様が私たちの時間を邪魔するたびに、兄は彼を追い出すためにわざと難しい話をしていたのだろう。
『イブリス!私にはやはりよく分からなかったから、取り敢えず有り金全て魔法使いの育成に使うことにした!』
『……は?』
『これで我が領地も塩以外で金を稼げるぞ!』
『いや、ちょっと…』
『後は工房も作った!』
『……えっ?』
『良い武器が欲しいからな』
『…あの男爵様。領の金庫は…?』
『…空です。イブリス坊っちゃん。後始末をやりましょう』
『えっ?』
文官さんは嫌い。すぐに兄を連れて行く。
そして父よ。ゆるさん。
ーーーーー
「アウレリア!怪我はないか?」
兄がドラゴンから降りて私の顔をぺたぺたと触る。
「よしっ!顔には傷がないな。…手は?斧を受け止めていたが…」
「大丈夫ですよ。兄上が作ってくれたごうきん?でできた籠手がとても硬いから」
「ああ。良かった。あんな危ない真似はしてはいけない。というか鎧はちゃんと着なさい。そしていきなり危険地帯にドラゴンを飛ばすのもダメ!」
「それよりも兄上。ドラゴンを飛ばさないようにした魔法は何?」
「あれ?鳥が空を飛ぶ時に、翼の下に風の流れを作るんだけど、ドラゴンも空の飛び方は同じ。だから魔法で空気の流れを乱して、その邪魔をしただけだよ」
「…そんなことよく思いつくね」
「空を飛べなければ私たち人間と一緒さ。地面を歩くしかできないなら、アウレリアに勝てる生物なんて居ないだろう?」
……なんか変な信頼をされている気もするが。
デオドラ山賊団は100人程度で村を占拠していた。大半は私と兄の手で無力化されている。
兄が倒した山賊は無傷で倒れている。
『空気ではなく二酸化炭素を吸わせたんだ』
どうしたのかを聞くと、相変わらず訳の分からない答えが返ってくる。
『要するに呼吸ができなくなるんだよ。これを顔の周りに発生させるだけ』
魔法ってずるい。
「そうでもないよ。相手の顔の周りに周囲の二酸化炭素を集めるだけの魔法だけど、その分圧力差が生じるから、制御はかなり難しいし、魔法を使っている側の存在が相手にバレたら終わり。戦闘態勢に入る準備もしないといけない。今回はアウレリアが派手に暴れてくれたから上手くいったけど、正面切って戦ってたらこんなに上手くいかなかっただろうね」
「私のおかげ?」
「そうそう。アウレリアのおかげ」
兄はそういうと私を撫でてくれる。子供の時から母や兄から撫でられるのが好きだった。それは今も変わらない。
ーーーーー
結論から言うと、デオドラ一味は逃げ切った者たちも含めてうちで雇うことにした。
だって勿体ないじゃん。神出鬼没と呼ばれるほどの機動力に、ドラゴンを運用できるほどの資金力、組織力、そして情報を封鎖して略奪に励む戦略眼。これを野に放つわけにはいかないし、とはいえ殺すには勿体ない人材だと思ったからだ。
「大将も物好きだよなぁ。俺みたいなならず者を使うなんてよぉ」
「君の問題はた賊の指揮をしていたというだけだ。治安を乱した罪はあるとはいえ、占拠された村の村民はむしろ君の処罰に反対してきた。それが全てだと思う」
「お貴族様がただの村人の言う事を聞くってのも聞いたことが無いぜ?」
「あの村は下流の村と交渉するために、戦力として君をバックにつけたという事実も確認している。非はむしろ村側にあると言える」
「だけど分かっているか?あの村の水問題は一朝一夕には解決しねえぞ?だからあの堰を止めるしかなかった」
「とりあえずやれるだけのことはやるさ。まずは魔法使いを派遣して地下水が無いかを探すところからだな」
「それで?この俺を使いまわすってか?」
「死ぬよりはマシだろう?」
「あんたの背中を狙うかもしれねえぞ?」
「やってみると良い」
犬歯をむき出しにして笑う人相の悪い顔を見ながら即答すると、デオドラはすぐに真顔に戻った。
「……いや、やめとくわ」
恐らく彼の脳裏にはアウレリアとの闘いが浮かんだのだろう。
「それにこっちはこっちで退屈しなさそうだ。うちの大将も大概頭が飛んでやがるし、俺みたいな無作法者でも重宝してくれるんだもんな」
「おい。部下の前でそういうことは言うなよ?」
「…俺ぁあんたの妹君より、あんたの方がよっぽど怖いぜ」
命を救ってやったというのになんて奴だ。やっぱりすっぱり斬っておいた方が良かったか?
