ブルーアーカイブ ゲヘナ食堂いらっしゃいませ! 〜人型パンちゃんに転生した私、ゲヘナ給食部でパンちゃんたちを従えて無双…?〜 作:Di Gi O
人手不足を解決する希望の光を前に錯乱するフウカを宥めたニロは、お昼営業の為の給食作りを続けていた。
しかしジュリと共に揚げ物をする中で、ジュリが新たなパンちゃん『DJトンカツ』を生み出してしまう。
そのパンちゃんは高い熱耐性を持っており、給食部は揚げ物の実質的な自動化に成功した。
そしてついに11時になり営業開始。
ニロは数千人が次々と押しかける状況にドン引きしながらもなんとか無事に営業終了まで持ちこたえることに成功。
3人で労い合いながら自分たちの昼食を済ませようとすると、そこに風紀委員会の4人の幹部が現れたのだった。
「はぁ……お邪魔するわ……。」
突然現れた風紀委員会幹部の4人に困惑するジュリとニロ。
そこに見かねたフウカがやって来る。
「どうしたの2人とも、まさかクレーマー?……って、ヒナ委員長?それに風紀委員会の人達も……。」
「こんにちはフウカ。今日は誘拐されてないみたいで何よりよ。」
目の隈を擦りながらフウカに話しかけるヒナ。
「あぁ、ありがとう……でも、一体どうしたの?もうお昼の営業は終わっちゃったし、風紀委員会の人って大体お昼はお弁当持ってきてるか、外で食べるでしょう?」
フウカが尋ねる。
「その事なんだけど、色々とトラブルが起きてね。大体後ろのアコのせいなんだけど。」
溜息をつきながら指を指すヒナ。
そこには未だイオリに抑えられているアコがいた。
「後は昨日の約束を果たしに来たのよ。もしかして激務で忘れちゃったかしら。」
「……あぁ〜!そうだ!私、ヒナ委員長から銃貰うんだった!」
ニロがポンと手のひらを叩く。
昨日のゲヘナ商業地区での騒ぎの時、流れとはいえ一応不良たちを鎮圧したお礼として風紀委員会から制式銃を工面して貰えることになっていたのだ。*1
「そういえばそうでした!まさかわざわざ持ってきて下さったんですか?」
ジュリも納得して笑顔でヒナを見る。
「えぇ。チナツ、持ってきてくれる?」
「はい、委員長。……こちらになります。」
後ろでアコをイオリと共に抑えていたチナツがメガネの位置を直しながら、担いでいた銃を差し出す。
「あ、ありがとうございます!」
受け取るニロ。
その銃身は1メートルを超えており、ベルト給弾式の箱型マガジンが取り付けられている。
銃身上部には持ち運び運用を前提にしたピカティニーレールが増設されており、可変倍率の中距離スコープが取り付けられている。
銃口にもコンペンセイターが取り付けられており、連射時の反動が軽減されている。
銃身右斜め下には反動制御用のバーティカルグリップが取り付けられており、ガッチリと両手で抑えることも可能。
「おぉ……な、なんか凄くゴツイですね!」
「そちらは『MG42』。本来は銃架を取り付けての対空運用や装甲車上からの対地制圧射撃などを想定して作られた重機関銃です。汎用性を考えて、こちらの方で使用弾を7.62mm弾に変更し、最低限のカスタマイズをしておきました。特筆すべき点はその連射力と口径で、高威力の7.62mm弾を毎分1200発の速度で発射可能です。」
チナツは丁寧に銃についての説明をする。
しかし銃に明るくないニロは次々と頭の上に?を作る。
「……うーん……つまり、どういう事で?」
「重い、速い、めちゃくちゃ強いですね。」
「そんな殺意MAXの牛丼屋みたいな?」
チナツのざっくりした説明に唖然としながらも理解するニロ。
要するに銃本体は重く取り回しは悪いが、その分連射力と破壊力は抜群であるという事だ。
