褪せ人 Ramo と Saki の物語   作:Skinny Slaver

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魔術師 Ender に鉤指として召喚された Saki は、もう一人の鉤指 SamuryFlame の振る舞いに手を焼く。

鉤指として召喚された Saki がレアルカリア結晶坑道の攻略を手伝う話。オンラインプレイでの経験がベースとなっております。なんなんでしょうね、あの杖蝿さんたちは。



鉤指 Saki と炎の侍

──喚ばれている。それは Saki of Astora が王都外郭に店を構える世捨て商人を訪ねているときのことだった。ここ狭間の地に集った褪せ人たちには互いに助け合う習慣がある。と言っても、それは友情や同盟によるものではなくその場限りの協力関係──例えばとある地下墓に呼ばれたならばその探索に同行し、終われば後に残すものなく切れる程度の薄く弱い繋がりにすぎない。彼女はそうした助勢の求めに応じるためのサインをこれまでに訪れた様々な場所に出していたのだが、そのひとつが今拾われたらしい。

「ごめんね、おじさん。ちょっと外します。」

盲目の店主にそう声をかけると、壁すらろくに残っていないあばら家を出た。

「その『歩哨の松明』は取り置きしておいて。必ず買うから。」

今度はどこだろう。徐々に強くなる眠気に抗って打ち捨てられた墓石の傍らまで駆け、そこに腰を下ろす。湿った地面の感触を脚に感じると同時に、彼女の意識は途切れた。

 

 

Saki が意識を取り戻したのは暗闇の中。遠くから硬いものが擦れあうジリジリという音が聞こえてくる。目を凝らしてみるとそこは完全な闇ではなかった。輝石が放つ特有の青みがかった光が辺りをぼんやりと照らしている。かつて訪れた場所の記憶を手繰る。──ここは『レアルカリア結晶坑道』だ。

「やあ、来てくれてありがとう。」

不意にかけられた声に振り向くと、魔術師装束に身を包んだ男がこちらに手を差し出している。Saki は握手に応じ、自分の名を告げた。

「Saki さんか、よろしくね。僕は Ender。見ての通り魔術師なんだけど、ここの連中にちょっと手を焼いていたところだ。」

なるほど、と Saki は思う。この坑道に居ついた鉱夫たちは、魔力の源たる輝石を扱うだけあって魔法攻撃への耐性が高い。加えて連中の岩のような肌には斬撃・刺突も通りにくい。魔術と軽量武器が主な武装である彼のような褪せ人にはかなりの難所と言えるだろう。そうとなれば──。それまで手にしていた『君主軍の直剣』を道具入れに仕舞い、代わりに『クラブ』を取り出す。奴らが相手なら、剣よりもこうした鈍器の方が効果的だ。

 

そのとき、Ender の背後から人影が現れた。

「紹介が遅れたね。彼は SamuryFlame という。先に彼の方を召喚したんだが、君の到着を待ってもらっていた。」

彼は両手に一振りずつ刀を握っており、それを絶えず振って見せている。「早く行こうぜ」というアピールだろう。実は Saki はこの男を知っている。向こうが彼女のことを記憶に止めているかは定かではないが、しかし彼の姿を目にしたその時から、彼女の頭は重くなり始めていた。

 

 

彼は出発直後から Saki が予想した通りの行動に出た。鉱夫の姿を見るなり全力で駆け出し、両手に持った刀を叩きつける。しかし、奴らの硬質化した表皮は斬撃をほとんど通さない。攻撃を受けた鉱夫は怒りの唸りを上げ、それまで輝石を掘り出すのに使っていた『つるはし』を襲撃者目掛けて振りぬいた。急所への直撃こそ避けたものの、肩口に強烈な一撃を受けて吹き飛ぶ SamuryFlame。鉱夫は追撃をかけるべく、倒れ伏している襲撃者に突進していく。──もう見てらんない。Saki がこの事態を予想して途中まで唱えておいた呪文の最後の一節を呟くと、彼女の掌に輝く『雷の槍』が現れる。次の瞬間、槍はつるはしを振り上げた坑夫の背に突き刺さっていた。全身から白煙を吹き上げながら崩れ落ち、そのまま動かなくなる鉱夫。とりあえず最悪の事態は避けられたが、あのつるはしの一撃は相当な痛手だったはず。彼女は祈祷『回復』の準備をしながら、やっと起き上がった SamuryFlame に駆け寄る。しかし、彼はすかさず『緋雫の聖杯瓶』を呷って傷を癒すと、こちらを見ることもなく、次なる敵を求め坑道の奥へ走り去っていった。

