ブルーアーカイブ ゲヘナ食堂いらっしゃいませ! 〜人型パンちゃんに転生した私、ゲヘナ給食部でパンちゃんたちを従えて無双…?〜 作:Di Gi O
無事風紀委員会の4人が指定するリクエスト通りのカレーを完成させた給食部。
7人揃って実食し、その美味しさに舌鼓を打つ。
アコも新生給食部の腕を認め、晴れてニロは給食部の一員として風紀委員会(というよりアコ個人)に多少認められた。
そして用が済んだ風紀委員を見送った直後に万魔殿に呼び出されたニロ。
イロハより先日約束していた入学にあたる必要品の受け渡しと最低限の説明を受け、こちらはすぐに用が済む。
その後は新生活に必要な物を給食部の2人に手伝ってもらいつつ揃え、自室でこの2日間を振り返りながら眠りにつくのだった。
一方その夜、ゲヘナのとある飲食店が何者かに襲われており……?
ニロがキヴォトスに現れて3日目、給食部。
給食部の3人は今日のお昼営業の為の仕込みをしていた。
しかし、どこかずっと様子のおかしい人物が一人。
「……あの、朝からずっと言おうか迷ってたけど……ニロ、何かあった?」
痺れを切らしたフウカがニロに話しかける。
「フウカ先輩、そっとしておいてあげてください。人間の成長過程において避けては通れない問題に直面したのです。ましてや子供がもっとも隠したがるもののひとつですから……。」
「……シテ……コロシテ……」
「いや淡々と触手で仕事進めながら落ち込まれてると凄い気になるのよ……何があったの……?」
「おぉよしよしニロちゃん……大丈夫です、恥ずかしくないですよ。生後3日なんですから仕方ないです。」
「うぅ……ジュリママ……。」
ぎゅっとニロを後ろから抱きしめるジュリと、おろろんと涙目で巻かれた手を握り返すニロ。
そんな2人をフウカは料理を続けながらため息混じりに見ていた。
「……いや、別に無理には聞かないけど……。」
「ぐすっ……いえ、話します……昨日、私たちカレー食べたじゃないですか?」
「え?あぁ、そうね。献立もカレーだったし、風紀委員の人達にもカレー作って食べたし……。」
「その時私、パンちゃんが産まれそうな感覚があったけど、産まずにストックしてたじゃないですか?それって好きなタイミングで出せるのかな〜とか特に考えずに放置してたんですよ。」
「う、うーん?その辺は私はあんまりちゃんと理解してないけど……それで?」
「昨日私、疲れてたから結構早めに寝ちゃいまして。寝てる時は意識的に身体を動かせないじゃないですか?それで今朝起きた時……。」
「気づかないうちにカレーのパンちゃん産んじゃってて、ベッドが茶色いモノ塗れになって……。」
「あぁ……。」
いつもの顔( 눈_눈)で全てを察したフウカ。
少なくとも表向きは15歳の高校生として振舞っている少女が起きたら自分のベッドが茶色くなっていればそうもなろう。
「それで私も隣からものすごい声が聞こえたので慌ててニロちゃんの部屋に駆けつけたら、その現場を目撃しちゃって、最初は本当におもらししちゃったのかと思って凄く言葉を選んで慰めて、その後説明されてやっとおもらしじゃないって分かって……。」
「それでそんな恥ずかしそうというか悲しそうな態度を……。」
「うぅ、辛い……実際におもらしじゃないと自分でも分かってても、朝起きたら自分のベッドが茶色くなっててそれを知り合いに見られて一度は慰められたのが物凄く辛い……。」
「さすがにちょっといたたまれないわね……。」
両手で顔を覆いながらも、触手でひたすら大根をおろすニロ。
決して仕事の手を止めていない以上、フウカとしては責める理由はない。
しかしいかんせんいたたまれないものである。
「ほ、ほらニロちゃん!大丈夫です!パンちゃんが漏れちゃったのはお漏らしとは多分別カウントになりますし、ベッドが物凄くターメリック臭くなっただけで汚くはありませんから!」