「一応私の銃と近い物よ。……これで大丈夫かしら?他にも銃の種類はあるけど。」
「いやいや!!大満足です!本当にありがとうございます!」
「そう、良かったわ。」
「うちの子の為にありがとうございます!」
「う、うちの子……?」
「ごめんチナツ、気にしないで。……助かったわ、委員長。」
喜ぶニロに微笑むヒナ、ジュリのうちの子発言に困惑するチナツとスルーさせるフウカ。
今のところ平和なやり取りである。
「構わないわ。……生徒は大抵自分の愛銃に名前を付けるのだけど、貴方は何か付けるの?」
ヒナはニロに尋ねる。
キヴォトスの生徒たちにとって銃とは護身アイテムであると同時にファッションアイテムのようなもの。
目に見える位置に銃を身につけ自らを守ると共に、デコレーションしてアピールする為のアクセサリーでもあるのだ。
「名前……名前ですか……ちなみに皆さんは?」
「……わ、私のは一応……『しゅ、終幕:デストロイヤー』……///」
「……はい?何と?」
「……『終幕:デストロイヤー』よ……////……分かってるわ、厨二病っぽいとか思ってるんでしょ……」
「い、いやいやいや!!!ヒナ委員長っぽくて凄くかっこいいと言うか!!!ギャップ萌えです!!はい!!!」
赤面するヒナを慌ててフォローするニロ。
よく考えるとヒナは自分でこの銃に名前を付けたのだろうか。
かわいい。
「貴方ァ!麗しき委員長の愛銃の名前に何か文句でもあると言うのですか!?」
「黙ってろってアコちゃん!」
「……あの、後ろの人はなんでさっきからずっと暴れてるので?」
「あぁ、気にしなくていいわ。ただの勘違いだから。」
そう言いながらヒナはイオリが必死に抑えているアコの元へ歩いていき……
ゴスゥッ!
「ペプシッ!!?」
「……うわ……痛そ……」
ゲンコツをアコの脳天に思いっきり喰らわせた。
タンコブを作りながら白目を剥くアコ。
「……これでしばらく静かになるでしょう。イオリ、離して良いわよ。」
「あ、あぁ……アコちゃん、一応同情しとくわ……。」
イオリは少しだけ不憫そうに壁にアコをもたれかからせて座らせた。
「えっと、改めて私は銀鏡イオリ。騒がしくして悪かったな、このアコちゃんは暴走したらなかなか止まらなくてさ……。」
「あ、いやいや。とんでもないです。」
謝るイオリにニロは謙遜する。
「で、こっちはチナツ。うちの救護担当だ。」
「どうも、火宮チナツです。」
「あぁどうも、麦焼ニロです。」
互いに丁寧に挨拶する二人。
「……それで、銃の名前だったっけ?私のこれは『クラックショット』。スナイパーライフルだ。」
イオリが自らのライフルを見せてくれる。
「へぇ……スナイパーライフルなのに、スコープが付いてないんですね?」
「ふふん、アタシはプロのスナイパーだからな。プロは道具を選ばないのさ。」
胸を張るイオリ。
「イオリがスナイパーなのに前衛に突撃して行くからでしょう?」
チナツが後ろからため息をつく。
「あ、凸砂ってやつです?」
「う、うるさいな!その方がスタイルに合ってるんだよ!」
イオリは赤面しながら腕をブンブンと振る。
凸砂呼ばわりは心外なようだ。
「はいはい……ちなみに私のこれは『サポートポインター』です。といっても私は基本後衛で救護や支援を担当するので、撃つのは大抵このスティムアモなんですけどね。」
そう言いながら注射器のような形の弾丸を見せるチナツ。
どうやら中に回復薬が入っているようだ。
「へぇ〜……銃って普通の弾撃つだけじゃないんですね。」
「はい。そこで寝ている行政官も私と同じようなハンドガンで、『ホットショット』という名前を付けています。彼女が行政官の地位に就いた際、ヒナ委員長にプレゼントされた物らしく……」