 

この一部始終を、少し離れた場所から見ていた Ender の顔には複雑な表情が浮かんでいた。あいつ、送り返した方がいいと思うんですけど。喉元まで出かかった言葉を飲み込む。SamuryFlame に続いて歩き出した Ender の背後を守りつつ、Saki もまた闇の中へと分け入った。

 

 

時と場合にもよるが、褪せ人は通常「鉤指」──助けとする褪せ人──を二人まで召喚することができる。呼ぶ方はよほどに困っているからこそ助けを求めるわけで、一人で留めず二人目を召喚するケースがほとんどである。畢竟、呼ばれた鉤指は主の他に「同僚」との協調を求められるのだが──。

 

Saki はこれまでに二度、SamuryFlame の「同僚」として働いたことがあった。しかし彼は、同僚である Saki はおろか、主の存在すら目に入らぬ様子で敵の只中へと突撃し、そして死亡した。死とは言っても、鉤指において働くのは肉体を離れた精神体であるため、力尽きても肉体の方に意識が戻るだけ。死によって、あるいは目的達成によってこの一時的な共闘が終われば、王都外郭の商人の店の裏手で眠っている Saki が目覚めるという仕組みになっている。彼の無謀な振る舞いは、この「死」の軽さ故だろうか。そんなことを考えながら、同僚の猪武者が討ち漏らした敵の始末をしつつ、坑道の深部へと歩を進めていく。もちろん、主である Ender の側を離れるわけにはいかない。彼が倒れればこの共闘は終わり、Saki は報酬を獲得できなくなる。何より、主である Ender にとって「死」は本物のそれなのだ。そのことを思うと、心に圧し掛かる鉤指の責任の重さを感じずにはいられない。一方、そんな重圧など微塵も感じていないらしい SamuryFlame は相も変わらず二刀流の乱撃だけを頼みに敵集団に突撃しては袋叩きにされていた。そのたび、Saki の援護が彼を窮地から逃しているのだが、反省や感謝の素振りは見えない。

 

いかに格下の相手とはいえ、集団に単騎で挑むは無謀に過ぎる。先日、意図的でないとはいえ敵に囲まれ危機に瀕していた彼女を救った Ramo という名の侍の言葉が胸に沁みる。そういえば、「侍」を名乗って刀を振るっているということは、あいつも Ramo さんと同じ葦の地の戦士なのだろうか。だとしても、あいつは Ramo さんの足元にも及ばない。なにしろ彼の強さ頼もしさといったら──と、ここで彼女は己の顔が締まりなくにやけているのを自覚し、口を引き結んだ。時折こちらを振り返りながらおっかなびっくりの様子で先を行く Ender に見られていませんように、と願う。Ramo と出会ってからこちら、彼のことを思い出すたびに頬が緩む自分に気がついていた。──どうにもいけませんな、私としたことが。邪念を振り払うように頭を振ると、Saki は再び歩き出した。

 


 