…なんて。そんな無礼討ちなんてもったいなくてできるわけがない。何よりデオドラは使える。少なくともうちの義兄よりは間違いなく。つまりいざとなったら奴を男爵にして、私は怪我か何かを理由に隠棲生活を送れば良いのだ。
「あいつには野心がありそうだからな。やる気があるならやってくれ。いや本当に」
ーーーーー
【ついに】同盟ルートについて語るスレ PART6【発売!】
1:名無しの先生
漸くクリアできたよ……大団円で良かった
2:名無しの先生
全部やったの?
3:名無しの先生
いや、同盟だけ
4:名無しの先生
そか
5:名無しの先生
よかおめ
6:名無しの先生
誰が印象に残った?ちな俺はイブリス
7:名無しの先生
俺も
8:名無しの先生
ワイも
9:名無しの先生
イブリスとマリアンヌのペアエンドは良い話だった…
10:名無しの先生
↑マジで?どんな感じ?
11:名無しの先生
ネタバレになっても良いなら書く
12:名無しの先生
書け
13:名無しの先生
書きましょう
14:名無しの先生
書いてください。お願いします
15:名無しの先生
何だwこの三段活用w
16:名無しの先生
紋章が不幸を呼び寄せるからという理由で自己評価の低いマリアンヌとイブリスの会話が以下。
マリアンヌ「私の紋章は人を不幸にする」
イブリス「ほーん」
マリアンヌ「だから私に近づかない方が良い」
イブリス「何かそういうデータあるんすか?」
マリアンヌ「え?」
イブリス「不幸にできるものならやってみろ。ワイは自分の領地で好き放題しとるし、ママも妹も可愛いから幸せの絶頂やで。おら!不幸にしてみろよ!」
マリアンヌ「……」
イブリス「な?無理やろ?紋章なんか大したことないねん。それで不幸だと思う奴の考え方の問題やねん。大体うちの級長見てみ?王子様やのに毎日魘されてばっかやぞ」
マリアンヌ「…さすがにそれは不敬というものでは…」
イブリス「知らんわ。勝手にトラウマになって心を病んで、それでも平気そうな顔をして。ここだけの話やけどあいついつか壊れるで。で、それもあんたの紋章のせいなんか?」
マリアンヌ「……」
イブリス「ちゃうやろ?結局心の持ちようや。紋章がなんぼのもんじゃバカバカしい」
17:名無しの先生
イケメンで草
18:名無しの先生
実際イケメンだからしゃーない
19:名無しの先生
クロードですら『顔の良さのせいで説得力があるのが余計に腹立つ』とか言ってたから相当よな
20:名無しの先生
イングリットちゃんとアウレリアちゃんの両手に花やぞ。イケメンだから許される
21:名無しの先生
いや、鬼嫁と女呂布はちょっと…可愛いけど…うん。可愛いけど…
22:名無しの先生
妹(身長187㎝、体重91㎏)
23:名無しの先生
…ヒェッ!
24:名無しの先生
このガタイで武器の名前が無双方天戟。あれ?おかしいな?三国時代の人が紛れ込んでません?
