TSお姉さんの性癖破壊旅 作:トートバッグ
転生した。仕事帰りに信号無視をしたトラックにはねられ、気がついたら天国のような場所にいた。
神のような人物から別世界への転生を言い渡され、転生特典を授かった。特典は、『不老不死』と『容姿を自由自在に変える能力』と『認識改変能力』の3つだ。あんまり要らない。できれば金を無限に生み出す能力みたいなのが良かった───その時は、本気でそう思っていたのだ。
2度目の人生は、田舎の医者夫婦の娘として生を受けた。前世は男だったので、女として生きることに抵抗があるかと思いきや、すんなりと受け入れることができた。肉体に精神が引っ張られているのだろうか?
それもそのはず、鏡に映る私は、艶やかな白銀色の長い髪、陶器のような白い肌、碧い瞳、そしてスラリとした身体に不釣り合いな大きな胸を持つ、絶世の美女と言って差し支えない姿だった。これなら転生特典の姿を変える能力など使う必要もない。強いて言えば、不老不死の力で全盛期の肉体から老化することはないので、周りに怪しまれないよう、老けているように姿を変える使い道があるくらいか。
この世界は前世と違い、魔法や魔物が当然のようにいる物騒な世界だった。私には攻撃魔法の才や超人的な身体能力も無いので、特にこの世界で成り上がってやろうという欲も無い。
私は両親の診療所を継ぐために、小さな頃から勉強三昧の日々を送った。自衛のための魔法や医学の勉強には特に身が入り、幸い治癒魔法の才能はあったので、15になる頃には仕事を任せてもらえるようになった。
私は、この村でのんびりと医者として一生を過ごしていくのだ。
そんなある日のこと。
「もう、リュグナー君。またこんなに無茶して……」
「まだまだ足りねぇ。もっと、もっと強くならないと……!」
隣の家に住む6個歳下のリュグナーという男の子は、いつも無茶な鍛錬を繰り返しては、診療所に入り浸っていた。
リュグナー君の両親は1年ほど前に帰らぬ人となってしまった。行商人としての仕事中に、盗賊に襲われてしまったのだ。それからというもの、彼は復讐心に囚われている。身体をボロボロにしてまで鍛えることを止めないのは、そのためだった。
「心配なの、リュグナー君のことが。あんまり無茶をしないで?」
リュグナー君の手を取り、目を見つめて伝える。彼の手は傷だらけだった。数年前までは、子供らしい小さくて綺麗な手をしていたのに。本当に痛ましい。とても9歳の子供の手とは思えなかった。
しかし、私の胸を打ったのは痛ましさだけではなかった。至近距離で見つめられた彼が、一瞬で耳まで真っ赤にして息を呑んだのだ。
(あら……?)
