The Arrow of Silver 銀弓の運命は砕け得るか 作:Delphinus
「くっ……!」
「この数年で、貴様は一体どんな経験を積んで来たんだ……!?」
(ッ畜生……! 動きが読めん……!)
(私は……奴に、圧倒されている……!)
ブレードヘルム騎士団を何度も16強に押し上げて来た強豪。左腕騎士、タイタス・トポラ。彼の実力では、マーガレット・ニアールには及ばないようでした。
「く……はははっ、こうなると笑えてくるな」
「耀騎士……貴様は本当に、かつて私と剣を交えたあの人物なのか?」
「タイタス・トポラ…、名門騎士家であるトポラ家の現役騎士。彼の事は知りませんが、相当な実力のようですね」
「やはり、惜しい物です。充分な実力があるにも関わらず、トップになれなければ、それだけで切り捨てる」
「騎士競技と言う制度の弊害ですね」
「では、そろそろ立ちましょう」
「おや、どちらへ行かれるのですか?銀弓騎士様」
代弁者マルキェビッチが、僕にそう伝えた。商業連合会が用意したスタジアムの特設席で。僕は商業連合会の奢りで用意して貰った席で、奢り物のコーラを飲んでいる。最高に美味しいとおもいます。
「そろそろ勝負が決まるようですので、迎えの準備をしようかと」
「それと、僕は騎士ではありませんよ」
「まだ、騎士では無いというだけでしょう。商業連合会が認め次第、あなたには相応しい騎士号が与えられます」
「すみませんが商業騎士の称号は、貰ってもあんまり嬉しく無いので」
「極論、誰でも取れますし」
「それと、今日は特設席とコーラをありがとう。マルキェビッチさん」
「いえ、この程度はお気になさらず。商業連合会として当然の対応ですから」
席を立った僕は、スタジアムの中心をじっと見つめる。マーガレットのソードメイスが、タイタスの一撃を跳ね飛ばす瞬間を見た。そして、マルキェビッチさんは僕に言った。
「耀騎士様を迎えに行かれるなら、早い方良いでしょう。すぐにでもファンが押し寄せて来ます。もし良ければ、こちらで警備を固めましょうか?」
「それでは最低限だけ。通常営業の範囲内でお願いします」
僕は会場の外への道を急ぐ。だから、タイタスの目線が僕を向いた事に、気付いていなかった。
「私は確かに敗れた。だが、まだ挑戦の終わっていない相手がいる」
「銀弓の騎士、彼が舞台に上がるまではな」
「すみません、耀騎士さん!かの銀弓の騎士との関係はどのような物なのでしょうか?」
「ウルサスの伯爵位を授爵した銀弓の騎士をどう思われますか?あなたの見解を!」
「銀弓からの告白を受けたと言うのは本当なのでしょうか?」
「すみません、マーガレットさん。最近の感染者居住区の再開発が始まった点についてはどう思われますか?突如として出現した新企業が…」
「あー……申し訳無いが、通して貰えるだろうか」
マーガレットのメディア対応は、相変わらず妙に拙劣だった。ノーコメントを通すのは良いのですが、ノーコメントとは報道側にフリーハンドを与えるも同然ですからね。基本的にある程度は方向性を絞った方が良いんですけど。
「マーガレット、こちらに」
「お前、来ていたのか?」
「ああっ、銀弓騎士、銀弓騎士が会場に来ています!」
「征戦騎士の名門中の名門だぞ、しかもウルサスの雪原帰りの化け物だ」
「銀弓様、伯爵位叙勲おめでとうございます!是非コメントをどうぞ!」
「銀弓さん、耀騎士との関係は…」
「耀騎士と正体不明のサルカズ傭兵に同時告白したと言う話について、噂は本当なのでしょうか!?」
(…いい感じに撒けてますね)
マーガレットへのメディアの視線は逸らせたようです。後は逃げ出せばこの状況も上がりですね。と、そう思って、いたんです。
「そこにいたか、銀弓」
「…左腕騎士?」
メディアやファンが集まって、ワチャワチャしているフロアにやって来た相手。それは左腕騎士だった。僕は完璧に想定外だったから、少々慌てて、マーガレットにそっと手を握られる。
「私は確かに敗れた。だが、私にはまだ挑戦していない相手がいる」
「銀弓よ、早く舞台に上がって来い。待っているぞ」
そう一言言って、去って行く左腕騎士。彼の背中に対して僕は騎士礼を掲げて言う。
「その約束、必ず果たして見せましょう。左腕騎士、タイタス・トポラ」
「うおお、撮ったか今の。凄い絵になるシーンが来てるぞ!」
「凄いや、左腕騎士が最高にカッコ良い事を言ってる!」
