「ドラえもんーーーー!!!!」(小原ボイス)
一人の少年の声が町全体に響き渡る。
まるで物語の開始を告げるかのように。
少年の名は、野比のび太。
メガネをかけたどこにでもいる普通の少年だ。
「なんだいのび太くん。またジャイアンに虐められたのかい?」
そんなのび太に声をかけるのはこの青タヌキ。
通称ドラえもんだ。
「そうなんだよ〜」
のび太はそう言いつつ、ドラえもんに向かいわせに座る。
「まあ、どうせくだらないことだろうけど……聞かせてみな」
ドラえもんはどら焼きを頬張りつつのび太の話に耳を傾ける。
しかしこいつには耳がない、どうやって聞くんだろう?
「じ、実は……」
「見てみろよ、これが小田先生、そしてこっちが岸本先生……」
「すげーな、スネ夫!」
「すごいわー!スネ夫さん!」
のび太の友達にして、金持ちのスネ夫が有名な漫画家とのツーショットを見せびらかす。
それをのび太を含めた、ジャイアンとしずかちゃんが羨望の眼差しで見つめる。
「みーんな、僕のパパの友達なんだ!」
スネ夫は鼻高々に語る。
「すげーな!なあスネ夫!俺もこの先生とツーショット撮らしてもらえないかな?」
「うーん、難しいけど!……よし、僕が頼んでみるよ!」
「ほんとうか!さっすがは心の友!」
「スネ夫さん!私もいいかしら?」
「もちろんだよ!しずかちゃん!」
ジャイアン、しずかちゃんとくれば、次はのび太の番である。
ところが……
「あ、ならスネ夫!僕も」
「悪いな、のび太!頼めるのは二人までなんだ!」
のび太が言った瞬間スネ夫は待ってましたとばかりに、ノーを突きつける。
「な、なにさ!僕だって……僕だって……有名な漫画家の知り合いくらいいるやい!」
のび太は嘘をついた。
本当はそんなのいない。
だが言わずにはいられない。
だってそれがのび太だから。
「ほーう、言ったな?もしそれが嘘だったら、どうすんだ?」
「嘘だったらって……」
「なら、水中ブリッジ3分間でもやってもらおうか!」
「す、水中ブリッジ3分間……」
「できないってのか?」
「……あぁいいさ!やってやるよ」
のび太は後悔した。
「というわけなんだ」
「またそうやって君は」
ドラえもんは思わず呆れる。
スネ夫たちに乗せられ、出来もしないことをいってしまうのが、のび太の悪い癖である。
「だからさー、ドラえもん!漫画家と知り合いになれる道具を出してよ!」
「そんなものはない!」
「そ、そんな〜」
ドラえもんは容赦なく突っぱね、のび太は膝から崩れ落ちる。
これでは水中ブリッジ3分間をやるはめになる。
どうしたものかと考える。
するとそこへ……
「あれ、のび太くん久しぶりだな」
のび太の部屋に入ってきた人物。それは……
タクヤだった。
「タクヤおじさん!久しぶり!」
「ウッス、久しぶり!」
タクヤはのび太の親戚すじにあたる。
のび太がメガネならタクヤはサングラス、のび太が短パンならタクヤも短パンと、なにかと縁が深い間柄である。
「お、おいのび太くん……」
「ん?ドラえもんどうかs……そ、そうか!」
ドラえもんとのび太はお互いに顔を合わせる。
「?」
タクヤは思わず首を傾げた。
「お待たせ」
のび太は颯爽と空き地に現れる。
そんなのび太待ち構えるはジャイアンとスネ夫。
しずかはそんなのび太を心配そうに見つめる。
「のび太、水中ブリッジ3分間はできそうなのか?」
スネ夫が軽口を叩く。
だがのび太はどこ吹く風だ。
「その必要はないよ」
そういうとのび太は手をパンと叩く。
それを合図に一人の人物が現れる。
その人物を前にのび太以外の全員が固まる。
「紹介するよ。彼は……ブリィィィチ!の原作者!KBTIT先生だ!!!」
「ウッス、お願いしまーす!」