――九尾の狐。
中国をはじめ、朝鮮、ベトナムなど、東アジア各地の伝承にその名を残す、九本の尾を持つ狐である。
ある時は神獣として崇められ、またある時は国を傾ける妖怪として恐れられた。
日本にも、その伝承は存在する。
平安の世、絶世の美女に化けて宮中へ入り込み、帝を病に伏せさせたという大妖怪。
その正体を見破った陰陽師、安倍泰成。
追われた九尾は下野国へと逃れ、ついには討伐軍によって命を落とした。
しかし、その怨念は消えなかった。
亡骸は殺生石となり、死してなお周囲の命を奪い続けたという。
人々が九尾の狐を恐れる理由は、その妖力の強大さだけではない。
千年を経てもなお消えることのない、執念。
それこそが、九尾という存在の恐ろしさだった。
そして今。
九本の尾を持つ妖怪、八雲藍は、一人の人間と向かい合っていた。
博麗神社の先代巫女である。
「……幽々子様が消滅する?」
藍の声は低かった。
「根拠を聞かせてもらおう」
九本の尾がゆっくりと揺れる。
その一本一本から漏れ出す妖力は、並の妖怪ならば触れただけで意識を失うほどのものだった。
だが、先代は眉一つ動かさない。
「確かな証拠はない」
「……何?」
「だが、このまま冥界に春が集まり続ければ、幽々子は消滅する。そう確信している」
しばしの沈黙。
やがて、藍の口元が歪んだ。
「……くっ」
肩が震える。
「くくく……はははははっ!」
高らかな笑い声が森に響いた。
しかし、そこに愉快さなど微塵もない。
「ふざけるなよ、人間」
笑みが消えた。
次の瞬間、空気が重く沈み込む。
大地が軋み、周囲の木々が音を立ててへし折れた。
枝に止まっていた鳥が落ちる。
上空を飛んでいた鴉も、羽ばたきを止め、そのまま地面へと墜ちていった。
藍は一歩、前に出る。
「根拠もなく幽々子様の消滅を口にし、その上で紫様に会わせろと?」
「そうだ」
「……随分と勝手な話だな」
「時間がない」
先代の返答に、藍のこめかみが動いた。
「もう一度だけ言う。立ち去れ」
九本の尾が大きく広がる。
「私は貴様ら博麗の人間が嫌いだ。歴代の巫女が振るってきた、あの忌々しい陰陽の術」
藍の脳裏に、遠い昔の記憶がよぎった。
人間。
本来ならば、九尾の妖狐にとって取るに足らない存在。
だというのに、あの者たちは術を用い、妖怪の力を封じ、時には命さえ奪った。
「特に、貴様の娘だ」
先代の目が、わずかに細くなる。
「……霊夢がどうした」
「まるで安倍の生き写しではないか。あの年齢であれほどの陰陽術を操るなど、あってはならん。人間が得てよい力ではないのだ」
これほどの妖力を見せつければ、いかに先代博麗の巫女といえど、引き下がるだろう。
藍はそう考えていた。
だが。
最後の一言だけは、口にするべきではなかった。
「……取り消せ」
低い声だった。
藍は眉をひそめる。
「何?」
「今の言葉だ。取り消してもらおう」
先代の右足が、弧を描くように内側へ回る。
次いで、踏み込んだ。
――ドンッ!
震脚。
地面が鳴った。
腰を落とし、両腕を構える。
その姿は、もはや先ほどまでの無表情な巫女ではなかった。
鬼。
その一文字が、藍の脳裏に浮かんだ。
先代は普段、感情を表に出さない。
笑うことも、怒ることも少ない。
まるで仏像のように静かな女だった。
だが今、その顔には明確な怒りが宿っていた。
「私のことなら、いくらでも蔑めばいい。侮辱も好きにしろ」
声が、さらに低くなる。
「だが娘への侮辱だけは、何一つ許さん」
藍の背筋を、冷たいものが走った。
――何だ、これは。
先代から霊力が立ち昇る。
それ自体は驚くことではない。
博麗の巫女なのだから、強大な霊力を有しているのは当然だ。
しかし。
その霊力に、異質なものが混じっていた。
赤黒い靄。
陽炎のように揺らめくそれは、先代の身体を取り巻き、天へと伸びていく。
――殺意。
藍は悟った。
これは術ではない。
妖力でもない。
ただ一人の人間が、一匹の妖怪を殺そうとする意思。
それが、目に見えるほど濃密に立ち昇っている。
――こいつは、本当に人間か?