「それはもう大事にしていますよ!!えぇ!!ホットショットという名前も『有能な人』という意味でして!さらにこの銃はパーツの流通もほぼなくメンテナンスも難しいので委員長の右腕である私のような有能な人でないと到底取り扱えな」「うるさい。」ゴシャッ!「ドクペッ!!!」
自分の愛銃の話題が出た途端気絶から回復し、また即座にヒナに気絶させられたアコ。
「……まぁ、彼女にとって大切なものということです。」
「そ、そうなんだ……それは分かったんですけど、アコさん大丈夫なんですか?タンコブがふたつできて夢の国のネズミーめいてるんですけど……。」
「放っておいてください。」
「……私が言うのもなんだけど、アコちゃんってなんで学習しないんだ……?」
「『
例に上げられた銃の名前に感銘を受けるニロ。
どの銃の名前も個性的かつスタイリッシュである。
「そういえば、フウカ先輩とジュリママの銃ってどんな名前なんです?」
ニロが振り返り、2人の部員に質問する。
「『給食部の護身用銃typeA』ね。」
「『給食部の護身用銃typeB』です!」
「素朴!!!!!」
ずっこけるニロ。
「そ、そんなシンプルな名前だったんだな……。」
「言われてみれば、うちの一般委員も銃に名前を付けてる子はそんなにいなかったかもしれませんね……。」
イオリとチナツも予想外という反応をする。
「まぁ部活に心血を注いでたから、確かに銃にはそんなこだわりも愛着も無かったわね……。」
「え〜?私は名前こそシンプルですけど、この銃に愛着はありますよ!よく料理にも使いますし!」
「ショットガンをどう料理に使ってるの!?」
「お肉を柔らかくしたり、あとは畑を耕すのに!」
「いや油粘〇マン!?」
フウカとニロによるツッコミの押収。
「仲良いなあんたら。」
「ふふっ、給食部に新入部員が入ったと聞いた時は驚きましたが、この仲の良さなら納得ですね。」
「万魔殿が認めたっていうのが引っかかってたけど、この感じならマコトはともかく、イロハやサツキが認めたのは理解できるわ。」
風紀委員会の3人も仲睦まじい姿を見て少し微笑む。
「……そ、それはともかく!その流れで行くと私の銃は……。」
「『給食部の護身用銃typeC』かしら?」
ニロの銃の名前候補を出すフウカ。
「うーん、私が言うのもなんですが、なんだかシンプルすぎる様な……。」
ジュリが少し首をひねる。
「ううん、これにする!ママとフウカ先輩とお揃いがいいし、なんか一体感あって同じ部活!って感じするから!」
「ニロちゃん…!」
「ま、ニロが良いならそれで良いんじゃないかしら?」
涙ぐむジュリと柔らかく微笑むフウカ。
「それじゃあこの銃は、『給食部の護身用銃typeC』で決定!」
ニロが機関銃を触手で持って掲げる。
「ふふ、気に入ったなら良かったわ。」
「うちの特殊なカスタムがしてあるから、本来非売品なんだからな。ちゃんとメンテナンスして大事に使うんだぞ。」
「かなり反動が強い銃ですので、肩を壊さないように気をつけて下さいね。……その触手を使われるなら、肩というより付け根なのでしょうか?」
ヒナ、イオリ、チナツもコメントする。
「わざわざ届けに来てくれて、ありがとうございました!」
「何から何まで悪いわね、委員長。」
ニロとフウカがヒナにお礼を言う。
「気にしないで、これは治安維持への協力に対する正当な報酬だから。それと……言いにくいのだけど、1つお願いがあって。」
ヒナは少し申し訳なさそうに言葉を続ける。
「お願い、ですか?」
首を傾げるジュリ。
