「彩葉ノートで赤点回避記念〜」
「「ご査収くださ〜い」」
「あ、ありがと」
今、彩葉は綾紬芦花と諫山真実に連れられてカフェにいる。そして目の前にはパンケーキがある。それに加えてこの流れ的にこれは奢りである
彩葉は松陽達に店の商品を持って帰っていいと言われているが本人が本当に最小限しか持って帰らない上に嗜好品は絶対に受け取らない為これは久しぶりの甘味である
そして目の前のパンケーキにフォークを伸ばしたその時
「すいませ〜ん、注文の品で〜す」
「え?いや……頼んでないと思うんですけど」
彩葉達のテーブルに大きな箱が乗った荷台が届いた。もうすでに卓には全員分のパンケーキが並んでおり追加注文もしていない。
それに加えて店員は黒マスクに黒メガネ、その上帽子までしているという完全な不審者である
故に、彩葉が警戒していた
その時
バンッッ
「はい!オッパッピー!!」
「は………?」
突然箱が勢いよく開いたと思ったら何ということでしょう、なんと中からは月から来た宇宙人が出てきたではありませんか
やりましたね。これをNASAにでも売れば一攫千金間違いありません
しかし、このあまりの光景に彩葉の意識が刈り取られる
「あむっ……!?うまーー!!何これ!?」
「へー可愛い〜!彩葉の友達?」
「彩葉の服着てる〜」
「パンケーキ好き?これもどうぞ」
「パンケーキ!!好き!!」
この瞬間にも彩葉の脳内はとんでもない速度で回転していた
なんでここにコイツがいるんだ、何で真美と芦花はこの状況をすんなり受け入れ出るんだ?驚けよ!いやというかあの店員だれ??
自身で生み出したあまりの情報量にセルフ無量空処状態でなっている彩葉だったがそこに爆弾がおちる
「どこから来たの〜?」
いきなりピンチになった。ここで馬鹿正直に月から来たとでも言ってみよう物なら薬をやってると疑われるか政府にでも売り渡されるだろう
ここは何としてでも誤魔化さねば
「月から来たの!!」
何やってんだコイツは!?
なにを自分で自分の首絞めてんのよ!?というか横の黒ずくめの男はさっきから何笑ってんの!酸欠でむせて死にそうになってるじゃん!!
「つ……つつ、築地、そう!築地だよね!私のいとこ!」
いや、流石に苦しいな。こんなんで誤魔化せるわけが……
「築地か〜」
「美味しいお寿司屋さん教えて〜」
誤魔化せた。ありがとう真実、今日はその食欲が役に立った。今はただ君に感謝を!
「お名前なんていうの〜?」
「え〜っと、かぐや…?」
「かぐや?かわよ〜」
「ねっ?かぐや?」
「かぐや?かぐやか〜!!うぇへへ〜!」
「ごめんちょっと帰る!後で埋め合わせするから!」
そう言って彩葉はかぐやの手を引いて玄関に走った。そして扉を抜ける前に振り向いて言った
「先生?帰ったらちょっと話がありますからね」
後の先生もとい松陽曰く、この時の彩葉からはヤチヨに近いものを感じたという
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「何やってんですか!正体バレたらどうすんですか!?というか何で私の居場所わかったんですか!!」
「分かった!分かったから……だからもうギブ!ギブ!」
今彩葉は松陽の首に向けて綺麗なヘッドロックを決めている。そして松陽はギブと言いながら自分の膝を叩いて降参している
「で、先生はただ面白そうという理由で私が学校を出てからストーカー行為をし、その上かぐやをあの場に連れてきたと。そうですね?」
「はい」
「馬鹿じゃないんですか?」
「返す言葉もありません……」
最初のいい歳した大人が女子高校生をストーカーするのでも十分ヤバいのにそこにかぐや放出罪まで加わった
つまり判決、
「ヤチさんも見てないで止めてくださいよ。あなたがいなかったらこの人何しでかすか分からないんで」
「俺のことを何だと思ってるんだ」
「う〜ん、ごみん。でもあまりにも二人がノリノリだったからつい……後普通に面白そうだったし……」
「今何て言いました?」
そんなことを話している時に
「ねぇこれどうやって使うの?」
「私のスマコン?持ってきた?」
「ヤチに買ってもらった!」
「はぁ!?」
かぐやの手に握られているのは見たところ新品のスマコンである。つまり、10万近くするものを買い与えられたのだ
「……ヤチさん?」
「え〜いや〜その〜……、これも必要経費っていうか〜」
「あっそうだ、これ服とか色々買っといたから」
そう言って松陽の手に持たれていた紙袋が三つ差し出された。しかもその全てに溢れんばかりに物が入っている
「な、な……」
「な?」
「何をして欲しいんですか?まさか、からd……」
「違うよ!?」
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「ふぅ、ただいま〜」
「いや〜やっぱり我が家が落ち着きますな〜!」
酒寄さんの金を払わせろチェイスを振り切って店に戻ってきた
いや〜にしても店出る時の酒寄さんの目はマジで怖かったな……なんかトラウマを刺激されるというか何というか
「あっそうだ、ヤチヨ」
「は〜い、何かな何かな〜?」
俺はヤチヨに向けて小さな箱を取り出して差し出す
「……これは?」
「プレゼント」
「っ……!?!?!?」
ヤチヨが何やら信じられないと言った様子で後退りしている
……何だ、おじさんからのプレゼントはいらねぇってか?ていうか俺は年齢的に爺さんか?ならジジイからの物はいらねぇってか?