「寝床からスパイス臭漂ってるのは汚いとか関係なく嫌じゃない?」
「……それはそうですけど!」
「はいはい、ほらニロ、また洗濯も手伝ってあげるから。」
ジュリがわたわたと不器用なフォローをする中、見かねたフウカに慰められるニロ。
「うぅ、ありがとうございます……。とりあえず、今は給食作りに集中しないと……。」
ニロは持ち直し、両手と触手も合わせて計3分担で大根をひたすらすりおろしていく。
木曜日、今日の日替わり定食は焼き魚定食。
焼き魚に添える大根おろしは数百キロ単位で必要なのだ。
「ふふ、元気になって良かったです♪それじゃあ私は鰆を捌いていきますね!」
「頼むわ、ジュリ。私はお味噌汁の準備をするわね。」
「はーい!」
そのままスムーズにいつも通りの給食の仕込みに戻っていく一行。
このまま今日も慌ただしく営業し、終わっていくはずだった1日。
しかし、いつも通りの日常を崩しにかかるように、異音が聞こえてきた。
『……い……。』
「〜♪」
「大根おろし、これくらいあれば足りますかね?」
「そうね、また足りなくなったら頼むから、次はお味噌汁の豆腐のカットをお願い。」
「分かりました!」
3人の誰も、異音に気づかない。
『…して…い……。』
「……?ねぇニロ、何か言った?」
「?いえ、何も……。」
「んぅ?どうしたんですか?」
フウカが何か聞こえたかと尋ねるが、ニロもジュリも未だ気づかない。
『んぶ……くちゃ……たい〜……♪』
「誰か歌ってる……?校内放送の音楽じゃないし、音楽関係の部活でもないみたいだし……。」
「私も今聞こえました!ですが、一体誰の声でしょう?」
「うーん、なんか聞いたことあるような……。こっちから聞こえますね?」
ようやく全員がその歌声に気づくが、未だ誰の声なのかに気づかない。
とりあえず厨房から出て声が近い食堂へ向かう。
『何もかも消し去りたい♪』
「……ねぇ、待って。この声……。」
「……私も今気づきました……。」
「え?フウカ先輩?ジュリママ?誰かわかったの?」
フウカは一気に青ざめ、ジュリは笑顔のまま汗ばむ。
1人だけ未だに誰の声か分かっていないニロ。
『貴方のその〜♪』
……ブロロロ……!
「嘘でしょ……最近うちに来てなかったのに!なんでこのタイミングで!?」
「ま、またなんですか!?」
「まって私も今気づいた、この声!」
『胸〜♪の〜♪』
ブロロロロッ!!
「ニロッ!ジュリッ!伏せてっ!」
『なあぁぁぁかぁああぁぁぁ♪』
ドゴオオォォオオォォンッッ!!!!
「「「きゃあぁあぁあああぁぁぁぁあっ!?」」」
フウカが2人に叫んで伏せた途端、外壁がとてつもない轟音を立てながら弾け飛んで崩れ、そこからメシャッと車体が潰れた車両が突っ込んでくる。
幸い誰も轢かれはしなかったものの、車が突っ込んできた部分の壁やガラスは全て崩れて瓦礫まみれになってしまった。
「ゲホッ、ゴホッ……2人とも、無事?」
「けほんっ……私は無事ですぅ……。」
「ぺっ!ぺっ!口に瓦礫入った!」
伏せの状態から立ち上がる給食部の3人。
食堂は瓦礫や砂埃でめちゃくちゃであり、もはやまともに運営できる状態では無い。
幸いにも厨房側の被害は無いようだが、それでも少なくとも食堂が直るまで給食部の活動はできないだろう。
「ひ、ひどい……。」
「折角今日の分の給食を作ってたのに……。」
「こんなことをするのはアイツらしかいないわ……!ちょっと!中にいるんでしょっ、出てきなさいッ!」
ニロとジュリが半壊した食堂を見て呆然とするなか、フウカは怒り心頭の様子でペシャンコになった車体をバンバンと叩く。
「あれ?開かないんだけど!」
「これだけ車体がへこんではドアも開かなくなって当然というものですわね。」
「折角インパクトのある登場でしたのに、急ブレーキですね☆」
「私に任せて!えぇいっ!」
メキャンッ!!