「見て、銀弓ちゃんの騎士礼。まるで征戦騎士みたいにキッチリしててオシャレなんだけどっ」
「お前、全く。早く下がるぞ」
「あっ…、マーガレット」
マーガレットに手を引かれて、僕はこの場を去って行った。何というか、これではどっちが迎えに来たのか分からないですね。
「実は、君に会って欲しい相手がいるんだ」
「会って欲しい、とは?」
「すぐに分かる」
試合会場を出た後、マーガレットに手を引かれて暫く大騎士領を歩いた。カジミエーシュの巨大な都市は、視界の果てのどこまでも続く。僕にはこの光景に安心感があります。この都市が生きていて、今も動いている証明ですから。
そうして、都市内の少々奥まったエリアに入った。近くには公園があるようです。そこに見えたのは、意外な方達でした。
「初めまして、あなたが銀の弓ですか?」
「そうですが、あなた方の名前をお聞きしても?」
そこには金髪のサルカズが二人。片方は車椅子に座っていました。素性は全く分かりませんが、ある程度は予想出来ます。サルカズと言う種族にとって、装飾には極端に二分した意味がある。飾りには何の価値も無いと切り捨てるか、或いは権威付けの為にも過剰なまでに飾り立てるか。そして後者であるなら、大抵の場合サルカズと言う種族の、歴史的中心にいる事を意味しています。
(つまりこの人達は王庭の術師か、或いはそれに類する存在その可能性が高い)
「私の事はナイチンゲールとお呼び下さい。私、ずっとあなたにお会いしたかったんです。だって、ニアールさんはあなたの事を、いつも楽しそうに話すんですから」
「リズ、その事を今言うのはやめてくれ…」
マーガレットは恥ずかしいと思っているのでしょう。少々目が泳いでいる。それと、気になっているのはもう一つ。コードネームを当たり前に使っている事です。本名よりコードネームが重要と言う事は、ロドスと言う組織にディープに関わっているのでしょうね。そこまで考えて、僕はこう言った。
「そう言う事なら良かったです。ではあなた達の話をお聞きしても?」
「成る程、あなたはシャイニングさんですね。本名は外には出さないのですか?」
「本名はまた別の機会にでも。銀弓さん」
「そう言う事でしたら」
彼女達二人の話を少し聞いた。片方はナイチンゲール、もう片方はシャイニングと言うそうです。三人はマーガレットがカジミエーシュを追われた後に出会って、行動を共にしているとか。そこまで聞いて、やっと分かりましたよ。
(あの時ウルサスにマーガレットが居たのも、使徒としての活動の延長線上なのですね。はぁ、やっと分かりました)
「そんな事より、あなたの話を教えてくれませんか?」
「リズはあなたにとても興味を持っているんですよ。何せあなたの話題はいつも絶えませんから」
「そうですか。そう言う事でしたら…」
ナイチンゲールさんの言葉に、シャイニングさんがそう付け足した。ナイチンゲールと言うコードネームと、リズと言う愛称はかなり乖離している。恐らく、リズとは本名に由来する呼び名なのでしょう。そう考えた後、一旦思考を切って結論を出す。
「今から、少々歩きませんか?」
「所で、よりによってここに行くのか?」
「ええ、歓迎には良いと思いまして」
僕たちがやって来たのは、ニアール家のすぐ隣にあるコンビニ。つまり銀弓家の実家跡地でした。そこに入店すると、入店を知らせる気楽な電子音が聞こえる。
「こ、ここは…」
「コンビニに来るのは初めてですか?ナイチンゲールさん」
「それは、そうですけど」
「では、初心者向けにまずは僕のお気に入りから」
そう言って、僕は食品のある冷蔵スペースを探る。よし、見つけました。
「瘤獣肉のサンドイッチはどうでしょうか?カジミエーシュでは歴史的に畜産が盛んで、その結果伝統的な肉料理も豊富なんですよ」
「一見するとただのコンビニのサンドウィッチに見えるかもしれませんが、これも元々は伝統的なレシピに由来しているんです」
「わあ、美味しそう」
そう言って選んだサンドウィッチを、ナイチンゲールさんは喜んでくれたようです。マーガレットは僕に言う。
「全く、あまりサービスしていると、私の分も選んで貰うぞ?」
「ふふ、それは嬉しい」
ニアールさんと、シャイニングさんの分も選んで回る。こうしてコンビニを歩き回ると、何だか懐かしい気分です。無胄盟時代を思い出します。あの頃も、昼食時には良くここのコンビニに入りましたからね。その辺に並べられた上品とは呼べない新聞や雑誌ですら、今では愛おしく思えて来る。