必死に隠そうとしているが、小さな手がかすかに震え、胸の鼓動がドクドクと早く脈打っているのが手に取るようにわかる。彼ももう、そういう年齢なのだ。前世の男としての知識が、彼のその反応の理由を正確に告げていた。
こんな小さな村の、純粋無垢な男の子が私の美貌に、女としての私に原因不明の動揺を抱いている。その姿が、なぜだか妙に愛らしく、そして、たまらなく愉しかった。
「〜っ!? ね、姉ちゃん! あんま子供扱いすんなっていつも言ってるだろ!」
「9歳なんてまだまだ子供だよ」
「う、うるさい! もう一度修行してくる!」
リュグナー君は顔を真っ赤にして手を振り払うと、慌てた様子で診療所を飛び出て行った。
「照れちゃって可愛いなぁ」
彼の背中を見送った後、何人かの患者を診ていると、突如として村の鐘が激しく鳴り響いた。
「と、盗賊だぁぁぁ! 盗賊が来たぞおおお!」
外からの悲痛な叫び声と同時に、乾いた銃声が鼓膜を震わせた。
◇ ◇ ◇
俺はリュグナー。このボンヤリ村で生まれ育った9歳の男だ。将来はこの国で1番の騎士になる予定の男でもある。
「忘れろおおお!!!」
森の中で必死に木刀を振り回しながら、俺は絶叫した。
さっき姉ちゃんに手を握ってもらった時、俺の手が少しだけ姉ちゃんの大きな胸に触れてしまい、その柔らかな感触が今も手に残っていた。胸の高鳴りがどうしても抑えられない。
「うぅ、姉ちゃん……」
そもそも、姉ちゃんをエロい目で見ることは許されない。血は繋がっていないけど、姉ちゃんは俺の家族なんだ! 小さい頃から遊んでくれて、ご飯を作ってくれて、寂しい時はずっと一緒にいてくれた。そんな大切な人を汚すような真似なんて……。
しかし、必死に剣を振って忘れようと努めたが、一向に手の感触は消えない。寧ろ胸の高鳴りは増すばかりだ。それになんというか、股の辺りが変なのだ。妙に熱を持っていて、いつもより大きくなっている。これは今回だけじゃなく、最近割と起こる現象なのだが、俺には何が何だか全く分からなかった。
「くそっ、なんでこんな……! 雑念を捨てろ!」
自分の身体なのに、まるで制御が効かなくなっていくような恐怖に、俺はさらにがむしゃらに木刀を振り下ろした。
俺は将来王都の騎士団に入って、父ちゃんと母ちゃんを殺した盗賊どもを捕まえるんだ! 女に夢中になっている暇はない!!
そうだ、俺は絶対に2人の仇を───
その時、突然村の鐘が大きく鳴った。毎日聞いている音だが、ここまで連続して鳴らされることはない。なにかが起きている。なにか致命的な何かが。嫌な予感が全身の毛羽を立たせる。
俺は、全速力で村まで走った。息を切らしながら森を駆け抜けて、すぐに村へと辿り着いた。そして目に入った光景は───炎が燃え盛り、女子供が泣き喚く、変わり果てた故郷の姿だった。
そこら中に、見知った顔の亡骸が転がっている。父ちゃんと母ちゃんが死体となって帰ってきた、あの日がフラッシュバックする。吐きそうになったが、大事なことを思い出してなんとか耐えた。姉ちゃんは無事なのか!?
診療所の方向へ走ると、汚らしい男が姉ちゃんを無理矢理連れ去ろうとしていた。
「姉ちゃんを離せ!!!」
姉ちゃんを守るために、持っていた木刀を男に思い切り振るう。しかし、簡単に受け止められてしまった。
盗賊は容赦なく俺の腹を蹴り飛ばした。容赦のない衝撃に息が詰まり、俺は地面をごろごろと転がった。
「リュグナー君! やめて、その子に乱暴しないで!」
俺を心配した姉ちゃんが、必死に涙を浮かべて男の腕の中で暴れる。
盗賊は忌々しげに舌打ちすると、暴れる姉ちゃんの髪を掴んで容赦なく殴りつけた。鈍い音を立てて、白い地面に鮮血が飛び散る。
その瞬間、パチン、と頭の中で何かが弾けた。
脳が沸騰したように熱くなり、同時に身体中からこれまでにない力が溢れ出した。姉ちゃんを守る!そのためなら、自分の命なんてどうなったっていい!
「おおおおお!」
怒りのままに再び盗賊へと地を蹴り、飛びかかった───その瞬間だった。ドン、と鼓膜を突き刺すような大音が響いた。遅れて、脇腹に熱い鉄串を突き刺されたような激痛が走る。視界が真っ赤に染まった。撃たれたのだと、本能が理解する。
だが、姉ちゃんを殴ったあいつがどうしても許せない!
