俺とジジイの提督生活(タイトル募集中) 作:Z/Xプレイヤー26
「なあ、ジジイ…元帥の部屋の扉って、こんなにデカかったか?」
「半年前にリフォームしたらしいからのう、まあ問題無いじゃろう…気を引き締めろよ、今から会うのは元帥じゃ!!並みの人間と思うなよ!!」
ジジイが俺達に注意を促す。
「あ~、緊張する!!鈴谷こういうの嫌いなんだよねー」
「確かに貴女が一番心配ね、くれぐれもご無礼の無いように…」
「今回はビビらない様にしねえと…」
「それじゃあ…行くぞ?」
ジジイが扉をノックする、すぐに部屋の中から返事が聞こえる…間違いなく元帥の声だ。
「入れ」
返事を聞くや否や、すぐに俺達は部屋に入った、そして…
「良く来たな…遠路遥々ご苦労だった」
元帥の威圧感に飲まれそうになった…ジジイ以外は。
「元気そうじゃのう…相変わらずじゃ!!」
「相変わらず、凄まじいですね…元帥閣下の威圧は…少し手加減して頂きたいのですが…っつ…」
立ち眩みが起こる…鈴谷と陸奥は…
「うぅ…何かクラクラする…」
「中将…何で平気そうなのかしら…うっ…」
やはり辛そうだった。
「中将…鍛え方が足らんのではないか?この程度の威圧に耐えられんとは、艦娘として未熟だぞ!!」
「そんなつもりは無いがのう…まあ、孫は艦娘ではなく、人間じゃし…」
「いやいや…この二人に仰られただけで、俺は含まれて無いだろ…」
流石に艦娘と人間を間違える事は無いだろ…ましてや元帥程の人が…しかも、俺は男だし。
「……孫…?…………おお!お前、あの時の中将の孫か!!新しい艦娘かと思ったぞ!!」
「………………冗談ですよね…?」
お願いします…冗談だと仰って下さい…
「私は冗談が嫌いだ!!本心だ!!」
「相変わらずじゃ!!本当に相変わらずじゃ!!わははは!!」
「大佐…本当にこの人が元帥閣下なの?鈴谷の抱いていたイメージとちょっと違う…」
「私もイメージとは違ったわね…いえ、最初はイメージに近かったけど…」
鈴谷と陸奥が苦笑いしている…いつの間にか、威圧が消えていた。
「まあ、私の威圧に当てられて、気絶しなかったのは誉めてやる…及第点だな」
「素直じゃ無いのう…昔と変わらんな、オッサンのツンデレなんか、誰も喜ばんわ!!」
どうやら、不合格では無かった様だな、鍛えた甲斐があった。
「所で元帥殿…?何故この時期にワシ等を呼んだんじゃ?」
「ふふ…元帥殿か…本来ならば貴方が元帥だろうに…皮肉にしか聞こえんな…」
元帥殿は苦笑いをした、初めて素の表情を見た気がするが…
「話を逸らすな、早よう本題に移れ…寿命が来るわい!!」
「そうだな…ならば早速本題に移らせて貰う…大佐、お前は艦娘の事はどう思っている?」
突然の質問で俺は内心焦った。
「どう思っている…ですか?……大雑把に言えば、『良い奴等』ですかね…」
「ほう?その理由は?」
「正直に言って、深海棲艦に勝てない俺達が、勝手に生み出して、戦いを強要しているのに、文句も言わずに戦ってくれているんです…『良い奴等』と言わずに、なんて言えば良いのか…」
俺の返答を聞いて、目を閉じる元帥閣下…何か不味い事を言ったか?
「…まるで艦娘に意思が有るような言い方だな、艦娘は兵器である…それは知っているだろう?兵器が文句を言わないのは当然で、戦うのも当然とは思わないのか?」
「!!」
「っ!!」
鈴谷と陸奥を見ると、平静を装ってはいるが、少し不安そうにしている。
「………思いませんね、艦娘は人間と何ら変わらない、泣いて、笑って、怒って、寧ろどこが人間と違うのか分からないですよ…」
「…ならば、深海棲艦の事はどう思っている?」
深海棲艦…?何故そこで深海棲艦が出てくるんだ?
