俺とジジイの提督生活(タイトル募集中)   作:Z/Xプレイヤー26

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これは後に艦娘の救世主と呼ばれた艦隊の…始まりの物語である…


第12海

~大佐の部屋~

 

「ん?匿名のメール?このPC殆んど使っていないんだが…迷惑メールか?」

 

警戒はしたものの、メールアドレスを見ると、大本営からのメールだった様なので、大佐は開く事にした。

 

「……このデータは…!!……これは一体…いや、これが本当なら…」

 

大佐がメールを開いてから5日後…鎮守府の中にある、剣道場で中将が座禅をしている…その様子を利根はじっと見ていた。

 

「…………」

 

「利根よ…そんなに見られると集中出来んのじゃが…」

 

遂に視線に耐えられなくなったのか、中将が利根に話しかけた。

 

「……一流の使い手なら、見られている程度では動じんじゃろう?中将、何を悩んでおる?吾輩にも話せぬ事なのか?」

 

「ぬう…バレておったか!!…利根、今夜一杯やらんか?その時に話そう」

 

「大佐も一緒か?」

 

「いや、今夜は二人きりじゃ…あまり孫には聞かせられんからな」

 

珍しく二人きりの晩酌…とはいえ、あまり明るい話ではなさそうなのか、利根も素直には喜べてはいなかった。

 

「…分かった、ではまた夜に部屋にお邪魔させて頂こう…」

 

「うむ…ワシはまだ少しここにおるから…」

 

「今日はゆっくり悩むが良い…大佐にもあまり心配を掛けるでないぞ…?ここ最近の大佐の様子はおかしいからのう…」

 

そう言って利根は道場を出た。

 

所変わって大佐の部屋では…

 

「……大佐?何か考え事ですの?」

 

「ん?まあな…」

 

書類の整理をしながら、熊野が大佐の様子を見て、心配をする。

ここ最近の大佐の様子は変だ、まるで全員と距離を取っている様にも見える。余談であるが、現在熊野は眼鏡を掛けている…本人曰く『本気の秘書艦モード』らしい。

 

「なあ、熊野…」

 

「何ですの?」

 

大佐が真剣な表情で熊野を見つめる…

 

(あの真剣な表情…ま、まさか…結婚について!?…まあ、そんな訳がありませんわね…どうせ中将の愚痴か何かを…)

 

「結婚って…どう思う?」

 

「……………ゑ?」

 

あり得ないと思っていた質問をされ、熊野は思考が停止していた…そんな事とは知らず、大佐は話を続ける。

 

「何だよその反応…いやな?大本営に居た大将が武蔵と結婚していてな…普通に恋愛してるんだな…と思ってな?だから、普通に俺も人を好きになって、結婚すんのかな…とか考えたりしてな…」

 

「…そうですわね…一般論が通じるかは分かりませんが、提督と言う特殊な立場であるならば、『普通に人を好きになる』のは難しいのではなくて?」

 

熊野の言葉を聞いて、考える大佐…

 

「だよな…大将みたいに、好きになった奴が自分の指揮する艦娘だったら…言い方は悪いかもしれないが、楽だよな」

 

大佐の発言を熊野は聞き逃さなかった。

 

「な、なら、大佐も艦娘からお選びになれば宜しいんじゃありませんの!例えば…私とか…」

 

「……うーん…でもな?自分の指揮する艦娘と結婚するのは抵抗があるんだよな…」

 

「な、何故ですの!?私達では不満なんですの!?」

 

熊野が半泣き状態で大佐に詰め寄る。

 

「不満ってかな…艦娘が上司である提督に結婚を迫られたら…断り辛いだろ?政略結婚みたいで嫌なんだよ」

 

「そんなことありませんわ!!嫌なら断る事はします!!」

 

「……そうか?なら、俺が『今すぐ結婚してくれ』って言ったら断るか?」

 

「そ、それは…」

 

大佐の言葉に、言い返せない熊野…確かに嫌なら断る事はするが、『大佐の事は好きですから、OKですわ!!』とも言えず…

 

「な?断れないだろ?それに、万が一お前らが俺に好意を持っていてくれているとしよう…」

 

「…………」

 

「その好意が本物か分からないからな…」

 

「……何故そう思いますの?」

 

『好意が本物か分からない』そう言われて、熊野は大佐に質問するしかなかった。

 

「お前ら艦娘は…国家機密だろ?故にここから出る事は殆んど無い…行けても、近場が限度だ」

 

「それに何の関係が?」

 

「最後まで話を聞け…つまりな?お前らは俺とジジイ以外の異性、それどころか他の人間すらほぼ知らない、違うか?」

 

そう、艦娘は国家機密…これはつまり『艦娘は自由を奪われている』のと同義である。

 

「ですが…それは海軍の…大佐達の都合ですわ!!それなのに…それが理由で私達の好意を無下になさるつもりですの!?」

 

「だからこそ俺は…その『俺達の都合』を壊そうかと思っている…」

 

