停戦の交渉をしていたはずが、なぜかギレン総帥が猫を飼い始めました。   作:山田 川田

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第25話 誰が決めるのか

サイド3。

 

ジオン議会の議論は続いていた。

完全独立を求める議員と、高度自治を受け入れるべきだとする議員の差は縮まらない。

そこへ、新しい意見が出た。

 

「そもそも、我々だけで決めてよいのでしょうか」

議場がざわついた。

「どういう意味です?」

「これは政府や議会だけの問題ではない。これからサイド3に住む人々が、どのような国で暮らすかという問題です」

 

「国民投票を行えと?」

「少なくとも検討すべきです」

 

反対する議員もいた。

「戦時中に国民投票など前例がない」

「今は停戦中です」

「連邦との交渉が遅れる」

「急ぐ必要がありますか?」

 

議場が少し静かになった。最近、どこかでよく聞く言葉だった。

 

◇

 

ギレンは議会からの報告を受けた。

「国民投票?」

「はい。完全独立、高度自治、あるいは別の案について、国民の意思を確認すべきだという意見です」

「選択肢が決まっていないのに投票するのか」

「そこが問題になっています」

 

ギレンは少し考えた。

「まず議会で案を作れ」

「国民投票には反対されないのですか?」

「案もないのに賛成も反対もできん」

「では、交渉案がまとまった段階で?」

「そのとき考えればいい」

 

◇

 

南極。

 

マ・クベは連邦側にジオン議会の状況を説明した。

 

「国民投票ですか」

「まだ決まっておりません」

「ずいぶん大ごとになりましたね」

「国家の将来に関わることです。必要なことです」

 

連邦側の代表が少し考えた。

「以前にも話に出ましたが、もしサイド3が高度自治を選んだ場合、他のサイドも同じ権利を求めるでしょう」

「はい、その可能性はございます」

「本当に、連邦の仕組みそのものを変えることになります」

「そうなります」

 

マ・クベは資料を見た。

「以前にも申し上げましたが、元に戻す必要はありません。ジオンだけを特別扱いするから難しいのかと。すべてのサイドに同じ権利を認めればよろしいかと存じます」

「簡単に言いますね」

「簡単ではありません。しかし、時間をかけて話し合えばよろしいかと思います」

 

連邦側の代表は苦笑した。

 

◇

 

その夜。

 

ギレンは南極から届いたマ・クベの報告を読んでいた。

「連邦そのものを変える、か」

 

猫は身をかがめた。

「ニャア」

「ジオンが連邦から自由になるのではなく、連邦を自由な者たちの集まりにする」

 

猫は机に飛び乗った。

 

「それなら、独立という言葉にこだわる必要もなくなるかもしれんな」

「ニャア」

「お前はどう思う?」

 

猫は書類の上に座った。

「そこはマ・クベの報告書だ」

「ニャア」

「お前は変わらないか」

 

猫は動かない。

ギレンは報告書を引き抜くのを諦めた。

「こちらは、ずいぶん多くの者に聞くことになりそうだな」

 

「お前の名前だけは、私が決める」

 

「ニャア」

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