「……断じて取り消さん」
藍は答えた。
ここで退くことはできなかった。
九尾の妖狐としての矜持が、言葉を曲げることを許さなかった。
先代は静かに頷いた。
「そうか」
その声には、もはや怒気さえなかった。
「ならば――」
腰が、さらに沈む。
『心の臓、貰い受ける』
藍の額に、脂汗が浮かんだ。
命の危機。
そんな感覚を覚えたのは、一体何百年ぶりだろう。
九本の尾が、一斉に逆立つ。
先代の足が地面を捉えた。
その瞬間。
「……まったく。うるさくて目が覚めてしまったわ」
間の抜けた声が、二人の間に落ちてきた。
空間が裂ける。
その隙間から、一人の女が顔を覗かせた。
八雲紫。
「紫様!?」
藍が振り返る。
紫は眠たげに目をこすりながら、二人を交互に見た。
「状況は大体読み込めたわ。……やっぱり、式ってイレギュラーな事態への対応が難しいのよね」
「申し訳ありません、紫様!」
「いいのよ。私の式の組み方が悪いだけだから」
紫は軽く手を振る。
そして、先代へと視線を向けた。
「それで。幽々子が消滅するというのは、本当なのね?」
「ああ」
「根拠は?」
「ない」
紫が目を細める。
「……ないの?」
「霊夢の言葉を借りるなら、勘というやつだ」
数秒の沈黙。
やがて紫は、深く息を吐いた。
「……分かったわ」
「紫様!?」
藍が声を上げる。
「そんな、人間の勘などという曖昧なもので――」
「藍」
紫の声が、静かに遮った。
「あなたの言い分も分かるわ。でも、今は――」
そのときだった。
空気が震えた。
いや、違う。
幻想郷そのものが、何かに引き寄せられるように軋んだのだ。
先代が顔を上げる。
「紫!」
紫もまた、同じ方角を見ていた。
「……ええ。感じたわ」
「場所は冥界、白玉楼だ!」
先代が叫ぶ。
紫は即座に隙間を開いた。
「藍、留守をお願い」
「紫様、しかし!」
返事を待たず、二人の姿は空間の裂け目へと消えた。
あとに残された藍は、しばらく動けなかった。
先ほどまで先代が立っていた場所を見つめる。
地面には、震脚によって生じた亀裂が走っていた。
藍は、ゆっくりと息を吐いた。
気づけば、握り締めた拳が汗で濡れていた。
「……忌々しい、博麗め……」
九本の尾が、静かに垂れ下がった。
◇◇◇
――反魂・四分咲き。
西行妖の枝に、桜が咲き始めていた。
一輪。
また一輪。
薄紅色の花弁が開くたび、周囲から春の気配が失われていく。
いや、春だけではない。
草木が枯れ始めた。
地面を覆っていた苔が色を失い、庭園の花々が次々と萎れていく。
西行妖は、もはや春度だけを吸い上げているのではなかった。
命そのものを、糧としていた。
「……っ、クソ!」
霊夢が歯を食いしばる。
「こんなの、どうしろっていうのよ!」
札を握る手が震えていた。
博麗霊夢は天才だった。
妖怪退治も、異変解決も、彼女にとっては難しいことではなかった。
多少の苦戦こそあれ、自分の力ではどうにもならないという経験が、ほとんどなかったのだ。
だが今は違う。
目の前で起きていることを、止められない。
どれほど考えても、解決策が浮かばない。
そして霊夢は、まだ二十歳にも満たない少女だった。
「霊夢様……」
隣に立つ咲夜が声をかける。
「らしくありませんね」
「分かってるわよ!」
霊夢は叫んだ。
咲夜は言葉を失う。
いつもの霊夢ならば、こんなふうに声を荒らげることはない。
だが、目の前の光景を見れば無理もなかった。
霊夢の頭をよぎったのは、幽々子の姿ではなかった。
博麗。
代々受け継がれてきた、その名。
幻想郷の均衡を守り、異変を解決する者。
それが博麗の巫女だ。
そして、先代。
自分にすべてを教えてくれた母の姿だった。
――私が、異変を解決できなかったら?