「何だか楽しそうですね、銀弓さん」
「ええ、楽しくもなります。シャイニングさん。ここが僕のホームですから」
「銀弓の騎士家は、このカジミエーシュと言う国では少し珍しいんだ。都市を尊び、資本による繁栄を肯定する」
「銀弓の騎士家は、都市の騎士家でもあるからな」
マーガレットは、そう言って僕の考えを捕捉した。
そう言っていると、コンビニに次の来客が来たようだ。
「はーあ、今日の夕食はここにしよって、あ、銀ピカ!それに金ピカまで!?」
「ええ、こんばんは、W」
コンビニに突然入って来たWは、少々驚いた表情で僕たちを見ていた。
「あーもう、今まで何処行ってたのよ銀ピカ。と言うか、そいつらは誰なのかしら?」
「こちらはシャイニングとナイチンゲール。ニアールの旅仲間だそうです」
「私はシャイニングと言います、宜しく」
そう言って、シャイニングさんがそっと頭を下げる。そしてニアールは言う。
「彼女達は私の仲間で、カジミエーシュを出た後一緒に行動するようになったんだ」
「へえぇ、つまりお涙頂戴の素敵な友情って訳ね」
「そうとも言えるかもしれません」
ナイチンゲールさんは、Wの挑発するような言葉に動じず答えた。僕は雰囲気を変える為に、Wにコンビニのホットスナックとして売っている、あのフライドポテトを指さす。
「所で、今日の軽食はフライドポテトにしません?僕の奢りですよ」
「あら、気が利くじゃない。お願いしようかしら」
「さ、みなさんもね」
選んだ商品をレジに持って行く。会計の時間は大してかからない。ただコンビニの店員は、客のメンバーを見て驚愕していた。
「耀騎士に、銀弓騎士に、サルカズが3人、何なのこのチームッ」
「あ、すみません、会計お願いします」
驚愕している店員には、会計作業を押し付けて思考停止させておく。コンビニを出るまでは、そう長くはかからなかった。
「いや、待て、会計ぐらいは私が」
「そう言う事言ったら、本当にお願いしちゃいますよ?ニアール」
「全く、お前は相変わらずだな」
ニアールはそう言って、レジにカードをかざした。
「はい、アーン」
「あ、あーんっ」
Wが僕に向けてフライドポテトを差し出す。それを食べると、何とも言えない気分になって来る。ああ、僕は今日常にいるんだって。久しく忘れていた気分です。
「お、おいっ、ちょっと、何をやって」
「え、Wさん?あなたはっ」
「何って、ただのあーんよ?誰でもやるじゃ無い」
「流石に、誰でもすることではありませんよ」
Wの言葉に僕は一応そう言っておく。突然のあーんは、初見の方がいるのに刺激が強かったですかね。
そして僕は、ナイチンゲールさんの動かない足に注意しながら、瘤獣のサンドイッチを差し出した。
「はい、ナイチンゲールさん、どうぞ」
「え、ちょっと、銀弓さんっ」
「いつでも気を張る必要はありませんよ。例えここが罪の砦だとしてもね」
「ここは罪だけが満ちている場所ではありません。この大騎士領カヴァレリエルキは、人生に最高の楽しみと喜びをくれる、文字通り最高の街なんですから」
「お前は、大騎士領をそう思っていたのか」
ニアールはそう言う。僕はニアールの言葉を聞いた。
「私は、大騎士領をどうしようも無い街だと思っていた。だが、お前はこの街を愛しているんだな」
「愛している、ですか、そう言って良いかもしれませんね。ええ、愛していますよ」
そう言って、僕はカヴァレリエルキの街影を見つめる。ここは、僕が生まれ育った街でもある。常に変わり続け、資本蓄積をやめず、あくせくと蓄財を繰り返すこの街が僕の故郷。変わり続ける街について、僕はこう言う。
「街が変わって行くのは、基本的に良い事だと思っています。それは街として生きている証ですから」
「だからどんなに思い出から変わっても、過去を懐かしむ事はしません。今この瞬間の街こそが、最高の街なんです」
「所で、シャイニングさん達は、今はロドスに所属しているんですよね?」
「ええ。私とリズ、それにニアールも。今はロドスに籍を置いています」
「そうですか。ロドスと言えば、製薬会社でしたね」
僕はフライドポテトを一本摘まみながら、そう尋ねた。
ロドス・アイランド製薬。
鉱石病の治療と感染者の保護を主な事業とする、民間の医療組織。彼女達はあの組織をかなり信用しているみたいです。つまりは内部者。
「ロドスは、とても優れた医療組織です」
シャイニングさんは、穏やかな口調で答えた。