敵を退けつつ進む一行の前に、巨大な竪坑が現れた。差し渡しは20メートルほどだろうか。深さはその底部に立ち込める靄のせいで正確なところは知れないが、落ちたら万が一にも助かる高さでないことはわかる。Ender たちのいる場所からは竪坑の反対側に向けて一本の梁が渡されていた。先に進むには、この靴底よりもわずかに広い幅の木材を渡らなければならない。渡り切った先の足場にはここから見えるだけで三体の鉱夫が活動している。かつてこれを渡り坑道を踏破した経験のある Saki ですら、ここで軽々に踏み出すことは躊躇われた。踏み外しの危険もさることながら、ろくに身動きのとれない梁の上で敵の攻撃を受けた場合のことを考えると慎重にならざるを得ない。

 

ところが、そんな Saki の思案を余所に、なんと SamuryFlame が梁の上を走り始めた。輝石を掘る鉱夫たちはその扱いにも長けている。梁を駆けて突撃してくる猪武者に気付いた奴らは、手近な木箱から取り出した屑輝石を握り潰した。輝石が歪み砕けるその瞬間、内部に蓄えられたエネルギーが魔力の飛礫として放出される。それらは青い光の尾を引きながら SamuryFlame 目掛けて殺到した。この狭い足場の上では身を躱すこともできない。もはや彼の命運は決したかに思われたが、事態はもう少し複雑な推移を見せた。次々と飛んでくる飛礫は恐ろしげではあるが、単発の威力はそれほど大きくない。武器を構えてこれを防ごうとすれば反動に押されて梁から落ちることになるだろうが、SamuryFlame は回避も防御も捨てた被弾覚悟の走破に賭け、そして勝ったのだ。梁を渡り切った彼は、例によって二振りの刀を構え、予想外の猛進にたじろぐ鉱夫どもに躍りかかる。だが当然のこととして、たちまちにして彼は三体の敵に囲まれることとなった。

 

「あのバカ──!」

対岸で成り行きを見守っていた Saki は決断を迫られていた。この梁を渡り同僚を助けに行くか、留まり主の護衛に徹するか。横目で主たる Ender の様子を伺ったが、おろおろと歩き回るだけで行動を起こす気配はない。

「ゆっくりでいいので、私の後をついて梁を渡ってきてください!」

そう言い置くと、Saki は梁の上を駆けだした。幸い、敵は SamuryFlame を取り囲むことに夢中で彼女の存在には気付いていない。このまま一気に梁を渡り切って、雷の槍を叩き込めば──。対岸にたどりつき、敵の集団は射程内に収まった。はやる心と乱れた息を押さえて呪文を詠唱。一投、そして二投。雷光が閃くごとに、敵は一体ずつ無力化されていく。しかし最後の一撃を放とうとしたその瞬間、つるはしの殴打に吹き飛ばされた SamuryFlame が竪坑の虚空に投げ出されるのを彼女の目は捉えた。

「馬鹿野郎ォ!」

絶叫と共に放たれた雷槍が最後の鉱夫を貫いた後、そこには Saki と遅れて梁を渡ってきた Ender の他に動くものはなかった。

 

 

皮肉なことに以降の道中はそれまでより格段に楽なものになった。先行してすべての敵に臨戦態勢を取らせる輩がいなくなったために、不意討ちと遠距離攻撃による優位が機能し始めたのだ。気取られずに背後に忍び寄ることができれば、あのしぶとい鉱夫どもとてクラブの一撃で始末することができた。祈祷の使用に必要な集中力の消費も抑えられるので、補給の利かないこの状況では非常に有効な戦法と言える。複数の敵が固まっている状況も先手が取れるならさほどの難はない。最大まで溜めた『黒炎』の一撃で半壊状態に追い込むことができるので、そこからの運びは容易い。

 

そんな調子で順調に探索を進めた Ender と Saki は、ついに坑道の最奥にたどり着いた。二人は最後の敵──この坑道の「主」──が巡らせている結界の前で足を止める。ひとたびこの障壁を通り抜けたなら、結界の源を絶つ、つまり「主」を倒さない限り外に出ることはできない。