――博麗の役目を果たせなかったら?
――母さんは、どう思うだろう。
考えたくもなかった。
これまで当たり前のようにできていたことが、できない。
それが、これほど恐ろしいとは思わなかった。
――反魂・六分咲き。
西行妖の幹が軋む。
その根元から、枯れた草花が風に吹かれて崩れていった。
咲夜が自分の手を見つめる。
「……これは」
わずかに、身体が重い。
生命力を吸われている。
距離を取らなければ危険だ。
しかし、霊夢を置いて逃げるわけにもいかない。
「霊夢!」
聞き慣れた声が響いた。
振り返ると、神主が駆け寄ってきていた。
その後ろには美鈴と妖夢の姿もある。
「無事か!?」
「ねえ、どうしよう……!」
霊夢が男へと詰め寄る。
「このままじゃ、異変が……! 私、博麗なのに……!」
言葉がまとまらない。
霊夢自身、何をどう説明すればいいのか分からなかった。
男はその肩を、両手で掴んだ。
「霊夢!」
強い声。
霊夢の身体が、びくりと震える。
「落ち着け。大丈夫だ」
「でも……!」
「博麗はお前一人じゃない」
男は、霊夢の目をまっすぐ見つめた。
「仲間だっている。美鈴も、咲夜もいる。だから一人で全部背負うな」
霊夢は唇を噛んだ。
その肩から、ほんの少しだけ力が抜ける。
「道中の桜が一斉に枯れ始めたので、急いで来たんですが……」
美鈴は西行妖を見上げ、言葉を失った。
「……これは、ひどいですね」
その隣で。
妖夢が、ある一点を見つめていた。
「……幽々子、様?」
西行妖の根元。
そこに、幽々子が倒れていた。
白い首筋には、刃物で斬られた傷が走っている。
「……幽々子様?」
妖夢が一歩、踏み出す。
そして。
「うわああああああっ!!」
悲鳴が響いた。
「幽々子様ぁあああ!!」
妖夢が駆け出す。
しかし、その身体を美鈴が背後から抱き留めた。
「駄目です! 近づいたら!」
「離してください! 幽々子様が! 幽々子様がぁっ!」
妖夢は必死にもがく。
涙が頬を伝い、声が掠れる。
「お願いです! 離して! 幽々子様ぁああああ!」
美鈴は唇を噛みながら、腕に力を込めた。
離せば、この少女まで西行妖に命を吸われかねない。
それが分かっているからこそ、離すわけにはいかなかった。
そして。
――反魂・八分咲き。
花が開く。
西行妖の枝という枝が、薄紅色に染まっていく。
美しい。
あまりにも、美しかった。
その美しさが、恐ろしかった。
霊夢は呆然と見上げる。
もう、間に合わない。
そんな考えが、頭をよぎった。
そのとき。
「――そんな諦めのいい弟子と娘に、育てた覚えはないぞ」
声が、空から降ってきた。
霊夢が顔を上げる。
空間が裂けていた。
そこから、一人の巫女が降り立つ。
「……母さん?」
男もまた、目を見開いた。
「師匠!?」
先代巫女だった。
続いて、裂け目から紫が姿を現す。
紫は西行妖を見上げ、静かに目を細めた。
「……見事な桜ね」
その視線が、根元に倒れた幽々子へと移る。
「でも、今のあなたは醜いわ。幽々子」
悲しげな声だった。
霊夢と男が先代に駆け寄ろうとする。
しかし、先代は片手を上げて制した。
「話は後だ」
その目は、西行妖を捉えたままだった。
「霊夢。陰陽玉は持っているな?」
「え? ええ、あるけど……」
「それを手の内で回せ」
「……は?」
「ただ回すんじゃない。回し続けるんだ。最も美しい軌道を描くように」
霊夢は自分の陰陽玉を見つめた。
「何よ、それ……」