「…なっ!?」

 

大佐が言った事はどう聞いても…

 

「艦娘の存在を…公表するつもりですの!?」

 

「ああ」

 

平然と答える大佐、しかしそんなことをすれば、とんでもない事になる、そして何より公表した大佐本人が、ただでは済まない。

 

「それは許しませんわ!!大佐が無事ではなくなりますわよ!!」

 

「お、何だよ…世の中の混乱よりも先に俺の心配をしてくれるのか?」

 

「ふざけないで!!」

 

珍しく大声で怒鳴る熊野の声は部屋の外まで響いていた…

 

「そんなに怒鳴るなよ…外まで聞こえるだろ?」

 

「……この際全員にその話を聞いて貰いますわ!!」

 

熊野が部屋を出て行こうとしたその時、部屋のドアが開いた。

 

「くまのん?凄い大声で怒鳴ってたけど…って何で泣いてるの!?」

 

「ぅ…鈴谷ぁ…!!」

 

鈴谷に泣きながら抱き付く熊野…熊野の様子を見て、鈴谷は大佐を睨み付けた。

 

「大佐…くまのんに何か言ったの?…くまのんが泣くなんて、普通じゃ無いよね?」

 

いつものお調子者の鈴谷からは想像も出来ない程の怒気を大佐は感じ取った。

 

「別に俺は大した事は言ってないが?ただ、『艦娘の存在を公表するつもりだ』って言っただけだが…」

 

「……大佐?それって大佐は無事じゃ済まないよね…?」

 

「お前も先に俺の心配をしてくれるのか?俺にもモテ期到来か?」

 

大佐の態度に鈴谷も熊野同様、声を荒げた。

 

「ふざけないでよ!!何?『自分はどうなっても良い』とか考えてんの!?」

 

「さっきの熊野と同じ様な反応をするな…やっぱり姉妹艦だな…で、この声を聞いて別の誰かが来るか?無限ループだな」

 

大佐の予測通り、すぐに陸奥が入ってきた。

 

「無限ループで悪かったわねぇ…話は大体聞こえてたわよ…皆に丸聞こえよ?」

 

「あー…扉開けっ放しだからな」

 

「話を聞いて、利根が中将を呼びに行ったから、すぐに来ると思うわよ?……でも、その前に話してくれないかしら?何で艦娘の存在を公表するのかを…」

 

陸奥の質問に対して、なに食わぬ顔で大佐は答えた。

 

「お前らを自由にする為…だと言ったら信じるか?」

 

「……公表したら私達艦娘が自由になるとは思えないけど?寧ろ、一般市民が私達を脅威に感じたのなら、私達を排除するんじゃないかしら?」

 

陸奥の的確な反論に大佐は押し黙るかに思えた…

 

「残念ながら、お前たちを排除するのは不可能に近いな、現行の兵器では艦娘を倒すのは不可能だ、それに…」

 

「それに…?」

 

「お前たちは死んだら、深海悽艦になる…艦娘の力無しに、どうやって倒す?」

 

大佐の言葉に、陸奥は押し黙る…完全に逆手にとられた。

 

「あのダサいスーツがあるじゃん!!」

 

「現在は完成に程遠い、今の段階では艦娘とは闘えない、つまり今、この時にお前たちの事を公表すれば、手を出すのは不可能に近いって事だ」

 

鈴谷の反論も、一瞬で切り返された。

 

「大佐?今の話は…本当ですの…?」

 

「ん?ああ、今ならお前たちの安全は保証できる」

 

「違います!!その…私達が死んだら…深海悽艦に…?」

 

熊野を始め、大本営に行ってない艦娘達は、まだこの事実を知らされていなかった。

 

「……それは事実だ、元帥から直接聞いたから、間違いない」

 

「……つまり、私達がしている事は…無意味に近い事…ですわね」

 

「そんな事は無いぞ…ワシが保証する!!」

 

中将が部屋に入る。

 

「ジジイ…」

 

「孫よ…一体どうした?お前が仲間を…『家族』を傷付ける様な事を…」

 

中将の言葉を聞いて、大佐は鼻で笑った。

 

「なあ、ジジイ…『家族』って何だろうな?」

 

「何?」

 

大佐の言葉に、中将は考える…家族とは何か…

 

「俺はな?ジジイ…ここに居る奴等は俺の『家族』だと思っている…」

 

「……ワシもそう思っている…かけがえのない大切な『家族』じゃ!!」

 

鈴谷、熊野、陸奥も頷いた。

 

「そうだな…ジジイ…いや、ここに居る全員と『血の繋がり』は無いにしても…俺はお前たちが大切だ、それこそ世界も敵に回せる…『大本営の最高権力者』もな?」

 

「!?…何を考えておる!?」

 

中将の言葉を聞いて、大佐はまた鼻で笑った。

 

「知ってるんだろ?総帥が何をしようとしてるのか…!!」

 