するとドアが中から無理やり蹴破られる。
「うわっ!?」
大きな音に驚きのけぞるフウカ。
そして開いたドアからぞろぞろと出てきたのは4人の少女だった。
「こんにちは、美食の悪魔ですわ♪」
「またアンタたちなのね……美食研究会!」
美食研究会。悪名高いゲヘナの2大テロリストの片割れ。
その活動範囲はゲヘナに留まらず、キヴォトスのありとあらゆる場所に現れては気に入らない飲食店を爆破し、高級食材を盗み出し、その度に風紀委員会に捕縛されている。
所属する生徒の4人の実力も高く、風紀委員会相手でもヒナが出てこなければ高確率で逃げられるほど。
そんなトラブルメーカーが、ついに新生給食部へとやってきてしまった。
「ほ、本物の美食研究会……うわ、アカリとイズミおっぱいでか……。」
「うふふ、お久しぶりですわねフウカさん♪以前ご一緒したのはまだ治安が悪くなる前でしたね♪」
「お久しぶりですわね♪じゃないわ!!最近ずっとうちに来なかったからようやく私のことを諦めたのかと安心してたのに!よりによって新入生が入ってきて営業も回り出したこのタイミングでなんで襲撃してくるのよぉぉ!?」
頭を両手で抑えながら泣き叫ぶフウカ。
計り知れないほどのトラウマがあるのだろう。
「えへへ、お邪魔します!」
「土足で失礼しますね♪」
「うわ、車めちゃくちゃじゃない…これ給食部の車なのにいいの…?」
「待って!?この車うちの!?せっかく部費を半年くらい節約してつい先月買ったのに!?」
悪びれることなくハルナに続いて話し出す美食研究会の面々。
「ニロちゃん、私の後ろに!あの人たちは美食研究会、いつも突然うちに突撃してきてはフウカ先輩を攫って無理やり料理を作らせる悪〜い人達です!」
「あ、うん。よく知ってるよ。…万魔殿と風紀委員の次に美食研究会かぁ、凄いペースで会うなぁ…。」
ジュリはすかさず愛するニロを自分の後ろへ隠す。
しかし、当然ながらそれを見逃す彼女らではない。
「まぁまぁフウカさん、安心してくださいな。本日はフウカさんを目当てに伺った訳ではないのですよ。」
「アポも取らずに他所の車盗んで壁を破壊しながら来るのは伺うじゃなくて襲撃って言うのよ。」
「まぁまぁそうカリカリせず☆」
「貴方〇すわよ!?」
「え、〇すわよ!?」
「フウカ先輩があんなキレてるの、初めて見ました。」
「普通キレて当然ではあるから…。」
いつもの調子でフォローしたらいきなりキレられて驚愕するアカリ。
実際の所普段のフウカが優しすぎるというか、もう抵抗を諦めているだけなのだろう。
「はぁぁぁ…で、今日は何の用?また特殊調理食材でも持ってきたの?」
「え、キヴォトスって特殊調理食材あるの…?」
「うふふ、残念ながら今の我々は美食強化週間の活動に勤しんでおりまして、フウカさんに直々に調理を頼むような食材の持ち合わせはないのですよ。」*1
「美食強化週間って何…?」
「はぁ?それなら一体何の用よ?」
「えへへっ、用があるのはね、フウカじゃなくて後ろの子だよ〜!」
もったいぶるハルナの代わりにイズミが元気よく指を指す。
「…へ、私?」
素っ頓狂な声を上げるニロ。
どうやらまたしても面倒事に巻き込まれるようだ。
「に、ニロに?」
「ニロちゃんが目当てなんですか!?」
予想外の答えに驚く給食部の2人。
「そうよ、アンタこの2日でゲヘナじゃすごい有名人になってるの、まさか知らなかったの?」
呆れた様子で言葉を続けるジュンコ。
「え、何?私ってそんな人気者なの?いやぁ困っちゃうなぁ…w」
「いやそういうんじゃ無いわよ。ほら。」
「んん?」