「レッスン一……いや、これは三だったか」
先代が小さく首を傾げる。
「まあいい」
そして、霊夢を見た。
『――回転を信じろ』
「……意味分かんない」
霊夢はぼやきながらも、陰陽玉を両手で包んだ。
先代は次に、男へと向き直る。
「お前には、前にフランへ見せた技をやってもらう」
男の顔が強張った。
「……霊力の放出、ですか?」
「ああ」
「……まさか」
「そのまさかだ」
男は絶句した。
出来るわけがない。
そもそも、あの技を教わったことすらない。
見たことがあるだけだ。
霊夢のような天才ならばともかく、自分は違う。
十年も修行して、ようやく今の力を手に入れたのだ。
何かを一目見ただけで再現できるような才能は、自分にはない。
「……今、出来るわけがないと思ったな?」
先代が言った。
男は思わず顔を上げる。
「……はい」
「正直でよろしい」
先代は、わずかに微笑んだ。
「安心しろ。私も手を貸す」
出来るわけがない。
男はそう思った。
手を貸すと言われても、できないものはできない。
ほかに役立てることはないか。
そう尋ねようとした、そのときだった。
「……母さん」
霊夢の声。
「これでいいの?」
二人が振り返る。
霊夢の手の中で、陰陽玉が回転していた。
ただの回転ではない。
その軌道は寸分の狂いもなく、滑らかで、奇妙なほど美しかった。
そして。
陰陽玉が、黄金色に輝き始める。
「……ほう」
先代が目を細めた。
回転はさらに速くなる。
だが、不思議なことに、その動きは少しも乱れない。
まるで初めから、そうあるべきだったかのように。
「……なるほどな」
先代が小さく笑う。
「ダ・ヴィンチが遺した作品に意図してか黄金比が見られるというが……」
その表情が、誇らしげなものに変わった。
「霊夢!」
「な、何よ」
「お前は、紛れもない天才だ!」
霊夢は一瞬、目を丸くした。
そして、少しだけ頬を緩める。
先代は男に向き直った。
「さて。霊夢は自分の役目を果たしたぞ」
「……」
「次はお前だ」
男は黄金色に輝く陰陽玉を見つめた。
出来るわけがない。
だが、霊夢はやった。
師匠も、自分を信じている。
ここで逃げるわけにはいかなかった。
「……分かりましたよ!」
半ばヤケクソだった。
先代が笑う。
「いい漢だ」
先代は陰陽玉を指さした。
「両手を上下に重ねろ。陰陽玉を挟むようにな」
男は言われた通りにした。
掌の間で、黄金の光が回り続ける。
「……熱っ」
思わず声が漏れた。
だが、火傷するような熱さではない。
真夏の陽射しを浴びているような、身体の芯まで届く熱だった。
「そのまま、掌に霊力を集めろ」
男は目を閉じる。
意識を右手へ。
身体の奥にある霊力を、少しずつ引き上げる。
青白い光が、掌に灯った。
「いいぞ。もっとだ」
先代の声が響く。
「全力で集めろ」
男は歯を食いしばった。
霊力が集まる。
しかし、次の瞬間には四方へと散っていく。
「くそっ……!」
また集める。
また散る。
霊力を生み出すことはできる。
だが、それを一点に留めておくことができない。
昔から変わらない、男の弱点だった。
「……師匠!」
「何だ?」
「ちなみに、これで何をするつもりなんです!?」
先代は西行妖を見上げた。
「決まっている」
そして、何でもないことのように告げる。
「西行妖をへし折る」
「出来るわけがない!!」
反射的に叫んでいた。
あまりにも無茶苦茶だった。
あれほど巨大な妖怪桜を、霊力の一撃でへし折る?