「あぁ。ま、大体アコちゃんのせいなんだけどな。」
「イオリ、事実とはいえあまり言いすぎては行けませんよ。」
イオリがやれやれと両手を横に開きながら首を振り、チナツが窘める。
何があったのだろうか。
「それで、私たちに頼みって?」
「……営業を終えたばかりの所で申し訳ないのだけど、私たち4人分にお昼ご飯を作ってくれないかしら?この際余り物でもなんでも構わないわ。」
「お昼ご飯、ですか?」
ヒナの願いにまた首を傾げるジュリ。
「それは構わないけど、あなた達っていつもはお弁当とか外食よね?……あ、でも最近はどこの店もやってないんだったわね。」
「そうね、もちろんそれも理由の一つよ。私の行きつけの安い飲食店も休業中だったから。ただ、生憎今日は朝少しバタバタしてて、お弁当を作れなくて。だから最初から給食目当てだったんだけど……。」
ヒナは少し前の話を始める。
12:00。ゲヘナ風紀委員会本部。
4人の幹部は朝からそれぞれ現場への出動や書類仕事、事件の後処理など相変わらず仕事に追われていた。
「……ふぅ、お昼の時間ね。今日は給食を食べようかしら。丁度新入生のあの子に用もあることだし。」
ヒナは重なった書類をトントンと揃えて机に置き、休憩に入ろうとする。
「お、委員長。今日は弁当じゃないのか?」
「イオリ、外回りお疲れ様。そうね、朝は少しバタバタしていて、時間が取れなかったから。」
「なら給食か?ちょうど良かった、実はさっきモモトークで友達から気になる連絡が来てさ、私も久しぶりに給食食べに行こうかなって思ってたんだ。」
「気になる連絡?」
話しかけてきたイオリの言葉に耳を傾けるヒナ。
「あぁ。ほら、うちの給食って安いし量もそこそこあるけど、いかんせん味が中の下くらいだろ?冷めてたり、ちょっと焦げてたり。だから私は1年以来あんまり行ってなかったんだけどさ。なんでも今日の給食は当たりで、ちゃんと揚げたてのカツがのった温かくて美味いカツカレーが出たんだと。」
「……なるほど。間違いなく昨日のあの子が影響してるんでしょうね。」
「それって、例のやつか?昨日委員長が報告書にまとめてた、ヘンテコな触手の編入生。」
イオリが昨晩ヒナがまとめていた書類に書かれていた人物を思い出す。
「えぇ。丁度彼女に渡す物もあったから、それも用の一つよ。」
「渡すもの……?」
イオリが聞くと、ヒナは自分の席に立てかけていた一丁の銃を手に取る。
「あれ、それって委員長のと同じ型番の……あぁ、備品の持ち出し申請が出てたのって委員長だったのか。てっきり誰かが自分の銃を壊したのかと。」
「そういう事よ。昨日の件のお礼って事で、うちの銃を工面することになって。」
「へ〜。ま、それなら私も着いてくよ。例の奴がどんな感じの奴なのか気になるしな。」
「ふふ、なら一緒に行きましょうか。普段はお昼休みも交代しながら取ってるから、ご飯を揃って食べるなんて珍しいわね。」
「だな。」
談笑しながら部屋を出ようとする二人。
すると。
「はぁ……戻りました……。」
「あら、チナツ。」
「お疲れチナツ……って、どうしたんだ?」
帰ってきた明らかに疲労困憊な様子のチナツを心配する二人。
「あぁ、イオリに委員長……恥ずかしいところをお見せしました。……実はお弁当を作ってくるつもりが、今朝は寝坊してしまって……仕方なくお昼はどこかで買ってこようかと備品管理だけ終わらせて少々近くの店舗を回っていたのですが、どこも弁当や惣菜は品切れだったりそもそも休業中だったりで……。」
「あぁ……。」
「あら、貴方もお昼が無いの?奇遇ね、私とイオリも今日は弁当じゃなくて。」
「おや、そうだったのですか?ではどちらに?」