自意識過剰な反応に重ねて呆れながら、ジュンコがスマホの画面をニロに見せる。
給食部の3人が覗き込むと…。
『給食部 異例の大繁盛 謎の新入部員の正体は』
『ゲヘナ商業地区にて謎のテロ 犯人は催眠、催涙ガスを使用か』
『ゲヘナ自治区で謎の生物の目撃情報多数 給食部の触手少女との関連性は』
「めっちゃ悪目立ちしてるゥウウゥゥゥ!?」
ネットニュースの内容に腰を抜かすニロ。
この世界に来て早2日、考えうる限り最悪の悪目立ちである。
「ちょ、ちょっと待って!?確かチアキには取材や新聞のネタにするのはやめてって全部断ったはずよね!?なんでこんな記事が出回ってるのよ!?出版社は!?この記事を出したアカウントの大元はどこ!?」
フウカが違和感に気づき、指摘する。
いくら有象無象の人間が自由に書き込めるSNSとはいえ、はっきりと姿の写った写真などまで投稿しているのはいささか手が込みすぎているというもの。
急いでジュンコのスマホに写った記事を下までスクロールすると…
『クロノススクール公式アカウント』
「クロノスかァっ…!」
脱力するフウカ。
キヴォトスでも悪名高い広報や放送を専門とした学校、クロノススクール。
今キヴォトスを取り巻いている混乱のどさくさに紛れ、ゲヘナ自治区にも人を派遣してニュースのネタを探らせていたのだろう。
そしてニロは格好の的となった訳である。
「最初はただのフェイクニュースでしょうと大して気にも止めませんでしたわ。しかしこれだけ大きな話題となっている上、目撃者も多数となればただの噂とは切り捨て難い。そして同タイミングで給食部の評判の急激な上昇、利用者の増加…ここまで情報が出揃えば推理できる結論はひとつ…!」
フウカが呆然とするなか、ハルナはビシッとニロに指を指して言葉を続ける。
「貴方がフウカさんを籠絡して給食部を乗っ取った悪人ですね!!麦焼ニロさん!!!」
「いぃや何の話!!?!?!?」
「私は知っています、フウカさんの料理に対する真摯な思い、かける情熱をッ…!フウカさんなら貴方のような明らかに料理に使ってはいけない分泌液を垂れ流した触手付きの生徒を決して給食部に招き入れたりはしないと!つまり!!!」
「そのいかがわしい触手でフウカさんを籠絡したんでしょう!!!メルリー先生の本みたいに!!!!」
「してないが!!?」
「さりげなく私がエッチなことされたら他人を部活に入れる変態扱いにするのやめてくれない!?」
抗議の声を上げるフウカとニロ。
しかし追い打ちをかけてくる3人の美食研究会会員。
「ここ最近ゲヘナの色んな場所で謎の触手がついた生物が目撃されているらしいですが…どう考えても関連性がありますよね☆私たちはお見通しですよ〜?」
「そこは否定できないけども…。」
「えへへ、その紫の触手、もっちりして美味しそうだよね!ねぇねぇ、ちょっと切り取って焼いて食べてみちゃだめ?」
「今物凄いやばいこと言ってる自覚あります!?」
「ちょっと、うちの子を物理的に食べるだなんて許しませんよ!」
「ジュリママ、それだと性的には食べていいって言い方じゃない?」
「うちの子の貞操はあげません!!!」
「スペちゃん!?」
「私は成り行きで来ちゃっただけだったんだけど…その感じだと本当にこのSNSの噂の化け物となんかカンケーあるの…?」
「うーん、まぁ関係ないと言えば嘘になるけど…。」
ジロジロと見てくるジュンコに気まずそうに視線を返しながら指をちょんちょんとつくニロ。
「と、とにかくそれは言いがかりよ!この子はただ、うーん…そう、行き倒れてたのを拾ったのよ!」