25:名無しの先生
乗ってるのがドラゴンだからな。呂布と一騎打ちしても空のアドバンテージで勝てるぞ
26:名無しの先生
しかも赤いドラゴンに乗ってるとか赤兎馬意識したろwww
27:名無しの先生
アウレリアもヤバいけど鬼嫁イングリットもヤバい
28:名無しの先生
5年後にイブリスと結婚していて、しかもイブリス加入時に鬼の勢いで追いかけてくる女
29:名無しの先生
イングリット『どいてください!せめてその人を一発殴らせて!』
30:名無しの先生
…こえーよ
31:名無しの先生
でもね。男爵領で自分が作ってきた研究資料から家財道具、貨幣に宝物を一切合切持って同盟に亡命するのは泥棒なんよ……
32:名無しの先生
父である男爵が死んで、義理の兄が継いだけど不正に手を染めた証拠を見つけ、それまでに投じた金や弔問金などの慰謝料という名目で全てを奪って逃げだした男。そりゃミハイルさんも激おこですわ
33:名無しの先生
後日譚で、ちゃんと王国の裁判に出廷してきっちり勝訴してるの草
34:名無しの先生
イブリス『ちゃんと何にいくらかかって、その根拠として幾ら差し押さえる必要があったか帳簿を残してある。まあ足が出たから根こそぎ持ってきたが』
35:名無しの先生
デオドラ『大将!さすがにかっぱらい過ぎですって!俺ですらこんなに盗みしたことないっすよ!』
これ笑った。しかもめっちゃ悪人面wで、実際元山賊とかいうガチの悪人。
36:名無しの先生
イングリット『デオドラさんは良い人ですよ?あの人に比べたら大したことないです』
37:名無しの先生
実際に部下思いで、メンタルやられてる仲間を励ましてくれる良い奴なんだよなぁ…
38:名無しの先生
むしろイブリスが盗賊
39:名無しの先生
クロードですらドン引きしてたもんな
40:名無しの先生
クロード『お、おい。いくらなんでもそれはやり過ぎだ!』
イブリス『むしろこれでも自重した方だ。俺の受けた損害はこれだけ盗んできても足が出ているんだぞ』
クロード『いや、男爵領どうすんだよ』
イブリス『知らね。金もなければそれをどうにかできる文官も根こそぎ引き抜いてきたからどうにもならんでしょうな』
クロード『他人事かよ!?』
イブリス『そうだよ』
41:名無しの先生
控えめに言って頭おかしい
42:名無しの先生
ニコニコしながら言ってるからな。がちのサイコパス
43:名無しの先生
はぇ〜すっごい…
44:名無しの先生
でも鬼嫁には弱い
45:名無しの先生
イングリットもアウレリアも派手に強いのに、こいつが隣接するだけでバフがかかるからさらに強くなるという…
46:名無しの先生
アウレリアちゃん強化しすぎて単騎でネメシス葬っちゃったんだが
47:名無しの先生
強化しなくても単騎で行けるぞ
48:名無しの先生
基地外兄妹ヤバすぎるんだよなぁ…
49:名無しの先生
一番前にアウレリアを配置して、その一マス後ろにイブリス。イブリスの両隣にイングリットと先生を配置すると毎ターン全ステータスを1.5倍にするバフがかかる上に、3マス以内に居る全ての味方を自動で20回復する祝福の光がマジでチート過ぎる
50:名無しの先生
イブリスの先生への好感度高すぎでしょ
51:名無しの先生
基本的に悩みがあったらすぐに先生に言うもんな。別のクラスなのに
52:名無しの先生
こいつ王国の男爵だっけ?同盟になじみ過ぎてるから普通に同盟の貴族と思ってたわ
53:名無しの先生
俺も
54:名無しの先生
『先生の教育法、興味深いですね』とか言って自分から接触してくるんだぞ。先見の明があり過ぎるっつーかなんつーか
55:名無しの先生
鬼嫁マップのせいでただの面白い人になっちゃってるの草。だけど腹の内は相当黒いぞ
56:名無しの先生
そらそうよ。クロードですらお手上げだったもん
57:名無しの先生
間違いなく一番の問題児
58:名無しの先生
ローレンツからは『貴族の風上にも置けない』って嫌われてたけど、いつの間にか仲良くなってたよね。コミュ力バグってんだろ
59:名無しの先生
ガチモンの陽キャ。陽キャでありながら闇が深い。てかあいつ王国のことを嫌ってそう
60:名無しの先生
嫌っている割には王国の法律にめっちゃ詳しいというね。法律学者を相手に自己弁護をして、裁判で圧倒的勝利を収めるってどんだけよ
61:名無しの先生
ワイ、デオドラさん好きだわ。何かみんなのお父さんって感じだった
62:名無しの先生
分かる。野営の時にバーベキューしてんだもん。自由過ぎるだろ
63:名無しの先生
ローレンツ『おい!夜に何をしている!?』
デオドラ『大将に許可を取ったから焼いてる。食うか?』
ラファエル『食う!』
イングリット『食べます!』
レオニー『おっさん!料理上手いな!』
ローレンツ『あー!もう!私も食べる!』
デオドラ『おう!若いんだから食ってけ食ってけ。あんたらが食った分は大将に請求するから』
イングリット『そうです!たまにはお金を使わせないと…ただでさえ守銭奴なのに…あの人…』
64:名無しの先生
↑草
65:名無しの先生
↑草
66:名無しの先生
↑草
67:名無しの先生
↑草草の草
Corridor of the Tempest聞いてたら書いていた。そんな日もある