「ここが大詰めです。準備を怠りなく。」

Ender はこれまでほとんど戦闘に参加していない。聖杯瓶も温存されているはずだ。

「いやぁ、Saki さんは強いねぇ。僕は最初、彼── SamuryFlame さん──の方がアタッカとしていい働きをしてくれるんじゃないかと思っていたんだ 。」

それはそうだろう。二刀構えの侍がいたら誰だって期待する。少なくとも攻撃面については。『輝剣の円陣』を展開しながら Ender は続ける。

「しかしどうしてどうして、戦士としての能力は外見の勇猛さとは無関係だと気付かされたよ。」

そう言って微笑むと、結界で封じられた道へと向き直った。

「ここまでの戦いはすべて任せてきてしまったからね。最後くらいはいいところを見せないと。」

その意気は好ましいが、他方であまり前に出ないで欲しいとも思う。これから戦うのは、鉱夫よりもなお高い魔術への耐性を持った相手だからだ。しかし Saki も敢えてそれを口にはしない。短く息を吐き出すと、Ender に続いて瘴気の壁をくぐり抜けた。

 

 

『結晶人』の出自については諸説あって定かではない。事実として知られているのは、奴らが外部からの攻撃に対する驚異的な耐性を備えていることだ。冷たい輝きを放つ結晶質の身体は魔力のみならずあらゆる属性の魔法を遮断する。では武器による近接戦が有効かといえばそうとは限らない。その硬い体表に叩きつけられれば、どれほど鋭く研ぎ澄まされた刃であっても、欠け、潰れてしまうのだ。そのことを熟知している Saki は、常の戦いでは最も頼りとしている祈祷の仕様を自らに禁じていた。しかしそれは炎と雷が結晶人への有効打とならないという理由だけからではない。相手が続けざまに投げてくる輪刃──輝石結晶で作られた、外周に鋭い刃を持つ円環──が彼女に足を止めることを許さないからだった。微妙なカーブを描きながら飛来する輪刃は、避けるだけもかなりの集中力を持っていかれる。やはり近付かないと──。

 

あらゆる攻撃を受け付けないかに思える結晶人の身体にも、ひとつだけ弱点がある。それが打撃武器だった。その硬さで斬撃・刺突を跳ね返せたとしても、衝撃だけはどうにもならない。そのエネルギーは深く浸透し、奴らを内部から粉砕する。そして Saki は、その打撃を加えるのに最適の武器、クラブをその手に握りしめていた。残る問題は──これが届く位置までどうやって近づくか。そのとき、輝剣が青い光の尾を引いて宙を走り結晶人に命中した。──Ender さん!?

 

魔力で形作られた輝剣は結晶人にはきわめて効果が薄い。実際、今の攻撃は奴にまったくダメージを与えていなかった。そのことは彼も理解しているはずなのに何故。しかしその一打は、結晶人の注意を Ender に向けさせるには十分だった。先ほどまで Saki を苛んでいた輪刃の標的が Ender に移る。

「Saki さん、飛び道具は僕が引き受ける!」

その隙に奴に近づけということか。しかし、彼が手にしているのは『聖句の木盾』──受け能力は低い。あれでは輪刃を防ぎきれないのではないか。その懸念に反して、Ender の構える小盾は最初に飛来した輪刃をこともなく弾き飛ばした。見ると、彼の盾が魔力の青い輝きを帯びている。『魔力の盾』とはさすが魔術師。あれなら並の中盾以上のガード強度になっているはずだ。となれば、私がすべきことは──。妨げるもののなくなった標的への道を、Saki は全力で駆け抜ける。そして、両手で握りしめたクラブに渾身の力を込めて結晶人の後頭部へ叩きつけた。

 


 

「ありがとう。本当に助かったよ。」

砕けて散らばった結晶人の破片の傍で別れの挨拶を交わす二人。Saki の前には静かに光を放つ『ルーンの弧』──この勝利に対する報酬──が浮かんでいる。彼女はにっこりと微笑むと、軽くお辞儀をした。「小さいものでも打撃武器は携行した方がいい」「召喚する鉤指は選ぶべき」そんな助言も頭に浮かんだが、口に出すことはしない。