「そ、そう!実は私は記憶喪失で、フウカ先輩に拾ってもらってそのお礼に給食部の手伝いをしてるだけです!」
このままだと面倒なことになると察したフウカとニロは咄嗟にデタラメ話をでっち上げる。
全てが嘘という訳でもないし、筋は通っているはずだ。
「本当ですか?この美食の守護者たる私に誓えますか…?」
「何でアンタ正義ヅラしてるのよ!?どう考えても普段のアンタは破壊者でしょうが!?」
「ですがこちらの投稿によると、『給食部のピンク髪の部員が、触手の生徒を自分の娘と呼んでいた』とありますよ?」
「あ、それは不味「はぁい!うちの可愛い可愛いニロちゃんは私の大事な娘ちゃんなんです♡」最悪だ…。」
アカリの指摘に速攻でボロを出すジュリ。
「あらあら、語るに落ちるというやつですね?」
「こうなってはもう言い訳は聞きませんよ〜?」
「くっ…それで何が目的なの!?ニロをどうするつもりよ!?」
詰め寄るハルナとアカリに汗ばみながら目的を聞き出すフウカ。
「わ、私に乱暴する気ですか!?メルリー先生の本みたいに!」
「アンタ結構余裕なの?」
「いや余裕ないから冗談言ってるんですよ、へへっw」
「何笑ってんのよ!?」
ニロも自らを触手で包みながら身を守る姿勢でハルナとアカリを見る。
「別に貴方に性的魅力は毛ほども感じていませんわ。勘違いしないでください。」
「それはそれで腹立つなぁ…。」
「何ですって!?うちのニロちゃんは可愛くてエッチで最高でしょう!?」
「ママ、そこで張り合わなくていいよ。」
「誰の娘がエッチですって!?この変態!!」
「誰も言ってないよ!?」
勝手に暴走するジュリに突っ込むニロ。
「用というのは簡単な話ですわ。私はフウカさんの腕と性格を信頼して、今まで給食部の評判が悪かろうと決して爆破解体などして来ませんでした。」
「誘拐と破壊は結構な頻度でしてるわよね??」
「しかし、しかしっ!今回私も知らないうちにニロさん、貴方という異質な存在が給食部に入り込んでしまっていたっ…由々しき事態ですわ!噂が本当なら、貴方はその明らかに身体に悪影響を及ぼしそうな液体滴る触手を料理にも使っているらしいではありませんか!」
「ま、まぁそうですね、使ってますはい…で、でもちゃんとよく洗ってるし、料理する時はナイロン袋被せて直接食べ物を触らないようにしてますよ!」
「ほぉ、そうですか…ですが、こちらはどう説明されるので?」
弁明するニロにハルナは自分のスマホの画面を見せる。
『なんかキャベツの千切りが動いてて給食部に聞いたら活きのいいキャベツらしいwww』
「い、活きのいいキャベちゃんだぁぁぁぁっ!?」
先日一般客に突っ込まれたが、ジュリの咄嗟の言い訳で事なきを得たキャベちゃん混入。どうやら動画がSNSに投稿されてしまっていたようだ。
「これ、最初はミレニアムで噂ののAI動画の類かと思いましたが…やっぱりニロさんやジュリさんと関係がありますよね…?」
「いいいいいいやいやいや!活きのいいキャベツですが!!?」
「キャベツは植物です!!」
「それはそう!!!!」
態度でボロを出した上完全に論破されてしまったニロ。
こうなってはもう口論では勝てないだろう。
「とにかく、これで貴方がまともな部員の方ではないというのはよく分かりました。私の愛する美食と給食部の為に、貴方のような人を放置しておく訳には行きませんわ。」
「勝手に給食部を貴方の庇護下みたいな扱いにしないで?」
「しかし、貴方が入ってからの給食部自体の評判が上がっているのも事実。美食家たるもの現実として出ている数字を疎かには致しませんわ。」
「私の意志を疎かにしてるわよね?」