そんなもの、人間にできるはずがない。
そのとき。
男の手に、別の温もりが重なった。
「できるわよ」
霊夢だった。
男の手を、霊夢の両手が包み込んでいる。
「だって、あんたは母さんの弟子でしょ?」
「……霊夢」
「だったら、できるに決まってるじゃない」
いつもの、少し生意気な笑み。
男は思わず苦笑した。
「……簡単に言ってくれるな」
「簡単じゃないから、あんたがやるんでしょ」
その言葉に、男は息を呑んだ。
掌の中では、陰陽玉が回り続けている。
黄金の回転。
その規則正しい動きが、霊夢の手を通じて伝わってくる。
男はもう一度、霊力を集めた。
青白い光が生まれる。
また散ろうとする。
だが、今度は違った。
霊夢の手が、男の手を包んでいる。
その温もりが、霊力を包み込む形を教えてくれる。
力任せに押し留めるのではない。
優しく。
だが、決して逃がさないように。
――そうか。
男は目を見開いた。
霊力が、掌の中で形を成していく。
青白い球体。
小さな光だった。
だが、確かにそこに留まっていた。
「……できた」
男が呟く。
「できたぞ……!」
「よし!」
先代が声を上げた。
「その調子だ!」
先代が男の背後へと回る。
そして、男の突き出した手の後ろに、自らの両手を添えた。
「ここからは私も手を貸そう」
先代の霊力が、男の掌へと流れ込んだ。
瞬間。
青白い球体が、眩い光を放つ。
男の身体が震えた。
凄まじい力だった。
自分一人では到底扱えないほどの霊力が、掌に集まっている。
だが、不思議と怖くはなかった。
背後には師匠がいる。
隣には霊夢がいる。
自分を支えてくれる二人がいる。
「ちなみに」
先代が、ふと思い出したように口を開いた。
「私にこの技を教えた人は、月を壊していたぞ」
「……は?」
「桜の一本くらい、どうということはない」
「いやいやいや! 何ですかその人!?」
霊夢が呆れたように言う。
「今さら母さんの話に驚いてどうするのよ」
「いや、驚くだろ普通!」
先代が笑った。
「よし、準備はいいな?」
男は西行妖を見据える。
九分咲き。
もう、時間は残されていない。
「……はい!」
霊夢も頷いた。
「いつでもいいわ!」
先代は、深く息を吸った。
「では、行くぞ!」
三人の掌に、力が集まる。
黄金色の回転。
青白い霊力。
それらが重なり合い、巨大な光の渦を生み出していく。
男は腕に力を込めた。
「師匠! どのタイミングで撃つんです!?」
返事はなかった。
代わりに。
「はーーーー……」
先代が声を伸ばした。
「くーーーー……」
男の目が見開かれる。
「れーーーー……」
「いーーーー……」
――説明なしかよ。
思わずそう思った。
だが。
不思議と、分かった。
十年。
十年もの間、この人の背中を追い続けてきた。
何度も殴られ、何度も倒され、何度も立ち上がった。
そのたびに、先代は自分を待っていてくれた。
だから、分かる。
今、何をすべきなのか。
霊夢もまた、男と同じように前を見据えていた。
三人の呼吸が重なる。
先代が笑った。
男も、笑った。
そして。
「「「――破ァああああああああああッ!!!」」」
光が、放たれた。
黄金の回転を帯びた青白い奔流が、大地を震わせながら西行妖へと突き進む。
空気が裂ける。
地面が抉れる。
散りゆく桜の花弁が、光の渦へと巻き込まれていく。
咲夜が目を覆った。
美鈴が妖夢を庇うように身を伏せる。
紫は、ただ静かにその光を見つめていた。
男の叫びが響く。
霊夢の声が重なる。
そして、その二人を支えるように、先代の声が響き渡った。
三人の力が、一つになる。
次の瞬間。
世界が、青白く染まった。
――――――――――
37.1度
だいぶ下がりましたね。
血液検査の中でもDNA検査があるみたく、あとはそれが引っかからなければなんですけどね......
実は私、まさしく下野国出身でして、小学生の頃殺生石見に行きました。
今でも覚えてます。
臭かった〜
硫黄ですね〜たぶん。
そんな殺生石ですが近年割れたの皆様ご存知ですか?
今ならどこかに九尾、いるかもですよ。
さて、今回ちょっと長めの話になってしまいましたがなにとぞ読んでいただければ。
感想評価お待ちしてまーす笑