「困ったら、また喚んでくださいね。」

それだけを言って、ルーンの弧に触れる。光が弾け、Saki の意識は王都外郭で待つ肉体へと引き戻されていった。

「小さき勇士に炎の導きを。」

Ender が最後に発した言葉が彼女に届くことはなかった。王都外郭に戻った Saki は店主との約束通り『歩哨の松明』──とその他こまごまとした道具類──を購入し、店を後にした。

 

 

それから数日後、『火山石』を集めるため煮え立ち川を歩いていた Saki は不意に呼びかけられて立ち止まった。

「おまえ、Saki of Astora だな?」

見るとそこには若い、というよりも少年といって差し支えないような稚い顔立ちの褪せ人が立っている。その眼には隠しようもないほど強烈な敵意が宿っているのが見て取れた。これは穏やかじゃないね。そう思いながらも、彼女は正直に応える。嘘をつく理由はない。

「そうだけど、何かご用?」

それを聞くなり、男は腰の左右に一振りずつ下げた刀を抜いた。こいつは──。

「覚えているかい? SamuryFlame だよ。あんたと決闘しに来たんだ。」

構えてこそいないが、全身から今にも斬りかかってきそうな殺気が放たれている。厄介極まりない。

「決闘? なんで? それよりもどうやって私の居所を?」

Saki の問いに、彼は嘲るような調子で答える。

「大ルーンを二つも持ってる褪せ人の居所なんざ、ちょっと聞き込めばすぐに割れんだよ。そして決闘の理由だがな──」

そこでついに SamuryFlame は武器を構えた。

「俺は弱くねぇって証明するためだ。」

 

随分言葉足らずだが、Saki は彼の要旨を理解した。これまで「同僚」として働いた三度の共闘のいずれにおいても、彼は無様な──少なくとも彼女にはそう思える──死と共に退場していた。そのことで彼は Saki に対して劣等感を抱えると同時に、彼女に見下されているという妄想を募らせたのだろう。そのあたりを上手く纏めらないのは怒りのためか、もともと頭が悪いからか。いずれにせよ、早々に切り上げたい事態であることは間違いない。

「随分強力な祈祷を使うようだが、この距離なら関係ない。俺の刀の方が速いぜ。そんでさらに──」

SamuryFlame が刀を交差させるように打ち合わせると、その刀身を赤黒い炎が包みこんだ。

「これが俺の名の由来よ!」

炎に照らされた少年の瞳は、一層の狂気に燃え上っている。

「俺は強えぇ! 俺は速えぇ! 女なんぞに負けるはずがねぇ!」

 

だが次の瞬間、彼の右手は刀の柄を握ってはいなかった。Saki が『君主軍の直剣』で繰り出した『貫通突き』が、彼の右手から得物を弾き飛ばしたのだ。

「あっ…?」

状況が把握できず、空の手を凝視して固まる SamuryFlame。Saki は間髪を入れず横薙ぎに払い、左手の刀までもを弾き飛ばす。最初に飛ばされた刀が落ちてきて地に突き立ったのは、その二秒後のことだった。予想だにしていなかった事態に蒼白になった少年に、Saki が顔を寄せて囁く。

「距離が──何だって?」

既に剣は収めていたが、彼女の手の中には『黒炎』が揺らめいている。手を握ってその炎をかき消して見せると、緊張の糸が切れたのか SamuryFlame は膝から崩れ落ちた。

 

その様子を見た Saki の顔に、先刻までの険しさからは想像もできない満面の笑みが浮かぶ。

「おねーさんに相手して欲しかったら、もうちょっと精進することだね。」

放心した少年の頭をポンポンと二度叩くと、Saki は踵を返して立ち去った。暫時の後「侍」も川辺を後にしたが、二振りの刀はその場に残され、錆び朽ち果てたという。

 

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