俺は腹の痛みも、流れる血もすべて忘れて、咆哮とともに盗賊へ木刀を振り下ろした。俺の一撃は、盗賊の脳天を正確に叩き割り、その巨体を地面へと沈めた。
───姉ちゃんを守れた。
その確信を得た瞬間、身体を突き動かしていた異常な熱が一気に引き、張り詰めていた糸がぷつりと切れた。
ドサリ、と膝から地面に崩れ落ちる。脇腹の激痛が遅れて襲いかかり、視界が急速に狭まって、光が失われていく。
「リュグナー君!!! うそ、嫌、リュグナー君!!!」
遠くで、姉ちゃんが悲鳴のような声を上げて、こちらへ必死に駆け寄ってくるのが分かった。いつもおっとりしてのんびりしている姉ちゃんが、あんなに声を荒げて、俺のために泣きそうな顔をしてくれている。
あぁ、大好きな姉ちゃん。守れてよかった……
耳の奥に響く愛しい人の声を心地よく聞きながら、俺の意識は深い闇へと落ちていった。
◇ ◇ ◇
リュグナー君が物語の主人公のような覚醒をして、私を連れ去ろうとしていた盗賊を倒してくれた。その後、たまたま隣の村に駐留していた騎士団が駆けつけてくれて残りの盗賊もお縄についた。
多くの村人が殺され、私の両親も亡くなってしまった。建物も殆どが焼かれた。
今は、仮設の病院で負傷者の手当てにあたっている。
肝心のリュグナー君は、銃で腹を撃ち抜かれた時はもうダメかと思ったが、私の治癒魔法を全力で注ぎ込んだおかげで、命に別状はなかった。
「ここは……」
「リュグナー君!」
意識を取り戻したリュグナー君を、愛おしさのあまり強く抱き寄せる。良かった! 本当に良かった!
「ね、姉ちゃん!? く、苦し……」
至近距離で私の胸に顔を埋められたリュグナー君は、限界を迎えたように言葉を発さなくなり、次第に抵抗の手も止まった。というか、気絶したように一切動かなくなった。
焦って触診してみると、ある異変に気がつく。何故かリュグナー君のズボンが、妙な温かさで湿っているのだ。
「……」
眠っている間は私が下の世話をしていたし、勝手に脱がしても大丈夫でしょ! そう思い、リュグナー君のズボンを下ろした。するとそこには───
「リュグナー君も男になったんだなぁ」
彼の名誉のためには明言はしないが、通ってしまったらしい。
「……もう一回見よ」
私は下ろした布地を指先でふわりともう一度つまみ上げ、じっとそれを見つめた。
不思議と胸が高鳴り、口元がニヤけるのを抑えることができなかった。
「あはっ♡」
たまらない。狂おしいほどに愉しい。 薄々気がついてはいたのだ。リュグナー君は、チビのくせに私を1人のメスとしてエロい目で見ている。そして同時に、家族同然の存在である私に対して、そんな薄汚い情欲を抱いてしまう自分に罪悪感を覚えていることも。
必死に理性を保とうと背伸びしているうぶな少年が、私の美貌のせいで、私のこの肉体のせいで、心の奥底からめちゃくちゃに狂わされている。
───今もこの眠りの中で、私をめちゃくちゃに蹂躙する夢でも見ているのではないだろうか?
静かに眠る彼の唇を見つめていると、そんな愛おしい妄想ばかりが頭を過ってしまう。彼をこんな風に、男にしてしまったのは───私。その歪んだ支配感と達成感が、私の脳髄を心地よく、ドロドロに痺れさせていく。
彼はなんて……なんて愛おしいんだろう!!!
