「う……うぅん」
あぁもう朝か。あ〜学校行きたくな〜い。めんどくさ〜い!どっかのゴリラみたいにチーズ蒸しパンになりたい!
俺は
なぜかというと、ここが俺の部屋じゃないからだ。
周囲を見渡すと綺麗な海と砂浜、そして木や植物が生い茂っている自然が広がっていた。
……マジでここどこだよ。
ていうかこんな綺麗な海東京にあるのか?俺の脳内に誘拐や何かの番組の企画などさまざまな可能性がよぎるが全てに決定的な根拠が見つからない
……うん、考えてもわかんね。分からんことは考えないのが吉だ
ひとまず海沿いに歩いてみることにした
あれ?俺こんなに背高かったっけ?それになんか髪も長いし。ウィッグか?
「お〜い!!誰かいませんか!!ここどこですか!!さっきから頭使ってるせいで俺の頭はパンク寸前ですよ〜!ついでに俺の股間もパンク寸前ですよ〜!!ちょっと!!奥さ〜ん!!」
……ダメだ返事がない。いや、これは聞こえてても無視するかもな。だって側から見なくても不審者だもん。様子のおかしいフツメンとかどこに需要があるんだって話だし
そのまましばらく歩いているとどこからか声が聞こえた
「あっ松陽じゃん!!いや〜びびった〜!!事故って変な時代に飛んじゃったかと思ったよ〜!!」
「ん?」
若い女性の声が聞こえる。聞こえるけど姿が見えない。もしや貴方の脳内に直接語りかけてる的なやつだろうか。……てか松陽てだれ?
「ちょっと!!ここだよここ!!下!!」
「下だぁ〜?」
俺は試しに下を向いてみるが、ダメだ。下を向いてもあるのは大地とウミウシしか見えない。やっぱり幻聴かな?思えば最近忙しかったし。となると、これも夢か何かか……
そんなことを考えているとまた立て続けに声が聞こえた
「ちょっと無視しないでよ!ほら、私私!!」
「俺俺詐欺の私バージョンですかい?悪いけど俺はそんなのに引っかからな……いま、しゃべった?」
「そりゃしゃべるよ!!人間だもん!」
おっとおかしい。今目の前のウミウシが喋った気がしたがまあ気のせいだろう。……いや、なんだこいつ怖っ
「は、はは〜ん分かったぞ!!これはアレだ!ロボットかなんかで遠くから声だけ送っている!違うか!?」
「違うよ」
「違うんだ」
じゃあなんだ。このウミウシが本当に喋ったとでも言うのか。そんな馬鹿な話があってたまるか。本当だったら今すぐにでも腰抜かして這いながら逃げるわ
「だから私!!かぐやだよ!!」
「かぐや〜?なんだ、じゃあお前は月から来たってか?うさぎの国のお姫様ってか?お生憎様だが俺が知ってるのはネズミの国の王様しか知らなくてな。イタズラも程々にしろよガキンチョ」
「だぁ〜もう!!だからかぐやは人間だって!!」
「ふっ」
「鼻で笑われた!?」
さぁどうしたもんか。今のところここは日本っぽいが、この未知の世界で出会ったのはこのかぐや(笑)だけ
「ねぇ松陽。今って何年の何月何日?」
「あぁ?2026年の九月23日だコノヤロー」
「ふぅむ。まぁちょっと早いけどいっか。……て言うか今ならちっちゃい時の彩葉が見れるのでは?いや〜事故ったのもプラスに変えちゃうかぐやちゃん天っ才!!」
何やらキャッキャっと一人?で騒いでいるウミウシを横目に俺は歩き出した
「あっちょっと待ってよ!!」
「なんだ、ついてくんな。塩焼きにして食うぞ」
「ひぇっかぐや美味しくないよ〜!って違う!ねぇどこ行くの?」
「家に帰るんだよ。明日も学校だし」
「帰るったってここがどこか分かってるの?」
「……」
こいつ、俺に負けず劣らずバカそうなくせに痛いところをついてきよって。と言うかマジであるけどあるけど自然しかないな。縄文時代かっての!