「……偽物?」
「何がだよ!?」
「だっておかしいじゃん!松陽が私に物渡すなんて数千年ぶりじゃん!しかもこんな素直に渡すなんて……本物の松陽をどこへやったの!?」
「お前は俺を何だと思ってるんだ」
そうやって狼狽えるヤチヨに俺は言葉を続ける
「誕生日」
「……え?」
「お前、かぐやがこっちに来た日が誕生日だったんだろ?なら結構過ぎちまったけど、まぁ、日頃の感謝?みたいな……」
そう言い切った後、ヤチヨは少しぼぅっとした後に手元の箱に視線を向けた
「……開けていい?」
「ああ、その為に買ったからな」
そう言って箱を開けると中には
「イヤリング?」
中に入っていたのは三日月の淡く青い銀色のイヤリングだ
「ねぇ、松陽がつけてよ!」
「はぁ?……やだ」
「え〜何で〜?」
「何でもだ。お前分かってて言ってんだろ。……まぁ、何だ。誕生日おめでとう」
「──うん!ありがとう!一生大切にする!」
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「いらっしゃ〜い。おっ!朝日君、久しぶりだね」
「はい、ご無沙汰してます」
いつものように店を経営してる時、背の高いちょっとタレ目の黒髪イケメンが来た
その正体はツクヨミで大人気ライバー『黒鬼』のリーダーであり酒寄さんの兄である酒寄朝日君だ
「いつものように勝負を挑みに来たのかい?」
「はい、それもありますが一番は彩葉の様子を聞きたくて」
「なるほど、ヤチヨ!ちょっと店頼んだ」
「了〜!」
「朝日君、何か食べるかい?」
「あ〜、じゃあル◯ンドで」
「よしきた!」
そう言って朝日君を奥の生活スペースに上げてからちゃぶ台の上にルマンドとお茶を置いて話す体制に入った
「別に、酒寄さん……あぁ、それだと分かりにくいね。彩葉さんのいる時でも店に来ればいいのに。彼女、きっと喜ぶよ」
「いや〜そうですかね」
酒寄さんがここで働く前までは朝日君はよくこの店に来ていた。しかしそれ以降月に一回来るか来ないか、しかも酒寄さんのいないに来るようになった
その理由は
「本当は俺だって会いたいですよ!久しぶりに生で彩葉を見て声聞きてえですよ!でも勇気が出ないんですよ!」
「う〜ん、このシスコンさえ無ければね……」
さしもの黒鬼のリーダーさんも可愛い妹には勝てないらしい。いつもはあんなに俺様キャラなのに何で妹が絡むとこんなに女々しいのか……
「まぁ、彩葉さんは本当によく働いてますよ。ただ、それが心配になるくらいなのが問題ですが」
「…やっぱりそうですか、あいつは昔からずっと色々抱え込んじゃいますから。出来れば、これからも彩葉を気にかけてやってくれると助かります」
「言われなくとも、私も彼女には幸せになって欲しいですから」
「それは彩葉を狙ってるってことですか?」
「違いますよ?」
「それは彩葉に魅力が無いって言ってるんですか?」
あぁくそ、めんどくせぇこの兄貴!
お互いがお互いのこと大好きなくせに変なとこで拗らせるからこんなことになるんだよ!このブラコン兄妹!!
「……まぁその話は一旦置いといて、今日も勝負をするんでしたか?」
「はい、まだ松陽さんへの勝率2割もいってないんで」
「ふふ、懲りないね」
そう、昔ヤチヨに
そこからゲーム内で粘着され、俺が折れる形でフレンドになり、いつの間にかこうしてちゃぶ台を囲む仲になってしまった
そしてなぜか、本っ当になぜか俺が5連敗した時黒鬼に入るという事になってしまっている
「今日こそはうちに入ってもらいますよ」
「申し訳ありませんが、私はまだ巣を変えるつもりはないのでね。手加減しませんよ」
ヤチヨに贈ったイヤリングは少しチェーンっぽい感じです。イヤリングは独占欲などを表し、そしてチェーンは束縛を意味します。つまり松陽もそういう事です