「中将…?さっきから、大佐は何の話をしてるの?」

 

陸奥は話が見えないのか、中将に説明を求める。

 

「……総帥は…艦娘を使って、戦争を始めるつもりなんじゃ…!!」

 

「ウソ…そんなことしたら…!!」

 

「そう、かつて無い程の戦争になる…だからな…その計画を俺は壊す…!!お前たちを…大切な『家族』を人殺しの道具になんかさせねぇ!!」

 

大佐は立ち上がると、中将の胸ぐらを掴んだ。

 

「ジジイ…テメェはどうする!!このまま軍の犬になるか…俺と一緒に行動を起こすか…」

 

中将は大佐の腕を払いのけた…

 

「ふん…年寄りは労らんか…!!全く…『家族』を守るじゃと?その『家族』を頼らんで、あまつさえ傷付ける様な半人前で、不器用な孫を一人で闘わせる訳なかろう!!ワシも一緒に闘わせて貰う!!」

 

中将の言葉を聞いて、大佐は笑った。

 

「大佐…鈴谷達も闘う!!」

 

「そうね…ふふ♪お姉さんを頼りにしないような駄目な大佐は見張っておかないとね?」

 

「私も…闘いますわ!!」

 

三人が笑顔で決意を告げる…すると、次々と鎮守府に居る艦娘…『家族』がやって来る。

 

「大佐!!私も闘うネ!!」

 

「俺もだぜ!!大佐!!」

 

「私は天龍ちゃんに付いて行くだけよ~?」

 

「勘違いしないでよ!?私は…皆の為に闘うだけだから!!」

 

金剛、天龍、龍田、天津風が大佐に駆け寄る。

 

「ははは!!天津風…照れ隠しになってないぜ?」

 

「なっ!?五月蝿いわねバカ天龍!!」

 

「あら~天龍ちゃんに対してバカだなんて…死にたい駆逐艦は貴女かしら~?」

 

楽しそうに『家族』が騒ぎ出す。

 

「中将!!話は聞いたぞ!!この長門!!ビッグ7の誇りにかけて…共に闘う!!」

 

「全く…中将は水臭いのう…吾輩達『家族』を頼らなかったのは、中将も同じ…人の事はとやかく言えんだろうに!!」

 

「中将…この艦隊の頭脳、霧島を存分にお使い下さい!」

 

「この赤城の事も忘れないで下さいね!!」

 

「中将?駄目ですよ…大佐に迷惑かけたら…私の息子みたいなものなんですからね?」

 

「世界を陰から守るだなんて…スーパーヒーローっぽい!!夕立頑張るっぽい!!」

 

中将の部隊の頼れる『家族』も負けじと後に続く。

 

「ジジイ…!!」

 

「うむ…皆のもの!!これからの闘いは凄まじい物になるじゃろう…しかしワシら『家族』の絆をもってすれば、越えられん事はない!!全員…戦闘開始じゃ!!」

 

艦娘一同「「はい!」」

 

こうして艦娘達の自由の為の、長く険しい闘いが始まった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?鈴谷渾身の出来だよ!!」

 

「脚下」

 

鈴谷の書いた原稿を読んで、大佐は即答した。

 

「何で~?良い感じじゃん?こうさ、グワーッとなってさ!!」

 

「駄目じゃ!!ワシは納得いかん!!」

 

「そうだぜ!!俺達の出番が殆んど無えじゃねえか!!」

 

中将と天龍が鈴谷に文句を言う。

 

「孫と艦娘の濡れ場が無い!!脚下じゃ!!」

 

「シバくぞ糞ジジイ!!」

 

大佐が中将の頭を掴む。

 

「痛い!!暴力反対!!老人虐待!!駄目!!ゼッタイ!!」

 

中将を筆頭に、騒ぎ出す…その様子を鳳翔、陸奥、長門、熊野が見ていた…

 

「ふふ…相変わらず楽しそうですね」

 

「そうね、見てて飽きないもの♪」

 

「だな、まあ鈴谷が書いた話で、『私達が死んだら、深海悽艦になる』事と、『熊野は、大佐にプロポーズされたらすぐに了承する』部分は事実だからな…」

 

長門の言葉に、熊野が反論する。

 

「勝手な事を言わないで下さる!?私そんなにも尻の軽い女じゃなくってよ!?」

 

「ほう?ならば、大佐にプロポーズされたら断るのか?」

 

「お受け致しますわ!!」

 

即答だった…

 

「でも、大佐は本当に結婚のこと…どう考えているのかしらね…もしかしたら、本当に艦娘との結婚は、政略結婚みたいで嫌とか考えてる可能性もあるわよね…」

 

「確かにな…あの大佐の事だ…充分に考えられる…」

 

「私達の恋は…前途多難ですわね…」

 

中将に振り回される大佐を見て、四人はため息を吐いた。




はい、最早番外編ですよ、あれですね…決闘者が見たら、「なにこれぇ」ってなるレベルです(笑)
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