「そこで、ニロさん。」
「は、はい…?」
フウカのツッコミを華麗に(?)かわしつつ、フウカはニロにある提案を持ちかける。
「貴方の給食部在籍の可否を賭けて、『料理対決』を申し込みますわ!」
「え、えぇええぇぇぇ!?」
「ジュンコさんが!!」
「…へ?」
「あら、面白そうな戦いですね☆」
「わぁ、ジュンコ頑張れ〜!」
「そういう事で、よろしくお願いしますわジュンコさん♪」
「どういう事よ!?私成り行きで着いてきただけなんだけど!?」
もう既に自分が料理を作らされる流れになっている事に抗議するジュンコ。
「ちょっとハルナ!アンタが言い出しっぺなんだからアンタがやりなさいよ!」
「いやぁ、何せ私は作るより食べる方が好きですし。」
「好き勝手しすぎでしょ!?そ、それならアカリ!」
「私は大量調理専門ですので☆」
「別に分量減らせば良いだけでしょ!」
「あ、それじゃあ私がやろうか?」
「「「イズミ(さん)はダメ。(ですわ。)(です☆)」」」
「さ、3人揃って酷い…。」
「うぅ、私がやるしかないの…?というかなんで料理対決?いつも通りドンパチ撃ち合う方が手っ取り早いじゃない?」
「そんなことをしたらフウカさんの大事な食堂が壊れて給食が食べられなくなるでしょう!?」
「もう半壊してんのよ!!!」
「まぁまぁお二人とも☆何せこの戦いはただの決闘ではなく、ニロさんの料理の腕を見る為のものですから!」
「そういう事です。給食部の一員を名乗るなら、まさか一般生徒のジュンコさんの手作りに劣るものを出すなんて事は有り得ませんよね?」
「さりげなく私の料理の腕馬鹿にするのやめてくれない?バイトとか節約で料理するからアンタたちよりかはマシな自信あるんだけど?」
「さぁ、受けますか?受けませんか?選んでください麦焼ニロさん!」
「「だから私の意思は!?」」
ジュンコとフウカの声を無視してニロに答えを聞くハルナ。
「えぇ…うーん…仮に断ったらどうなります?」
「ニロさんが給食部を辞めるまで毎日フウカさんを攫いに来ます。」
「受けるしかないじゃん!!」
「…あれ?でもフウカ先輩ってニロちゃんが入る前から頻繁に攫われ…「ジュリさん、それを言うのは野暮と言うものですよ☆」…???は、はい…。」
有無を言わせない形で決定されてしまった料理対決。
昨日アコに半ば無理やり料理審査をされたばかりだと言うのに。
「で、でもそもそもどうやって対決するんです?審査員とか基準とか、明らかにそっちの方が有利じゃ…。」
「この黒舘ハルナが!!薄っぺらい勝利のために贔屓や小細工をすると思っているのですかァァーッ!!!」
「いや岸辺〇伴!?ほんでキレすぎでしょ!?」
「ふぅ…失礼しました。しかし安心してください。我々美食研究会は美食に対しては絶対的に真摯であると保証します。故にジュンコさんを贔屓するような採点は決して致しません。」
「そ、そうですか…まぁそれなら良い、のかな…?」
「あー、そいつら本当に食事それ自体には真摯だから信用していいわよ。そこだけは。」
「あ、そうですか?それならそれで大丈夫です。」
フウカの呆れ顔をしながらの言葉に頷くニロ。
腐れ縁である故に、その性格は知りたくなくとも知ってしまっているらしい。
「えっと、それじゃあ私たちは一体何を作ってお出しすれば…?」
「ふふ、よくぞ聞いてくれました!それでは発表するとしましょう。今回の料理対決のお題は!」
「ズバリ『和菓子』です!」
「…和菓子…?」
同時に首を傾げるニロとジュンコ。
何故和菓子をチョイスしたのだろうか。