「何故そんな質問をするのか分からない…と思っているな?」
「…はい」
「その疑問には後で答える…お前の考えを聞かせろ」
本当に訳が分からない…しかし答えるしか無さそうだ。
「深海棲艦…突如現れた人類の敵…倒すべき相手としか考えてませんが…」
「そうか…先程の疑問の答えだが、何故深海棲艦について聞いたかと言うとな…」
元帥閣下が俺の顔をじっと視る…威圧感は感じられないが、良くない事を言われる、それを直感した。
「待て、元帥殿…話の予想は付くが、今から話すのは全て事実なんじゃろうな?憶測などの話ならば、止めて頂きたいが?」
ジジイが元帥閣下の話に割り込む。
「無論だ…これは事実であり…提督の任に就く者ならば、知るべき事だ。」
「提督の任に就く者ならば、知るべき事?」
俺の体から嫌な汗が流れる…
「深海棲艦は、轟沈した艦娘の成れの果てだ、これは事実であり、変えようのない事だ」
「やはりのう…」
艦娘が沈んだら、深海棲艦になる…そう言われた…?
「………いたちごっこ、ですね…」
俺は呟いた…小さな声だったが、元帥閣下に聞こえていた様で、その言葉を聞いて、少し驚いた様だった。
「普通なら、直ぐには受け入れる事が出来ずに、思考が鈍る所だが…中々どうして、冷静じゃないか…そうだな、まるでいたちごっこだな」
誉められたが少しも嬉しくない、俺は肝心な所で感情的になれない、普通なら怒るべき所を、冷静…いや、冷めた思考で見てしまう…さっきも艦娘達が人間と変わらない、と言ったが…結婚に関しても、どこか冷めた思考で考えてしまっている、そして今も…艦娘が沈んだら、深海棲艦になる…普通ならショックを受けるのだろうが、俺は状況の一つとして見ている気がする。
「……自分が嫌になる」
「悲観するな、それは才能だ、軍人として、提督としてのな」
また誉められたが、嬉しくない…ジジイは艦娘達とは家族の様に接している、俺はどうなんだろうか?分からない…何もかも。
「…話は終わりですか?」
凄く失礼な態度だとは思う…元帥閣下に対して、目上の人間に取る態度じゃない…だが、俺はこの場に居たくなかった。
「ああ、お前に対する話は終わりだ、中将に対する話はまだあるが、どうする?ここに残るか?それとも大本営を見て周るか?」
「少し、見ていきます…」
「………大佐、鈴谷も付いていく」
部屋を出ていこうとする俺に鈴谷が付いてくる。
「悪いな、助かる…では、失礼致します…」
俺は部屋を出た。
~大佐が出ていった後の元帥の部屋~
「中将よ…あの男が総帥の…」
『元帥殿』が孫の話をしようとする。
「その話は止めて頂きたい…『元帥殿』」
「ふふ…『元帥殿』か…相変わらずなのはどちらですか『先生』…昔の様に呼んで頂いても構いませんよ」
「………私も席を外しましょうか?」
陸奥が空気を読んだのか、席は外そうとする。
「構わん…そうじゃろ?『小僧』よ」
「ええ、構いませんよ…それにしても、自分で昔の様に、と言っておきながらあれですが、オッサンになって、小僧呼ばわりは恥ずかしいですね」
小僧が恥ずかしそうに頭を掻く…恥ずかしそうにするな、気持ち悪い!!
「……孫は大丈夫かのう…自分一人でで抱え込まなければ良いんじゃが…」
「それは心配要りませんよ、先生…」
小僧が笑顔でワシの心配を否定する…うざいのう…
「…理由は?」
陸奥が少しイラついた様な聞き方をする、良かったわい…うざいと思ったのはワシだけじゃ無かったみたいじゃ。
「ここは大本営ですからね…くせ者揃いで、なにも知らない人間は、何かを考え込む暇なんて無いくらい『巻き込まれます』」
嫌な予感がするのう…
「陸奥よ…」
「行ってきます」
陸奥も一瞬で察したのか、直ぐに部屋を出た。
「楽しそうですね…」
「フン、ワシの前で偉そうに振る舞っていたお前よりはマシじゃ!!」
いくら元帥としての威厳が必要だとしても、ムカツクものはムカツクわい…
「全く…意地悪言わないで下さいよ………先生…そろそろ本題に…」
小僧の顔つきが変わる。
「うむ…それにしても、陸奥を自然に部屋から出すためとはいえ、さっきの嘘はどうかと思うが…」
「嘘じゃありませんよ?今頃『博士』か、『司令官』辺りに捕まってるんじゃないですかね…」
そんなに変人揃いじゃったかのう…前に来た時は普通の…
「今、前に来た時は普通の感じだった…とか思ってませんか?」
「そうじゃ…普通じゃろう?」
小僧はニヤリと笑って…
「私から見たら、先生も変人ですからね、変人は変人を見ていても、普通に感じるんですよ…」
「よっしゃ!!表に出ろ…クソガキがぁ!!」
その後、部屋に入ってきた元帥の秘書艦が中将を何とか宥めて、本題に戻ったらしい…
果たして大佐は大本営から生きて帰れるのか!?