「給食だよ。今日は当たりらしいぞ?」
「給食ですか……言いにくい話ですが、味はまずまずだったと記憶していますが……。」
「例の新入生が今日から働いてるらしくて、いつもより提供が早くて冷めても焦げてもないらしいってさ。」
「あぁ、昨晩の委員長の報告書の……。確かにすれ違った何人かの一般生徒が給食がどうと話していたような……。」
チナツは少し前にすれ違った生徒たちの会話を思い出して顎に手を当てながら考える。
「どうせならチナツも一緒に行くか?委員長も飯食いに行くついでにその新入生に銃を渡すらしくてさ。私も着いてくんだ。」
「おや、そうでしたか。ではご迷惑でなければお供させて頂きたいのですが。」
「構わないわ。早速行きましょうか。」
チナツもパーティーに加え入れ、3人が風紀委員会本部を出ようとする。
しかし。
「聞き捨てなりませんね!?」
「うわ出た……。」
「……はぁ……。」
「……お疲れ様です、行政官。」
「なんですか揃いも揃ってその反応は!!?」
ひたすら書類仕事に没頭していた行政官、天雨アコがドンと立ち上がり入口に立ち塞がった。
「というか酷いですよ委員長!私も誘ってくれるはずだとずっと席で仕事しながら待っていたというのに!」
「いや、イオリもチナツも自分から話しかけて来たから一緒に行ってるだけだし、アコが今日食べるのが弁当なのか給食なのかなんて把握してないから……。」
「というかそんなに行きたいなら自分で一緒に行くって言えばいいじゃんか?」
「自分から言うのはなんか恥ずかしいじゃないですか!?」
「なんで行政官はそこだけ乙女なんです?」
アコの複雑な乙女心に突っ込むチナツ。
「はぁ……ならアコも着いてくる?もう12時半だし、今日は人も多いらしいからそろそろ行かないと営業時間過ぎるわよ。」
ヒナが面倒そうながらもアコを誘う。
しかし。
「いいえ、行きません!なんなら委員長が給食部に行くのに反対です!!」
「……はぁ?」
訳の分からない主張に困惑の声を上げたのはイオリ。
「どういう事?なんで委員長が給食食べに行っちゃダメなんだ?」
「当然でしょう!そもそもイオリが言っていた通りうちの給食の味は中の下くらい!メインの献立以外は添加物も入った市販の冷食の揚げ物ばかり!そんな栄養バランスの悪い物を委員長に食べさせる訳には行きません!」
「さっきの話聞いてたのかよ……。」
「それに何より!今日から給食部にはあのカメラの映像と報告書にあった得体の知れない新入生が参加しているのでしょう!?」
「そうらしいですけど、それとなんの関係が……。」
「校舎の廊下で化け物を従えながら堂々と触手プレイをする変態の料理など委員長に食べさせてなるものですか!!」
「……一部正論なのが言い返しづらいな……。」
イオリは頭を搔く。
「でしょう!?そもそも万魔殿が何を考えているかも分かりません!触手から催眠ガスを放ち、得体の知れない化け物とコミュニケーションを取り、挙句の果てに圧倒的数的不利の状況から逆転して不良を銃を使わず制圧した!?明らかに危険人物です!今からでも編入に抗議すべきです!」
アコは熱弁する。
確かにアコが言っている事にも一理はある。
そもそもニロの出自からしてある程度受け入れられている現状の方が異常なのかもしれない。
「……はぁ。どちらにせよ私は約束があるから行かないといけないんだけど。というか給食がダメなら私はお昼に何を食べればいいの?」
「それはもちろん、私特製の手作りスタミナ料理を……♡」
「特盛ホルモン焼きそばと特製コーヒーはもう勘弁して。次あれ作ったら全部その服のスリットに突っ込むから。」*2
「酷い!?」