穢れを知らない少年を、私のこの身体が、男として目覚めさせてしまった。その事実が、脳髄が痺れるほどに気持ちいい。
あぁ、私はこのために転生したのかもしれない。この無駄に優れた顔も体も、転生特典達も、すべてはこの愉みのために神様が用意してくれたものなのだ!これならば不老不死の力を使って、何十年、何百年となんの罪もない男の子達を壊して愉しむことができる。
村でずっと医者をしていくつもりだった。でも村は燃えて無くなりそれも叶わない。
───決まった、次の生き方が。世界の男の子達よ、そしてこれから生まれてくる男の子達よ。お姉ちゃんが今行くから待っててね。
それから数日後、リュグナー君の体調は回復し、生き残った村人は隣の村へお世話になることが決定した。しかし、私は突出した治癒魔法の腕を見込まれ、王都の騎士団の衛生部に徴用されることになった。つまり、リュグナー君とは離れ離れになってしまう。
リュグナー君の記憶に私との思い出を焼きつけていきたい。でも、これから出会う他の男の子達とも愉しみたい。どっちも捨てがたく選ぶことはできない。ならばどうするか? 両方やるのだ。
これからリュグナー君に恋人ができて、大切な思い出を作る節目節目に、私の顔を、この身体を思い出して、相手の娘にどうしようもない罪悪感を抱いて欲しい。私の存在を、彼の人生の一生消えない『呪い』にしてあげる。
旅立ちの前夜。私は自分の周囲に声や音が漏れないよう、転生特典の『認識改変能力』を初めて発動した。結界のように静まり返った診療所で、私はリュグナー君を襲った。
「カッコよくて可愛いリュグナー君すき♡」
「姉ちゃん……! なんか、なんか出ちゃう……!」
これから何千人、何万人と愉しむ予定だけど、ここまでしてあげるのはリュグナー君だけ。私を命がけで守ってくれた、大切なリュグナー君だけが、私の特別なのだから。
そして翌朝。リュグナー君との別れの時がやってきた。村の門の前で、生き残った皆んながお見送りをしてくれている。
「姉ちゃん!」
出発の間際、リュグナー君に呼び止められた。少し言い淀んでいたが、すぐに覚悟を決めた勇ましい顔になり、私の目をまっすぐに見ながら口を開いた。
「俺は……! 俺は母ちゃん達の仇を取って、この国1番の騎士になる! そうしたら、また一緒に暮らそう!」
胸いっぱいの決意と精一杯の男気を振り絞った、あまりにも純粋で、あまりにも眩しい告白。私の目をまっすぐに見つめる彼の瞳は、昨日私にめちゃくちゃにされたことへの戸惑いを孕みながらも、一途な熱で燃えていた。
その健気で愛くるしい姿に、私の胸の奥からドロリとした愛おしさが湧き上がる。
私は慈愛に満ちた聖母のような微笑みを浮かべ、そっと一歩を踏み出した。驚いて身を硬くするリュグナー君の小さな肩に手を置き、そっと耳元へと顔を寄せる。
私の豊かな胸が彼の胸板に押し当てられ、銀髪の隙間からこぼれる甘い吐息が、彼のうなじを優しく撫でた。それだけで、彼の身体がビクリと跳ねて、耳たぶまで瞬時に真っ赤に染まっていくのがわかる。
私は彼の鼓膜に、一生消えない甘美な呪いを刻み込むように、蜜を滴らせるような声で囁いた。
「かっこいいプロポーズをありがとう。強くなって、早くお姉ちゃんを貰いにきてね」
離れると、リュグナー君は顔を真っ赤に染めて呼吸の仕方も忘れたかのように固まっていた。カッコいいけど、まだまだ可愛い子供だね。
それにごめんね。ああ言ったけど、私は誰とも結婚する気はないんだ。私は、死ぬまで男の子達の性癖を歪めていく生き方を選んだから。誰か1人の女にはなれないんだ。
その後、私は予定通り王都の衛生部に数年勤めてから、全く別の姿へと変わり、次の愉しみを探す旅に出た。
───そして、旅に出てから数年後。
完璧な変身をしていたにも関わらず、なぜか私を見つけ出し、逃げられないほど逞しく、強く成長したリュグナー君に力づくで娶られることになってしまうのだが……それはまた別の話。
続くかも?
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