進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……(リメイク版)   作:感謝君

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第二十五話

 

 

842年、12月初旬。

 

 

吐く息が完全に白くなり、巨大樹の森にも本格的な冬が到来した頃。

 

 

あの日から一週間と少しが経過し、俺の胸の内にあった彼女の血筋に対する疑いは、もはや揺るぎない確信へと至っていた。

 

 

あの日、十五メートル級を無傷で単独撃破したリーシェは、そこからさらにタガが外れたように急成長を遂げた。

 

 

今や、こちらから指示を出すまでもなく、あらゆるサイズの巨人に対して最適解の動きで対応する。

 

 

それどころか、動きの読めない奇行種に遭遇しても、焦るどころか空中でヒョイヒョイと攻撃を躱しながら「ふーん、そういう動きをするのね」と様子見する余裕すら見せ、あっという間に動きに適応してうなじを削ぎ落としてみせるのだ。

 

 

(……こんなふざけた物理法則無視の芸当ができるのは、この世界で『アッカーマン家』ただ一つだ)

 

 

前世の記憶をひっくり返しても、彼女の名前や姿は作中に一切登場していなかった。

 

 

ということは、本来の歴史において彼女は、この巨大樹の森でその規格外の力に覚醒することなく、ガスと刃を使い果たして人知れず息絶えていたのだろう。

 

 

俺というイレギュラーが介入したことで、本来死ぬはずだった彼女が生き残り、その血を引く者としての本能を完全に目覚めさせてしまったのだ。

 

 

(まぁ、調査兵団にリヴァイ兵長、ミカサに加えてリーシェ……アッカーマン家の血筋が3人とか、いくらなんでも明らかな過剰戦力だろう。人類側が強すぎる)

 

 

一応、彼女自身はアッカーマンという名に心当たりがないと言っていたし、まだ彼女がその血筋であるというDNA鑑定のような確かな証拠があるわけではない。

 

 

……でも。

 

 

今日の昼の出来事を思い出して、俺は思わず遠い目になった。

 

 

今日の彼女の戦果。

 

 

十五メートル級が二体、十二メートル級が五体、十メートル級が三体。

 

 

合計十体からなる巨人の群れに対し、彼女は『無傷で』『同時に』『単独で』突っ込み、ほんの数分で文字通り全滅させたのだ。

 

 

俺が作った超性能のガスとブレードがあるとはいえ、十体同時の相手など立体機動の神業のさらに先を行く次元だ。

 

 

(確信したって仕方がなくないか……? )

 

 

声に出さずに心の中で突っ込む。

 

 

しかも彼女は、その十体を瞬殺した後、何事も無かったかのように「あ、あっちにもう一体いるわね」と、周囲をうろついていた残りの巨人を鼻歌交じりに斬り伏せていったのだ。

 

 

(……あれは、流石にちょっと引いたぞ……)

 

 

十五メートルの巨体を持つ俺が、掌サイズの小さな人間にドン引きしているのだから世話はない。

 

 

ここ最近の彼女の合計討伐数は、そろそろ百体に到達しようとしている。

 

 

そのせいで、広大だったはずのこの巨大樹の森周辺から、無垢の巨人の気配が殆ど消え失せてしまったんだが?

 

 

俺の狩り場の平和が、たった一人の女性兵士によって物理的にもたらされようとしている。

 

 

「アトラス、お待たせ! 今日のスープは少しとろみをつけてみたのよ」

 

 

そんな俺の深刻な苦悩と若干の恐怖など全く知る由もなく。

 

 

目の前では、先程まで血の雨を降らせていた殺戮の女神が、俺の作ったクリスタルの暖炉の火で、コトコトと夕飯を調理しながら天使のような笑顔を向けてきている。

 

 

「……ああ、凄くいい匂いがする。今日も美味しそうだな、リーシェ」

 

 

俺は複雑な感情をそっと心の奥底にしまい込み、ただひたすらに可愛い彼女の姿を眺めながら、穏やかな声でそう返すのだった。

 

 

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