「あ〜、前に朝ごはんとか言って出してたあれか……。」
「朝食のボリュームでは無かったですね……。」
以前ヒナが朝ごはんを食べそびれたと言った日にアコが作って出した特盛焼きそばを思い出す二人。
せめて夜に作れとタグに付けられそうなボリュームだった。
「と〜に〜か〜く!委員長があんな得体の知れない生徒の作る料理を口にするなど許容できません!」
「はぁ、面倒ね……そんなに言うなら、ついてきて作るところでも見せてもらえば良いじゃない。」
「そ、それは嫌です!あの1年生のジュリさんも料理をしているんでしょう!?またあの化け物がこのスリットから中に入ってくるのはごめんです!」
「じゃあその胸しまえばいいじゃん。」
「私の制服から横乳を取ったら何が残ると言うんですか!?」
「逆に横乳だけを残して何をどうするんだよ!?」
アコの謎の主張にツッコミが止まらないイオリ。
「はぁ……このままじゃ埒があかないわね……。」
ヒナは溜息をつきながらアコの元へ歩いていく。
「おぉ、ようやく分かってくださいましたか委員長!さぁ、早速私が料理を作って差し上げますのでなんなりとご要望を!和食ですか、洋食ですか!?はっ!それとも、ま、まさか私を……//////」
「うるさい。」
メシャァッ!
「チェリオッ!?」
「うわ……。」
「今絶対鳴っちゃいけない音が鳴りましたよね?」
ヒナの容赦ないゲンコツに引く2人。
アコはたんこぶを作りながら泡を吹いて白目を剥いている。
「……ふぅ、静かになったわね。それじゃあ行きましょうか。」
「あ、それは良いんだけど……。アコちゃんも引きずってくのか?そのまま?」
「このまま放置して後から独断で何か騒ぎを起こされても困るもの。向こうでニロと接触させて、本人に彼女を納得させる方が後々のことを考えると楽よ。」
「な、なるほど……。」
「はぁ……とりあえず、この銃は私が持っていきますね。確かその麦焼さんにお渡しするのですよね?」
「えぇ、悪いわね。」
ヒナはズルズルとアコを引きずりながら部屋を出ていく。
それについて行くイオリと機関銃を背負うチナツ。
「……はっ!?私は何を……そうだ!委員長を止めなければ!?」
「思ったより起きるのが早かったわね……。」
ヒナがすぐに目覚めたアコを見て面倒そうにしながら再び気絶させようとする。
しかし。
ドタドタドタドタ!!!
「?おい!廊下は走るn「うるせぇ!早く行かないと売り切れるだろうが!?」おわぁっ!?」
4人の風紀委員に脇目も振らず、次々と廊下を走り抜けていく生徒たち。
「な、なんなんだ?」
「これは……今日の給食は予想より遥かに人気なようですね。」
「……登校してる生徒の殆どが、食堂に向かってる……?」
3人が廊下の向こうを見ると、既に食堂に向かう通路には長蛇の列が出来ており、とてもではないが今から並んでもすぐには入れなそうである。
さらに。
「おい!お前今割り込んだだろ!」
「うるせぇ!元々私がカバン置いて列取りしてたんだよ!」
「ふざけんなよ!そんなのルール違反だ!」
「ゲヘナはルール無用だろうが!」
列に並んでいた生徒たちが喧嘩を始めてしまう。
「…はぁ、流石に鎮圧しないとよね。」
「昼休みだってのに勘弁してくれよ……。」
「仕方ありませんよイオリ。」
3人は速やかに不良生徒の鎮圧に移る。
しかし間の悪いことに……。
「……はっ!ここはどこ、私はアコ!!」
アコも目覚めてしまう。
「うわ、起きてる……。」
「うわとはなんです委員長!……って、ここは食堂前!?いけません委員長、給食なんて食べては!!」
「あぁ!?おいお前!列に割り込んでんじゃないぞ!」
「うるさいですね!今私は委員長に話しかけているのです!」