「ふふっ、チョイスの理由を聞きたくてたまらないという顔ですわね?」
「あ、いや別n「もちろん解説して差し上げましょう!」話聞かないなこの人!」
「和菓子、それは主に百鬼夜行自治区で主流となっている風流なお菓子!様々な種類がありますが、どの和菓子にも共通しているのは雅さと繊細さ!洋菓子とはまた違う方向性の調理の難しさはあなたの腕前を測るのに丁度いい指標と言うわけです!」
「うーん、まぁ筋は通ってるかなぁ…?」
「うふふ、楽しみですねぇ?羊羹、大福、生八ツ橋…♡」
「和菓子にはどんなソースが会うかな!焼きそばソース?ウスターソース?」
「…美食研究会の方々が今和菓子が食べたいだけなのでは…?」
「ほっときなさいジュリ、こうなったらもう何言っても無駄よ…。」
薄々真意に勘づき始めたジュリとツッコミを入れる気も失せた様子のフウカ。
「勝敗の決定は私、アカリさん、イズミさんの3人が審査員を務めた上での多数決!3人中2人以上が指名した方の勝ちとなります!制限時間は余裕をもって3時間としますが、両名の和菓子が完成したなら制限時間より早くとも終了とします!何か質問は?」
「…。」
「おや、どうされましたかフウカさん?」
「…料理対決はもうこの際なんでもいいんだけど。ここまで滅茶苦茶したんだからニロが勝った時にこっちの言うことを聞いてもらうくらいはしていいわよね?」
「おや、何かして欲しいことでもあるのですか?もちろん構いませんとも。美食研究会の一員として、こちらから挑んだ勝負に負けたならば潔くどんなお願いでもお聞きいたしますわ!」
「ん?今なんでもするって…。」
「ニロちゃん、しーですよ。」
「ふぅん、何でもね…?良いわ、聞きたいことはそれだけ。さぁニロ、頼んだわよ!とびきりの和菓子作ってあのバカのプライドをズタズタにしてやって!」
「え、あ、は、はい!頑張ります!…和菓子って、そんな簡単に作れるのかな…。」
「さぁジュンコさん、出番ですよ!美食研究会のアルバイター筆頭の料理の腕前を見せてください!」
「さっきあなたたちより出来るって言ったけど、実際簡単な調理バイトくらいしかした事ないんだけど!?和菓子って何作ればいいのよーっ!」
お互いの仲間から激励と共に送り出されたニロとジュンコ。
「和菓子作り対決、スタートです!」
[給食部のウワサ vol.4]
原作でも度々フウカを誘拐して変な食材を調理させようとしていた美食研究会。
フウカ曰く1番ヤバかった食材はフカヒレだったそうだぞ!
「相場サメのヒレだけ持ってくるでしょ!?なんでサメ丸ごと捌くとこからやらせるのよ!?解体してる時のアンモニア臭で昼ごはん全部吐くかと思ったわ!!」
「…サメ、捌けるんですね…。」
「いや、私まだ納得してないんだけど!なんで私が和菓子作らなきゃいけないの!?」
「まぁまぁジュンコさん☆そんな大声を出していたら疲れちゃいますよ?」
「大抵いつもあんたたちのせいで疲れてるのよ!」
「えへへ、ジュンコは何作るのかな?最近マイブームのチリソースが合う和菓子だといいなぁ!」
「そんな和菓子はない!!!」
「ほらほら皆さん、今回は我々美食研究会が次回予告担当なのですから。ただでさえ投稿期間が空いていたのにこれ以上お待たせしてはいけませんよ。」
「それは作者が悪いんじゃない!」
「うふふ、それでは次回。[ゲヘナ食堂いらっしゃいませ!]『Folge 7 3品目 【どら焼きと練り切り】』。読んでくださらないと貴方を食材にしますわよ?」
「いや怖!?というか作る料理ネタバレしてるじゃない!」
「また見てくださいね〜☆」
「ばいば〜い!」