「特に鉱石病の治療技術については、他の医療機関と比較しても高い水準にあります。リズの治療についても、ロドスには随分と助けられています」
「そうなんですか?」
「はい。私も、ロドスに来てから随分と体調が良くなったんですよ」
ナイチンゲールさんが、嬉しそうに微笑んだ。
彼女の足が動かない理由までは知りませんが、医療組織として患者の症状を改善出来るなら、相応の技術力を持っている。
「へえぇ、随分と高評価じゃない」
そこで、横から声がした。
Wです。
彼女はフライドポテトを一本摘まむと、口に放り込んだ。
「ロドスねえ。確かに医療技術は大したものよ。そこは認めてあげてもいいわ」
「……何か、問題があるのですか?」
シャイニングさんが尋ねる。
「問題? そりゃあるでしょうよ」
Wは、妙に楽しそうな笑みを浮かべた。
「医療技術が優れているからって、組織そのものが信用出来るとは限らないじゃない?」
「それは、そうかもしれませんが」
「ましてや、あそこにはドクターがいるんだから」
その名前が出た途端、マーガレットの表情が少し変わった。
「W。ドクターに何か問題があるのか?」
「問題しか無いわよ、あんな奴」
Wは、あっさりと言い切った。
「少なくとも、私は信用しない。これから先もね」
「……随分と嫌っているんですね」
「嫌う? そんな可愛い話じゃないわよ、銀ピカ」
そう言って、Wは僕を見た。
先程までのふざけた笑顔が、少しだけ薄れている。
「ねえ、銀ピカ。あんた、テレジアって名前は知ってるでしょ?」
「ええ、前に仰いましたね」
聞き覚えはある。
確か、カズデルの内戦に関係していた人物だった筈です。
「この大地が、静かに眠れるように。そう仰ったのでしょう?」
「あら、ちゃんと覚えてるのね、感心よ」
「それ以外は、さっぱりですが」
「そう、なら教えてあげる」
Wは、フライドポテトの入った紙容器をベンチに置く。そして言った。
「テレジア殿下は、殺されたのよ」
「……そうですか」
「そして、その暗殺に関わったのがドクター」
「………ふむ」
なるほど。それは、少々興味深い話ですね。
「W」
シャイニングさんが、静かに口を開いた。
「その話を、ここでする必要がありますか?」
「何よ。都合が悪い?」
「そうではありません。ただ、ドクターについては、私も全てを知っているわけではありません」
「だったら黙ってれば?」
「ですが、ロドスの医療活動については、私自身が見てきました」
シャイニングさんは、Wから目を逸らさなかった。
「ロドスには、患者の命を救うために働いている人々がいます。私も、その一人です」
「だから?」
「だからこそ、私はロドスを信頼しています」
「ふうん」
Wは、鼻で笑った。
「じゃあ、ドクターも信用するわけ?」
「……それは、別の問題です」
「へえ?」
「私は、ロドスの全てを肯定しているわけではありません」
シャイニングさんは、淡々と続けた。
「ですが、少なくともリズの治療について、ロドスは私達を裏切っていません」
「…………」
「その事実まで否定するつもりはありません」
Wは、しばらく黙っていた。
それから、何とも言えない表情で肩をすくめる。
「ま、そこは否定しないわよ。私だって、あそこの医療技術まで疑ってるわけじゃないし」
「でしたら……」
「でも、ドクターは別」
Wは、きっぱりと言った。
「あいつが何をしたのか、私は忘れない」
「…………」
「絶対にね」
なるほど。
どうやら、相当な事情があるようです。
僕はフライドポテトを一本摘まんで、少し考えた。
「それに、あなたが怒っている理由は理解出来ますよ」
僕は、Wを見た。
「大切な人を殺されたんでしょう?」
「……!」
「でしたら、許す必要はありません」
そう言って、僕は少し笑った。
「ただ、僕はドクターの事をそこまで知らないので。あなたとは別のところから考えるしかありませんね」
Wは、何とも言えない顔をした。
怒っているのか、呆れているのか。
それとも、別の何かなのか。
僕には分かりません。
「……あーもう」
Wは、頭を掻いた。
「本当に、あんたって変な奴」
「良く言われます」
「褒めてないわよ」
「そうですか。残念です」
「残念がるな!っての」
何だか怒られてしまった。
解せません。
「……所で」
そこで、マーガレットが口を開いた。
「お前は、ドクターを危険な人物だと思うか?」
そしてナイチンゲールはこう言う。
「銀弓さんは、ロドスをどう思いますか?」