「なんだテメェ!変な制服しやがって!」
「私の制服がどうしたですって!?」
アコも逆上し不良たちの喧嘩に割り込んでしまう。
「あ、ちょっとアコちゃん!これ以上騒ぎを大きくしたら……!」
「お、なんだ喧嘩か?やれやれ!」
イオリの制止も虚しく、野次馬の挑発により現場の熱はさらに増す。
「来いよ横乳!銃なんて捨ててかかってこい!」
「貴方なんざ怖かありません!野郎
アコと不良が殴り合い、さらに元々並んでいた生徒たちも喧嘩を始め、そこに巻き込まれる風紀委員たち。
「うわぁぁぁ!!どうすんだ委員長ぉぉ!!!」
「イオリ、銃は撃ってはいけません!すぐ隣で給食部が営業中です!」
「……もう全部めちゃくちゃにしちゃダメ?」
「どうか抑えてください委員長!!」
数百人、数千人の列の中で喧嘩に巻き込まれもみくちゃにされること1時間弱。
生徒たちが昼食を追えたり逃げ出したりしていなくなる頃には既に時刻は13:00を過ぎていた。
「……ということがあったのよ。」
「……なんというか……。」
「災難ですね。」
「全くだ。」
げっそりとするヒナとイオリ、チナツの姿に同情する3人。
「まぁ、そういう事なら全然構わないわ。ニロの銃の事もあるし、この後は万魔殿に色々と手続きの事で呼ばれるまでは手が空いてたから。丁度私達もお昼を食べるところだったの。残りのカレーで良ければ一緒に食べる?」
フウカが提案する。
「悪いわね。それじゃあお言葉に甘えて。」
「へへっ、カツカレー、カツカレー♪」
「イオリ、ヨダレが垂れてますよ。」
フウカの提案を喜んで受け入れる3人。
「それじゃあ私、追加のトンカツ揚げてきます!」
「悪いわねニロ。それじゃあお願い。」
「私はカレーを温めますね♪」
ニロとジュリも数人分のカレーの準備を始める。
風紀委員会と給食部のささやかな食事会が始まろうとしていた。
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「待たないわ。」
ズゴンッ!
「ミツヤッ!!?」
待ったをかけるアコに容赦なくゲンコツをぶち込むヒナ。
しかしアコは気絶しなかった。
「痛い!!痛いです委員長!!!」
「チッ、耐えたのね……。」
「チッてなんですかチッて!!」
アコは頭を抑えて涙目になりながら抗議する。
「はぁ……で、何が不満なの。ようやく一息ついてご飯を食べれそうだって言うのに。」
ヒナはジト目をアコに向ける。
「不満も何も本部で申し上げた通りです!!我らがヒナ委員長に得体の知れない生徒が作った料理やら、添加物まみれの既製品など食べさせる訳には行きません!!」
「……あのぉ、もしかして得体の知れない生徒って私です?」
アコの叫びに反応するニロ。
「えぇ、その通りですよ麦焼ニロ!貴方の悪評は聞いています!往来で堂々と触手プレイを敢行する頭のおかしい変態だと!!勝手にプレイにふけるならいざ知らず、委員長が興味を示した以上黙って見てはいられません!」
(往来で堂々と横乳をはみ出してる人に言われたくないなぁ……。)
「何か言いました?」
「
「こほん……ふむ……噂通りのおぞましい触手……ですがスタイルは悪くないですね……紫色の髪に緑のエンドカラーも映えている……。」
「えっと、褒められてる……?というかこれ地毛なんですけど……。」
「なるほどぉ……?いいカラダしてるじゃないですか……でもですね……。」
「……うが……いです……。」
「え、何て言いました?」
「私の方が、おっぱい大きいです!!!!」
「いや泉〇水!?」
突然ニロのスタイルに対抗しだすアコ。
確かにデカくはあるが。
