どーも丑三清志郎です。とりあえず俺が今世紀の神です。 作:かーかーかーいーか
家族構成、父・母・自分。
両親ともに美形だが、容姿は母方の父からの隔世遺伝によりあまり似ていない。
性格は、真面目・マイペース・大雑把。やることはやるタイプだが、怠ける時はとことん怠ける。
欠課時数に余裕のある科目では、遅刻・欠席することもしばしば。
今日も偶々そんな日だった。
「全く…ほらそこっ、たらたら歩くな!予鈴はとっくに鳴っとるだろうが!早く教室に行け!」
「「はーい」」
生徒指導の教師がいつものように、遅刻ギリギリの生徒達に注意する。竜胆もすっかり叱責を受ける常連の内のひとりだ。
「伸ばすな。はい、だ」
「えー」
「せんせはいちいち細かいんだよ」
同じく常連の女子2人組を囮に使い叱責を巧みに回避した竜胆は、そのまま保健室に向かう。
竜胆(ちょっと頭痛が、とかでいっか)
この男、保健室の利用も常連だった。週に1回はお世話になっているレベルである。しかし保健室の先生と親は旧知の仲なので、許されている節がある。
竜胆「失礼し…えー鍵閉まってるマジか。数学面倒だから2限から出るつもりだったのに…んーどうしよ」
ここで竜胆の頭の中には2つの選択肢が浮かんだ。
帰宅 or 出席
竜胆が選んだのは出席だった。
竜胆「『倫理』今日小テストだった…サボったら代わりのレポートが面倒。はぁ…」
〝5〟
【世の中には2種類の高校生しか、いない。】
学校に隕石でも落ちねーかな。そんな物騒なことを考えていた竜胆の視界に珍しいものが映った。
竜胆「昼間に流れ星?こんな明るくても見えるもんなのか………なんか長くね?」
〝4〟
【今日学校に行った者と、そうでない者である。】
流れ星の正体は、塵が宇宙空間より大気圏に超速で突入する時に発生する摩擦熱による発光である。
通常、塵は燃え尽きるまで1秒にも満たない。だから未だ燃え尽きることなく流れていく流れ星は珍しいのだ。
〝3〟
【流星は等しく降り注ぎ、決断を迫る。】
「きゃああぁぁ─────!!」
竜胆「………ん?」
〝2〟【悔いのないように、心して選ばれよ。】
竜胆「何だ?」
どこからか、甲高い音が薄らと聞こえたような気がする。気のせいか?
〝1〟【明日を賭せ、神さまの言うとおりに。】
本校舎と別棟を繋ぐ渡り廊下を渡り、自分のクラス3-Aへと向かう。うちのクラスは他所よりに人数が一回りくらい多い、別棟の理由なんてそんなもんだろう。
玄関口やら購買やら遠いんだから、遅刻くらい見逃せよと思う。そんなことを考えながら教室の前扉を開ける。いつものように。
〝0〟【だるまさんが殺した。】
竜胆「は?……な…なん、だこれ血……!?…皆、死んで………!!?」
教室の扉を開けて真っ先に視界に飛び込んできた、赤色一色の光景。無数に横たわるそれが、人だったことに気付くまでにそう時間は掛からなかった。
発作的に腹からこみ上げてくる吐き気をどうにか飲み込み、1歩後退し廊下へと出る。
映画で見たことあるグロテスクなシーンとは一線を画する生の情報が、竜胆の精神を汚染する。
竜胆「ゲボッ、ウ゛、ェ……ゲボゲボッ!……ハァ、ハァッ…ウッ…!!」
喉の奥が熱くなる。1度は抑え込めた胃のあたりがせり上がる感覚がより強く、勢いを増して悪寒へと変わる。これは無理だと、感覚で分かった。
竜胆「おぶっ…うっ……ふっ、ハァ…あぁ"…」
瞬間、竜胆を襲ったのは不快感と倦怠感だった。息が苦しい、呼吸が浅い。涙が汗が、まるで滝のように溢れ出す。喉が乾いた、胃液が喉を焼いたからだ。口の中に広がる酸っぱい異臭、胃液のせいで水っぽくなった唾液が床に垂れる。
『もぉすぐ来るでぇ、ネコ来るでぇ~、早よ体育館行きなはれ。もぉすぐ来るでぇ~、ネコ来るでぇ~、早よ体育館行きなはれ』
教卓の上で、永遠と同じフレーズを繰り返す謎のだるま。いつからあったのか分からない、もしかしたら最初からあったのかもしれない。
『もぉすぐ来るでぇ~、ネコ来るでぇ~、早よ……あ!?何やコレ?』
竜胆「あ…?」
『皆死んどるやんけワレェ………ワシ一人で喋っとったん…か~~~~~い』
竜胆「は…?………何が、どうなって………」
だるまはひとりノリツッコミを披露した後、ロケットのごとく発射し、窓を突き破った。
竜胆「〝ネコ〟………体育館に来るつってたな」
体育館は後ろ手に見えている。行くか、でも危ないんじゃないか?どのみちこんな死体だらけの場所にいつまでも居られない。
ドォォォン!!
竜胆「今度は何だ…!!あれは………〝ネコ〟…?いつの間に………いやそれより」
遠目に見える体育館の屋根上には、初詣とかに神社でよく見る千万両のまねきねこが立っていた。
竜胆「デカ過ぎんだろ…!?」
大きさは体育館とほとんど同じか少し小さいくらい。去年改修したばかりの屋根は凹み、今にも崩落しそうだ。
ドォォォン!!
─────否、崩落した。
僕は確かに目撃した。ネコパンチだ。
信じ難いことだが…〝ネコ〟が左足を振り上げ、勢いをつけた前足を自身の足元に振り下ろした。結果、屋根は容易く壊れ〝ネコ〟が落下した。
竜胆「………嘘」
ツッコミどころは多々あるが、さっきの爆音はあの〝ネコ〟の仕業で間違いないだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
5分後、警察の武装部隊が現着。僕は手厚く保護され、病院へ搬送されることとなった。
外傷は認められなかった。精神科医の先生とは面談を行ったが、驚くほど良好であると診断された。それが良くなかったのかもしれない。
「全校生徒607人、教員を含めれば650人強の人間がたった数時間で殺されるなんて全くおかしな話だ」
ああ、最悪の気分だ。
診察を終えた僕に待っていたのは、心安らぐベッドの肌触りではなく、窓一つない陰鬱な部屋の固い丸椅子の感触だった。
「竜胆君、君を保護したのは体育館とは別の場所だったと聞いている。
そう、警察による事情聴取である。曰く、朝の騒動の生き残りは僕を含め
竜胆「僕を疑っているので?」
「まさか、単純にどうしてかと思っただけだよ」
嘘だな。
僕が警察でも真っ先に僕を疑う。何せ僕は〝だるま〟や〝まねきねこ〟の場に居なかったのだから。疑いの眼は当然他3人より僕に向かう───3人?
竜胆「待って下さい刑事さん、他3人っていうのはどういうことですか?生存者は5人では…?」
「君と同じだよ。何も先んじて保護したのは君だけではないからね。確か名前は…」
明石靖人。
東京都立播磨生高等学校3-C。
竜胆同様に〝だるま〟〝まねきねこ〟の場に居なかった人物。*1