ていうかこの髪の毛邪魔だな。ウィッグかと思ったけど取れないし、何がどうなってるんだ。ひとまず鏡かなんか見てみたい
そんなことを思っていると道中に小さな水たまりがあったったので覗いてみることにした。するとそこに映ったのは
「は?」
そこに映ったのは亜麻色の髪を肩まで伸ばし、中性的な顔立ちをした20代前半だと予想される美丈夫だった
「なんだよ…これ……誰だよ」
「誰って松陽は松陽だよ?」
誰だこいつは?いや、違う。俺はこれを知っている、俺が大好きだった漫画のキャラクターに瓜二つだ
そのキャラの名前は
「吉田…松陽…?」
そう、それは銀魂のラスボス虚であり、坂田銀時達の師匠である吉田松陽の姿だった
「いや、違う。これも何かの間違いだ。これは夢か何かだ、なぁそうだろ、?」
「松陽、大丈夫?夢じゃないよ!ほら痛いでしょ?」
かぐやが俺の肩に乗って頬をつねると痛みが走った。
現実、?
ならば次の可能性は
「……くっ!!」
「あっちょっと!!急に走らないでよ!!」
かぐやが肩から何か話しかけてくるが何も聞こえない。これは何かのドッキリだ。こんなのがあるはずがない
俺は全速力で野原を駆けるが自身の体ではないようにスピードが出た。それがさらに俺の頭によぎる可能性に拍車を駆けるが考えないようにする
「誰か!!誰か!!っ!?」
そうして走り続けていると人の造ったであろう建造物が見えてきた。よかった!!これで帰れる!!そう思っていた
だが
「なんだよ…これ」
そこにあったのは現代にはもう存在しない藁でできた屋根の家。周囲を見渡せる高見やぐら、そして人々の着ている服は糸ではなく、革などから作られた簡単なもの。
こんなの、こんなのまるで……
「縄文、時代……?」
「ねぇ松陽!あれ何?かぐや初めて見た!!」
「俺が、知りてぇよ……」
いや、違う。そうだこれはドッキリなんだ。ならこれも何かのセットだ。きっとそうに違いない。そうに決まってる
そう思ってその村に近づいていった
すると
「あえ?」
「っ!?松陽!!」
なんだ、胸が熱い。いや、違う。痛い、刺された?違う、弓で撃たれた。なんで?近づいたから?痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
「松陽やめて!!かぐやを、置いていかないで……っ!」
かぐやが俺に駆け寄って小さい目からポロポロと涙をたがしている。その涙が温かい。
この痛みで理解した。これは現実だ、そしてドッキリなんかじゃない。
俺は、ここで死ぬのか?あっけない最後だったな……
かぐやは出会ったばっかのはずの俺のために泣いてくれるのか。こいつには申し訳ないな。次があるならもう少し人の話を聞くようにしよう
そんなことを思って最後の時を待っていると胸の熱さが冷めていった。そして傷があった場所を見てみるとその全てが綺麗にふさがっていた
「松、陽?大丈夫なの!?動いちゃダメだよ!!立たないで!!」
「あぁ?あぁそうか。そういうことか」
そうか。俺は吉田松陽もとい虚になったんだ。思えば不老不死だったな。姿だけじゃないならそりゃこんなんで死なないよな。
「おい、お前ら」
村の人間達はあの致命傷から一瞬で回復した俺のことを自身に害をなす物の怪か、はたまた利を与える神か、測りかねて怯えているようだ
ならば俺がすべきは
「俺に、従え。猿ども」
その一言と共に言葉は通じないが言わんとすることは伝わったようで村人達が俺の前に跪いた。俺はこの村の神になったのだ
「ねぇ松陽。様子がおかしいよ?どうしたの?」
「んあ?あぁそうだな。今俺は頭が冴えてんだ。これが本当の賢者タイムってか?ハハハハハッ!!……さて、お前かぐやっていったか?」
「え?うん。かぐやはかぐやだよ!!」
「そうか、なら、お前とは長い付き合いになりそうだ。よろしくな」
「う、うん。よろしく!!」
こうしてから俺とかぐやの長い。長い旅が始まった
松陽は死にかけたことでどっかの五条さんみたいにハイになっています。いつもはこんなテンションではありません