「あら、聞き捨てなりませんね。」
「ママ?」
「突然うちの子に何を言い出すのかと思えば、おっぱいが大きいですって?全く……。」
「うちの子の真のチャームポイントはお尻と太ももですよ♡」
「ママ!?」
ジュリの天然ボケに白目を剥くニロ。
「それに、添加物まみれの既製品というのも心外です!確かに今までは人手不足で冷凍食品を使わざるを得ませんでしたが、これからはちゃんと手作りの栄養バランスの良い献立を作って見せます!」
「前までの発言はともかく、そこはジュリに同意するわ。私が給食部に入ったのは美味しくて身体にいい料理を皆に食べて欲しいから。行政官がそこまで言うなら、納得いく料理を作ってあげようじゃない。」
ジュリの宣言に料理人としてのプライドが刺激されたフウカ。
アコに指摘された汚名を返上すべく、続けて宣言する。
「ほう?それならば私から試練を出しましょう!これをクリアできれば我らが委員長に今後も料理を振る舞う権利を差し上げます!」
「あの、私たち普通にご飯食べに来ただけなんだけど。」
「はぁ……本当にこの行政官は……。」
「その、フウカ?真に受けなくていいのよ?」
アコが一人で勝手に話を進める中、他の3人の風紀委員はまともに取り合わなくていいと給食部に進言する。
「ふふっ、いいのよ委員長。どの道ちゃんとあなた達の分も美味しい料理を作ってあげるつもりだから。それに、まだ会って2日目だけど、もうニロの事は仲間の部員として受け入れてるからさ。誤解されたままなのは、私だって嫌だから。」
「その通りです!私たちが力を合わせれば、どんな頑固なお客さんだって美味しいって言わせられるはずですから♪」
「えへへ、なんか照れくさいなぁ……よぉし、ママ、パパ!私も頑張るから!」
「……そう。ふふ、やっぱり貴方たち、仲が良いのね。」
アコからの試練を受けて立つと宣言する3人に、微笑むヒナ。
こうして給食部たちは万魔殿に続いて風紀委員会(実質アコ単独)からの挑戦を受けることとなるのだった。
3人が気合いを入れる中、アコが挑戦内容を発表する。
「ズバリ……『4種のカレー』チャレンジです!!」
[給食部のウワサ vol.2]
今回給食部に訪れたゲヘナ風紀委員会の委員長、空崎ヒナ。
彼女が使っている銃『終幕:デストロイヤー』は本来単発射撃が出来ないフルオートの機関銃なのだが、どういう訳か彼女は社交パーティ用のドレスを着てこの銃を使うと単発射撃が可能になる上、その弾丸は下手な対物ライフルよりも高火力になるらしいぞ!
「これがキヴォトスの神秘ってやつなのかな?」
「実は私のショットガンにもライフルの銃身が付いてるんですよ!3つ銃口があって、2つは散弾、真ん中の1つからはライフル弾が撃てるんです!凄いでしょう♪」
「へぇ、私もそれは知らなかったわ……。そういえば委員長が単発であの銃を撃つ時に何か英単語っぽいことを言ってるけど、あれはなんて言ってるのかしら?」
「
「へぇ〜……って、委員長!?」
「あれ、このコーナーって私たちだけでやるんじゃないの!?」
「……少し出しゃばりすぎたかしら?」
「いやいや、そんな事ないですよ♪」
「そう?ならいいのだけれど……。」
「せっかくだし、次回予告までしてみたら?」
「い、いいのかしら。それじゃあ……コホン。次回[ゲヘナ食堂いらっしゃいませ!]『Folge 4 2品目【4種のカレー】』。お楽しみに。」
「「「また見てね〜!(見てくださいね〜♪)(見てちょうだい。)」」」
「ちょっとぉ!私の出番は無いんですか!?」
「出しゃばるなよアコちゃん、今回は委員長が主役なんだから。」
「はぁ……。先が思いやられます。」