「そうですね……」
僕は少し考えた。
ロドス。医療組織であり、感染者の保護を行う組織。そして、かつてのカズデル内戦に関係する人物を抱えている。
「ロドスアイランド製薬と言う企業の最大の奇妙さは、ケルシーさんでもドクターでも無く、あのロドス本艦にあります。テラのどの国が製造したとも思えない、あの異質で奇妙な船体です。その上PRTSと言う、何処の国が開発したとも思えないシステムで一体運用されている所」
「そして、そんな艦の内部に、ブラックボックス区画を何箇所も抱えている。つまりは、幾つもの秘密を隠していて当然です」
「それは…」
シャイニングさんが、固唾を飲むように僕の話に耳を傾けている。僕は言う。
「ドクターについて疑問は幾つもありますが、今の議論で重要なのは、ロドスが抱えた疑問とリスクを承知の上で、レユニオンに占拠された上に、天災下のチェルノボーグでドクターの奪還作戦を遂行した事。それが全てだと思います」
「それは、ロドスにとってドクターが仲間だから。そうではありませんか?」
「ドクターが、仲間か。確かに、そうかもしれないな」
ニアールは、そう言って僕の言葉に頷いた。僕は最後に一言置く。
「部外者に言えるのは、これだけですよ」
ふと、離れた方を見て僕は驚愕した。ムリナールおじさんが、視界の向こうのベンチでロイと話し込んでいる。シャイニングさんが言った。
「用事を思い出しました、そろそろ行かなくては」
あっさりと歩き出したシャイニングさんに、僕達は置いていかれる。そして何か聞こえない事を言い、ロイとは逆側のベンチに座ってしまった。
「な、何なの、アレ」
「お、おじさん…」
「何なんでしょうか、ただならない気配を感じます」
(何というか、シュールですね…)
あの地獄みたいなベンチ、もしかして演出なんでしょうかね。僕はそう思っていた。あっ、そろそろロイが退散しそうです。そう思った僕は、向こうに向けて歩き出す。
「て、ええっ、耀騎士サマ御一行がこんな所に『はい、折角ですからいかがです?』お、サンキュー、いただくぜ」
カジミエーシュ名物の、瘤獣肉の串焼きステーキを差し出すと、ロイは普通に食べ始めてしまう。そして僕は言う。
「偉大なる無光騎士ムリナールさんが、罪無き市民を守るべく義侠心を発揮して立ちはだかったので、今回の暗殺はどうしても不可能でした、と上には報告しといて下さい」
「それから、ムリナールさんの活躍を面白く盛っておけば充分ですよ。商業連合会にとっては標的一人の死より、偉大な騎士の新しい美談の方が金になりますから」
「お、いいねそのアイデア。貰っちゃお」
「おい、ちょっと待て、何とんでもない事を言っている」
そう言うムリナールさんを尻目に、ロイはあっさり逃げ出してしまう。僕は言った。
「必要経費です。この程度は受け入れて下さい」
「何それ銀ピカ。馬鹿みたいに面白いんだけど」
Wはそう言って、僕のやった事を笑っていました。
「これがカジミエーシュ。本当に何でも換金するんですね」
反対側のベンチに座るシャイニングさんは、そう呟いていました。
悲報、ムリナールの謎ベンチ、商業連合会に適当に言いふらされた挙句換金される模様。
R-18展開を巡るアンケート、協力ありがとうございました。まずはWから書いて行こうと思っています。という訳で少々時間を下さい。
それから、書き溜めが尽きたので、今回から投稿頻度は少々下げます。作品の内容などに問題や、何か気になる点がある場合も、是非感想か何かでお伝え下さい。
この作品のR-18需要はありますか?もしあるなら、ヒロインは誰が良い?
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ニアール
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W
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マリア
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プラチナ
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タルラ!?
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その他(感想やメッセージで伝えて下さい)