停戦の交渉をしていたはずが、なぜかギレン総帥が猫を飼い始めました。   作:山田 川田

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第33話 二つの会議

南極では、今日も会議が続いていた。

 

「自治軍の指揮権についてですが」

「各サイド政府が持つべきでしょう」

「しかし有事には連邦軍との協力が必要です」

「その『有事』を誰が判断するのです?」

 

また新しい問題が出た。だが、会議が止まっているわけではない。昨日は自治軍を認めるかどうかを話していた。今日は、その指揮権を話している。

 

少しずつではあるが、話は進んでいた。

 

◇

 

同じ頃、一隻の連邦軍艦艇がサイド3へ近づいていた。

 

「入港許可が出ました」

「そうか」

 

レビルは窓の向こうを見た。以前ここへ来た時、彼は捕虜だった。今回は違う。連邦軍の将軍として、正式に招かれている。

 

「護衛艦は?」

「予定通り、港の外で待機します」

「それでいい」

 

レビルはサイド3を見ながら言った。

「同じ場所でも、来る理由が違えば随分違って見えるものだな」

 

◇

 

サイド3では、デギン、ギレン、キシリアがレビルを迎えた。南極からマ・クベも一時的に戻っている。

 

キシリアがマ・クベを見る。

「久しぶりね」

「昨日も通信でお話ししましたが」

「直接会うのは久しぶりでしょう」

「それは、確かにそうです」

 

ギレンが二人を見る。

「何の話だ?」

「こちらの話よ」

 

そこへレビルが入ってきた。

 

デギンが立ち上がる。

「ようこそ、サイド3へ」

「以前とは随分違う歓迎ですな」

「今回は客人ですからな」

 

二人は握手した。

 

◇

 

公式の歓迎行事が終わると、小さな会議室に場所を移した。記者はいない。議事録も残さない。デギン、ギレン、キシリア、マ・クベ、そしてレビルだけだった。

 

レビルが尋ねた。

「南極の方はどうです?」

 

マ・クベが答えた。

「順調です」

「順調?」

「はい。決めることが増え続けております」

「それを順調と言いますかな」

「昨日よりは先へ進んでおりますので」

 

レビルは笑った。

 

ギレンが資料を見る。

「問題は自治軍だな」

 

マ・クベが答えた。

「それだけではありません。税制、議会の議席、航路管理、地球側の自治要求もあります」

「随分増えたな」

「和平交渉を始めた頃には、連邦とジオンの問題だけでした」

 

デギンがレビルを見る。

「将軍。ここでは決定をするつもりはありません」

「分かっています」

「南極が正式な交渉の場です」

「では、ここでは?」

「南極で話せそうな案を探しましょう」

 

レビルはうなずいた。

「それなら気楽ですな」

 

マ・クベが小声で言った。

「南極へ持って帰れば、気楽ではなくなりますが」

 

◇

 

話は自治軍の指揮権へ戻った。

 

レビルが言った。

「平時は各サイドが指揮する。有事には共同で対処する。それでは駄目ですかな」

 

ギレンが尋ねた。

「誰が有事を認定する?」

 

「そこです」

 

しばらく沈黙した。

 

キシリアが口を開く。

「一方だけで決められないようにすれば?」

「連邦だけでも、各サイドだけでも決められない仕組みですか」

「ええ」

 

マ・クベが考えた。

「共同の委員会を置く方法はあります」

 

レビルが言った。

「軍人だけでは駄目でしょうな。政治側も入れるべきでしょう」

 

ギレンが資料に何かを書いた。

「南極で出せるか?」

 

マ・クベが答えた。

「正式な案として出すには、まだ検討が必要かと思います。ですが、話し合いの材料にはなります」

 

デギンがうなずいた。

「では、それでいい」

 

ただ、南極へ持っていく案が増えた。

 

◇

 

その日の夕方、レビルたちは次の問題について話し始めていた。

 

ギレンが尋ねた。

「ところで、税収の配分はどうする?」

 

レビルが答えた。

「自治権を広げる以上、各サイドにどこまで残すか決める必要がありますな」

 

キシリアが言った。

「また南極で揉めそうね」

 

デギンが苦笑した。

「間違いなく揉めますな」

 

マ・クベは無言だった。

 

南極では正式な答えを決める。サイド3では、その答えになりそうなものを探す。

二つの会議は、同時に進んでいた。

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